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2025-05-14 14:50

#16 専門回「DCSについてFAの方向けに説明してみる」

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今回は専門回としてプラント制御に関してDCSの視点で深掘りしました。
FAとPAの違い、DCSの構成・操作方法、ネットワーク、PLC計装などお話します。
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プラントライフは、化学プラントの技術者である私かねまるが、化学と工場に関するトピックを、分かりやすく紹介して身近に感じてもらう番組です。

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MONOist連載記事「はじめての化学工学」
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サマリー

今回のエピソードでは、DCS(分散制御システム)について、ファクトリーオートメーション(FA)向けにその仕組みや特徴を詳しく解説しています。また、プロセスオートメーションとの違いや、制御に用いるPID制御の重要性、防爆の必要性についても触れながら、その運用方法を紹介しています。

DCSの基本概念
どうも、かねまるです。
プラントライフは、化学プラントの技術者が、科学や工場に関するトピックを分かりやすく紹介する番組です。
今回は、初の取り組みで専門回というものをやってみたいと思います。
テーマは、DCSについてFAの方向けに説明してみる、です。
工場の自動化といえば、加工や組み立てのイメージが強いかもしれません。
それでは、化学プラントの自動化というのはどういうものなのでしょうか。
一般に加工や組み立ての自動化というと、ファクトリーオートメーション、FAと呼ばれたりしますね。
反対にプラントの方は、プロセスオートメーション、PAと呼ばれたりします。
今回はFAの方向けにプラントの制御、特にDCSの部分についてお話しします。
このテーマは、初心者用に話した内容から続くテーマです。
まだそれを聞いていない方は、シャープ9番の化学プラントの司令塔、
DCSを知れば見えてくる工場の裏側というものを最初に聞いてみてください。
まずFAとの違いなんですけれども、やっぱりPID制御が多いことにつきますね。
主にプロセスというのは、温度や圧力や流量というのを一定の条件にするように制御していきます。
扱うものは液体や気体のような流体を扱います。
流体はタンクや蒸留灯やろ過器などで処理されます。
それらの機器管はポンプを使って配管を通って送られます。
主に制御で使われる更新周期は1秒程度になっています。
FAで使うPLCだとミリセックオーダーが多いと思うんですけれども、
これはプロセスの違いによるものです。
バルブを動かしたりポンプを動かしたりするというのはミリセックオーダーで当然行わないので、
1秒周期でも特に問題ないという状態になっています。
個別で早い周期が必要な場合は、機器の動作の接点だけ取ってDCSから指令を出して個別の機器でPLC制御をしたりします。
ですので専用の化学機械は個別運転することも多いです。
プロセスの特性
ここから現場の経験についてお話ししますと、主となる信号線というのは420mAのアナログ信号です。
その中でも2000式伝送方式が使われます。
これは2本の配線のみで電源と信号線の2つを兼ねているものです。
プロセス系は特にアナログ入出力の契機が多いので、こうして2本と4本の電線の違いというのは大きく影響を受けます。
場所も遠いですからね。
そしてプロセスが連続プロセスなのか、バッジプロセスなのかでも変わってきます。
連続プロセスだと温度や液面を一定に保つような操作が行われます。
ですのでPID制御での処理が多くなってきます。
反対にバッジプロセスになってくると少し状況が変わってきまして、
タンクの中に液体や粉体を入れてかき混ぜて、それが終わったら次のプロセスに送るという操作になりますので、
液体を入れるためのバルブを開けたり、抜いたりするバルブを開けたり、
位相のタイミングでポンプを動かしたり、比較的デジタル入出力というのも増えてきます。
各現場からの配線というのはすべて制御装置の中に入力されるわけではなくて、リモート愛用も使ったりします。
そしてプロセス制御関係で一番重要になるのが防爆の関係ですね。
特に温室安全防爆のものや耐圧防爆のものというのも使われるようになります。
バルブは主に空気圧で動作させます。
また最近DXというのが話題になってますけれども、
例えばカメラやタブレットを入れようとした時にそれが防爆になるといくらぐらいすると思いますか?
実は防爆のものを買うだけで100万円ぐらい1台あたりするっていうことは普通にあり得ます。
だんだんとエリアを区切って、防爆のエリアと防爆でないエリアを区別してカメラやタブレットが使えるようにしましょうという取り組みもあるんですけれども、
なかなか思うようには済んでいません。
ここからDCSの話をしていきます。
国内では横側電気のものがDCSでは有名ですね。
比較として、こちらも国内で有名な三菱電気製のPLCで比較してみたいと思います。
ネットワークについては、画面と制御装置間の通信というのは横側電気製のものだとVNET-IPという専用の産業用イーサネットの規格があります。
これは二重化にも対応した高精度で高速度な産業用のネットワークになっています。
情報系のネットワークではOPC UAが採用されていたりします。
プログラムの作り方に関しては、DCSにはラダーのイメージがありません。
じゃあどうやって書くのかと言われますと、テーブル形式でシーケンスプログラムを書いています。
Excel の表のような見た目をしておりまして、上の方は条件、下の方は処理に分かれている状態ですね。
直感的に何を条件にして何を実行するのかが分かりやすくなっています。
主に制御はPID制御になってきますので、ベースはファンクションブロックで作成します。
入力と出力をファンクションブロックにつなげて、操作の画面でチューニングのパラメータを調節します。
またプロセスは長い工程になってきますので、SFC の形で機能ごとに分割してつなげて、それが一連の工程となって使われます。
演算については ST の言語が使われている印象ですね。
そして DCS の中の基本単位はタグと呼ばれるものが使われます。
これは計層タグとも言われます。
この計層タグの名称というのは JIS の Z8204 で決まっておりまして、これが計層用記号の規格になっています。
例えば FIC-101 というような名前の付け方をしています。
これが何を意味するかというと、流量を表示して調節する機能になっています。
DCSの運用と今後の展望
この FIC-101 というタグに流量計とコントロールバルブセットになった PID 調節の機能を持たせたものという形で一つのタグとして登録します。
ここから現場よりの話、操作について話しますと、操作はフェースプレートやチューニング画面というものを出して操作します。
フェースプレートは各値ですとか機器のシンボルを選択すると表示される細長いウィンドウになってまして、そこに現在地とか設定地などが表示されています。
このフェースプレートの設定値を変更したり、現在地を見たり、そういう形で運転の操作、監視を行っています。
またチューニング画面に関しては細かい PID のパラメーターとか、ハイの設定、ローの設定などそういったものの変更になります。
DCS は様々な計器を一手に集約して集中制御室のような形で機能させるという役割があります。
ですのでアラームやガイダンス、あとはロギングや帳表出力の機能といった集中して管理したり統合したりするという機能が充実しています。
また操作権限というのも複数設けられまして、そのユーザーによってできる操作。
例えばこの人は監視するだけ、この人は操作もできる、この人は細かいパラメーターの設定ができるなど細かく調節できます。
そして DCS は24時間365日運転することを前提に作られています。
ですので運転しながら改造がしやすいという特徴があります。
ハード面で言いますと、フォトカップラーですとか探視官の絶縁というものは当然行われていまして、運転中に入出力のユニットも外せるようになっています。
またプログラムの面では三菱電機でいうランチュー書き込みというのも当然のように行われます。
あと冗長化の面では二重化が行われています。
単純に機器を2台並べているだけではなくて、CPUの演算を2台で行って、その結果がおかしかったらすぐに二重化している片側に待機系に切り替えるという機能もあったりします。
ただこれだけ充実した機能もあるのでその分高くなっています。
このあたりの話は前回のシャープQ版のところでも話していますね。
最後にDCSの置き換えの話をしてみたいと思います。
これまではPLCの性能の関係もあって、プロセス制御はDCSが一択になっていました。
今はPLCの性能も上がってきて、PLC系層という形でDCSを再現した製品というのも増えてきています。
安定稼働を強く求めなかったり、規模が中程度だったらコストが抑えられるメリットがあります。
オムにはSCADAとPLCを組み合わせてDCSの機能を持たせることになります。
PLCについては大量のPID制御ができるような機種が選ばれます。
三菱電機やオムロンや横川電機については、PLC系層対応機器として専用のものがラインナップとしてあったりします。
三菱電機のものだとメルセック系層という名前で呼ばれていたりします。
こちらは三菱電機のメルセックIQ-Rをベースとして、例えばSCADAでジェネシスを使うということがありますね。
また三菱の方は、取説にもありますけれども、JoyWatcherという東京合成のSCADAと組み合わせるのも標準になっています。
こうして2種類のソフトを組み合わせて使うことになりますので、バージョンの管理というところが大変になってきます。
また、PCのOSの相性というのもありますので、ソフト間の相性ですとかOSの相性などうまく機能するかってところは常に気をつけておかなければなりません。
また、PLCはFAベースの機器にやっぱりなってしまうので、プロセス制御用のファンクションブロックがDCSに比べて充実していないというところもやっぱりあります。
その点は諦めて新しくプログラムを作らないといけません。
もし、PLC系層で実装する場合は、Mシステム技研、今はMGという名前に変わっていますけれども、そこのリモーター用が対応するネットワークも増えていて充実しています。
ここまでDCSについてFA寄りの目線で紹介してきました。
もし何かわからないようなことがあれば、番組の概要欄にあるお便りフォームからぜひ投稿ください。
今回はここまでです。
プラントライフでは、科学や工場に関するトピックを扱っています。
毎週水曜日の朝6時に定期配信していますので、通勤時間や朝の準備などにお聞きください。
プラント技術に関する専門的な内容は、chemfacというブログで解説しています。
最後に、このプラントライフがいいなと思っていただけたら、番組のフォローや各ポッドキャスターアプリから評価をお願いします。
そうしていただけると今後の励みになります。
それではお聞きいただきありがとうございました。
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