生産設備導入の背景
どうも、かねまるです。
プラントライフは、科学プラントの技術者である私、かねまるが、科学と工場に関するトピックをわかりやすく紹介して、身近に感じてもらう番組です。
今回は、科学系ポッドキャストの日という企画に参加しています。
科学系のポッドキャスト番組が共通テーマに沿って語る企画です。
毎月、この企画の共通テーマを決める番組がありまして、今月のホスト番組は、けいちゃんまーくんのドタバタグッドボタンさんです。
そんな2月のテーマは、ドタバタです。
科学の発展におけるドタバタ劇、実験中のハプニング、そして科学者の日常のドタバタエピソードなどを語ってください、とのことです。
私自身は科学者というより、どちらかというと技術者に近いんですけれども、今、仕事としては、科学メーカーで生産技術という仕事をしています。
例えば、製造効率を上げたり、新技術の導入をして製法を大きく変えたりとか、最近では生産現場のDXというのも担当しています。
そんな技術者の立場で、科学者の成果を技術者はどのように形にしているかというところを、そういう舞台裏をちょっと紹介してみようかなと思います。
コンビナート地帯にある科学プラントというのは、工場夜景ですごく有名ですね。
そういうプラントというのは、24時間稼働していることも多くて、明かりをつけています。
それもあって、夜景としてすごくきれいなんですけれども、24時間運転しているということもあって、基本的には止められないですよね。
なんで止められないかというと、一度止めてしまうと、また安定稼働させるために時間を要するということで、エネルギーとか人件費としてもロスしてしまうということになります。
身近な例ですと、例えば料理をしていて、加熱を1回やめちゃうと冷えてしまって、また温めないといけないというところがありますよね。
それにちょっと近いところはあるんですけれども、一度止めたものを再度元に戻すというところは、時間がかかってしまいますし、無駄が出てしまうということになります。
そういう限られた期間の中で工事を行っていくんですけれども、基本的に工事はブレーカーを落としたり、あとは配管を切ったり、重機で大きい設備を据え付けたりということがあります。
それで生産設備を導入する工事っていうのは、それもあって基本的に製造が止まっている日にしないといけません。
学生の頃、実験で行った蒸留ですとか、ろ過という操作もありますけれども、そういう操作は蒸留灯とか、あとはろ過器という名称で、かなり大きな装置として存在します。
そういうものを置く時っていうのはやっぱり重機が入ってきたりしますので、なるべく生産というのは止めないといけません。
まずは装置を使う場所に設置する。
その後は装置同士を配管でつなげる操作があります。
これは化学プロセスっていうのは、さまざまな化学処理っていうのを順番に行っていくんですけれども、そこの処理を行うのが各装置になります。
次のプロセスにつなげる液体とか機体を送るっていうのは配管で行われますので、まず一番に装置を置いて、そこを配管でつなげるという操作になります。
配管の中にセンサーを取り付けて、最後に電気配線をする。このような手順で工事が行われていきます。
それで設備を止めた状態で工事しますので、基本的にはゴールデンウィークとかお盆とか年末年始とか、そういう時をターゲットにされることがしばしばあります。
試運転のトラブル
あとは長期間になってくると、ゴールデンウィークに第1回の工事をして、お盆に第2回工事っていうようなやり方もあります。
それは一部分だけ工事して、また生産できるような体制で工事をしておいて、2回目お盆のところで実施するというような形ですね。
その工事が終われば、ようやく試運転なんですけれども、この試運転が特にドタバタします。
忘れてはいけないのは、刻一刻と生産開始予定日が近づいてきているということですね。
試運転の時にすぐに製品になるような原料を入れるというわけではありません。
まずは一つずつ装置を独立して動かして問題ないかなというところを確認していきます。
いくつかよくある事例というのを紹介しますと、ポンプを例えば動かします。
そうするとそもそも動かないとか、動かしたけどブレーカーが落ちるとか、そういうことは多々あります。
あと温度計とか圧力計とか、そういうセンサーを入れるんですけれども、その値が正しいか見てみると値がおかしいとか、そもそも何も表示されないとか、何かおかしいということがあります。
あと配管の途中にバルブ、水道でいうと蛇口の線ですね。
そういうものを遠隔で動かしてみることもありますけれども、それを遠隔で閉めろという操作をしているけれども開けようとしたり、
反対に開けろというと勝手に閉めるような操作をしたり、逆になっているようなことが起きたりしますね。
そういうものを一つずつ見て、まずは正していくという操作を行います。
それでこの確認が終わればようやく実際に原油を流して運転してみるという操作になります。
これで事前確認してるんだから大丈夫かなって思ったら、今度は工事とは関係ない箇所の装置が異常を出したりするんですよね。
これって工事あるあるでして、例えば1ヶ月間工事の期間を設けてたとすると、その間って他の設備は動いてないということになります。
分かりやすいところで言うと、液体の中にゴミが溜まって、そこにどんどん沈殿していって堆積していくとか、油ですとだんだん酸化劣化していくような状態にもなり得ます。
あとは工事した電気回路があって、そこを何も問題ないかなって思ってたら、実は今ある別の装置の異常信号を出すのにつながってたりとか、電気回路的にもちょっとおかしかったというところもあり得ますね。
化学プラントっていうのは順番に化学処理を行っていくので、途中が止まると突っかえて動かせなくなってしまいます。
でも反対に動かしてしまったら止められない装置っていうのもやっぱりあります。
それはどうするかっていうと、もう迅速に不具合を処理していくしかないんですけれども、そんな時何が起こるかっていうと、また別の箇所で不具合が出てくるんですよね。
不具合が2箇所3箇所4箇所ってどんどん増えていってタイムリミットが近づく中で、どんどん解消しなくてはいけない状態になってきます。
それがもう私の中では一番のドタバタの状態ですね。
達成感とやりがい
これどうするかっていうと、まず事前準備っていうのが正直第一かなって思ってて、理論、理想論で言えば異常がないようにするっていうのが一番なんですけれども、
どれだけ考えても想定外っていうのはやっぱり起きてしまいます。
それをもう基本的なことなんですけれども、事前に準備をしていくとか、取扱説明書を揃えておくとか、
温度とか、電圧とか電流とか、そういうものを測定できる機器をちゃんと準備しておくっていうところですね。
それがとても大事で、まずは異常が起きた時に迅速に対応できるようにしておくっていうことが大切になってきます。
やっぱりそもそも他の仕事っていうのもありますので、無限に時間が使えるわけではないんですよね。
限られた時間でできる限りの不安要素を取り除いて工事に挑むっていうところが難しいところになります。
あとはもう工事期間中に全てを終わらせる、全て解決するってことは物理的にちょっと無理なところも出てきますので、
まずは応急処置っていうのを考えて、後に回せる異常っていうのは応急処置で済ませて落ち着いてから対応するっていうところも
気持ち的にはそう考えておくと楽になってきますね。
この仕事を聞いてやりたいって思うかって言われると、私は結構好きな方なんですけれども、かなり大変ではあります。
ちょっとイモキリキリしてくるところはあるんですけど、連休に出勤してドタバタして楽しいんですかって聞かれると、
その期間はちょっと楽しくなかったりします、正直。
ただこれ終わると、とにかく達成感がありますね。
特にプラント設備、化学プラント設備とか石油生成の設備とかそういうものって大きいので目立ちます。
だからこそ夜景のスポットになったりするんですけれども、
こういうでかいものが自分の携わった仕事で設置されていくっていうと、すごく実績として分かりやすいんですよね。
その設備っていうのは何十年っていうのは残り続けるっていうことなので、かなりやりがいとしてはあると思います。
できたら人材っていうのも減ってきている状況なので、興味持っていただけたら一緒に働いてもらえれば嬉しいかなと思っています。
今回はドタバタに関連して生産設備導入のドタバタについて紹介してみました。
長期連休で休んでいるときに、接客業の方大変そうだなーって思うとき、たまにありますよね。
でも実は工場でも休みの間頑張っている人もいるんだなっていうことを、少しでも知ってもらえると嬉しいです。
今回はここまでです。
プラントライフでは、このように科学や工場に関する身近なトピックを扱っています。
プラント技術に関する専門的な内容は、chemfacというブログで解説しています。
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それではお聞きいただきありがとうございました。