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北詰伊太郎
はい、こんばんは。短歌のセカイの歩き方です。
このポッドキャストは、毎週一つの短歌を取り上げて、短歌のセカイの楽しみ方を定期配信でお届けしています。
本日はゲストににゃおさんをお迎えしました。にゃおさんよろしくお願いします。
にゃお
はい、よろしくお願いします。にゃおです。
なんかね、たびたびお邪魔してる感じになってるのかな?そうでもないか?
北詰伊太郎
そうです。もう私はにゃおさんが来るときしかポッドキャストを配信してないです。
にゃお
なんか一人で話すの大変だから、二人でこうやってやるといいですか?
北詰伊太郎
そうなんです。ちょっとね、最近ポッドキャストも腰が重くなっちゃって、にゃおさん来ていただけるのすごいいい機会になってます。
にゃお
できるだけつつくようにします。
北詰伊太郎
よろしくお願いします。
今回はですね、久しぶりに一首短歌を選びまして、その短歌についてにゃおさんと、短歌の感想とか、その短歌から連想される思い出話とか、
いろいろザックバランにお話しできたらなと思っております。
北詰伊太郎
じゃあ早速いきます。
今日取り上げる短歌はこちらです。
保健室での登校
北詰伊太郎
「保健室? 先生、私、カーテンの中で良ければ登校します。」
これは私作ですね。
北詰伊太郎作の短歌でございます。
これは歌会がこの間あって、歌会のお題がカーテンだったんですね。
短歌って勝手に作るパターンと、お題があってお題に沿って作るパターンと、2種類あるんですけど、
これはお題があったので、お題に沿って作ったものになります。
にゃお
本当に最近なんですね。
北詰伊太郎
最近です。この収録している今週の火曜日の歌会で、
お題が出るのが1ヶ月前なので、そこから1ヶ月間考えて作るっていう感じなんですけど、
これは2週間くらい前にはできたかな。
にゃお
ちょっと面白い感じですよね。
今ちょっと文字見ながらなんですけど、文字なのか音なのかっていう話ちょっとあるような気がするんです。
あれですよね、今ラジオだから聞こえないじゃんって話。
北詰伊太郎
見えてない。
にゃお
なのでそこをちゃんと説明しなきゃいけないですよね。
北詰伊太郎
確かににゃおさんがどこを面白がってるかっていうところですよね、この短歌の。
みなさん見えてないですからね。
これ実はハテナマークとか句読点っていう記号が短歌の中に入ってるんですよね。
どこに入ってるかというと、
保健室(はてな)で、先生(てん)私(てん)カーテンの中でよければ登校します。
主人公の、この歌の主人公のセリフのような書き方をしている短歌です。
にゃお
そうですよね。僕はね今見てるからそういうふうに見えてるんですけど、
短歌って僕はあまりよく知ってるわけじゃないんですけど、
なんかあれですよね、一行で字がずらずらずら並んでるイメージがあって、
こういうハテナマークとか句読点みたいなのって入ってるのあんまり印象にないんですよね。
今っぽいのってこういうの結構入ってるってことですよね、きっと。
北詰伊太郎
入ってるのも多くなりましたね。
基本は本当ににゃおさん今おっしゃっていただいたみたいな、
ハテナとか句読点っていうのは入れないで、
縦にずらずらずらって文字が並んでるのがノーマルの短歌なんですけど、
最近は入ってるのもあります。記号が入ってたり、かぎかっこがついたりとか。
にゃお
そうですよね。会話のところにかぎかっこつけるのも。
北詰伊太郎
そうです。セリフのところにかぎかっこつけた短歌とかありますね。
にゃお
なるほどね。なんかあれじゃないですか、短歌って和歌とか古典的なものもありますよね。
僕ね、昔から気になってるんだけど歌じゃないですか。
北詰伊太郎
はい、歌です。
にゃお
歌って言ったら、歌って歌うもんじゃないですか。
声で歌うみたいなイメージですよね。
北詰伊太郎
歌謡曲みたいなね。
にゃお
そうそうそう。でも今、短歌って言うと字の方が先に来るようなイメージもあって。
北詰伊太郎
ありますね。
にゃお
多分ね、文字から入るのか音から入るのかってあるような気もするんですよね。
北詰伊太郎
好きな人にとってはどっちもなんですよね。
短歌っていろんな楽しみ方ができて、まず目で見て、これはてな入ってるとかてんが入ってるとかそういう面白さ。
漢字なのかひらがななのかって目の面白さがあって、その後に耳で聞く面白さですよね。
響きが気持ちいいかどうかとか明るい感じ暗い感じがするとか、そういう2つの楽しみ方がありますね。
にゃお
あと自分で歌うっていうのもあるんでしょうね。
北詰伊太郎
ありますね。口に出して気持ちいいかどうか。
それこそ歌謡曲とか歌ってて気持ちいい歌ってあるじゃないですか。
この歌詞を歌いたいとかこのリズムがいいとか。
自分が口に出して気持ちいいかどうかっていうのもあります。
にゃお
そういう意味で言うと今はなんか字から入ることが多いんだけど、
自分で声に出してみたりとか聞いてみたりする楽しみも結構あるんだよって話ですね。
北詰伊太郎
あります。楽しみ方ほんといろいろです。
にゃお
なるほどなるほど面白いですね。
じゃあちょっと中身の話していきますか。
北詰伊太郎
そうですね。
ちょっともう1回歌をおさらいしますね。
「保健室? 先生、私、カーテンの中で良ければ登校します。」
登校は学校に行くの登校ですね。
これ最初見て聞いてどんな状況だと思いましたか?
にゃお
これあれですよね。保健室登校の子って結構いるんですよね。
北詰伊太郎
多いと思いますね。
にゃお
なかなか教室行けないっていう子がいて。
学校の中では意外とあれですよね。
そういうシェルター的な扱いになっているのが保健室じゃないですか。
そういうところにまっすぐ行っちゃう子がイメージできるし。
あと僕あれですね。保健室ってベッドあるじゃないですか。
ベッドのイメージがちょっとありますね。生まれてきますね。
北詰伊太郎
保健室のディティールが浮かぶっていう感じですかね。
にゃお
そういう意味でカーテンの中ですよねきっと。
北詰伊太郎
カーテンの中ってシェルターとしてのカーテンってことですか?
にゃお
というかベッドの周りってカーテンに敷かれてない。
北詰伊太郎
ああ、はいはい。あるある。区切るやつですね。
にゃお
そうそうそうそう。
なんかその感じっていうのが僕の頭の中に浮かびますよね。
北詰伊太郎
ああ、なるほど。そこまでのディティールは私の中にはなかったですね。
にゃお
そうなんだ。
北詰伊太郎
なるほどね。カーテンありますね。
にゃお
最近ね、なんか見たアニメにもそういう場面出てきたんですけどね。
北詰伊太郎
あるある。アニメよく保健室で寝ますもんね。
にゃお
そういう感じ?そうか。
そういう子って結構いるから、なんかそういう気持ちみたいなものもなんとなくわかるというか。
そこがこれの面白いとこでもありますよね。
北詰伊太郎
そうですね。
にゃお
この先生って誰なんだろうねって気にはなる。
北詰伊太郎
ああ、どういう先生か。
にゃお
そう、担任の先生なのか養護の先生なのかってあるじゃないですか。
北詰伊太郎
ああ、どっちなんだろうか。私は担任のイメージですね。
にゃお
まあ、第一連絡するのは担任ですよね。
北詰伊太郎
うんうん。
にゃお
だからそうなるんですけど。
北詰伊太郎
はい、登校を促す。
にゃお
そうですね。
なんかね、そこが、そうだね、これ何だ、いつ、どう言ってるんだ。電話とかで言ってるんですかね。
北詰伊太郎
ああ、私は家庭訪問的な場面を想像しました。
先生来てて、保健室でもいいから来ないかって言われて、言った台詞がこれっていう。
にゃお
ああ、がっつり不登校ですね。
北詰伊太郎
そうですね。保健室にも行ってないっていう。
にゃお
ああ、なるほどね。面白い。
北詰伊太郎
それを想像したんですけど、短歌は本当に読み方が自由なので、読み方と捉え方。
受け手がどう捉えるかと捉え方が自由なので、どれが正解っていうことはないですけど、私はそういう場面を想像して作りました。
にゃお
ああ、なるほどね。あれですよね、いろんな子がいるからそのレベルってまちまちなんだけど、ちゃんと学校にはいつも来てるんだけど、保健室にしかいない子もいるだろうし。
全くもってこない子もいるだろうし。
そういうグラデーションがあって、想像できることがいっぱいある面白さがありますね。
カーテンの中での特別感
北詰伊太郎
そうですね。あとなんかやっぱりお題がカーテンだったので、カーテンってどんな存在なんだろうかっていうところを結構考えたんですよね。
カーテンの中にくるまったりっていうのを子供とかよくやりますよね、カーテンの中に隠れたりとか。
うちの犬もたまにやるんですけどね。
学校でやりますよね、教室でね、みんなカーテンに隠れて、おばけとかなんかね。
カーテンにくるまるっていう、あれはどういう行為なんだろうかとか、そういうことをちょっと考えたりしたんですよね。
なぜカーテンに入りたいんだろうかとか、なぜカーテンの中で心地いいんだろうとか、なんかちょっとドキドキもするし隠れてる。
でもなんか包まれてる安心感もあるし、特に学校のカーテンってそういう青春とか子供時代の先生から隠れてみたいな、
子供だけの世界みたいなイメージもあったりして、特別な感じがしたんですよね。
なんでなんかその特別感っていうのがすごいなっていうところから、
なんかその特別感を輝かせたいと思って、こういうストーリーにしたっていう感じですね。
にゃお
なるほど、カーテンっていろんなカーテンある、家のカーテンもあるんだろうけど、
でもここではやっぱり学校のカーテンなんですね。
その中に入るでもいいし隠すでもいいし、いろんなことがここに含まれてるってことですよね。
北詰伊太郎
そうですね、カーテン。
それをきっかけにみんなが、読んだ人がカーテンに対して、
カーテンの安心感ってあるよねみたいな、カーテンに対しての子供の時感じてた思いっていうのを想起してくれたらすごくいいなって思いました。
にゃお
なんか楽しそう入ってた。
なんか自分から見えなくなるから基本的に。
だから存在しなくなったような感じですよね。
北詰伊太郎
そうですね、だからこの歌の主人公も登校してるけど、みんなから見えなくなるし、自分からみんなも見えなくなるし、
登校しながらにして、登校拒否してるみたいな感じもありますよね。
にゃお
ですよね。
北詰伊太郎
これが保健室よりも、よりもっと隠れてる感じじゃないですか。
にゃお
そうですね。
あれですよね、それって本人じゃない人から見ると、見えてるって話なんだよね。
北詰伊太郎
足が見えてるかもしれない。
でもなんかその人、隠れてるつもり。
なんかその辺のちょっとおかしなバランスも、私は結構好きなんですよね。
そういう世界観がもともと好きなんで、なんかそれを表現したいっていうのもありますね。
にゃお
楽しい、これ。
そうか、こういうことってありました?
北詰伊太郎
私は登校拒否はしてないですけど、結構なんか学校の中で自分の城を作るの好きだったんですよ。
にゃお
そうなんだ。
北詰伊太郎
そういう意味ではカーテンの中に隠れてる勢だったんですけど。
にゃお
ほんとにカーテンじゃないけどっていう。
北詰伊太郎
ほんとにカーテンじゃないけど、メタファーとしてはカーテンっていう表現がいいんじゃないかなっていう感じだったんですね。
なんか何してたかっていうと、私も絵を描くのがすごい好きだったんで、
机にもう一面机が真っ黒になるぐらい絵を描いたりして、アニメのね。
アニメのイラストとかを描いたりして、机真っ黒にして。
レゴブロックを持ち込んで、レゴブロックを机に飾ったり、
なんかあのトイストーリーのおもちゃを机に座らせたりとかしててですね、
もうなんか砦みたいになってたんですね。
どこに教科書を広げるんだって思うかもしれないですけど、一応勉強はしてたんですけど、
ちょっと砦みたいになってたんですよ。
にゃお
できるだけ落とさないようにね。落ちちゃうと。
北詰伊太郎
そうですそうです。
なんでね、ちょっとそれがカーテン的な。
にゃお
そっかそっかそっか、そういうなんかね、自分のあれがあるんですね。
北詰伊太郎
そうです。
にゃお
おもしろーい。
カーテンっていうとこから膨らませれることの面白さですよね。
北詰伊太郎
ありますよね、はい。
にゃお
で、なんていうのかな、文字数が限られるから、そういう想像力もね、働くみたいなところがあって。
北詰伊太郎
そうですね、なんか私は教室のカーテンをイメージしたけど、にゃおさんは保健室のベッドのカーテンをイメージしたので、
なんかそこもね、同じカーテンっていう単語でも結構変わりますね。
にゃお
想像力を働かしていろいろ楽しめるところが短歌の良さっていう感じが僕はしました。
今日の話を聞いて。
北詰伊太郎
そうですね、はい。おもしろいな。
いいですね。
にゃお
なんかこんな風にね、話していけたらいいので、またぜひこれ呼んでくださいというか。
北詰伊太郎
そうですね、本当は今日のカーテンの話もね、もっとしたかったですけどね。
にゃおさんが最近。
そうですね、何のアニメを見たかっていうのも気になったし。
にゃお
ですよね。
北詰伊太郎
はい、ありがとうございます。
というわけで、今日はちょっと話し足りない感じもしましたけど、
またね、こんな感じで短歌のお話できたらいいなと思います。
にゃおさんどうもありがとうございました。
にゃお
ありがとうございました。
北詰伊太郎
というわけで、いかがでしたでしょうか。
今回はにゃおさんと私北詰至の自作の短歌、
「保健室? 先生、私、カーテンの中で良ければ登校します。」
をご紹介しました。
また次回お会いしましょう。
それではおやすみなさい。
にゃお
おやすみなさい。