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2024-04-24 10:30

大人になって楽器を学ぶことは無意味か?という話

大人になって楽器習って何するの?みたいな意見はちらほら見るのですが、単に楽しみのためだけでなく、今はそこから音源リリースしたり意義のあることをできる可能性がありますよ、という話です。今の音楽業界、兼業ほんと多いですよ。

話の中で言及している、本日公開されたカイさんとのエピソードはこちら。今回は自己紹介のような内容です。今回含めて全4回の予定で、音楽以外にもいろんなことをしゃべっています。ぜひ聞いてみてください。

しかし、喋っていくうちに喉の調子が悪くなっていくの、どうにかならないかな??!

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こんにちは。例によって、深夜収録のポッドキャストとなります。
先日、初の他の方のポッドキャストに客演しまして、本日0時、第1回目が配信されています。
カイさんの「かいだん」というポッドキャストになります。リンクはこの説明欄のところに書いてありますので、そちらの方をご覧になってください。
4回分収録していますので、これから毎週4週間にわたって更新される予定となっております。
今日更新された話の中で、カイさんがピアノをちょっと練習しているという話があったんですね。
今、町の音楽教室でも大人の生徒が増えているという話は、ちょくちょく聞くんですが、
同時にTwitterとかで度々話題になるのが、大人が楽器を習って意味があるのかみたいな話があるんですね。
趣味なんだから本人が好きなようにやればいいじゃないかというのが答えになるわけですけれども、
多分こういう質問する人というのは、プロになるわけでもないのに、なんで音楽を、楽器を習うんだ、そういう意味合いがあると思うんですよね。
でも今の音楽業界を見ていると、必ずしもアマチュアが楽器を演奏したり作曲をしたりとかすることが無駄ではない、
そういう状況にあるんだということを今回お話ししていきたいと思っています。
まず前提としてお話ししておきたいのがですね、
昔から音楽だけで食べていく、プロとしてやっていくというのは難しいという話はあったんですけれども、
2000年以降その傾向はだいぶ進んでいる感じがしていて、兼業音楽家というのが増えている、
そういう現状についてお話ししたいと思います。
広い意味で言えば音楽大学を出たりだとか、専門学校を出た方が教室を開いてレッスンなどで収入を得ているというのは、
言ってみれば兼業みたいなものですよね。
実のところお客さんの目の前で演奏をして、それだけで生計を立てられる人というのは本当にごくごく一握りです。
クラシックの場合ですと、もうその傾向がすごい如実にありまして、海外の有名な音大などに行っても、
演奏だけで暮らしているという人はほとんど見ません。
クラシックのコンサート演奏家に求められる能力というのは、
極論、レパートリーの広さと、譜読みの速さ、
言い換えると曲を人前で弾けるレベルにするまでの時間をどれだけ短くできるかということに集約されると思います。
たとえこの人はモーツァルトの演奏で有名だという人であっても、
毎回毎回コンサートが同じようなプログラムばかりでは、あまりお客さんが集まらなかったりします。
海外のオーケストラでは特に譜面を見てすぐ演奏できるようにする初見能力というのが重視されているらしく、
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学生のうちから初見能力が試されて、あまりそれが基準に達しないような生徒はどんどん振り落とされる、
そんなシステムが確立されているという話を聞いたことがあります。
またピアニストの場合ですと、コンチェルトのレパートリーをどれだけ持っているかというのは、
一つの資金石のように言われることがあります。
基本的にピアノコンチェルトを演奏する機会というのは、ピアニストの側で選べないことがほとんどで、
オーケストラがこの曲をやる、このピアノコンチェルトをやるから、弾いてみないかとオファーがある、
つまりオーケストラのコンサートに客演するという形が多いんですね。
でもピアニストにオファーするオーケストラの側からすると、
この人ピアノコンチェルトあまり経験なさそうだなとなると、なかなか頼みづらいですよね。
ピアノコンチェルトを演奏した経験を積むためにどうしたらよいかとなると、
いわゆるエキストラ、音楽業界ではよくトラとか言われたりするんですけれども、
誰か急病になったピアニストの代わりに演奏する、それで実績を積んでいってどんどん呼んでもらう、
そういうことが一つのステップアップとして用意されていたりします。
ポピュラー音楽の方でも状況は似たようなものがありまして、
自分の作品でヒットを出せなかったりする場合は、
ほぼスタジオミュージシャンやバックバンドに入ったりとかして、
お金を稼ぐということになるわけですが、
求められたクオリティの演奏をできなかったりすると、あまり仕事はもらえなかったりするわけですね。
そういう状況ですので、世の中の音楽家と呼ばれている人たち、
多分8、9割ぐらいは人に教えることで生計を稼いでいるんじゃないかなというふうに思っています。
ただ、中には教えることがそんなに得意じゃない人もいるわけで、
そうなると、メインの収入を音楽以外のことで確保しようじゃないかという流れが、
わりとコロナ前から起こっている状況です。
実際、クラシックのレコーディングのリリースなどを見ていたりすると、
演奏家のメインの仕事が銀行家であったりだとか、
あるいは研究者であったりだとか、弁護士であるとか、医者であるとか、
安定した収入を持っている方が増えているように見えますね。
これがクラシックの作曲家になると、もうほぼ99%ぐらいはメインの仕事を持っている方がほとんどなんじゃないでしょうか。
こういう兼業音楽家に対してネガティブなイメージというのはかつてはあったんですけれども、
今状況はだいぶ改善されていて、そもそも兼業が増えているということもあるんですけれども、
商業的な成功を目的としないことによってできることというのが増える。
これが大きな利点なんじゃないかなというふうに思います。
クラシックの世界で言いますと、ものすごく演奏に大変で、
でも聴きたいという人は必ずいる。だからといって大売れするわけではない。
そういったものをリリースしたりするのに、
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専業で音楽をやっている方々は割と躊躇してしまうんですよね。
以前にも名前を出しました、当社に協力をしてくれている、
世界でも有名なピアニスト、マルク・アンドレ・アムランが言っていたことの一つに、
とあるとても難しい作品を書く作曲家の曲を演奏、レコーディングするのに時間を費やすと、
餓え死にしてしまうみたいな、そういうことを言っていたんですよね。
音楽で生計を立てることを前提にしないと、いろいろと活動の幅が広がるということは一つとしてあると思います。
またもう一つ、ここで最初の大人が楽器を練習することに意味があるのかという話につながるんですが、
アマチュアや兼業音楽家だからできることの一つとして、
一つの曲やプロジェクトに好きなだけ時間や費用をかけれるということがあると思います。
これは音楽だけではなく、どの世界でも共通していると思うんですけれど、
プロフェッショナルに求められるというのは、
予算だとか納期だとか、そういういろいろな制限がある中で最上の結果を出し続ける、
言い換えると打率が高いということが求められると思うんですよね。
それは言い換えると、ちょっと言葉は悪くなるんですけど、妥協でもあるんですよね。
皆さんも体験あると思うんですけれど、プロの演奏を聞いてみても、
何これ全然うまくないじゃんとか、全然いいと思わなかった、そういうことはあると思うんですよ。
それは単に練習不足だったりとか、あるいは解釈やセンスの違いだったりすると思うんですが、
プロの場合、どんどん前を向いてスケジュールをこなしていかなければならない中、
アマチュアですと、自分の好きな曲をじっくり取り組んで、
納得できるまで練習して、それをレコーディングするなどということも、
今だと全然簡単にできるようになりましたよね。
これはもうポピュラー音楽の世界でも同じで、
自宅でパソコンと楽器を使って作った曲を、例えばYouTubeとかで配信したりする。
さらに今ですと、サブスクに配信してくれるサービスもあるんですね。
インターネットが登場し始めた頃、そうやってインターネットで音楽を発表する人の中に、
いい人なんかいるんだろうか、みたいなことを言っている人たちはいたんですけれど、
今、日本の音楽界を見渡してみると、いわゆるボカロP、
つまりボーカロイドを使って音楽を作成していた人たちが、
ヒットチャートの上位を賑わせたりしてますよね。
YOASOBIであるとか、米津玄師とか、Adoとかもそうですよね(注:Adoは歌みたですね)。
今やネットから出てきたアーティストというのが全然珍しくなくなりましたよね。
そういった人たちの最初の一歩が、YouTubeで「歌ってみた」を投稿したとか、
TikTokとかになったりとか。
言ってみると、アマチュア以前かもしれないような状態からどんどん試していって、
それでどんどん認知度を獲得している、そういう現状がある。
でもそういうのって若い人たちだけなんじゃないの?というふうに考える方もいらっしゃるかと思うんですけれど、
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ご存知のように今、若い人の人口というのはあまり多くないわけで、
でも業界は新しい才能を求めているわけですね。
どのクリエイティブの業界もそうですけれども。
私が見ている狭い範囲でもちょくちょくと30、40歳過ぎてから始めたことでプロになっている方というのも見かけたりします。
以前ちょっとお話ししたエルド吉水さんなどもその例になるかなと思います。
そういうわけで大人が結構いい年になってから楽器を始めたりとかしても、
単なる楽しみだけではない、どこかでリリースして世間の認知を得ていく、評価を得ていく、
そういう道が今あるのかなというふうに考えています。
最後に一つ、私がツイッターで実際に会った数少ない友人の話をしますと、
その方はもともと東大で文学といいますかフランス文化の研究をしていて、
フランスに留学して向こうで博士号を取って大学とかで教えていたんですね、フランスの。
彼女はバロック音楽が好きだったので、40を過ぎてから大学でチェンバロを学び始めたそうなんですね。
その後チェンバロで学位を取り、今度は教える側になったという事例があります。
どうでしょうか、これでもまだ大人が楽器を練習する意味がないということはないんじゃないかなと僕は思います。
それでは今日はこの辺で。
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