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始まりました、志賀十五の壺。みなさんいかがお過ごしでしょうか。志賀です。
今回のトークはですね、方言に関するトークとなっております。
というのもですね、ありがたいことにお便りをいただいたので、それに対する返答ということでやっていきます。
ありがたいですね。こうやってお便りをいただいてですね、連日トーク配信というのができているので、
リスナー様様っていう感じですね。では読み上げていきます。こちら匿名の方です。
博多弁を操る福岡県民です。博多弁の特徴で有名なものの一つに語尾のやけん、けんがあると思います。
しかし、けんを語尾に使うのは福岡だけではありません。私は福岡周辺の九州の県や
広島、岡山、大阪の出身の方が使っているのを聞いたことがあります。
博多弁といえばけんと言われるようになったのはなぜでしょうかね。 ちょっとした疑問を述べてみました。ということです。
はい、ありがとうございます。 おっしゃる通りにですね、このけん、
場所によってはけいというその長音にもなったりしますけど、こういった形式はですね、かなり
西日本的な特徴と言っていいですね。
で、これがね、 そうなんですね。
博多弁といえばけんと言われるようになっているんですね。これは多分地元の方の意識としてはそういうふうになっているっていうこと
なのかもしれませんけど、多分ね、 これどこの都道府県というかどこの方言
も、そのけんを使うような方言も けんが特徴だというふうに多分言っていると思います。
各有、僕もですね、岡山出身ですけど、 岡山弁の特徴を挙げろと言われたら
けんっていうのを取り上げるっていう方言話者も多いと思いますし、 実際それはどの方言でも西日本の方言でもあり得ることかなと思います。
博多弁についてもそれは例外ではないということですね。 ざっと分布を見てみるとですね、
中国地方は けいっていうのが多いみたいですね。
けんというよりはけいで伸ばすような言い方をすると。 九州の方に入ると
けんっていう形になっているみたいですね。 ただ九州の南部の方に行くとまた違うでみたいなので、その理由を表したり、
あるいは四国の方でもですね、 けいだけではなくてきにとかけにみたいな
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また別のバリエーションも観察されるようです。 これ由来がいろいろあるみたいですけど、個々にけにっていうのがあって、
それから来ているとか っていう説もあるみたいですけど、諸説あるみたいです。
先ほどその西日本的な特徴みたいな言い方をしましたけど、 西日本というのは中四国九州ということですね。関西圏はまた別の景色を使います。
これも多くの方がご存知のようにですね、 堺とか堺にっていうのを使います。
これね一説によるとこの堺っていうのがけいの語源だっていうのも聞いたことありますね。 堺のかいがけいになるっていうことですけど、
ちょっとその由来っていうのはまだ諸説あるようです。 というわけでですね、
博多弁に限らず確かにおっしゃる通り、このけんとかけいとかっていう形式は、 中四国九州様々な方言で観察されます。
ではなぜ博多弁が
そのけんっていうのを特徴として取り上げがちか、 これは多分博多弁に限らずですね、いろんな方言でそのけんとかけいっていうのを自分の方言の特徴だって主張しているかというとですね、
この説明は結構難しいですね。 なので今回のお答えは正直あまり自信はないです。
一つ確実に言えるのは、 使用頻度が高いからっていうのはあると思いますね。
そのけんとかけいっていうのは日常生活でもよく見られる表現、観察される表現なので、 かなりその方言としての意識が強くなるっていうのが一つあると思います。
そもそも使われないような表現というのは時代とともに廃れていくので、 その使えば使うほど方言としての意識が強くなるっていうことですね。
さらにこの現代社会においてですね、 主にテレビとかで
標準語の形式を耳にする機会も多いですから、そういうのと比べてみて、 やっぱりこれは方言なんだっていうね、そういう意識がさらに強くなるっていうのは一つ
要因としてあると思います。 また別の要因としてですけど、そのけんっていうのがいわゆる共通語でからっていう形式と
一対一対応しているように思われるからっていうのはあると思いますね。
だからその変換が簡単だっていうことですけど、 標準語というか共通語で
からって言ってるところをけんに置き換えればかなり方言らしさが出ますよね、それだけで。
そういうこともあって、かなり説明がしやすいっていうか、 けんっていうのはからに対応してて、理由を表すんだよとかね、そういうふうに
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説明しやすいし、その説明のしやすさが
さらに方言であるっていう認識を強めている側面はあるかなって気はするんですけど、
まあでもこの説明は微妙ですねっていうのが過去のトークで北海道方言の サルとかラサルの説明をしたんですよね。
あのサルとかラサル、カカサルとかっていうのなんですけど、そういうのって 共通語では対応するものがはっきりしたのはないですけど、おそらく北海道
方言話者にとっては おそらくこれは方言だという意識は強いと思うので、ちょっと今の説明はね
つまり共通語に きっちり対応する形式があるからっていう説明は微妙かもしれません。
なので少なくとも最初に言ったですね、使用頻度が高いからっていうのは確実にあると思います。
それで博多弁に限らず、いろんな西日本の諸方言で けんとかけいっていうのはうちの方言の特徴なんだっていうね、そういう認識が強くなっているんだと思います。
で、このけんとかけいとかけにとかっていう、こういった一連の理由を表す形式はですね、先ほど申し上げました通り、中四国九州的な、西日本的な特徴であると言いました。
でね、方言の分布ってね、面白いんですよね。
で、今回のこのけんについてはちょっと当てはまらないんですけど、
方言集けん論っていうね、そういう仮説があるんですよね。
で、これどういう仮説かっていうと、文化的な中心地から同心園状に方言の音とか形式、表現が分布しているっていう仮説なんですよ。
これは水というか池の中に石を落としたら、こう中心からバーっと波状になってね、広がっていきますよね。
そういうふうに文化的な中心地から外側に向かって、同心園状にその方言の音とか形式が同じものが観察されるっていうことなんですよね。
で、これを唱えたのが、これご存知の方も多いと思うんですけど、民族学者の柳田邦夫が唱えた説なんですよね。
で、具体的な例を言うとですね、これかたつむりっていう単語について柳田邦夫は述べてるんですよ。
まさにその家牛広っていう本を出してるんですけど、柳田邦夫が。
そこで言ってるのは、近畿地方ではかたつむりのことをデデムシ、あるいはそれのバリエーションでですね、主にデデムシっていうのが観察されると。
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で、これは明治維新以前はですね、文化的な中心地っていうのは近畿地方、京都を中心の近畿地方でしたから、そのデデムシっていうのが一番新しい形で。
で、その次に新しい形っていうのがかたつむりの呼び方ですけど、マイマイっていって、そういうのは中部地方や中国地方で観察されたと。
だから近畿地方から同距離だけ離れたとこでまた観察されて、さらに古い形はかたつむりといって、そういうのは関東とか四国で観察されると。
で、後にですね、関東の東京方言が共通語になっているから、今かたつむりがある意味標準的なものとして採用されている面はありますけど、一応これは近畿地方を中心に考えると古い形であったということなんですね。
で、さらに近畿から離れて東北や九州ではつぶりといったり、で最後、東北の一番北の方や九州の一番端っこの方行くとなめくじっていうのがかたつむりを表すっていうことなんですね。
なので方言集計論っていうのはどういうことかというと、ここでは近畿地方ですね、文化的な中心地から新しい言葉がどんどんどんどんこう、同心園状に外に広がっていって、そうなると外側の方、東北地方の端っこや九州地方の端っこが一番古い形が観察されて、近畿に近づくほど新しい形式が観察されると、こういう仮説なんですね。
今回の理由を表す県とかはちょっとそれに沿ってないみたいなんですけど、でもこの方言集計論という仮説は面白いと思います。
他の単語でもあったんだよな、とんぼとかも確かそういう広がり方をしてるんですよね、近畿が一番新しくてだんだん古い形がその列島の端っこで見られるっていうね。
はい、ということで方言もねこういうふうにいろんな側面があって見てみると面白いです。
というわけで今回はここまでということで、また次回お会いいたしましょう。ごきげんよう。