『徂徠豆腐』のネタおろし
はい、シェアする落語の四家です。10月19日土曜日、高円寺HACOにて、寸芝ねたおろし!いって参りました。
今回は、久しぶりのネタが替り目。
その後にネタ卸い、徂徠豆腐いう予定だったんですが、順番が逆になりました。
まだこの覚えているうちにやりたいみたいなんですね。そういうことだったそうです。
ということで、寸芝さんとしては珍しく、ちょっとのまくらで1席目、徂徠豆腐。
ご存知の方も多いと思いますけど、もともと講談のネタでね。
人情噺として愛されていますが、良かった。本当に良かったね。
先週の三遊亭好の助師匠の中村仲蔵もそうですけど、講釈がね、講談、いわゆる尺ネタというやつですね。
もともと講談だったネタを落語にするというところで、落語になってたね。
落語になって表現されているものというのが、ある意味『文七元結』と似ていると思うんですけど、江戸っ子の美学なんですよね。
江戸っ子の美学というのは、いろんな落語で表現されているわけですけど、だいたい誇張されているんですよ。
誇張したのが面白いですからね。滑稽噺を中心に非常に誇張されているところがあって、
ただ、これぐらいのところで表現される江戸っ子っぽい心情というのが、なんか普遍性を持つんじゃないかなという気がすごくしますね。
スタイルとしては江戸っ子なんだろうけど、非常に共感できるっていうかね。
例えば、娘を売った金を投げつけちゃう文七元結っていうのは、それはその江戸っ子の一つのスタイルなんだろうけど、
やっぱりちょっと共感しにくいところがあって、それも含めて三遊亭圓朝はそういう話と噺として作ったんだと思うんですけど、
学者先生、頑張っている学者先生、食べるものも食べないで頑張っている学者先生を応援するために豆腐屋がおからを言って持っていく。
それが恩返しにつながるっていうこのスタイルね。スタイルというかこの流れね。
ここで描かれる七兵衛の姿っていうかね、そのセリフの一つ一つの重み軽みが、
よくいる、こういう人がいっぱいいたんだろうなっていうのを感じさせる、手垢のついた言葉で言うと人情ということになると思いますけど、
それが非常に程よく表現されている。
特に前半のその学者先生に共感して、豆腐は証文を作って、豆腐ただで食べられちゃった分は証文を作って、
あとはおからを差し入れするみたいなあたりのところでね、前半で僕は涙が出てきましたね。
ああ、こういう人がいたんだっていうね、いるんだ、その落語の空間の中ですけども、非常にしみじみとね、熱いものが目からこぼれました。
ここにこの軽く薬味を聞かせるために、寸志さんはおかみさんをちょっとバカっぽい感じに仕上げていて、このあたりも非常に秀逸な感じですね。
本当に非常に良い高座でした。
寸志の今後の計画
何だろうな、ちょっと終演後に寸志さんとお話しさせていただいても、これぐらいは言ってもいいでしょうね。
あの、尺ネタはもう本当に尺ネタとして講釈に近い形でやるか、思いっきり落語に振るかどっちかだっていうふうに言われたっていうね。
なるほどと思いました。
なんとね、これ三遊亭好二郎さんとのネタ交換なんだそうですよ。
いやー、なんかすごいですね。
2つずつネタ交換したみたいなんですけど『たけのこ』とこの『徂徠豆腐』。
寸志さんからは『死神』とあとなんかもう一つというような話だったそうです。
いやー、良いネタ交換ですね。
仲入りを挟みまして、久しぶりのネタは『替り目』。
酔っ払いをやらせても寸志さんは面白いですから、酔っ払いがグズグズになりながらどうでもいい理屈をこねるんですよね。
寸志さんはそこにちょっとインテリジェンスが入ってるんですよ。
ちょっと頭がいいんですよね。
そのあたりが逆に酔っ払ってだらしなくなってる人間にとって頭の良さってどうでもいいことになってるっていう、そういう形になるんですね。
おかみさんもやっぱり極端すぎない。
よく俥屋さん送った後で思いっきり表現する感じがありますけども、そこはね、程よく収まってます。
いいです。
これがね、夫婦の話でかつ豆腐が出てくる話っていうんで、揃えてあるっていうのもなんかちょっと面白いですよね。
これは寸志さんにとってはいい武器というか、使いやすい話になっていくんだと思います。
とにかくこれ徂徠豆腐はね、どうなんだろう。
12月1日にまた「寸志千人のお認めで真打になります」企画が今度立川(たちかわ)であるんですけど、今日僕前売り買っちゃいましたけど。
12月1日やった方がいいんじゃないかな。
非常にいい出来でした。
寸志さんがやることによって輝いてる落語っていっぱいあると思うんですけどね。
久しぶりにその、うわぁいいなっていうね。
感じがね、もうガーンとこう来ちゃいましたね。
ということでですね、これを聴いている皆様に真っ先にご案内です。
実は明日10月20日は第37回のシェアする落語橘家文吾さんご出演です。
本番前で私も今ちょっと緊張してるんですが。
で、第38回のシェアする落語は来年の1月18日で、
今日、高円寺HACOでこの寸志ネタおろしでですね。
チラシを多分初めてから配っていただいたんですが。
来年1月18日のシェアする落語は立川寸志さん登場です。
1000人のお認めで真打ちになる企画。
どんな意図でやってみてどうだったか。
なんて話から、まあ僕もね同い年ですから。
言ってしまえばその還暦直前に真打ちになるというですね。
あたりの心境などもお伺いできればというふうに。
ちょっと今回は遠く眺めというのをですね。
一つの売りにしてみたいなというふうに思っております。
もちろん落語もしっかり聴いていただきます。
ぜひですね。まだちょっと先ですが。
とりあえずご予約入れていただけると嬉しいかなというふうに思います。
お待ちしております。
ということでやっぱり立川寸志は素晴らしい。
シェアする落語の四家でした。ではまた。