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2023-08-28 41:30

第128回 亡き母のルーツを求めて「彼女はマリウポリからやってきた」ナターシャ・ヴォーディン著

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【今回の紹介本】 ■『彼女はマリウポリからやってきた』ナターシャ・ヴォーディン 著  川東雅樹 訳 白水社 https://www.hakusuisha.co.jp/book/b616363.html⁠ ⁠ ロシアとウクライナの血を引くドイツ語作家が、亡き母の痕跡と自らのルーツを見いだす瞠目の書。

母エウゲニアは、著者が十歳のとき若くして世を去った。幼い娘が知っていたのは、母がマリウポリで生まれたこと、第二次世界大戦中、両親が強制労働者としてウクライナからドイツに連行されたこと、曾祖父が石炭商人、祖母がイタリア人だったらしいことくらい。母の運命を辿ろうとこれまで何度か試みたが、成果はなかった。ところが、二〇一三年のある夏の夜、ふと思い立ってロシア語の検索サイトに母の名前を打ち込んでみたところ、思いがけずヒットする。ここから手探りの調査と驚くべき物語が始まる。

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マリウポリで生まれた母のルーツを探るうちに、一族の思わぬ事実が、次々と明らかになっていく。
ロシアとオクライナの血を引く、ドイツ語作家がたどった一族の歴史を、読み手は、つい体験する。
ナターシャ・ヴォーディンの、「彼女はマリウポリからやってきた」をご紹介します。
どうもみなさんこんにちは。文学ラジオ空飛び猫たちです。
この番組は、いろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、文学と猫が好きな二人がゆるーくトークするポッドキャストです。お相手は私ダイチ、ミエの二人でお送りします。
文学のプロではない二人ですが、お互いに好きな作品を時には熱く、時には愉快にそれぞれの視点で紹介していく番組です。
今回紹介するのは、ナターシャ・ヴォーディンの、「彼女はマリウポリからやってきた」です。
川東まさきさん役で、白水社から2023年の1月に出版された本になります。
こちらですが、前々回とゲストに来てもらった藤袋さんがベスト本の一冊としてあげていたので、今回ちょっと我々も読んでみたいなと思い、ご紹介したいと思って読んでみました。
藤袋さんのこのベスト本に関してですけれども、本の雑誌8月号特集2023年度上半期ベスト1で紹介されてますので、ぜひあわせてそちらもお読みくださいというところですが、藤袋さん5冊紹介されていたので、
一番最初に紹介していた「彼女はマリウポリからやってきた西岡」って軽々しく言っちゃったんですけど、かなり重いですね。
そうですね。
だいぶ私はダメージを負ってますね。
いや、確かにそうですね。ちょっと読むのに苦労した本ではありますけど、でも藤袋さんがこの紹介の記事ですごい厚く書いていてですね、基本的にどの本も厚く紹介されてるんですけども、
特にこのマリウポリからやってきたは、なんかすごいもう戦争の話とかでもあるので、その大変さとかですね、過酷さみたいなものがすごいもうその、最後もう歴史とは個人の人生そのものであるって藤袋さんの記事締められているんですけども、
いや本当これはもうちょっと読んだ時最後おおって思ったんです。本読んでみて、あ、そうだなってすごい思いましたね。
今回のこの彼女はマリウポリからやってきたっていうのは、現在に生きる70手前の著者がですね、ロシアウクライナにルーツを持っているんですが、ドイツに住んでいると。
で、その彼女がこう自分のルーツを探っていく自伝的小説になってるんですけれども、2017年に書かれたものなんですが、結構このウクライナという土地が持つなんでしょう、暗い部分、思いのようなものがですね、かなり迫ってくる一冊なので、
自分としてはもうとんでもない世界が広がっていたなっていうところで、どうしていいかわからなくなった。どうしようもないんですけど、自分でできること何もないんですけど、この自分の中にある感情とか感想とかどう受けてみていいかわかんないっていう読書体験でしたね。
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そうですね。僕個人的には本当今年ベスト級だなと思ってまして、僕もですね、もう本当に序盤からすごい展開で、まあこれ著者がお母さんのルーツを調べていく話が序盤描かれるんですけども、結構その著者のナタシャ・ボーディンはその自分の生まれとか、お母さんとかに対してちょっとネガティブな印象を持っていて、ネガティブというかもうよくわからないっていう印象を持っていて、
ただそれがだんだんわかってくると、本当にすごいもう意外な展開が待っていてですね、結構あの感動が最初からたくさんありましたね。
自伝と思って読んではいたんですけども、読んでいくうちにもただの自伝ではないなと思いまして、ストーリー性がすごく感じましたし、意外性であったり、やっぱりその戦時中の絶望感とか、本当紙一重で生き延びたとかですね、もうそんな展開の連続で物語としてすごく強烈なものを感じましたし、
あと、この文章が、小説の文章がすごく良かったので、壮大な小説を読んだなっていう、なんかそんな独豪感は残りましたね。
紙一本の差で生き残ったみたいな、発表者がどっかにあったような。
どっかにあったと思います。
とかね、ほんとすごいギリギリの状況で。
そうですよね。なんかその、著者は収容所で生まれるんですけども、そのお母さんが妊娠するタイミングが本当に、なんかね、ちょっと何日か何週間かタイミングが違っていたら、もう絶対にそんな、出産とか許されなかったとかですね、そんな説明もあったりして。
いやいや、ほんとにこれがもう生きて、作家になってるっていうのはやっぱり、まあ事実はそうなんですけど、だからこの事実がすごいなって本当にもう、読むうちにだんだんすごいその重みを本当に感じてきました。
ではそんなですね、著者のナタシャ・ボーディンさんについて簡単に説明したいと思います。
1945年、バイエルン・シューフェルトで生まれます。
戦時中、ドイツに強制労働者として連行されたロシア人の父とウクライナ人の母の元で生まれた方になります。
で、症状時代を難民収容所で過ごして、お母さんを早くに亡くしてしまいます。
その後、育っていって色々な職を得た後、ロシア語を学び直して通訳をされたり、同時にその文学の翻訳をされつつ、ご自身で作家活動をして、これまでたくさんの書を取ってきた作家さんになって、実績はすごい、もう本当にある方なんですけども、
2017年に刊行した本書が高い評価を受けて、こちらもですね、ライブ時に書籍見本一章とかですね、いろんな章を取って、さらにその評価を高めるというような方ですね。
06:05
そうですね、ではですね、ちょっと作品紹介、ホームページから説明を引用したいと思います。
ロシアとウクライナの血を引くドイツ語作家が亡き母の痕跡と自らのルーツを見出す童牧の章。
母エウゲニアは著者が10歳の時、若くして世を去った。
幼い娘が知っていたのは、母がマリウプリで生まれたこと。
第二次世界大戦中、両親が強制労働者としてウクライナからドイツに連行されたこと。
被祖父が石炭商人、祖母がイタリア人だったらしいことくらい。
母の運命を辿ろうとこれまで何度か試みたが、成果はなかった。
ところが2013年のある夏の夜、ふと思い立ってロシア語の検索サイトに母の名前を打ち込んでみたところ、思いかけずヒットする。
ここから手探りの調査と驚くべき物語が始まる、というですね、あらすじがありまして。
でちょっとこの後、田和田陽子さんのちょっとコメントも寄せられていて、それも紹介すると、
ここ1年ほど悲しい姿ばかりが報道されたウクライナのマリウポリーだが、その多文化都市としての輝かしい歴史とそこに生きた作者の親族の運命がこの小説には知的なユーモアと息苦しいほどの好奇心を持って描かれている。
というですね、田和田陽子さんからのコメントもあってですね。
ちょっと最後にですね、もう少し本書についての説明がホームページに載っていまして、
ウクライナの選手、バルトドイツの貴族、裕福なイタリア商人、学者、オペラ歌手など存在すら知らなかった神類演者の過去が次々と現わになり、その思いもよらぬ光景に書者は息を呑み、読者もそれを追体験する。
忘却に抗い、沈黙に耳を澄ませ、失われた家族の歴史を永遠に留める。正規の小説。というのがですね、結構ホームページの紹介をされているんですけども。
お母さんのルーツを辿る辞伝のような小説であるんですけども、そこからすごい広がりを見せていくというようなですね、物語でもあると。
ちょっとここで本書のタイトルにも入っているマリウポリというですね、都市についてちょっと説明したいなと思います。
マリウポリはウクライナ東部にある都市になりまして、ロシアが一方的に併合したクリーミア半島とロシア本土を結ぶ重要な位置にあるということで、
ウクライナにとっては国海というですね、海の国海の北に位置するアソフ海にアクセスするための洋商にあたるというのでは、ロシアにとってもウクライナにとっても、どっちにとってもちょっとその姿勢学的には重要な場所になると。
この1年ほどですね、ロシアによるウクライナ信号で結構ですね、ニュースでも聞くようになった名前かなと思います。
この土地が持つ重さみたいのはどうしてもありますよね。
さて、そんなわけなんですが、ちょっと最初にですね、今回大枠のストーリーをもうちょっと詳しく話していった方が、この作品理解に進むかなと思うので、
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ちょっとまずですね、これがどういう本なのかというのを話していきたいと思います。
前提としてはですね、これは著者のナターシャ・ボーディンさんが自分の母のルーツをたどっていくという自伝的小説になっています。
4部構成になっています。1部、2部、3部、4部とありまして、1部は主人公のナターシャが自分のルーツをふと探し出すところから始まる。
で、これかなり現代的なんですけれども、インターネットにですね、ルーツを探す人のためのサイトがあって、そこで検索したりしていくうちにインターネットを介してですね、
コンスタンチンというこのルーツ探しが得意な男みたいな人と知り合います。
で、このコンスタンチンはですね、めちゃくちゃ何だろう、丁寧とかとは違うんだよな、何だろうな。
なんかすごい執念がありますよね。
この人は何なんだって思ってたけど、とにかく誰かのルーツ探しに関しては、もう異常なほどの熱意を傾けて探してくれるんですね。
なので、この主人公の母のことも探してくれます。
ただ、やはり情報が少なすぎて、なかなかこうわからないと。
で、主人公が持っている母の情報も少ないので、ちょっと手掛かりというのがあんまりないという状況になってきますね。
なので、コンスタンチンからですね、母の家族の記録、姉とか兄がいるので、そこを探してみてはどうかという提案が出されます。
で、それに従ってコンスタンチンと調査を進めていくと、次々とですね、母の兄弟姉妹のことと、
あと母の祖父母ですね、あ、祖父母じゃない、母の父親と母、主人公から見ると祖父母のこと、さらにその一家のことが次々と明らかになっていくと。
で、ここで母の姉であるリディアという女性が結構フューチャーされるんですけれども、出自も含めてですね、ちょっと謎が多い女性です。
リディアのことを調べていくとですね、彼女の息子にたどり着き、電話で話すことができたり、また孫なんかにもたどり着いたりしていきます。
で、このリディアについてですね、リディア自身が残した手記が見つかって、これが主人公のもとに送られてくるというところで第1部は終わります。
で、第2部はその手記により明らかになっていくリディアの人生が語られます。
ここではですね、リディアにとっても主人公の母は結構幼い頃に離れ腹になっているので、母のことはほぼ書いていない。
ただ、まあ主人公はそこにどういう形で自分の母がリディアの人生に絡んでいたんだろうか、リディアがこうしている時には母はこういう状況になったんじゃないだろうか。
で、この第2部で明らかになっていくのはリディアが経験した悲惨な人生ですね。かなりとんでもない状況にあったということが明らかになっていきます。
で、まあそして結構第2部はですね、この当時のウクライナの悲惨な状況っていうのも見えてくる。
第3部から第4部は母の話になっていきます。
第3部では戦時中の共生労働所において母が、主人公ですね、を妊娠するまで、そして第4部では母の死までが語られるという構成になってますね。
かなりざっくりですが、まあ大枠はこんな感じかなと。
12:00
私はもう第2部が結構悲惨で、まあ3部4部も結構すごいなって思ったんですけど、2部読んでる時に結構体調悪化するぐらいですね、精神的に。
私はもうだいぶ胃がなんか、ちょっとなんか吐き気を抱えてましたね。本当にやばいなと思って、どうしようかなって思いながら読んでました。
この第2部はリディアの話になるんですが、リディアが手帳、日記を残していて、それをもうあれですね、著者のナターシャ・ボーディが小説に仕立てるんですよね。
それが第2部なんですよ。
なので、中身は本当にもう小説だなと思います。あのリディアに関する。結構ですね、この大地さんが言ってましたけど、第2部からやっぱり戦争の話、戦時中の話ですね。
まあ特にちょっと読んでて初めて知ったんですが、強制農業集団化とかですね、という言葉があって、まあその本当にもう奴隷みたいな扱いを受けて、
本当に食べるものが本当になくて、でもう本当に農業従事者にさせられているという、すごい苦苦な、まあちょっとリディアは何とか、まあもちろん大変な目に遭うんですけど、まあまだそれでも何とかね、生き延びれたりするんですけど。
本当に食べるものがなくて、そのね、人の肉を食べたりとかですね。そんな話もね、出てきたりして。
なんかこれがね、なんかフィクションだなって思えたらいいんだけど、フィクションじゃないからさ。もう、なんかだいぶ来たな。
ああ、そうですね。2部、3部も、3部からまあお母さんの話になるんですけども、まあそれを主人公また小説みたいな感じに仕立てていて。
いやでも、僕はこの内容結構強烈でパンチ効いてると思うんですけども、このナターシャ・ボーディの文章がすごい良くてですね、やっぱりなんかそこに結構惹かれて読んでいけたっていうのがありますね。
まあね、あのもう本当大変な話もあるんですけども、なんか一方ですごい、なんか収容所の中とかで本当に苦労して生きていったり、ちょっと体が弱かったり、すごい不器用というんですかね。
そういうので工場でうまく仕事が得られなかったりするんですけど、でもすごく生き生きと描かれていたりして、なんかそこのところはなんか読んでいて感情移入できる話があったりたくさんしたんですけども。
確かに。
1部がすごいあの面白かったんですけども、2部、3部、4部とまた違った角度からもう強烈ななんか引きの強さっていうのがありました。
1部はね、なんか読んでる時ちょっと楽観的に読んでたなーってちょっと今思い返すと。
そうですね。
思っちゃいましたね。
いや僕も正直あの1部が結構やっぱり面白い内容で、ルーツでこんな人も出てくるんだとかあって、正直1部が終わってこの後2部3部と続いていくけど、話どうなっていくんだろうって本当に思いましたね、最初のやつの時。
まさかあんな展開になるとは全然思わなかったですけど。
15:03
そうなんだよね、なんか1部で完結してもいいぐらい完成度が1部は高かったから。
そうですね、いや1部がすごい良くて。
じゃあちょっと特徴いきましょうか。
この小説の特徴を少し話していって、まあ印象残ったところで話していきたいと思います。
ちょっと私のほうから特徴をですね、いくつかちょっとお話ししたいと思います。
まず一番最初にこの小説で、まあ最もこれがポイントだなと思うところはですね、やっぱりこの次々と明らかになってくるこの主人公一家の歴史ですね。
これがもともとこう主人公が、おじさんはこういう人だったんじゃないかとか、母はこういう人だったんじゃないかとか、
まあいろんな自分の中にあった思い込みとか潜入感みたいのがあったんですけれども、
それがですね、どんどんどんどん過去が明らかになるにつれて更新されていくという作りになっています。
これは結構個人的にはめちゃくちゃ面白い作りをしてたなと思っていて、話が進むにつれてですね、
自分もこの、そうかこういうことだったのか、みたいなのがなんかわかっていくっていうのは、
なんかちょっと現実ともリンクする面白さだなと思っていて、自分もですね、結構あると思うんですよ。
誰しも1回、1度や2度こういう思いを抱えたことがあると思うんですけど、
親戚の人はこうだと思っていたけど、あれ?なんか違ったぞとか、
祖父母の生き方も父親とか母親とかにですね、よくよく聞いてみると、自分がイメージしたものとは全然違ったみたいなことって結構あるなと思っていて、
この感覚を味わえる読書体験というのはあんまりないなと思うので、非常に面白い作品だったなと思いました。
確かにこの、著者のナターシャも自分の一族ってそんな大したことないだろうみたいな感じで最初思っていたんですけど、
ルーツを調べていくと、そこには全然違った背景というか一族があって、
実はその貴族出身のすごい大富豪だったとかですね、そのおじいさんかなTGさんとかですね、
あとこれはおじいさんとかおばさんになるんですけど、
お母さんのお兄さんがオペラ歌手とか、お母さんのお姉さんが文学を志していたとかですね、
本の中ではやっぱり著者がなんか自分がいかにそのオペラが好きかとかですね、結構その自分についてもちゃんと語っているんで、
そことそのオペラ歌手だったおじいさんの話とかがリンクしてくるところとかはやっぱりすごい感動しましたし、
このルーツがだんだん見えてくるのと、その著者のナターシャの自分とそのルーツにある人々とのつながりっていうのが
だんだん見えてきた時のこの読み応えというか感動というか、それはすごいなんかもう読んでて魅了されていきましたね。
あとちょっと補足すると、ウクライナとかあの辺りのヨーロッパの移民だとか難民が、
いわゆる日常的な地域ではルーツ探しっていうのは結構一般的らしいですね。
自分のルーツがわからないっていう人が多いみたいで、それに対して行政なのか、行政もそうだし、
18:03
今回実際インターネット経由で探してますけれども、サイトとかもあるみたいで、そのあたりのルーツ探しっていう行為自体は割と一般的な行為みたいです。
そうですね。さっきのストーリー紹介でもあった、コンスタンチンっていう男性、協力者なんですけども、
まずその存在がすごい絶対的で、なんかすごいあらゆるノウハウを知っていてっていうルーツ探しの。
あと役所も過去の記録でこの人いなかったでしょうかって言ったら、たぶん一担当者だと思うんですけど、
もうちゃんとピンチをくれたりとか、それによってちょっとヒントを得られたりとか、そういうのもあるんだなって本当感じましたね。
そうですね。話し逸れちゃうけど、このコンスタンチンと主人公の関係もなかなか良くて、調査を通してですけれども、
結構このコンスタンチンがかなり親身に主人公に接してくれるので、どうしようもなくなった時のメールのやり取りとかね、なかなかちょっと感動するものがありましたね。
そうですね。本当にすごい発見があった時とか、夜中から朝にかけてずっとメールを往復し合ったとか、
著者もコンスタンチンとの出会いが最大の功績だったってね、作中で書いてますし。
もう一つ特徴でお話ししたいところはですね、ウクライナの状況ですね。
ずっと話している通り、主人公は今ドイツに住んでいるんですけれども、ルーツはウクライナにあります。
彼女の一家はですね、紛争、戦争に巻き込まれて、強制労働省とかですね、基金の時とかもあったので、
人間が人間として扱われないような状況にいたということが多い一家でした。
主人公も幼い頃、母が強制労働省が開放された後に生まれているんですけれども、
妊娠した当時は強制労働省に両親はいたので、状況としてはですね、結構似たようなところがあります。
彼女の一家はウクライナには帰らずに、ドイツで外国人たちが住む集合住宅みたいなところでですね、暮らしていて、
これはですね、貧しいだけではなくて、身分が認められない生活を送ることになります。
多少、戦時中よりは回復はしてるんですけど、でもなかなか厳しい状況にありますね。
これなんでウクライナに戻らないかというとですね、強制労働ではあったんですけれども、
戦時中にナチスに協力した、加担した非国民扱いをされるので、帰れないという板挟みがあります。
もう帰ってもですね、自分たちの身分がそちらでも危ないんですね。
この本当に行き場のない、どこに居場所を置いていいのかわからない状況で生きていた時代っていうのがあったっていうのが、
サッと調べただけじゃわからない、生々しさを持って迫ってくるので、
私何度も言ってますけど、やっぱちょっとここはしんどかったし、
読み終えた未だに自分の感情を何て言い表していいかわからない状況に今、私はずっとありますね。
なんか僕も読んで本当に、本書の中でも戦争が一応終わってですね、
町に戻ってこれたというか、住むところが与えられたっていう、そういう展開になっていくんですね、
21:01
主人公のお母さんなんですけども。
僕は読んでた時、これでやっと救いの手が差し伸べられたと、ちょっと読んでる時思ったんですね。
でもそうならなかったですもんね、集合住宅というところとかも、結局戦争が終わった後も本当に差別されてというか、
人として今の世の中のような生き方っていうのはもう本当にできなくて、
まだまだこの辛い状況が続いていくっていうのがちょっと描かれていてですね、
戦争が終わったのにそうだったんだっていう、ここは確かに結構ね、クルンもなりましたね。
あとはあれですね、マリウッポリで今検索すると、やはりロシアによるちょっとウクライナ振興のニュース、
で出てくることが多いんですけども、やっぱりこの本を読むとそのニュースから入ってくる情報とか映像とか見るとやっぱりなんか切なさ感じますね。
マリウッポリ、そうですよね、なんかすごいやっぱりこの本を読むと、この戦時中本当に大変な年だったと思うんですし、
そうですよね、なんかやっとねこれからっていうところだったのかもしれないですし。
もう何も言えなくなってきちゃうんだけど。
最後にですね、ちょっとお伝えしたい特徴がありまして、これをですね、最初本当数ページ読んだだけで引き込まれたんですけど、文章が非常に美しいんです。
これふとした時の風景描写と文章の運びがですね、息を飲むくらい美しくて、結構濃い文章が続くんですけど、
その中にですね、ほれぼれとするような文章がたまに現れて、そのおかげで結構スッとこの世界観に入っていけるっていう特徴があるなと思っていて、
本当にそんな長く書かないんですけど、風景描写とかも。でもすごく綺麗なんですよね。最初感動しましたね。
いやいや、僕も本当にそこはすごい感じました。風景描写、広範の夏の描写とか。
もうあそこは良かったよ。すごい良かった。
これも22ページなんですけど、この広範での夏に眠るのが惜しくなるほど魅了されてしまった。
からですね、バーッと続いていくんですけども、
茎形の山城すぎるともう水平線にその兆しが現れ、始めのうち、後半に映るかすかに薔薇色を帯びた空の気配は微妙に変化しながら、
次第にこの世のものとは思われないほど美しい光の共演へと移っていく。
驚いたことに他の人々はみんな眠っていて、私以外の誰もこの宇宙のスペクターに立ち会っていないようだった。
空は明るい緑から金、真っ紫、燃えるような赤とあらゆる色に日々変化し日々新たに燃え上がった。
そこからさらに描写がブワーッと続いていくんです。
本当に一部一部がすごい本当に美しいなって思う。
なんか描き方されていて。
ここは私、福郎さんの回でも話しましたけど、
これ読んでる時に出勤途中でちょっと心が完全に、
24:05
もうこの後半の世界に旅立ってましたからね。
そこ付箋貼りましたけど。
でもすごいんですよね。
今回三百数十ページなんですけども、
本当に無駄の文章がないというか、いい文章がひたすら続くんですよね。
僕正直このダタージョフォーディの文章力にまずちょっとビックリします。
本当最初の方読んでて。
こんな上手く描ける人がいるんだっていう。
多分翻訳もすごい良いと思います。
間違いない。
日本語表現がすごくやっぱり本当に美しいと思うので。
ありますね。
じゃあそんな一冊ですが、
ちょっと他印象残ったところを話していきましょうか。
これ家族をたどる話なので、
登場人物はですね、
登場人物ってか何だろう。
語られていく人たちはですね、
基本的には主人公の一家のことですね。
最初に丁寧に家計図が付いているので、
それを見ながら結構私は読んでたんですけど。
これがないと結構しんどかったっていう。
そうですね。
家計図絶対必要ですね。
ありがたかったなっていうところですね。
割と最初その主人公の母と母の兄と姉ですね。
セルゲイっていう兄とリディアっていう姉がいるんですけれども、
この2人が結構割と語られてきます。
セルゲイはオペラ歌手でした。
主人公は大したことないオペラ歌手だと思っていたけれども、
結構すごいオペラ歌手だったということが後々わかっています。
リディアの母の姉なんですけれども、
これはもう第二部でかなり厚く語られるんですが、
彼女の生き方、人生っていうのは結構、
割と強い意志を持って生きていたと。
結構なんとか死にかけてるんですけど、
幼い頃から結構ですね、とんでもない環境で育っているので、
あらゆる病気は経験してるんですけど、
それでも生きようとしたという人生が描かれますね。
なんですけどリディアは、
これ一部で結構明らかになるんですけど、
息子のイーゴリかっていうところと、
あとイーゴリの姉かな?の息子、キリルというものがいるんですけども、
そのあたりまで語られていると、
結構ちょっととんでもない事実がまた明らかになって。
それも意外でしたね。
最初読んでて読み間違いかなって思ったからいたったんで。
でもこれもこのことも後々パンチが効いてくるから、
俺としてはもうどう受け止めていいか分からなかった部分でもあるんですが。
なのでリディアっていう人物の調査を通して、
リディアのお母さん、つまり母の母ですね。
主人公から見ると母方の祖母にあたるマチルダっていう女性もいるんですけど、
そのあたりも含めてどんどんいろんなことが明らかになっていきます。
結構過去も明らかになるし、
現在の自分の一族の関係者もちょっとずつ明らかになっていくっていう作りもしてますね。
僕はやっぱりこの中だったらセルゲイという母のお兄さんのオペラ歌手ですね。
27:00
この人は読んでてどんどん好きになっていきましたね。
最初はね、ほんと三門歌手じゃないかとか主人公思ったりしていたんですけど、
実はすごい本当に才能のある人で、
ただ時代が時代でやっぱり軍のために歌わないといけなくなってしまってとか、
政権交代というか政治の立場が逆転したときに、
今までいい位置にいたけど、今度逆に迫害される側になってしまうと、
やっぱりオペラ歌手として正当に評価されることはないと思うんですね。
結構ちょっとかわいそうな運命があったり、
でもすごい才能は認められているとかですね、
いろんなことが分かってくるんですけども、
僕はやっぱり最後、
あと主人公のアタシのオペラがすごい大好きで、
著者がオペラ。
ドイツで本当にオペラに救われたというか、
そういうことも書いていて。
その主人公が途中、何とかこのセルゲイの音声データを入手するんですよね。
入手するというか、YouTubeで聞けたんですけども、
コンスタンチンが見つけてくれて、
ウクライナ国立公共団の演奏で、
そこでセルゲイが歌っているっていう、
そういう音声があったんですけども、
セルゲイの声を主人公が聞くことができたっていう、
この描写はすごいのがね、本当に泣きましたね。
本当だよね。
セルゲイの歌声を聞いた時に、
母もこの歌声を聞いていたのかとかね、
ちょっと迫ってくるものがあるよね、そこね。
そうですよね。
リディアもですね、
リディアはでもあれですよね、
第2部の印象がもうすごいんで、
第1部もね、なんていうか、
そうですね、リディアも本当に手帳が見つかって、
こんな人生歩んできたんだっていう、
この第2部の衝撃以外はすごかったです。
あとこの家系図の中で、
個人的に面白いなと思ったのが、
バレンチナという女性がいてですね、
これはお母さんのお父さん、おじいさんですね。
主人公にとっておじいさんのお姉さんに
当たる方なんですけども、6人兄弟ですね。
そのおじいさんが6人兄弟なんですけども、
そのおじいさんのお姉さん。
このバレンチナという人が、
実はマリウプリでも有名な知識階級の人で、
本当にあれですよね、
1900年のその前後を生きた人なんですけども、
すごいもう本当に超一流の人々の
一員で、この人が貧しい家庭の娘、
女性のための女子高等学校というのを
この街に作ったりですね、
創立者で校長先生でもあったっていう、
本当にもう街のためにっていうので、
本当に歴史に残るようなことをしていたりですね。
こんな人がいたんだっていうのが、
他にもこのバレンチャーと同じく、
おじいさんの兄弟の中には、
30:00
実はすごく女性なんですけど、
旦那さんが有名な心理学者であったとかですね。
あとは本当にさらに家系図の一番最初ですね、
著者の非おじいさんかなですね。
おじいさんのお父さんみたいな人になってくると、
さっきの話でもイタリア出身というので、
ルーツがナポリンにある、
石炭、石膏の家系に生まれて、
水父から船長になって、
という船の人間ですね。
実は船の人間だった人が、
石炭の商売で巨漫の富を得て大富豪になって、
マリウポリに落ち着いて、
マリウポリで暮らすことになったとかですね。
この辺ももうびっくりになって、
ルーツ遡っていくと、
こんな人々に行き渡るんだって思って、
すごい面白かったですね。
これも石膏から成り上がった創造家ですけど、
これもなんか不思議なんだよな。
娘のマチルダと、
エピファンの息子ヤコフが結婚するんですけど、
結構この身分の差じゃないけど、
貧富の差というか、
ここでちょっと差のある2人が、
なぜか結婚するっていう流れもちょっと面白かったしね。
見えてきた部分と、
それでもまだ残る謎の部分みたいなのがちょっとあって、
結構この辺はやっぱり、
最後まで分からない部分もあるんだなみたいなところも、
面白かったですね。
うん、そうですよね。
本当にでも、
この掛けいずみで見ると登場人物多すぎて、
ちょっと今結構主要人物だけの話をしてるんですけども、
よくここまで遡ることができるもんだなって本当に、
そこに感動しましたね。
自分、そうだよね。
1800年代生まれの人が、
ひいおじいさんとか出てくるんで、
その人が何をやってたかとかそこまで調べて、
書いてるんで。
100年前の話だもんね。
そうですもんね。
1、2、3、4、
1、2、3、4、
5世代前か。
すごいですよね。
そうですね。
そういう人物たちが結構語られる作品ですね。
そうですね。僕ちょっと印象残ったこととして、
自分の中で疑問に残っていたことなんですけども、
お母さんが36歳で若くして死ぬことになるんですけども、
この本を読んでいるとやっぱり戦争をなんとか生き延びて、
本当にすごい苦しい戦時中の暮らしがあって、
それでもなんとか生き延びることができて、
その後も本当に苦しい暮らしが続くっていうのがですね、
ちょっと描かれててショックを受けたんですけども、
そんなお母さんが若くして死んでしまうと。
なんでそんな死なないといけなかったんだろうかっていうですね、
そこがちょっと自分の中では疑問に思いましたね。
33:00
なんか疑問というか違ったふうにはならなかったんだ。
もちろんこれ事実なんで起きたことが書かれてるんですけども、
このお母さんの死っていうところは考えさせられましたね。
そうですね。
これ表現の仕方、展開の仕方、文章の運び方を含めて、
母の死までのところはかなり引き込まれる描かれ方をしてたと思うんですけど、
これはでももうなんか個人的にはこの自伝的小説っていうことで、
ここまで描いてるこの著者の覚悟みたいなのがすごい感じるラストでしたね。
で、やっぱりなぜ母が死んだのかっていうところは結構、
やっぱり状況が状況だったっていうところもあるでしょうけど、
読んでいくとちょっとそうだったのかってなっちゃう感じかな。
第4部でこうなるよってほぼネタバレみたいになっちゃってきてはいるんですけど。
そうですね。ちょっと読んでない人に配慮して、
ちょっとぼやかしながら言ってますけども。
でもぜひここは読んでもらいたいなと思いますね。
ただ個人的にはやっぱり第2部を乗り越えることができるかどうかっていうのが結構大きいところかなと思うので、
なんか無理はしてほしくはないと思いながら進めますが。
2、3、4と本当に強烈な話がどんどん来るんで。
あとちょっと今悲惨な話ばっかりっていうことを言ってるんですけど、
私笑える部分も少しありまして、
一番ちょっと面白かったのが、
リディアの大学受験の合格方法が結構コメディ。
そんなことある?みたいな。
ここはちょっとクスクス笑っちゃうような展開をなぜか急に見せてきて、
ちょっと心がほっとしたところもありますけど。
リディアがね、そもそも自分は大学に行くって言うんですよね。
本当にお金なくて苦しいんですけども。
でも勉強とか全然そんな大変な生活だったんでしなくて、
数学とか解けるはずないのに、
でも大学合格できるっていう、
この謎の乗り越え方が面白かったですよね。
なんかコメディっぽかった。
あとウクライナ語ができるんですけど、
強みで、それのおかげで合格できたんですけど、
面白かったですね。
リディアのウクライナ語を評価する先生がロシアの人かなですか。
ウクライナ語全然わからないんで、
何話してるか書いてるかわかんないけど、
でもとりあえず合格みたいな感じで点数がつけられて。
なんとか大学に潜り込むっていう。
そう、めちゃくちゃな潜り込み方ができてしまって。
36:01
そうなんですよね。
リディアは生きるのが上手いですよね。
その後の大学の身の振り方とかも含めて。
そうですね。
一部の印象とはちょっと違いましたね。
本当に第二部読んでて。
悲惨だけどすごい上手く生きてるっていうところがいいよね。
最後、感想とどんな人に読んでもらいたいかお話しして終わりたいと思います。
まず私から。
個人の歴史の話ではあったんですけれども、
自分が知らない土地、そして今ロシアの信仰にさらされていることで、
名前を強く意識するようになったウクライナという土地がですね、
持っているこの暗い部分っていうのを見せてくれる一冊だったなと思っています。
戦争ものとか読むと感じるんですけど、
今回ノンフィクションの部分が強かったと思うので、
なぜ人種とか思想が違うだけで、
あと立場が違うだけで、
人はこんなに残虐になれるのかとか、
ちょっと思考が止まってしまうような部分も私はあって、
なかなか読み進めるのが辛かったなと思っています。
誰にでもおすすめとは言えない一冊だなと思いますね。
ルーツを探るという行為が持つ、
次々と明らかになっていく事実みたいのが結構面白くて、
印象が更新されていくっていうところが、
個人的には好きな一冊でした。
ただやっぱりこの残虐な時代っていうのが、
まだウクライナでは終わってないのかなって思うと、
結構辛くなってしまう一冊でもありましたね。
確かにね。
やっぱりナタシャ・ボーディンの文章がすごい濃密で、
読むのに時間がかかったんですけども、
やっぱりその分すごい心に残る作品だったなと思っています。
本書を読んで、やっぱりまだ第二次世界大戦の、
その前後もそうですけど、
戦争の傷跡って今も残っているんだなって本当に感じましたし、
その後ですね、現在のロシア侵攻のニュースとかを見て、
リュープリがやっぱりちょっと被害を受けているとかってあると、
この戦争の悲劇って今も続いているんだなと、
もしくはもっと長い目で歴史を見た時には、
戦争って実はそんな終わりとかなかったのかもしれないとかですね。
すごいちょっといろいろ考えさせられました。
ただちょっとこの作品にもうちょっとフォーカスすると、
お母さんのルーツをたどっていって、
さらにそこから一族の人々っていうのを知っていくという展開で、
そこにはすごいもうちょっとこのラジオでは話せてないんですけども、
やっぱりそのお母さんのお兄さんとかお姉さんとか、
祖父とか、すごい本当に一人一人すごくたくましさみたいなものを感じましたし、
その時代を生きる、さらにその生きるために出会ったり、
やっぱりその何か功績を残したっていうところで、
すごく偉大さを感じましたし、功績だけじゃないんですけどね、
39:02
すごく本当に一人一人が偉大だなって思うような作品で、
それはもうもちろんお母さんもそうで、父さんもそうなんですけども、
特にこの自分のルーツを考える時とかすごいこの作品を読むと、
寄り添ってくれる作品だなと思いますし、
何かその自分って大したことないんじゃないかとかですね、
ちょっとネガティブだった時とかも、こういう作品を読むと、
すごく何か考えるきっかけを与えてくれるんじゃないかなと思うので、
人生のどこかで、もしかするとすごくかみしめては読める作品なのかなとも思いました。
なかなか重い一冊でしたが。
そうですね。
これを聞いて、ちょっとでもこの作品の存在を知ってもらえたら嬉しいかなと思います。
そうですね。本当なんかちょっと単純な言葉ですけど、
人ってすごいなって思いましたね。読んで。
個人的にはノベル文学賞とか取っちゃうんじゃないか。
見たけど。
そうですね。この解説読んでると、
ナトラシャボーディがこのお父さんについて書いてる本も出してるというので、
ちょっとそれも気になりましたね。
でも本当この、何でしょうね、この表現力とか構成とか、
そういう書き方の上手さもすごいと思いましたし、
自分のルーツをたどることで、
人って何だろうってすごく人のすごさみたいなものを感じさせてくれて、
僕はもう最初に例えると、やっぱり今年のベスト9に出会えたなって、
すごいその嬉しさは感じましたね。
じゃあそのところで次回予告行きましょうか。
次回は番外編をお届けします。
お便り紹介会になりますので、ぜひぜひお楽しみにしていてください。
番組の最後になりますが、メデマ会員を募集しております。
こちらですね、有料版、無料版とありまして、
詳しいことは番組概要欄をご確認ください。
そして番組の関数やリクエスト、またこのラジオを聞いて紹介された本を読みました。
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ではまた来週。
ありがとうございました。
41:30

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