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こんにちは。横浜で15年以上、犬の保育園の先生を行っている、なおちゃん先生と申します。
こちらの番組では、たくさんのワンちゃんや飼い主さんと関わってきた私が、
日本の犬と飼い主さんのQOLをあげるおテーマに、犬のあれこれについて、私個人の見解からお話ししています。
時には子育てネタや、留学時代や旅行の思い出のお話をお届けいたします。
さて、前回は、好奇心の強い犬と警戒心の強い犬についてお話をしました。
研修・育成状態・飼育環境・好天的学習・本能的行動・年齢等の影響によっても大きく異なる犬の警戒心と好奇心ですが、
その他の多くの動物よりも、犬は好奇心に満ちた生き物であると全般的には言えるでしょう。
そして、その興味の対象の多くは飼い主、もしくは人間に向けられているというのも犬の大きな特徴と言えそうです。
そんな中にでも、警戒心が強い犬というのは確かに存在しますし、時に非常に扱いづらい場合があります。
一言に、警戒心の強い犬といってもいろいろなパターンもあります。
犬の警戒心のパターンとそれぞれのパターンによる対処法をお伝えしていこうと思います。
長くなってしまいそうなので、こちらは前編後編の2回に分けてお話ししようと思います。
後編は週分け、火曜日か水曜日頃の配信になるかなと思います。
月曜日は、教えて!スタイフプロの人のライブが12時からありますので、よかったらいらしてくださいね。
まず、犬の警戒心その1。
社会科不足、経験不足からくる警戒心。
警戒心が強い犬のほとんどがこちらに当たると思います。
いわゆる社会科期と呼ばれる幼少期から青年期における社会的な経験が少ないということで、
大人になった時に自分の知らない、経験が少ない物事に対して過剰に警戒するようになっていきます。
これは、1回見せたから、もう慣れたから、大丈夫ということではなく、
定期的、継続的に見せる、飼わせる、体験させる、といった行動が必要です。
例えば、小犬の頃に子供に抱っこしてもらって、その時は嬉しそうに尻尾を振って子供の顔をなめていたから、
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うちの犬はもう子供になれたから大丈夫、ということではないんですね。
小犬の頃の経験は一度きりだと忘れてしまうことがあるからです。
これは人間でも一緒だと思います。
私のうちの子供も、2、3歳の頃に行った場所のことや、会った人のことなんてすっかり忘れています。
大人になって、完全にその対象に対して免疫ができるまでは、継続的に出会わせる、その体験をさせる、経験をさせる、
といった機会を与えていくことが必要になっていくんですね。
特にワンちゃんをお家に迎えてからのすぐ、だいたいワンちゃんの月齢からして3ヶ月から4ヶ月頃というのは、
まだ好奇心が警戒心より強い時期ですから、何に対しても好奇心旺盛で、
一見これは大丈夫なんだなというふうに見えがちなんですが、
6ヶ月を超えると突然、警戒心が強くなる時期というのがやってくるんですね。
これが第2社会科技の始まりとなります。
その時期に改めて、小さい頃は大丈夫だったもの、ことに対しての経験値を積んであげることはとても重要になってきます。
知らないものやこと、見慣れない人や動物を見ると行動が止まって隠れる、うなる、うろうろと落ち着きがなくなる、
飼い主の後ろに隠れて小さく吠える、もしくは大きく吠える、尻尾が下がってその場から逃げようとする、こんなことありませんか。
子どもでも小さなうちは大変人見知りで、知らない場所や知らない人のところに行くと、
お母さんの後ろから出てこないという子どもたちもいます。
これには個人差、個体差がありますが、このパターンの経験不足、社会科不足から来る警戒心は、
知らないから怖い、というのがこの警戒心、恐怖の原因ですから、
これはこういうものだ、ということがわかって慣れてしまえば、その警戒心は自然と和らぎます。
そのため、うちの犬はこんなことがちょっと怖いみたいだな、苦手みたいだな、と思うような場合には、
少しずつ慣らしてあげる時間、そして回数を増やしてあげるといいでしょう。
その2、所有欲、テリトリー、社会的意識から来る警戒心。
こちらは子犬よりは政権に出やすい警戒心です。
自分の帰属する社会、場所、所有物、社会的帰属意識。
社会的帰属意識というのは、いわゆる階級やポジションとも言われます。
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それらが脅かされるのでは、という気持ちから来る警戒心で、
わかりやすいのは、犬がベッドや特定の場所に寝ているときに近づくとうなる、かむ、
家に知らない人が来ると吠える、といったような例です。
これは人だけではなくて、犬同士でも起きます。
年下の犬が、年上の犬が飼い主さんに抱っこされているときに近づいてくると、
うなって怒る、といったような状況も、これに一部は出はまります。
これは飼い主さんが犬の所有物になっている場合ですね。
そのほか、時々目にしたり、私もこの前インスタグラムで突然出てきた映像なんですけれども、
犬の武勇伝となりやすいものとして、知らない人や知らない犬が家族の中の子供などに近づいて来ようとすると、
攻撃して追い払う、といった事柄も、この警戒心から派生するものになります。
自分の帰属する社会や場所、所有物を守るという犬の警戒心から来るものですね。
昔からこの警戒心は、家族や群れを守るために重宝されてきた犬の警戒心です。
犬にとっては、自分の帰属するもの、そして自分自身を守るために必要な警戒心となります。
すべての犬にとって多かれ少なかれ、この警戒心はあり、年齢とともに強まる傾向があります。
ただし、シニアになって五感が鈍るまでですけれど。
ですから、犬種によっても大きく、この警戒心は異なるものでもあります。
蛮犬として繁殖を繰り返されてきた和犬は、この警戒心が元々強い傾向にあります。
こちらのパターン2の警戒心の特徴としては、消去することが非常に難しいという点です。
これは犬にとって守るべきもの、大切なものを守るという防衛本能に関わる警戒心ですから、
一度守るべき、これは渡さないぞという意識が芽生えてしまうと、なかなか消し去ることが難しいというものであります。
ただ、軽減することや意識を反らすということはできるんですね。
警戒心その3、一時的な警戒心。
普段は、そんな素振りがないとしても、特定の状況下で高まる警戒心のことです。
これは様々な状況、条件が重なり、一時的に警戒心が高まっている状態です。
多いのは、身体的・心理的苦痛を経験した後の一時的な警戒心の高まりになります。
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これは、傷を負ったり病気の後、触られるのを嫌がったり、
入院して手術をした後の犬が一時的に警戒心を強めて人が近づいたり、車に乗るのを嫌がったりするような場合です。
また、初めて訪れる場所、初めて預けられる場所、初めての人などに対しても一時的に警戒心が強くなる場合もあります。
ですが、これらの場合は一家制のものであることが多く、日々のルーティーンに戻してやることで犬自身が落ち着きを取り戻し、警戒心がいつの間にか解けているということも多いです。
ただし、一時的な嫌な経験というものがトラウマとなった場合には、その経験を思い起こさせるような条件、状況が犬の中で合致したとき、
突然その犬の警戒心が極度に強まるということがあります。
人間でいうところのフラッシュバックのようなものでしょうか。
人間でもPTSD、心的外傷後ストレス障害という症状があるように、
あまりにも強いトラウマは犬にとって警戒心から恐怖心を呼び起こし、パニック状態に陥ったり、
場合によっては周りにあるもの、人、犬などに攻撃をするという姿勢も出てきます。
虐待をされていた過去を持つ犬などがその例にあたることが多いです。
このような子たちは、とにかく時間をかけてあげること、過度に原因となる刺激にさらさないこと、
たっぷりの愛情を注いであげること、無理をしないことが何よりの薬となります。
いかがでしたでしょうか。3つの犬の警戒心のパターンをお伝えしましたが、
これらは単体で現れるというよりも、いくつかのパターンやその他の要因も複雑に絡み合って問題行動として立ち現れてくることが多いです。
大切なことは、うちの犬は何に対して一番警戒心を示すかということを飼い主さんが理解しておくことです。
それがわかっていることで対処法がわかってくるからです。
それでは、次回の犬配信では犬の警戒心のパターンと対処法、後編をお伝えしようと思います。
最後まで聞いてくださりありがとうございました。