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こんにちは。横浜で15年以上、犬の保育園の先生を行っている、なおちゃん先生と申します。
こちらの番組では、たくさんのワンちゃんや飼い主さんと関わってきた私が、
日本の犬と飼い主さんのQOLをあげる、おテーマに犬のあれこれについて、私個人の見解からお話ししています。
時には子育てネタや、留学時代や旅行の思い出などのお話もお届けいたします。
ワンちゃんに関する、より詳しく専門的な内容については、メンバーシップにてお話をしております。
さて、前回は犬の警戒心、3つのパターンとそれぞれの対応法、前編をお伝えしました。
前編では、犬の警戒心を3つのパターンに大雑把に分けて、その特徴をお話ししていきました。
今回は、少し具体的な対応法、対応策についてお話をしていきます。
まだ前回の配信を聞いていないよ、という方は、概要欄に記載をしておきますので、ぜひ聞いてみてくださいね。
前回の配信で犬の警戒心については、
1、経験不足、社会化不足から来る警戒心。
2、所有・テリトリー・社会的ポジションに関わる防衛本能からの警戒心。
3、一時的な警戒心があるということをお話ししました。
ざっくりと、それぞれの特徴と対応について、今回はお話をしていきます。
まずは、1、経験不足、社会化不足から来る警戒心の対応についてお話しします。
これは前回もお話ししたように、知らないから怖いという気持ちから来る警戒心です。
ですので、裏を返せば、よく知ってしまえばそんなに怖くない、というようになっていきます。
ここで大切なのは、警戒心を抱いている対象は何かをきちんと把握することです。
その上で、対象に段階的に慣らしていくということが対処法になっていきます。
警戒心を抱いているものの対象を見つけることは、そこまで難しくないと思いますが、
難しいのは、その対象に段階的にステップを踏んで慣らしていくということでしょう。
なぜなら、間違った方法で慣らしを進めていくと、かえって逆効果になってしまうことがあるからです。
よく、子犬を迎えたので、ワクチンが終わったら他の犬に慣らそうと思います、とおっしゃって、
ドックランに連れて行ったら、体の大きな犬たちに囲まれてしまって怖かったようで、
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その後、犬が嫌いになってしまいました、というパターンをよく聞きます。
警戒心を抱く対象についての慣らし方は、慎重に段階的に行う必要があります。
犬の様子をよく見ながら怖がっていないか、自分からその対象に近づくことができているか、
落ち着いた様子でそばにいられているか、
これらを見て、できれば警戒心を抱いている対象に無理やり近づけるということは、下げたほうがいいと思います。
警戒心を抱いている対象への慣らし方を一つ例を挙げてご紹介いたします。
お散歩中に突然足を止めて、低くうなり出し、尻尾を下げてしまう犬がいました。
いつもと同じコースなのに突然です。
何でだろうと犬の目線の先を見てみると、その先に選挙のポスターがありました。
ちょうど犬の目線の高さよりもちょっと上くらいのところに貼ってあったんですね。
この子にとってはそのポスター、異様なものに映ったようです。
私たちは足を止めて、まずはポスターと犬の間に入って視界を遮りました。
その上で褒めてまたポスターを見せました。
うなり始める前にポスターを眺めている犬に、いい子だねと声をかけ、優しく背中をなでました。
犬がその場でポスターから目を離し、私を見てくれたときにはたくさん褒めて、
今度は一歩ポスターの方に一緒に近づきました。
犬はやや姿勢を低くしながら私についてきてくれたので、私はたくさん褒めてなでてあげました。
これを一歩ずつ繰り返しました。
帰り道ではそのポスターが見える位置に来たら褒めてなで、テンションを上げてあげました。
ポスターの前で足を止め、
ほら、あのポスターあそこにあるよ。どうする?
というと犬はちらりとポスターを見てから私の方を見たので、たくさん褒めて一歩近づきました。
犬はもうポスターに警戒する様子を見せることはなく、
自分からポスターに近づいたり、何もなかったかのような素振りをすることができました。
この子の中でポスターに近づくこと、ポスターを見ること、そうすると先生が褒めてくれる。
何も怖いものではないという認識がついたのでした。
これは子犬に限ったことではなくて、未知のもの、見慣れないもの、聞き慣れないもの、嗅ぎ慣れないものに対し犬は警戒をすることがよくあります。
慣れてしまえば怖くないということを段階を踏んで教えてあげることが効果的です。
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ただ、その対象への警戒度合いにより、鳴らし方にはステップやコツが必要になりますので、
そのステップやコツについてはメンバーシップ等で今後詳しくお話ししようかなと思っています。
また、ご自身の愛犬さんに当てはまるようなものがある場合には、専門家さんに相談されるといいでしょう。
その2、テリトリー・所有・社会的ポジションに関わる警戒心ですが、前回配信でお話をしたように、
こちらは犬の習性として人間に重宝されてきた本能でもあります。
そのため、個体差は激しいものの、すべての犬が持っている警戒心です。
だからこそ、消去することが非常に難しい防衛本能に関わる警戒心でもあります。
こちらの警戒心が高まる原因によって、対応の仕方が異なります。
原因の1つとして、予測可能・回避可能な原因というものがあります。
予測可能な原因、これは例えば、お気に入りのものや場所を守るという警戒心で、
こういうものを守ってうなったり威嚇をするということが分かれば、
予防したり回避したりできるものです。
特徴としては、犬自身の所有意識がつきやすいもの、
例えば、おもちゃやマット、食器といった一般的なものや、
ソファーの一角とか、玄関前のマットとか、ソファーでくつろいでいるときのパパの膝の上とか、
そういった人間ではちょっと考えられないような対象に所有意識がつくこともあります。
これらは、ここを奪われるのではないかという警戒心を抱かせる前に、きちんとその対象を共有する、
シェアをするというトレーニングをしたり、与えっぱなしにしない、
時間や空間を管理・制限していくということで防ぐことができます。
ちょっと難しいお話になったかと思うんですが、
例えば飼い主さんの近くで大好きなおもちゃで遊んでいるときに、
他の家族が近づくとうなるというような場合、
他の家族が帰宅をしたらそのおもちゃをしまうという対策をとったり、
新しいおもちゃを使って遊びながら、「ちょうだい!」とか、「おしまい!」というエクササイズを
他の家族と一緒に行うという対策がとれます。
これが予測可能・回避可能な原因に関わる警戒心ですね。
原因の2、これは予測がつかないものになります。
こちらはいきなりの大きな音、来客やインターフォン、
お散歩中に現れる他の犬やバイクなど、犬に警戒心を抱かせやすいもので
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予測ができないものになります。
こちらは犬にとっても人にとっても出現が予測できないからこそ、
さらに警戒心を高まらせる原因となります。
また、何か起きるのではないか、この場所や家族を守らなくては
という犬の防衛本能をかきたてるんですね。
この場合、多くが吠えという行動が出やすいのですが、
この吠えが出る前に対策をすることが一番の対処法です。
この吠えを放置していくと、そのうち噛みという防衛本能、
こちらが出てきてしまうことになります。
その前に対策をした方が良いと思います。
家の中に犬と飼い主さんがいるとき、外で大きな物音がした。
犬はハッとそちらを見て、また飼い主さんの方を見る。
これは生後6ヶ月から10ヶ月ぐらいの犬の反応でよくあるパターンです。
何か音がしたけれど、これって何?と飼い主さんに確認をしているんです。
ですが、多くの場合、このサインを見逃す飼い主さんが多いです。
大きな音がした後に、何だこの音は?と吠えるようになってから、
物音に吠えるようになりました、とおっしゃられる方はとても多いです。
この場合には、吠え出す前に犬を褒めるということで、犬の意識を変化させることができます。
もし犬が吠え始めてしまったら、吠え続けることをストップするということが何よりの課題になります。
多くの場合、警戒すべき対象を見据えて、そこに向かって犬は吠えていますので、
まずは視界を遮ってあげると効果的です。
散歩中の刺激に対しての吠えや、来客への吠えというのは、必ずしも警戒心だけではありません。
もし警戒吠えで大変悩まれているというようであれば、早めに専門家にお尋ねする方がいいと思います。
長引けば長引くほど、警戒心による吠えや噛みつきは強固になっていきますし、
その行動に自信を持って警戒をするようになっていくからです。
その3、一時的な警戒心。
一時的に警戒心が高まっているとき、これは前回のお話でもあったように、
例えば病院での処置や手術、入院の後、また初めての場所やお泊まりやお預かり、
初めて犬を迎えるなどの場合です。
これはその犬の平常心よりも少し警戒心が高まっている状態ですので、
まずは平常心に戻してやるということが大切です。
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このときに一番大切なのは、距離感を保つということです。
早く慣れてもらおうと警戒心が高まっている犬に不要意に近づいたり、
目線を合わせたり、手を出したりすることで、
余計に相手の警戒心を高めてしまうということがあります。
一時的な警戒心を抱くのは犬であり、その警戒心を解くのもまた犬です。
犬に警戒心を解いてもらうためには、積極的なアプローチではなく、
相手が近づいてくるまで待つ、という待ちの姿勢を貫く方が賢明です。
私は、動物に好かれたかったら引きなさい。
追いかけたら逃げるのが動物だから、と自分の子供たちに伝えています。
これは状況により警戒心の抱き方や警戒の対象は違うので、
間違いには言えませんが、犬が落ち着くために大切なこと、
それは飼い主またはその場にいる人が落ち着いているということになります。
これが欠かせません。
犬が落ち着かないなと思うときには、一度深呼吸して、
目を閉じて、「大丈夫、大丈夫。」と自分と犬に言い聞かせましょう。
ということで、今回は犬の警戒パターンと対策、後編をお伝えしました。
最後まで聞いていただきありがとうございました。