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こんにちは、73才 薬膳&料理研究家の木下賀律子です。
先日、京都で行われた日本料理フォーラムに参加してきました。
今日は、そのことについて音声を収録していきます。
日本料理フォーラムは、柴田日本料理研鑽会が主体です。
柴田日本料理研鑽会とは、そもそも何かというと、
日本料理を志す料理人の技術・知識・向上を目指して、
柴田書店の月間専門料理市場で発足したものです。
昔は、料理人の世界は、料理の技は見て盗めが当たり前でしたが、
皆の前で実際に調理工程を見せながら、
つまりデモンストレーションをしながら、その料理を展開し、
皆に理解してもらおうという意向で始まったのが、日本料理フォーラムです。
今回は、その13回目で、ミシュラン・星月のお店を含め、
寝世や名店のご主人が9名お見えになりました。
参加者は、料理に関する仕事をしている人が対象で、約120名ほどでした。
今回のテーマは、プラントベース和食です。
プラントベースという言葉、私は初めて知りましたが、皆さんはご存知でしたか?
プラントベースとは、プラント、植物とベースの由来を組み合わせて作られた言葉です。
野菜、果物、穀類、豆類など、植物由来の原材料を使用した食品や食事を指します。
このプラントベースが、最近5年ほど注目される背景には、消費者の志向が多様化してきたこと、
宗教上、健康上の理由で、食事が制限されている人々の存在です。
ご存知のように、京都は外国からのお客様も多く、そのような方々がお店にいらっしゃる機会も多いようです。
どのような場合も満足していただけるよう、おもてなしを務めてみえるとのことでした。
3つ目の理由は、地球上の人口増加に伴う動物性タンパク質の供給不足です。
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肉や魚は有限な資源で、供給量に限界がある一方で、
国連は、地球上の人口が2050年までに、なんと97億人まで達するというような報告を発表しています。
徐々に肉や魚の供給が難しくなっても、きちんと店を守って続けていけるように、
その対策の一つとして、今回のテーマが選ばれた気もします。
ここで、精進料理やビーガンと呼ばれる食事のイメージと、
プラントベースフードの違いを整理してみましょう。
精進料理というのは、仏教に関わる食事で、修行の一環として考えられています。
摂生を避け、煩悩を刺激しない、動物性の食材、五菌を使ってはいけない。
五菌というのは、ニラやラッキョ、ニンニク、ノビル、ネギなど、匂いの強いものです。
一方、ビーガンは完全採食主義者、動物性食品をできるだけ取らない。
身の回りのものも動物由来を避ける。
例えば、ウールのマフラー、ウールやシルク、革製品を避ける。
一方、プラントベースというのは、植物由来の食物を主とした食生活を送る。
植物を積極的に摂取するという考えです。
動物性食品を完全否定しないというイメージです。
例えば、野菜のサンドイッチを見てみましょう。
サンドする具材は野菜です。
レタスとかキュウリとかトマトとか。
でも、パンに卵が使用してあるかもしれない。
でも、それは気にしないでいこうというようなイメージなんですね。
では、実際にフォーラムではどんな料理があったかというと、
赤パプリカを大量に入れて熟成・発酵させて作った赤パプリカ味噌を使った味噌汁。
それを冷やし仕立てにして、そこにトウモロコシと豆乳クリームを使ったトウモロコシアイスが浮き身として入っていました。
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想像できますか?
とても珍しい食感でした。
そして、夏野菜の冷やしでんがく。
これはありそうなお料理ですが、だしはすべて野菜でひいてありました。
大根の皮、人参の皮、ごぼう、その他余った野菜を水から入れて、ことこと半量になるまで煮詰めたものをだしとして使用したとのことでした。
京都では、精進料理の地としても、京都はとても有名なところです。
精進料理のだしは、かつお節は当然使えませんので、すべて昆布に依存する度合いが高い料理です。
だけど、昆布というものも、最近は北海道の天然真昆布をよく使用しているらしいのですが、
天然真昆布の生産量は近年激減しており、昆布資源が危機にさらされているという現状があるため、
この研鑽会では、昆布に頼ることなく、時代を見据えた新しい植、プラントベース和食をみんなで研究し、工夫しているという様子が伝わってきました。
京都の神瀬のご主人が、自ら包丁を握り、目の前で料理を仕上げ、それぞれ9つの主食がその都の席に運ばれてきました。
スープあり、和物あり、揚げ物、焼き物、蒸し物、ご飯物、すべて丁寧に作られており、
体に優しい料理を堪能することができました。
今回の料理はとても手間がかかっており、家庭向きとは言えませんが、
素材の扱いや組み合わせ、また料理界の今の流れを学ぶことができたかなと思います。
本日も最後までお聞きいただきありがとうございました。