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2024-10-26 10:00

heldio #98. room の発音はルームならぬルム?

#英語史 #英語学習 #英語教育 #母音 #音変化
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おはようございます。英語の歴史を研究しています、慶應義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点から起こってきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、room 部屋を意味する一般的な単語ですね。
room の発音はルームならぬルムという話題ですね。
これどういうことかと言いますと、room と綴られるこの部屋を意味するよく知られた単語なんですが、一般的にはルームというように長い母音で発音するというふうに理解されています。
実は英語教育でもルームですし、そもそも日本語でもカタカナ書きして音引きを使って長くルームと書くわけですよね。
なのでルムという短い母音での発音というのは妙に感じられるかもしれません。
しかし今の英語では、実はこのルムという短い発音のものが出てきていてですね。
まだマイノリティ少数派ではあるんですけれども、徐々に増えてきているんですね。
これ現代英語で起こっている発音の変化ということなんですが、これは歴史的背景が実はあるんです。
今日はこれについてお話したいと思います。
さて典型的にこのOOで綴られる単語ですね。
これを含むOOを含む単語というのは非常に多く英語に存在します。
そういった単語を思い浮かべてみるとですね、発音として主にですね、2種類あるということを気づくんですね。
1つは長く発音したOOという発音です。
例えば、doom, food, pool, tooth, suit のような単語ですね。たくさんあります。
一方で短いOOという発音になるもの、これも意外と多いですね。
例えば、book, good, hood, look, stood というようなケースですね。
つまりですね、このOOを含む単語というのは多々英語にはあるんですけれども、
基本的にはOOと長く読むか、OOと短く読むかということなんです。
実はさらなる例外として、2語だけあってですね、blood, flood のようにあって読むものもあるんですが、
これはちょっと別のまた話なので、今回は例外としたいと思います。
主にOOと長く読むか、OOと短く読むかというこの二手に分かれるということなんですね。
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どういう時に長くOOと読むのか、どういう時にOOと短く読むのかというのは、
実ははっきりした規則っぽいものはありません。ランダムです。
したがって、つづり事情はOOで一緒なわけですから、我々一個一個ずつですね、
暗記しなきゃいけないということになります。これ非常に厄介です。
じゃあなんでこんな面倒な状況になっているかということはですね、歴収紐を解くとですね、背景は見えています。
まずですね、OOとつづるということからスタートしたいと思うんですが、
これはですね、中英語の時代には、音とつづり字っていうのは基本的に一対一の関係ですから、
このようにつづってOOとそのまま読んでたんですね。
OOとつづるから、OOを2回分長くしてOOという非常に分かりやすい関係です。
したがって先ほど読み上げたですね、現代英語の単語なんですが、
あとすべてOOでつづられる限りですね、中英語の時代、5、600年ぐらい前にはですね、OOと読んでたんです。
ドーム、フォード、ポール、トース、ソード、ボーク、ゴード、ホード、ローク、ストードという具合ですね。
全く例外がなかった。OOと読んでおけばよかったんですね。
ところが1400年ぐらいからですね、ある大きな母音の変化が生じまして、
このOOという長母音がですね、軒並みOOという音になります。
その結果、今読み上げたですね、15OOはですね、こんな発音になります。
ドーム、フォード、ポール、トース、ソード、ボーク、ゴード、ホード、ローク、ストードとなります。
この大変化を遂げた段階で止まってと言いますかね、標準化して現代までいったのが、最初に読み上げた5個、5つの5ということになります。
つまり、ドーム、フォード、ポール、トース、ソードですね。
このように長い発音でですね、そのまま来たというものがあります。
一方で、この後にですね、16、7世紀なんですが、
ある一部のOOを持つ単語はですね、このンだったものが短い母音になって、ウッという風になってきます。
これがブック、グッド、フッド、ルック、ストッドということになっていくわけですね。
つまり16、7世紀あたりにドームを二手に分かれたということです。
先ほども述べたように、どういう時に長い母音のまま残って、どういう時に短い母音になったのかっていうのは、必ずしも予想できない規則があるわけではないという意味で厄介なわけですね。
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大抵この16、7世紀にですね、このンだったものがウッになる、そういう単語が生じてきたということは述べたんですが、
実はですね、これは完全に終わってしまった変化というわけではなくてですね、
現代にまで余波と言いますか、ちょっとずつですね、現代まで続いていて、
要するにこの20世紀、21世紀になって、このウがウになるっていう、この短くなるっていう変化がですね、
ようやくその変化の波が届いたっていう単語が1、2個あるわけです。
その一つが非常によく使われる単語である、今日の話題であるこのルームっていうことです。
3、4世紀前に始まって、当の昔に終わったんではないかと思われるような変化がですね、
いまだにこのルームという単語にはですね、続いていると言いますか、
昨今になって、ようやくその変化の波が遅ればせながら、このルームという単語に届いたという見方でもいいかもしれませんが、
こう来てるんですね。
で、このルームがルムっていうように短くなるっていうこの変化が起こっているわけなんですが、
今どのぐらいの分布かと言いますと、イギリス英語では19%ぐらいがですね、
実はこのルムっていう短い発音なんです。
アメリカ英語でも7%ぐらい、完全な少数派ではあるんですが、これぐらいの割合で存在しているんですね。
ルームではなくルムという人がいるっていうことです。
あるいは個人によっても、あるときにはルームと長い方言で言って、別の機会にはルームと言ったりするっていう、そういう意味でのバリエーションも含みます。
で、面白いのはですね、ルーム単体だったらこれぐらいのパーセンテージなんですけれども、複合語、例えばベッドルームですね。
ベッドルームという時のベッドルームということで考えますと、またちょっとパーセンテージが変わってくるんですね。
これはイギリス英語でのデータなんですけれども、先ほど述べたようにルーム単体だとルムと短く言うのはまだ19%ぐらいに留まっているんですね。
ところが複合語のベッドルームになると、このルムという読みがですね、37%、つまり倍ぐらいに増えます。
これはですね、複合語っていうのは二音節語ですね、ベッドルームっていうのは。
長くなります、全体が。そうすると各パーツですね、ベッドの部分とルームの部分をなるべく短く言うようにして、全体として長くなりすぎないようにというプレッシャーが働くんですね。
なので単体のルームに比べればベッドルームのように複合語系の方がですね、全体として短い発音を好むという傾向があるので、
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ルムとなるという確率が高いということはこれ予想できることなんです。
実際に倍ぐらいのパーセンテージですね。37%というと決して低くないですよね。
非常に多くの人が今ではですね、ベッドルーム、ベッドルーム、ベッドルームではなくベッドルームというふうに発音するということになっているわけです。
これなど今後も追っかけていきたい発音の変化なんですが、
実は背景としては16世紀、17世紀あたりから続いている、つまり4、500年ぐらい続いている長い変化の、今末端というか終わりではないのかもしれません。
今後も続くかもしれませんが、そのぐらい長い歴史を持った発音の変化だということです。
それではまた。
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