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2024-10-13 10:00

heldio #85. キシリトール xylitol がザイリトール?

#英語史 #英語学習 #英語教育 #発音 #x #子音 #綴字
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サマリー

ポッドキャストのエピソードでは、キシリトールとザイリトールの発音の違いが言語間の誤解を引き起こすことについて話されています。特に、日本語と韓国語における表現の違いは、英語の起源から派生していると解説されています。

キシリトールとザイリトールの誤解
おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、キシリトールがザイリトールという話題です。
これは、つい最近、私のゼミに所属する韓国人の留学生からもらった貴重な素朴な疑問です。
その彼が、日本人の友達と一緒に買い物に行った際に、レジの近くにキシリトールが置いてあるというのを見て、
その韓国人の彼は、ザイリトールも一緒に買うとその友人に聞いたというんですね。
するとその友人、日本人の友人は、ザイリトール、何それという反応だったということです。
これ、日本語ではキシリトールと言いながらはしているものですね。
ところが韓国語ではこれをザイリトールと呼んでいるということで、一瞬何のことを指すのかというのがお互いミスコミュニケーション、よくわからなかったというような状況があったということなんですね。
これは英語としては変な綴りで、XYLITOLという綴りなんですね。
Xで始まる単語というのは非常に少ないわけなので、非常に目立つわけですが、これ確かにXで始まるので、クシリトールとかキシリトールというような、日本語で言っているキシリトールに割と近い気がするわけなんですが、
これ英語ではザイリトールというようにZの発音ですね。Xで書いてあるのにズの発音で読まれるわけですね。ザイリトール。
とすると、これはもともと西洋の単語なわけなんですけれども、これが日本語に入ってきたときにはローマ字通りというんですかね。クシリトールとかキシリトールという言い方になるわけですが、韓国ではこれをある意味英語風にZという語頭音で受け取って、ザイリトールという言い方が一般的だそうなんですね。
これによってちょっとした語頭音の違い、それからちょっとしたミスコミュニケーションにつながったということなんですね。これはどちらが正しいか間違っているかという問題ではないんですね。
このXをどう読むかということで、言語によってばらつきがある。さらに英語でもちょっとした歴史があるということなので、これについて話していきたいと思います。一般にはこのキシリトール、いわゆるガムの商品名として有名なわけですが、これはもともと科学物質の名前ということなんですね。
科学物質というのはややこしい名前とか小難しい名前が多いですね。だいたいギリシャ語なんかを起源とした造語であることが多いです。
ただ発見したのは近代の西洋諸国ということで、実際にこの単語もキシリトールもクシュリットという形で、ドイツ語で1891年に名付けられた科学物質、天然に存在する五炭糖アルコールというんですかね。
五つの炭素の糖からなるアルコールということで、ドイツ語でクシュリットというように、このように発音されたギリシャ語に由来する要素を使った合成語、科学用語、専門用語ということなんですね。
このドイツ語ではクシュリット、あるいは大元といいますかね、その要素の起源であるギリシャ語でもクスという音で始まるこの要素を使ったわけなんですが、英語ではクスという死因連続で語を始めるということはできないんですね。
これは音素配列規則といって、ある言語では許されるけれども、別の言語では許されないというような、ある意味規則みたいなのがあるわけです。
ちょうど日本語も、うんというのは語中とか語末に現れることは全く問題ないんですが、語頭に現れることはできませんよね、というふうに、別に言いにくいわけではないんです。
うんはどこでも出ますから、だけど語頭には現れてはいけない、うんはですね、というような規則が日本語にはあるわけです。
同じようにですね、英語なり他の言語にもですね、ある種の音素配列規則というのがありまして、英語ではこのクスで始まることができないというわけなんですね。
とすると、じゃあどう発音すればいいのかということなんですが、英語では大体Xで始まるものが、ズですね、この音で実現されることが多いんです。
ただそもそもですね、英語にはXで始まる単語というのが本来的には少ないということで、ほとんどがですね、外から入ってきた単語なんですね。
それを発音しづらいので、ズと発音するということで、例えばですね、XENOPHOBIAなんてのがありますね。
X E N O P H O B I Aということで、外国人嫌い、XENOPHOBIA、XENOと書きますがXENOPHOBIAと言いますね。
それからコピーで有名なXEROX、XEROX、これもX E R O Xということですよね。
それからXYLOPHONEというのもありますね。X Y L O P H O N E、いわゆる木金とかシロフォンと言ったりするものですが、これXYLOPHONEという発音ですね。
それからソクラテスの妻、日本語ではXANTHIPPEなんてですね、ギリシャ語のそのままの文字で読むわけなんですが、
英語的にはXANTHIPPEというふうにZの音で読んだりするわけですよね。
このようにXで始まると英語ではズと読むというのが一つの決まりということになっている。
じゃあこのズっていうのはどこから来たのかということですね。
言語間の違い
Xのはずなのがズになっているっていうのは妙な感じがしますよね。
じゃあこれはなぜなのかということなんですが、近代英語の歴史をひもときますと大体こういうことだということがわかってくるんですね。
もともとXであると。
ただこれが中世や近代の英語話者はXそのものではなくて、これが濁った形のグズと読む傾向がどうもあったようなんです。
これ実は英語話者だけではなくて、当時中世近代のフランス語話者もそのような癖があったようでグズって読んだんですね。
ですからXANTHIPPEの例で言えばXANTHIPPEのように発音していた。
大元はそういう発音だったっていうことなんですね。
ところが英語ではXは愚かですね。
これが濁ったグズで語を始めるということも許されない。
そういう音音規則、音素配列の規則がありますので、これはどうにかして回避しないといけないと。
いくつか回避法はあると思うんですね。
グズと詩音連続してるからいけないんだって、グとズの間にちょっとした曖昧母音を挟み込んで、例えばガズガズぐらいに言えば言えないこともないという解決法もあったんですけれども。
ある意味簡単なやり方としてはですね。
グが最初にあるからいけないんで、ズだけで始まるということであればOKであるということでですね。
どうもグが徐々に消えていったらしいんですね。
その結果XANTHIPPEとかXEROXであるとかXENOPHOBIA、XYLOPHONEという風になった。
つまりグズのつながりからグというのが落ちてしまったが故にズになってしまったということなんですね。
ということで誤答のXで綴られるものをですね。
ズと読むのは極めて英語的な発音ということになります。
そうではなく文字通りXとかキシと読むのは大元のギリシャ語であるとかあるいはキシリトールの話で言えばそれを作り出した同一語に由来するということで。
日本語としてはですね。この言語的なXあるいはキシという音を取ってキシリトール。
そしてどうやら韓国では英語のザイリトールというこのズの発音を取ってザイリトールと言っている。
このような形でアジアの2言語においてでもですね。この方針が異なっているということだったんだと思います。
それではまた。
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