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2023-05-23 12:32

読書ラジオ『赤い月の香り』千早茜

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こんばんは、ゆうこです。このチャンネルでは、私の読書ログや日々の学びを音声配信しています。
今日は、千早茜さんの『赤い月の香り』という本について話してみようと思います。
先日、千早茜さんの『透明な夜の香り』という本について話したんですけれども、
その続編となります。『赤い月の香り』ということで、
4月に発刊されたばかりの本なので、直木賞を受賞されてからの第一作目という形になるかなと思います。
カフェのアルバイトをしていた朝倉美鶴は、客として来店した小川作に、自身が暮らす洋館で働かないかと勧誘される。
作は、人並外れだ嗅覚を持つ聴講師で、幼馴染の探偵新庄と共に依頼人の望む香りをオーダーメイドで作っていた。
美鶴は作の下で働くうち、やがて仕事に誘われた本当の理由を知り、
天才聴講師のもう一つの物語、『透明な夜の香り』に続く続編。
君からはいつも強い怒りの匂いがした。
ということで、登場人物は前作と一緒ですね。
天才的な嗅覚を持つ聴講師の小川作と、その幼馴染の探偵新庄。
前回は若宮市香ちゃんという女の子がアルバイトで洋館で家政婦というかね、働いていたんですけれども、
市香ちゃんのその後のお話という形になりますね。
最初はね、朝倉美鶴がカフェでアルバイトしているところに、作と新庄が突然現れるという、
前作を読んだ私からすると、作がそんな街中のレストランにわざわざ出向くなんて、
よっぽどの事情がないからそんな行動しないだろうっていう驚きのシーンから始まるんですよね。
それこそが本当に後々にわかることになるんですけれども、
なんで作が美鶴の元に現れたのか、働かないかという形で勧誘したのか、その理由につながっていくわけですね。
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その理由の重みがあったので、わざわざ出向いていったということですね。
そんな意外なシーンから始まるわけですけれども、結構ね、物語が進んでいかず、結構前半はジリジリとします。
要するになんで美鶴を勧誘したのか、美鶴はどんな過去を背負った人なのかっていうのが、なかなか明らかにされていかないんですよね。
この本のタイトルでもある赤い月の香りということで、前回は透明な夜の香りでしたが、今回はね、
透明だった色が今回は赤で、前回は夜でしたが、今回は月ということで、赤と月というものがメタファーで出てくるわけですね。
それが美鶴の抱える過去とつながっているキーワードでもあるということです。
そうですね、いちかちゃんが出会った後の策は、やっぱり出会う前の策とはまた違うわけですよね。
少し変化があった後の策だからこそ起こした行動だったのかもしれないし、その後のいちかとの関係性、関わり方っていうのはどういうことになっているのかっていうのも
とても気がかりだったので、その辺も話の中に出てきて、そうなるんだっていうふうにちょっと面白く読みましたね。
私が個人的に気になったシーンとしては、前作に続いてその策のもとにオリジナルの香りを作ってほしいという依頼人がやっぱり今回も何人か出てきます。
その中の一人女性がいるんですけれども、この人の依頼は嗅覚を取り戻す香りを作ってもらいたいということでした。
それは不可能ですっていうふうに策は答えるんですよね。
アノスミヤと言って、嗅覚を失うという意味なんですけれども、匂いを感じる力がない状態のことを言います。
なのでこの人は策のもとに現れた時に、すごい柔軟剤の強い香りと共に現れたんですよね。
匂いがわからないので柔軟剤をどれだけ入れれば適切な香りなのかということがわからない。
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嗅覚を失っているという一つの現れでもあるわけですね。
それに対して策は、何らかの原因で鼻と脳をつなぐ神経回路が切断されている可能性がある。
脳と周辺神経細胞の問題です。
匂いが脳に届かないのですから香りでは解決できません。
それに対して原因は何ですかっていうふうに聞くんですけれども、人それぞれです。
腹鼻空の病気、感染症、頭部外症などが挙げられる。
なので僕では解決できないので専門家に見てもらうことをお勧めします。
もしも本当にあなたが治したいと望むなら。
策はそういうふうに伝えるんですよね。
なぜこれが私が引っかかったかというと、
私はその腹鼻空の病気があって、1年か2年それぐらい嗅覚がない状態で過ごしていた期間があったんですよ。
あの匂いがわからないってやつですね。
なので、こういう私と同じだなと思ってすごい刺さったっていう、ただシンプルにそれだけなんですけど。
ですが今回の赤い月の香りに出てくるこの女性が自分と同じ境遇に置かれているかもしれないっていうのを見たときに、
少しちょっと自分ごとのように読んだんですよね。
話が進んでいって、策は記憶と匂いっていうのは直結する五感の中で、
五感の中で嗅覚だけが脳の会話に直結していて、香りによって記憶を呼び起こす、その鍵になるんだっていうふうに言うんですけど、
そういう観点で言うと、私はその匂いがわからなかった1年2年の間は、匂いによって記憶をするっていう機能が失われてたわけですよね。
なのでその2年間の記憶がもしかしたら、ちゃんとその会話の中に保存されているのか、適切にそこから引き出せるのかっていうことが、もしかしたら欠落しているかもしれない。
その時、嫌な出来事があったのかもしれないんですけど、それは覚えてなくてもいいとして、すごい感動的なことだったり、人生に影響を与えたような大きな出来事がもしあったとしたら、
それは、永遠に引っ張り出せない記憶として私の会話に眠っているのかもしれないなと思うと、ちょっとゾッとするなと思いましたね。
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すごい横道にそれた話をしてますけど、やっぱり鼻の病気がある人を早めに治した方がいいなとは思いますね。
そんな下世話な話をしたいわけではなくて、この千早茜さんの赤い月の香り、前作と同じように、やっぱり作っていうのは天才ならではの行動、常人では理解できないような
価値基準だったり、行動、得票しもない発言っていうのをやっぱりするんですよね。でもそれは、よくよく丁寧に読んでみると、作なりの基準があって下した判断だったりするし、
それを理解しようとするのではなく、そういうもんなんだというふうに受け入れていく。そういう作にも、そういう人間らしさの部分があるっていうことを重要していく、周りの
いちかだったり、しんじょうだったり、玄さんという人たちがいる中での作の振る舞いっていうことで、少し前作よりかは家族に近いようなつながりがある人たちの物語なんじゃないかなというふうに読みました。
だからこそ、今回登場する三つる、桜三つるが孤独を抱えて、なかなかその人と交わっていけない人生を歩んでいるっていうことが浮き彫りになってくる。そういうところが、もしかしたら作が行動した背景にあるのかもしれない。
前作の透明な夜の香りを読んだ時に、この小説の背景にあるのは、もしかしたら執着というテーマなのかもしれないという話をしましたが、ちょっとそれは当たっているかもしれなくて、
この赤い月の香りの話の最後に、その執着について作がある一定の自分なりの答えを出すという場面も出てきます。
それを読んだ時に、うーん、そうなのか。なるほど、作らしいのかなというふうに妙に納得してしまいました。
透明な月の香り、透明な夜の香り、前作を読まれている方は、とても気になっている続編だと思います。
赤い月の香りもとても面白かったので、ぜひ皆さんに読んでいただきたい本だなと思いました。
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ということで今日は、千早茜さんの赤い月の香りについて話してみました。
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今日も最後まで聞いていただいてありがとうございました。ではでは。
12:32

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