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2010-11-16 16:49

vol.1-3「美大に入らなくても学芸員になれる」天野太郎(横浜美術館主席学芸員)

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横浜美術館で見つけた人たち
アートの魅力をもっと伝えたい
本番組は、そんな思いの横浜美術館が、インタビューの職人、早川洋平とタッグを組んで生まれました。
横浜美術館で見つけた、アートに関わる人たちへのインタビューを通じて、アートの魅力を発見していきます。
前々回にわたり、天野さんには、そもそもの現代アート、ここがわからないということで、歴史的な背景だったり、アートとの付き合い方、こんなところをお聞きしてきたんですけど
ここからはですね、僕自身も非常に興味がある、実際、美術に興味ある人も知りたいところだと思うんですけども
学芸員のお仕事、天野さんご自身、横浜美術館の主席学芸員ということで、学芸員としての当然顔があると思うんですけども
学芸員っていうと、やっぱり美術館にいる人で、何かやってるのがわかるようなわかんないようなっていうところがあるんですけども
改めて学芸員って何をしてる人なのかっていうところ
そうですよね、これ学と芸でついてるんですけどね。学はわかりますけど芸もするのかなっていう
これもね、前回お話しした中で、ほら近代は19世紀から始まったんですって言ったでしょ
今ほら、どんな国行ってもどんな街、日本の国内でも大抵美術館ってあるでしょ
海外行きゃ有名な美術館がたくさんありますけど
ああいう美術館ができたのも、実は19世紀なんですよ
それまではっきり言ってなかった
要するにそれまではっきり言ってなかったというのは、それまで美術がなかったわけじゃないんですよ
美術がなかったわけじゃないし、皆さんもご存知っていうか、リオナルド・タヴィンチとかね
ミケランジェロとかそういう人がたくさんいたわけで
ただそういう人の作品を見せる場所としての美術館
美術館というのはつまり、ある意味で言うと誰が来てもいいですよっていう
皆さんどうぞっていうね
公共機関ですよね
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だからその公共機関みたいな、公共みたいな考え方がそれはなかったので
前も言ったけど王公貴族ですから、とにかく自分のために見ればいいんで
人々のために別に関係なしでやってたからね
そういうものを全部、世界中からいろんな
集めてきて、集めてきてっていうのはちゃんと買う場合もあるし
踏んだくってくる場合もある
ロンドンのナショナルギャラリーなんて、いろんな国からも今返せって言われてる
ギリシャから返してくれとか、だから戦利品でもあるんですけど
そういうふうにして、ほら美術館ができました
世界中からものはガンガン集めました
って言うと、いくら並べればいいって言ったって
そんなわけにもいかないでしょ
もっと言うと、これもちょっとやや真面目な話で嫌なんですけど
そもそもその時の美術館って国を代表するね
例えばフランスの美術館ならフランスの美術
フランスの美術が世界一みたいなふうにしなきゃいけないでしょ
それをほら、ものをたくさん集めたやつを分類したりとか
いちいち題名つけたりとか
それを整理するばかりじゃなくて
一堂にこう返してね、見せなきゃいけないじゃないですか
その見せ方も年代順に見せるのか
テーマごとに見せるのか
いろいろあるでしょ、見せ方も
まずはそういう分類してどういうふうに展示をしていこうか
っていう仕事をさせるやつがいるよね
っていうふうに考えるわけです
誰がそんなことできるっていう
そこでそういう美術館、博物館に
そういうことができるような人たちを集め
それが元々学芸になるんですよ
だから今言ったように
そういう作品を分類したりね
誰の絵かわかんないときに
それを誰が描いたか突き止めたりとか
っていうふうな仕事をしたりとか
あるいは展覧会をしたりということなんですよ
よくこの学芸人と同じ言葉かわかんないですけど
使われるのはキュレーターってことをよく聞くんですけど
これは同じなんですか
あのね、そうですね
これどういうふうに言うと一番
分かりやすいかないとあるんですけど
ベースボールは野球でしょ
大リーグのベースボールも野球じゃないですか
一緒じゃないでしょ
いやいや、考え方がね
ちょっと違うでしょ
例えば今ほら
大リーグなんかはテレビでね
衛星なんかでやってるでしょ
日本でも当然プロ野球の中期やってますけど
日本の場合はね、例えばね
ストライクがあってボールがあってアウトの数
順番逆でしょ、アメリカって
気がつきました?
全然気づかなかったです
ボールが最初に来るんですよ
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ストライクがその次とかね
同じなのにちょっこち違うんですよね
もともと発祥の地はアメリカですけど
そういうふうな意味では
同じような意味なんだけど
ちょっと違うかないっていうのがあるのが一つと
それが国によって制度が違うので
例えばフランスはもう国家試験で
なんでだって国家公務員の試験を受けて
資格がない人しかできないんですよ
そうなるとね
誰がチャンスがあればなれるんですよ
じゃなくてとにかく国家試験を通らないと
これもかなり難しいんですよ
そういうのと
例えば日本の場合は一応国家試験なんてないので
資格を持ってそれぞれの美術館の試験を受けるだけなんでね
アメリカの場合も特に国家試験はありません
全部いるのかと思って
だから国によって違うので
フランスの場合なんかやっぱり
それだけ難しい試験を受けたりしてるし
大学の教授並みの社会的ポジションだったりするんですよ
だから国によってニュアンスも制度もちょっと違うので
カナーシュも英語のキュレーターと
フランスはコンセルバドワールとか言ってるんですけど
学芸人と同じかいって言われると
ちょっと同じとは言えないかもしれないですね
制度が違うっていうのはあるいっぱいありますけど
やっぱりこんな時代にこの日本で
やっぱり学芸人という仕事をやってみたいっていう人はですね
もちろん国家試験はないけど試験はあるんですか
民間試験
だから入社試験みたいな試験ありますね
なのでその美術館その美術館でいろんな基準もあると思うし
タイミングとかもあると思うんですけど
たぶん今までこれまでに
天野さん僕学芸になりたいんですけどって
いっぱい話してきてるかなと思うんですけども
そんな方に向けたアドバイスも含めてですね
この番組を通してやっぱりなりたい人に
マインド的なことでもいいんですけど
こういうことだけはした方がいいんじゃないかな
あんまりちょっと文切り方になると面白くないですけど
あえて天野さんからもしお聞きできるとしたら
何がヒントになるのかな
そうですね
これもだから
それは違うという風に言われる方は
随分多いかもしれないということを前提に言いますけど
美術
学芸員の人ってね
まずもってほら一般的にはね
美術大学で絵を描いてたり
彫刻してたんですか
ほぼほぼ9割そんな人いないです
9割いないんですか
9割方が美術師っていうね
歴史家あるいは美学っていうね
哲学なんですけど
大抵そういう理論を勉強した人ばっかりなんですよ
自分で描けないのに偉さのこと言ってるんですけどね
いうのが大抵でほとんどいないですよ
ほとんどいない
まあいたとしても昔は描いてたけど
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今も全然描いてませんとかっていうことなんですけどね
それで一応大学でそういうことを勉強できるじゃないですか
美術師とか美学とか絵っていうの
だけどそれはね
他の何かほら物理学とか
例えば法学で法律を勉強するとか
なかなか自分では難しいでしょ
やっぱり先生というか専門家によく教えてもらわないと
どう勉強してるかわかんない
だけど美術は
ここは意見の分かれるところですけど
私はねどんなの自分で十分できるので
例えばですね
すぐに就職できなくても美術館に就職できなくても
例えばマーケティングの仕事をしたりとか
広報いったら同じようなことかもしれないですけどね
あと人と人との間を入ってコーディネーターの仕事をしたりとか
たくさん人と接するようなコミュニケーション能力を問われるような
他の職種の仕事っていくらでもあるでしょ
ずっと研究してればいいっていう仕事じゃなくて
そういう仕事をしてキャリアを積んでる人が
自分でこつこつ勉強して
暇さえあれや実物を見に行くようなことを積み重ねていけば
チャンスが来たときに
もちろん美術の勉強も自分でまがいなりにしてるというものの
そのキャリアを踏んでた経験が
ものすごく美術館で生きていくので
美術一本やりというのは
そんなの自分でできるので
できるせいぜいそういう分野だと思うので
もちろんたくさんね本を読んだりとか言うのはすればするほどいいんです
それに越したことないし
わからないときに聞けるような先生がいるというのはありがたいんですけど
他の学問に比べればね
むしろ社会人としてさっさと出て行って
そういう経験を積んで
そういう話は後で出るかもしれないですけど
語学のスキルも持ってて
例えば旅行のツアーガイドみたいな仕事でも構わないと思うんですが
それはやっぱりコミュニケーションがいるし
違う国に行ったりとか
日本の国内だってね
違う地域に行けば
いろいろ文化が違うところまで行かないかもしれないけどね
そういうのを自分なりに見つけ出して
それを皆さんに紹介していくという仕事なんて
まさに美術館と同じような仕事なんですよね
だからいくらでも就職がある職種じゃないことは間違いないんですけど
逆に言うといつでも準備をしてるっていうかな
それはやっぱりそういう仕事でもって十分僕は
逆に言うとそういうキャリアをあの人は欲しいぐらい
今まで天野さんご自身も学芸員ですけども
たくさんの学芸員を見てきたと思うんですけど
今のお話に照らし合わせて
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具体名は出せないと思いますけど
本当それこそ全然畑違いのところに行ってて
今学芸員として活躍してるみたいな
そういう人っていますか
いますよ
特に面白いよね
面白いかどうかわかんないけど
誰とか言えないけどこれ言うとほとんど誰かわかっちゃうけど
去年の横浜の映像祭で
そういう仕事をキュレーターみたいな仕事してたのは
言っていいのかな
名前言っていいのかわかんないけど
放送局
もともと放送局に勤めてましたね
これも茨城県の某水戸のアートセンターがあるんですけど
独立した人いるんですけど
銀行員ですよ元
銀行員から学芸員ですか
確か銀行員だったと思いますけど
だからそういう異業種の人たくさんいますよ
僕の知ってる人で
国立の学芸員の人
今結構課長さんぐらいになってる人なんですけど
この人は理工学部でしたからね
全然バックグラウンド違いますよね
理工学部ですよ理工学部
そうかそんなお話聞くとやっぱり
もちろん大前提として
美術の勉強をすることは大事だと思うんですけども
例えばそれで就職試験でどこかの美術館受けて
その年度全部落ちちゃって
じゃあ次の年も受かるためにガリガリガリ勉強するか
そういう考え方もありかもしれないですけど
やっぱりそういう考え方だけじゃなくて
広く社会を世界を知る他のね
チャンスがなければ仕事多いっていうのは
もう愛だと思いますよ
今までのその他でやってたキャリアンが
絶対に生きてくるっていう
まあ誰だってね
どんな職業でも生きないことはないので
そこそれがしかも今
ここで多分お話したと思うんですけど
美術館とかね
博物館とか図書館も今そうですけど
今大変な時期で
だけど大変な時期だからこそ
頑張ってほらサービスを
やんなきゃいけない時代に入ってるでしょ
今までやったことがないことを
じゃあできるかいっていうと
そういう経験が
サービスの経験がないところじゃ無理じゃないですか
ところが世間で普通にこうやっぱり
マーケティングしたりとか広報したりとか
サービス業をやってるような人のスキルっていうのは
ものすごく
需要が増えると思う
だから美術のことはよく知ってるっていうのは
それに越したことはないんだけど
プラスねここはこういう風に広報した方がいいんだよ
っていうのを知ってる人っていうのはね
俺は戦力になりますよ
今日のポッドキャストはいかがでしたか
番組では
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dsumon
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それではまたお耳にかかりましょう
ごきげんよう
さようなら
この番組は
企画制作
横浜美術館
音楽
宮浦清
制作協力
若菜はじめ
ナレーション
清水夏実
プロデュース
インタビュー
キクタス
早川洋平によりお送りいたしました
16:49

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