競争戦略の概要
こんにちは、ゼロトピックです。 今回は、競争戦略について話していこうと思っています。
今回と次回、2つに分けてお話ししていこうかなと思っていまして、
初回である今回については、その競争戦略のフレームみたいなものについて、 現時点で自分が考えていることをお話しできればと思っています。
次回後半は、そのフレームに当てはめた時に 10X の競争戦略みたいなものを社内向けに書いたドキュメントがあるので、
それに基づいて公開できる範囲に留めてお話しできればなと思っています。
まずはじめに、競争戦略とは何かみたいな定義だったり、 なぜこれについて考え始めたのかというところからお話ししたいなと思っています。
競争戦略の定義自体は、事業における競争環境を正しく認識して、
その競争環境の中で有意なポジショニングを作る、得る、 そのための方法論を検討するのが競争戦略の目的かなと思います。
ただ、今事業のっていう話をしたんですが、 会社経営とか企業経営みたいな文脈で言うと、
事業は一つの事業の会社ももちろんあると思うんですけども、 会社経営における一つのパートに過ぎないケースっていうのも多々あるかなと思っていまして、
その意味では競争戦略っていうのはパートオブストラテジーというか、 戦略の一部であるっていうふうに捉えられるかなと思っています。
次に、なぜ競争戦略について考え始めたのかっていうちょっときっかけの部分で、
これを考えた、あるいはドキュメントを記述したのが、 昨年2024年の7月、考え始めたのは6月ぐらいなので、
実は結構時間が経っているものです。
その当時に考えていたものとして、きっかけが3つほどあります。
1つ目は現状の我々がやっている事業を冷静に客観的に見つめ直したいというふうに思いました。
今の手がけている事業を経営理論的にどう評価できるのかですとか、
あるいはそれを客観的に見たときに、そもそも課題だったり問題っていうのはどこにあるのか、
そういったものを考えるフレームワークとして競争戦略というフレームワークを1つ用いたいなと思った。
それが1つ目の背景、きっかけになります。
2つ目はですね、新しく昨年新規の事業を作り始めるということを捉えました。
そのときに再現性を持って良い競争環境を作るにはどうしたら良いのだろうということで、
それを考える上で1つ客観性を競争戦略というものに求めたというのが2つ目の理由になっています。
特に自分たちがやってきた今のステイラーネットスーパーという事業、
あるいはそれによって参入しているいわゆる小売向けのeコマースシステム、
スーパーマーケット向けのネットスーパーシステムという市場の中では、
我々の事業は競争という観点でいうとそんなに意識する必要がなく、
相対的にも有意なポジションを作ることができたのではないかなというふうに思っています。
これはラッキーな部分だったり、いろんな外部環境が織り重なってできたものだとも捉えていて、
これから漕ぎ出す新しい事業について必ずしも作った事業で相対的な競争優位性を持てるかというと、
そうとは限らないというふうに思っていました。
なのでこれから作る事業においても相対的に優位性を作るためにはどうしたらいいんだろうということを考える上で、
既存の事業の競争背景を整理するというのは有意だろうなと思って、これが2つ目の理由となりました。
3つ目は今後の事業、今の相対的には有意だと言っているようなステーラーのネットスーパー事業みたいなものについても、
今後の判断を誤らないためにはこういったフレームを使って現状なぜ我々が有利にワークしているのかということを理解するのは重要なことなんじゃないかなと思った。
大きく言えばこの3つ、やっぱりこのステーラーという既存の事業を経営していく中で、
自分の中に芽生えた課題意識とか疑問みたいなものを解消するために少しこの戦略というもののフレームを借りようと思ったのが、
今回のきっかけですね。
競争戦略の目的と利益
初めにこの競争戦略を考えるにあたって一冊の本を中心に考えました。
それは一橋大学の教授をされている楠木さんという方が書かれたストーリーとしての競争戦略という結構前の本があるんですけども、
この本を通読しまして、あとは彼の考え方みたいなものを結構YouTubeだったりWebメディアだったり、
あとは文献ですね、論文だったり、そういうものを引用してきて、
一通り自分の中に下ろした上でどういうふうに考えるのかというところをドキュメンテーションをして整理をしていったというところになります。
そもそも競争戦略とは何なのかというところ、そのゴールというか目的は何なのかという話を次にできればと思うんですが、
競争戦略の目的というのは長期の利益を極大化する、最大化するため、これがゴールであって、
そのためのハウとして競合に対するポジショニングを定める、そのためのフレームワークであるというふうに位置づけています。
これは企業の単位ではなくて事業の単位で成立します。
わかりやすい例で言うと、僕らが例えばSI事業みたいなシステムインテグレーション事業と、
またウォーターサーバーを売る事業みたいなものを2つ持っている会社だとしたときに、
この2つの競争戦略には全く共通性がないと思うんですよね。
なので競争戦略というものは基本的には事業の単位で成立させるものではないかと思っています。
1つこのストーリーとしての競争戦略の中から引用したい箇所がありますと、
企業が目指すべきゴールとは本当のところ何なのでしょうかというのが、
この本の文献の冒頭で問いとして出てくるんですね。
これ聞いてくださっている皆さんも少し考えていただきたいんですけれども、
7つ選択肢がありますと、1、利益、2、シェア、3、成長、4、顧客満足、5、従業員満足、6、社会貢献、7、株価。
この7つのうちどれをゴールとして目指すのが企業にとってもリアルなのかというのが1つ問いとして投げかけられています。
先ほど少しお話ししたんですけれども、競争戦略のゴールというのはこの7つのうち利益をゴールにします。
もう少し詳しく言うと長期にわたって持続可能な利益、これを大きくするということがゴールになっています。
長期というのは市販期というかそういった単位ではなく、5年10年ぐらいを指しますというふうに定義されていますね。
これ当たり前といえば当たり前に聞こえるんですが、例えばシェアを上げようと思ったときには競合と比べて価格を半分にするとか、
そういった戦略を取ればおそらくシェア自体を上げることはできるというふうにくすのきさんおっしゃっているんですね。
ただそれではやはり会社が潰れてしまうとか、中長期で見たときの成長というのは難しくなるとか、いろんな課題が出ますよねと。
それは同じように成長とか顧客満足とか従業員満足とか、こういったものを持続可能な形で増加させていったとって最終的なゴールとはならないというふうに書かれていて、
やはり利益だけが企業あるいは事業の経営努力の中で目指すべき最終ゴールになっていくし、
逆に言うと利益を追求する過程でこれ以外の要素っていうのは伸ばすこともできるんじゃないかっていうふうに整理できるのではないかと思っています。
競争戦略の事例
この点に私もすごく共感したところがあります。
じゃあ利益っていうものがどうやってできてるんだっけっていうのが次の話になってきます。
この本の中では利益っていうものを3たす1の4つのレベル構造で分解しているんですね。
競争戦略の先ほど目的が長期利益の極大化だっていうふうに定義したときに、
レベル1の利益っていうのが外部環境の追い風による利益。
レベル2が事業ドメインによる利益。
レベル3が競合との違いによる利益。
そしてレベル4が相対的非合理による利益という形で4つのレイヤーに分かれています。
このうち競争戦略として扱えるものはレベル3、レベル4この2つの利益だっていうふうに定義できるなと思っています。
要は競合との違いをどう生み出すかということと、非合理的なものによって逆に利益を生み出すっていう。
この2つが要は企業間の差異を生み出すことによって作られる利益であり、
すなわち競争にかつ戦略の中で生み出される利益だっていうふうに書かれています。
逆に言うと例えばレベル1の外部環境の追い風による利益、
例えばコロナ禍でのマスクとかそういったもので出る利益っていうのは短期的なインパクトは大きいんですが、
この競争戦略の目的としている持続可能な利益にはつながらないものですよね。
2つ目の事業ドメインによる利益みたいなものも実はかなり外部依存が大きいもので、
わかりやすい例だと何だろうな、
例えばソフトウェアを売る事業として前々回のポッドキャストでSI事業とSaaS事業っていうのがあります。
SI事業の営業利益の中央値はこのぐらい。
SaaS事業の営業利益の中央値はこのぐらいっていう話をしたかなと思っているんですが、
これこそまさに事業ドメインでほぼほぼ利益率っていうのの範囲というか分散の幅が決まってくるっていう話だと思っていて、
その業界あるいはドメインを選んだ時点でこういう規模のこういう利益が出るってところは一定の範囲が決まってくるっていうものだと思っています。
ただその中でいかに高い利益、分散の中の上を取れるかっていうのがまさに競争戦略であり、
それがレベル3、レベル4の自社の努力による利益なので、
この競争戦略っていうのはやっぱりあくまで自社にフォーカスを向けて語られるべきものなのかなと自分は認識しています。
そう定義すると競争戦略っていうのは特に長期にわたって競合他社とどうやって違いを生み出していくかっていうのが問いなのかなというふうに思っています。
例えばこういったものの事例として、この本の中では2つぐらい自分が好きな事例が書かれています。
一つ目、アパレルでの事例なんですが、いわゆるレッドオーシャンであるアパレル市場において、
トラジショナルなビジネスモデルっていうのは年に1回コレクションを実施して、そこでトレンドセッティングをして売れるものが決まっていくっていう世界なんですよね。
これはほとんどこの本だったりいろんなところで勘だっていうふうに書かれているんですけども、センスですね。
過去一つのSKUで最大販売できた枚数の、最大販売枚数を記録しているギネス記録を持っているのは、ギャップのカーキっていうパンツだったんですよね。
血のパンかな。これが0.9億枚累計販売。これがギネスの記録だったっていうのが過去1990年代ですと。
ユニクロの競争戦略
そこが2000年代になってゴロっと変わるんですよね。それを変えたのがユニクロですと。
ユニクロのヒートテックっていうのが数十億枚売れたっていう記録を2桁ぐらい変えるぐらいの売れ方をしているっていう、そういった記録を出していて、
このメガヒットを出すだけではなくて、毎年同じ商品を機能追加して繰り返し生産するっていう形で世界一に踊り出たっていうところがあります。
ユニクロは同じ製品を毎年大量に発注するので、サプライヤーから見ても発注量が多くて、
要はユニクロと一緒に成長しやすい。ユニクロに別途すると一緒に成長できるっていう意味でも結構好まれたんじゃないかなっていうふうに思っています。
こういったいわゆるトラディショナルなアパレル業界でのドメインでの勝ち方みたいなもの自体を他社とまるっきり違うポジショニングを取る。
あるいはこのユニクロのヒートテックの例以外にも相対的な非合理を用いることで利益をもたらした結果であり、競争戦略の強さとなっている。
こういった事例が一つ書かれているんですね。
もう一つがスターバックスです。スターバックスというとスペシャリティコーヒーというドメインかけるサードプレイスを提供するという二つ目の掛け算を独自の戦略を取っています。
ただ一方でスターバックス以前のコーヒーチェーンというのは一般的にはフランチャイズ展開が通例でして、例えばドトールさんとかそういったモデルを採用されています。
ただその中にあってスターバックスは異例の直営展開を続けて、株主からもやっぱりこうなんでそんな効率の悪い成長の仕方をするんだというプレッシャーを受け続けたらしいんですね。
彼らのIPOが1992年なんですが、それ以降の新規出展もやっぱり直営で行っていると。
IPO直後から3年間で500店舗以上出展したんですが、初期投資だけでも1店舗あたり平均で23万ドルかかると。
これ日本円で今の1ドル150円とかで直すとどのくらいだ。
分かんないですけど3000万円とか4000万円とかそのくらいかなと思います。
すごい金額を500店舗分出すというので要はキャペックスの重いビジネスになっていく。
なんでそんな非効率な成長の仕方をするんだと株主からプレッシャーを受けることも何かわかるなと思っています。
ただスターバックスが目をつけたのは通常のフランチャイズモデルの展開だと、
そのフランチャイズオーナーが売り上げを上げるためには店舗の回転数を上げるというレバーしかなくなってしまうというところに目をつけたんですね。
それを採用するとスターバックスの強みであるサードプレス、落ち着いて第三の居場所を提供するという競争戦略が壊れる。
これを避けるには直営でやるしかないし、直営でやるからこそスターバックスでしか落ち着いてくつろげる場所を提供できないという競争優位性を作れる。
それを貫いたのがスターバックスだというふうに整理がされています。
これはまさに相対的非合理。要は他社と比べると非合理なことを続けたが、それによって競合との違いというのがより大きく生み出された。
そういった競争戦略によるもたらされた利益じゃないかなというふうに整理ができます。
競争優位性、こうやって作られた競争優位性がなぜ持続的に保たれるかという点についてもこの本の中では触れられていて、
保たれる理由は競合が自社の持っている競合戦略を模倣しようとして、それによって自滅するというケースが最も多いというふうに書かれています。
現実を見ると強い企業はかなりの長期にわたって強い。四方八方から戦略を研究される立場にありながらも、
5年、10年、15年と競争優位を持続している企業は多数ある。
これがなぜかというと、単純に一つは模倣の障壁が高い。
先ほどの例えば直営で運営しようと思ったら4000万円1店舗あたりかかりますよ。そんなお金簡単に用意できません。
という意味で、模倣の障壁が高いということもあれば、あるいはその一部だけ、
例えばサードプレスを提供しようと、フランチャイズオーナーにサードプレスにするんだからもっと重機にお金をかけて、
お客様の滞在時間を伸ばしなさいという指示をしたところ、フランチャイズのオーナーなので自社の売り合いが下がる。
だからそれを堅持して、なかなかそういった戦略をやるときに社内の破裂症が大きくなってしまう。
あるいはそういった形だと利益がフランチャイズオーナーとしては出づらいので、
フランチャイジとしてそのお店を開けようという方が減ってしまったとか、
何か一部だけは模倣しようとした結果、自社の本当の強みみたいなものを消してしまうという自滅がこういったものが多いというふうに書かれていて、
これは何というか、自分として具体的な事例をたくさん見ているわけではないものの、
肌感覚としては経営していく中ですごく理解できるし、
経営者として考えるべきはスクラッチで自分たちはどうしていくべきなのかとか、
どういう優位性をどうやって保っていくんだとか、
それにおける自社の振る舞いというのの一貫性がすごい重要になるよなって改めて思った。
そんな次第です。
ということで、ちょっと一旦まず今回についてはこの競争戦略というものについて、
読んだ本とそれを整理して考え始めたきっかけだったり、
このフレームについて少し説明をしてみました。
次回はこれを自社の例に当てはめた時にどう考えているのかということを
少しお話しできる範囲でご紹介できればなと思っていますので、
ぜひ次回もお聞きいただければ嬉しいなと思っています。
それでは今回もお聞きいただきありがとうございました。
今回もゼロトピックをお聞きいただきありがとうございました。
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それではまた次回のエピソードでお会いしましょう。