宣伝されているような効果を確かめた研究は見つかりませんでした(テストステロンが禁欲後に高かった小さな実験はあります)。だからこの回は、効果があるかないかではなく、続けるかどうかを自分で決めるための軸をお渡しします。日数から、「いま困っているか」へ。
「研究がゼロ件」ではありません。見つかったのは、まったく別のものでした。今回は、効果の話ではなく「数え方」の話になります。
▼この回の持ち帰り(今日からできること)
- ✅ ★最初の一歩=日数を数えるのをやめてみる。途切れた日を「失敗」にしない
- ✅ 減らすかどうかは回数ではなく「いま、やめられなくて困っているか」で決める。困っているかどうかが、ひとつの目安
- ✅ お金を払う前に1つだけ確かめる=この人は何を根拠に言っているのか(資格か、自分の体験だけか)
- ✅ 1つのやり方で「これも治る、あれも治る」と並んでいたら、いったん引く
- ✅ 回数そのものを目標に置かない。増減は自分の状態を映しているだけかもしれない
- ✅ 続けるなら「気分が整うから」でじゅうぶん。数値の裏づけがなくても理由として成り立つ
▼科学のほうで分かっていること
- ✅ 「NoFap」で医学のデータベースを検索すると5件ヒットする。ただし中身は効果の検証ではない
- ✅ 見つかったのは、オナ禁を教える有料オンライン講座を調べた研究(米国・2024年)
- ✅ 11の講座・指導者10人のうち、医学や心の健康の標準的な資格を講座の紹介に書いていた人は0人(資格の有無を照合したものではありません)
- ✅ 10人のうち7人(70%)が、資格として「自分自身の体験」だけを挙げていた
- ✅ 講座が謳う効果は、勃起障害・早漏・ポルノ依存・不安・テストステロン・うつ。論文は「科学的根拠なし」と結論
- ✅ 費用は週5〜147ドル、または一括20〜199ドル
- ✅ コミュニティの質的研究では「回復/再発」という枠組みが、つらさを長引かせる主要因だった
- ✅ 3週間の禁欲のあと、テストステロンの値は禁欲前より高かった。一方、オーガズムの瞬間に上がる変化は、禁欲の前後どちらでも見られなかった(ドイツ・10人)。※比べる相手のいない小さな前後比較で、体への良し悪しや長く続けた場合は測っていません
- ✅ 「ポルノが勃起の問題を起こす」という考えには英語の略語があるが、病名ではない(EAUのED章にも、国際的な定義一覧にも記載なし)。視聴時間の長さとの関連は、3,419人の調査(EDの分析は、過去4週間に挿入を試みた2,067人)でも分け方によって出たり出なかったりした(時間を4つに分けた比較では差なし・ED の人のほうが視聴時間の中央値が長い、という結果もある)。「やめられない」と感じる問題的な使い方とは関連が出ていた。どれも原因と決めた研究ではない
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参考文献・関連リンク
- Online ejaculation training programs promote non-evidence-based treatment of male sexual dysfunction (2024) — International Journal of Impotence Research 36(7):759-764。米国。検索で見つかった11の講座・指導者10人を調べたところ、医学やメンタルヘルスの標準的な資格を講座の紹介に書いていた指導者はおらず(資格の有無を照合したものではありません)、7人が自身の体験のみを資格として挙げていました。※講座を調べた研究であり、禁欲そのものの効果を検証したものではありません。
- Exploring the Etiological Pathways of Problematic Pornography Use in NoFap/PornFree Rebooting Communities (2021) — Archives of Sexual Behavior 50(5):2227-2243。英国。インターネット掲示板の書き込みを分析した質的研究。「回復」と「再発」という枠組みでの禁欲へのコミットメントが、苦痛を維持する主要な要因だったと報告されています。※因果を測った研究ではありません。
- Endocrine response to masturbation-induced orgasm in healthy men following a 3-week sexual abstinence (2001) — World Journal of Urology 19(5):377-382。ドイツ・男性10人。3週間の禁欲のあと、テストステロンの値は禁欲前より高く、オーガズムの瞬間には変わりませんでした。※10人・対照なしの小さな実験で、体への意味は測っていません。
- Associations Between Online Pornography Consumption and Sexual Dysfunction in Young Men: Multivariate Analysis Based on an International Web-Based Survey (2021) — JMIR Public Health and Surveillance 7(10):e32542。国際的なオンライン調査・3,419人(EDの分析は、過去4週間に挿入を試みた2,067人)。視聴時間を4つに分けた比較では差が出ず、EDの人のほうが視聴時間の中央値は長い、という結果も報告されています。※原因を示したものではありません。
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【ご注意】
この回は「オナ禁に効果がない」と言うものではありません。宣伝されている効果を確かめた研究が見つからない、というだけで、無いことが確かめられたわけではありません。続けている方を否定する意図はありません。
番組内でお伝えしている軸(日数を数えるのをやめる/「いま困っているか」で決める)は、症状を治す方法ではなく、自分で決めるための整理のしかたです。効果を保証するものではありません。
※番組内で「研究は見つかりませんでした」「文献はありません」とお伝えしている箇所は、収録時点で私たちが調べた範囲での結果です。あとから見つかることもあります。新しい情報が出たときは、番組や記事で訂正します。
本エピソードは、性に関する一般的な情報提供を目的としたもので、医学的診断や治療を目的としたものではありません。
「オナ禁に効果がない」と述べているわけではありません。宣伝されている効果を確かめた研究が見つからない、というだけで、効果が無いことが確かめられたわけではありません。実践している方を否定する意図はありません。
紹介した研究のうち、講座を調べたものは禁欲そのものの効果検証ではなく、掲示板の分析は因果を測ったものではありません。
番組で触れたカナエの話は、本人が見聞きした範囲の実感であり、統計や医学的な根拠ではありません。
気になる状態が続くとき、痛みや排尿の変化を伴うときは、泌尿器科などにご相談ください。服薬中の方は、自己判断で中止せず処方元にご相談ください。
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