「何分からが遅漏なのか」は、時間では答えが出ません。この回を聴くと、時計で自分を測るのをやめて、三つの条件で自分を確かめられるようになります。
ヨーロッパの泌尿器科の手引きが定めている3つの条件と、原因の候補がとても多いこと、そして相談に持っていく「たったひとつ」を10分でお話しします。
この回では、時間の数字をあえて出していません。合格ラインとして受け取られてしまうからです。
▼この回の持ち帰り(今日からできること)
- ✅ ★最初の一歩=「いつから変わったか」を思い出しておく。できれば、何かを飲みはじめた時期と重なっていないかも。相談の入口はこれだけで作れる
- ✅ 時計を見るかわりに、三つの条件を自分に当ててみる(ほとんど毎回か/6か月以上続いているか/自分がそれで苦しいか)。三つそろわないなら、まだその人のふつうの範囲
- ✅ 今夜の1回で自分を決めない。目安はそもそも1回を数えるようにできていない
- ✅ 「何%か」を探すのをやめる。調査ごとにばらばらで、自分の答えは出ない
- ✅ 「イケない」を分けて言う。出ないのか、感じないのか。自分の言葉で分けておくと、相手にも医師にも伝わる
- ✅ 強くすれば解決、ではない。同じところを続けるより、組み合わせを変えるほうが現実的
- ✅ 薬が疑われても自己判断でやめない。飲みながら処方元に相談する
▼科学のほうで分かっていること
- ✅ 基準はある。ただし「何分」ではなく、①頻度 ②6か月以上続いていること ③本人が苦しんでいること の3つ
- ✅ 頻度の目安は「性的な機会の75〜100%」=4回に3回から毎回。ときどきうまくいかない状態は入らない
- ✅ 困っていなければ当てはまらない。医学の側も、そこを診断名にはしない
- ✅ 有病率は、限られた証拠にもとづき生涯性 約1%・後天性 約4%(欧州泌尿器科学会)
- ✅ 一般人口の調査だと0.7%〜20%までばらつく。質問文・年齢・期間・苦痛の要件が調査ごとに違うため
- ✅ 射精とオーガズムは別。射精が起こらなくても通常のオーガズム感覚がある人がいる
- ✅ 原因の候補は多く、薬(抗うつ薬・降圧薬・前立腺の薬など)も含まれる
- ✅ 日本の全国調査(n=5,331・2025年)では、苦痛を伴う遅漏の自己申告は5.16%。治したい人が58.18%いる一方、受診したのは11.88%。※「腟内でだけ射精できない」を測った数字ではありません
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参考文献・関連リンク
- EAU Guidelines on Sexual and Reproductive Health — Disorders of Ejaculation(欧州泌尿器科学会)。射精の著しい遅延・低頻度・欠如が性的機会の75〜100%で起こり、6か月以上持続し、本人に苦痛をもたらす状態、と定義されています。有病率は限られた証拠にもとづき、生涯性 約1%・後天性 約4%。無射精でも正常なオーガズム感覚を伴うことがあり、射精とオーガズムは独立して起こりうるとされています。※欧州のガイドラインで、日本の診療をそのまま示すものではありません。
- Antidepressants and sexual dysfunction: a systematic review (2021) — The Journal of Sexual Medicine 18(8):1354-1363。19試験・男性3,973人。抗うつ薬はプラセボと比べて射精障害との関連が大きいと報告されています(オッズ比7.31)。※これは相対的な比率であって、「何%の人に起こる」という数字ではありません。
- Delayed ejaculation: comorbidities and medications (2023) — Sexual Medicine 11(4):qfad040。米国の保険請求データ11,602人。不安・脂質代謝の問題・α遮断薬・抗うつ薬などとの関連が報告されています。※診断コードにもとづく解析で、因果を示すものではありません。
▼次に聴くなら
- 「早漏の基準は何分?」の回では、逆に時間の数字が意味を持つ話をしています。
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【ご注意】
※番組内で「研究は見つかりませんでした」「文献はありません」とお伝えしている箇所は、収録時点で私たちが調べた範囲での結果です。あとから見つかることもあります。新しい情報が出たときは、番組や記事で訂正します。
番組内でお伝えしている手順(三つの条件で確かめる/「いつから変わったか」を思い出しておく/出ないのか感じないのかを分けて言う)は、症状を治す方法ではなく、自分の状態を整理し、相談へつなぐための工夫です。効果を保証するものではありませんし、自己診断のためのものでもありません。
本エピソードは、性に関する一般的な情報提供を目的としたもので、医学的診断や治療を目的としたものではありません。番組の内容で自己診断をしないでください。
番組で触れたカナエの話は、本人が見聞きした範囲の実感であり、統計や医学的な根拠ではありません。
紹介したガイドラインは欧州のもので、日本の診療をそのまま示すものではありません。有病率の数字も限られた証拠にもとづく推定です。
薬の影響が疑われる場合も、自己判断で中止したり量を変えたりしないでください。とくに気分の落ち込みに使われる薬は、急な中止で別の症状が出ることがあります。飲み続けたまま、処方した医療機関にご相談ください。
気になる状態が続くとき、痛みや排尿の変化を伴うときは、泌尿器科などにご相談ください。
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