お日さまの朝ごはん会の始まり
お日さまの朝ごはん会。
そよかぜがはこんでくるしおのかおりが、
まどからそっとさきのきっちんにはいってきます。
それは、うみべのいっけんやで、
毎週土曜日の朝、さきがひらく、
お日さまの朝ごはん会のはじまりのあいずでした。
さきは、とくべつにりょうりがじょうずなわけではないのですが、
だれかのためにつくるごはんがだいすきでした。
けさのメニューは、やったてふかふかのパンケーキに、
てづくりのグラノーラ、
そしてじもとでとれたミニトマトのさらだです。
フライパンからあまいかおりがひろがり、
それがお日さまのひかりのように、
すこしつついえのなかをあたためていきました。
さきは、テーブルにならべられたりょうりをながめて、
ほほえみました。
さいしょにやってきたのは、
きんじょにすむりょうしのはるさんでした。
うみからあがったばかりでひやけしたかおに、
ふかいしわをきざんだはるさんはいつもむくちです。
ですが、さきの朝ごはん会にはかかさずかおをだしてくれます。
はるさんはテーブルのはしにこしかけ、
なにもいわずにあたたかいコーヒーをゆっくりのみはじめました。
つぎにげんきなあしおとをひびかせながら、
ジョギングガーリーのわかいふうふ、
ゆうきとみさきがかおをみせました。
ふたりはいいにおいとこえをあげ、
さらだをさらにもっていきます。
交流とつながり
さきちゃんのてづくりドレッシングほんとにおいしいよね、
とみさきがいうと、さきはすこしてでくさそうにわらいました。
そのつぎにやってきたのは、
ようちえんにかようちいさなおとこのこ、こうたでした。
おかあさんにてをひかれてやってきたこうたは、
テーブルにならんだパンケーキをみてめをかがやかせました。
こうたはフォークをにぎりしめ、
いっしょうけんめいパンケーキをくちにはこぼうとしますが、
うまくたべられません。
すると、それまでだまっていたはるさんが、
そっとじぶんのてをこうたのてにそえてつだってあげました。
こうたはありがとうとほほえみ、
はるさんもまたふとくちもとをゆるめました。
それぞれのテーブルではさまざまなかいわがはずみました。
はるさんはけさのたいりょうのはなしをすこしだけとくいげにはなし、
ゆうきとみさきはしゅうまつのよていをうれしそうにかたっています。
さきはそんなこうけいをながめながら、
じぶんもまたみなのえがおにささえられていることをかんじていました。
そしてあさごはんかいのおわりがちかづいたころ、
さきはみんなのことばにみみをかたむけていました。
だれかが、「こんしゅうはしごとですこししっぱいしちゃって。」
とこぼすとだれかが、「だいじょうぶ。つぎはうまくいきますよ。」
とやさしくはげまします。
そんななにげないやりとりのなかに
みえないけれどたしかにそんざいするあたたかいつながりをかんじました。
テーブルをかたづけながらさきはしずかにほほえみました。
おさらにのこされたぱんくつ、のみかけのこうひい、
そしてみんながすわっていたいすがまだあたたかいのです。
それはきょうのあさ、
このばしょでたしかにわかちあったささやかなしあわせのこんせきでした。
あすもまたがんばろう、さきはこころのなかでそっとつぶやきました。
だれかのためにつくったあさごはんが
じつはじぶんのこころをいちばんみたしてくれていることをしっていたのです。
このまちでひとびととのつながりが
ちょっとしたこころのよゆうをうみだしてくれているのだと
かのじょはかんじていました。
らいしゅうのどようびもきっとつぎのいっしゅうかんをがんばるためのげんきが
このしょくたっからはじまります。