スポーツウェア研究の始まり
飛鳥山の窓から、TOKYO NORTH MOVEMENT。
東京都北区飛鳥山。暖炉のある小篠光洋さんの部屋には、未来を思う様々な人たちが遊びに来ます。
情熱とアイデアが交錯した素敵なおしゃべり。さあ、今夜はどんな話が飛び出すんでしょうか。
こんばんは、小篠光洋です。今週も引き続き、株式会社サイボーン、代表取締役、CEO、宮澤留以さんをお迎えしてお話を伺います。
今週もどうぞよろしくお願いいたします。
はい、よろしくお願いします。
さて、先週、学生時代のお話をいろいろ伺ってきたんですけれども、大学に進まれて、繊維学部というところでスポーツウェアの研究をされた。
ところが、繊維だけでは限界があるというふうに感じられたというふうに伺いましたけれども、ちょっと詳しく聞かせていただけますでしょうか。
はい、ありがとうございます。新州大学の繊維学部というところに進学しまして、繊維学部というのは説明をちゃんとしないとなかなか分かりにくいんですけれども、
簡単に言うと糸とか生地とか、そこから作るスポーツウェアを作っていったり、そこにいろいろセンサーを載せたりとか、いろいろ測ったりするというような学部でして、そこで元々研究開発をしていたというところがあります。
繊維だけで限界があると感じた機会というのは結構多くて、そもそも繊維産業自体が結構全体的に社用産業だと言われていて、
特に繊維でこのまま何かやっていく、新しいものを作っていくのにはやっぱり限界があるんじゃないかと、どこか業界全体として暗い雰囲気があって、
その中でやっぱり科学繊維が出て以来、大きな技術的な革新が起こっていないというのがやっぱり僕らとしては感じていたというのが特にあって、
特に当時20歳ちょっとだったということもあって、将来的に30年40年この仕事だけでやっていくのか、ここに足せないかと考えて、
こういった新しいところをやりたいなというところが始まったきっかけですね。
ちょっと遡るんだけど、そもそもその繊維学部というところを希望したというか、入られたのが何かきっかけだったのか。
そうですね。もともとスポーツメーカーに入りたくて、スポーツメーカーに入ろうとすると基本的にはバイオメカニックスという体の動きの研究をするような大学の研究室に行ったりとか、
あとは基本的にはその一本だったんですけども、そうじゃなくて商品側から入りたいなというのがあって、
探したらちょうどたまたま中野県出身で新州大学にそういう学部があって、気づいて変わった学部だしなんか面白そうじゃないかと。
そういったところにちょっと勉強して入った。
なるほど。じゃあ本当に将来を見据えて選ばれた学部だったわけですね。
本当にそうですね。でも本当にドンピシャだったというところですね。
モーションキャプチャウェアの開発
そこを卒業されて新卒で入社されたのが国内の大手繊維メーカーだったということなんですけれども、
新規事業としてモーションキャプチャウェアの研究開発を担当されたということなんですが、
これもちょっと僕横文字弱いのでちょっと説明してください。
ありがとうございます。
モーションキャプチャウェアというのは体の動きをセンサーとかを服とかにつけて測るようなウェアラブルデバイスと言われるようなデバイスで、
今だとApple Watchとか皆さんつけられていると思うんですけど、これの衣服バージョン、服バージョンのものを当時作ってました。
新卒で入る前にもともと自分で作っていたというところがあって、そういった研究開発をやっているやつはいないかと、
ちょうどメーカーが探していて、そこで新卒で採用が決まったというのが大きな背景になります。
なるほど。この研究開発は学生時代からされていたというふうにですけど、
なんでそこに興味が湧いた、面白いというふうに思ったの?
もともと繊維だけで限界があるなというのを感じていた中で、ちょうど当時ZOZOのZOZOスーツというのが出てきて、
体のサイズを測ってくれるセンサーが、服が出てきて、そういったところで興味を持って、
自分でもこれを作れるんじゃないかと。この技術を応用すればできるぞというところで始まったのがきっかけになっています。
なるほど。言ってみれば動作データを取っていくということですね。
本当にそうです。
多分動作データって、宮沢さんの動作データも僕の動作データは全然違うだろうし、
個人のことをどういうふうに読み取っていく感じになるのかなと。
簡単に言うと、その人のどの関節がどこにあるかとか、どの部位がどこにあるか、手がどこにあるかみたいなところを追っていったりするんですけど、
そこからいろいろ解析して、例えば野球だったら肘にめちゃくちゃ力がかかっているから、そろそろ玉数的に危ないんじゃないのみたいなところとか、
ランニングだったらこの病気、この怪我のリスクがあるよとか、こうやったら早くなるよというところまで解析することをやっているという感じです。
ビジネスへの転機
例えば、今できるかどうか知らないけれども、試合のユニフォームにそういうものはできるようになってくると、
投げていてちょっと肘の数値が悪くなってきているからそろそろ変えときだぞとか、理屈で言えばできるという。
そう、全く問題なくできて、なんですけど通信機器の持ち込みが多分駄目なので。
それはイレギュレーションの問題だからさ、そこはクリアする。今だってサインやなんか全部できるようになっているからね。
そういうことができるわけか。
肘が落ちてきたらそろそろ打たれるんじゃないかとか、ちゃんと触れてないから曲がらないんじゃないかとか、その辺も分かってくる。
あと、僕は野球部のコーチをやっていて、特に経験のない時から始めて驚いたのは、
例えばこの手首を腕側の方に逆側、手のひらを前にして体側に引くみたいな形で曲げるでしょ。
そうすると、今ラジオで聞いている人は分かりにくいかもしれないけど、この曲がり方というのが人によって全然曲がらない子がいるし、
僕は割と曲がる方だと思うんだけど、それからベタッとくっつくようなやつもいるし、
足首が最初から内側向いているような子がいたりとか、それは決して別に健常な体なんだけれども、
そういう身体的な特徴ってかなり個人差があるって教えてて気がついたんですけど、
そういうものがデータとしてはっきり動作というところになって、そうなっている時にどう動作するのかというのは分かるってことですよね。
本当にそうで、もしかしたらこの選手は流し打ちが苦手なのかもしれないとか野球だったら、
この選手はリリースのポイントが安定しないのかもしれない。そういったポイントまで抽出できたりするので。
ここがこうなっているということが、要するに左側に体重を残していられないということですとか、そういうことが全部分かるってことだよね。
そうですね。そこが繋がっていくのでここに面白さを感じて。
それは面白いね。
業界に来たってところはありますね。
今いろんなことを話しましたけど、課題化が可視化されたところだけでは本質的な解決が繋がらないってことですよね。
これはどういうことで気づきがあったんでしょうか。
当時は大手のメーカーの方で新規事業でUWSデバイス事業をやってたんですけど、
どうしてもやっぱり大きな企業だと他の企業がやっている近い事業をやることが多くて、
例えば睡眠の内容とか健康に関するアプリケーションを作る。
服で計測してそこからアプリを作るってことが多かったんですけど、
そこでやるアプリケーションっていうのが、例えば睡眠ができてないから早く寝なさい。
お酒飲んで体調悪いならお酒を飲むのやめましょう。
直接できる正論を言うっていうアプリがどうしても多くて、
でもそれって人の心を動かさないし、なかなか問題なく繋がる。
昔からクレイジーキャッツも分かっちゃいるけどやめられないって歌ってるぐらいで、
そんなことできないわけだよね。
そうなんですよね。
特にそもそもそんなことできるんであれば始めからやってる余計な問題が多くて、
やっぱり浸透しないことが多かったので、ただ問題を言うだけじゃなくて、
どうやったら解決するのかってところにフォーカスして、
僕らはやっていきたいねってところをやってますね。
それがなかなか既存企業の枠組みではゼロからはやりにくいというふうに感じられた。
それが企業に繋がったってことかしら?
本当にそうで、どうしても大きな企業で何年も事業計画を引いてやってる中で、
若手の社員がゼロからやってくってことはなかなかチャンスとして回ってくるのも遅かったりとか、
そういったところがあって最終的に自分で企業するってところに振り切ったってところがあります。
企業に至るまで、新卒に入られて何年だったんですか?
これがすぐに辞めて、1年間フリーランスを経て企業をしたって感じになります。
なるほど、でもそれ結構せっかく大学出て、ある意味希望の企業に勤めて、
葛藤とかあったんじゃないの?
やっぱりありましたけど、ちょうど僕らぐらい、30歳ぐらいの世代の人っていうのが、
超転職とかが前向きになったりとか、将来どうなるかわかんないから、
早く動いた方がいいよと言われてた世代で、比較的そこはやっぱり他の世代、
もうちょっと上の世代の方と比べると結構やりやすかったのかなと思いますね。
なるほど、そういう中でハードウェアスタートアップに転職をされたと。
モーションキャプチャウェアの可能性
その中で生態データ解析とかスタートアップのスピード感だよね。
これに触れたことで、自分もできるかもしれないというふうに思われたんだけど、
何かそれもきっかけになった出来事とかあったんですか?
はい、元々僕も日本の伝統的な企業にいたときは、
ちゃんとした決算の取り方とか手順っていうのがすごく苦手で、
あとメールとかが苦手で、どうしても速度が出せなくて、
僕の特徴ってスピードが速いことってことだったので、
そこはスタートアップに転職して、
この意思決定の速さみたいなところっていうのは僕に合っているなというのを感じて、
これはもうやれるなというのをやっぱり感じました。
究極的に言うとやっぱり代表を含めたコアのメンバーが責任を取ってガンガン進めていくので、
このスタイルかっこいいなというところで始めたような感じになります。
かっこいいって中小企業ってそういうもんでね。
でもそれ分かんなかったですね。
伝統的な企業にいるときは、もうそういうちゃんとした承認フローがあって。
そうだよね。そういうことができることがまず最近評価されるみたいなね。
そうですね。
そういうところが多分あるだろうから。
僕はね、実はそういう伝統的な企業も含めてそういうことをやったことがないんでね。
さっぱり分からないんで。
なんか今やっていることがね、当たり前でスピード感を持ってやらなかったら、
潰れちゃうよみたいなところがあるんだけど。
そうなんですね。やっぱりそこにかっこよさも感じたっていうね。
新しい世代の企業なんだな。素晴らしいと思いますね。
ここら辺りから拠点を大阪から東京へ移されたということですね。
そうですね。当時就職していた会社が大阪にあって、
そのまま大阪でフリーランスのエンジニア、リサーチャーとして業務しながらですね。
何も考えずに東京の方で起業してしまいまして、
起業したから引っ越すっていう単純な方法で東京まで来ちゃったんですけど。
なるほど。
その頃からサイボーンの今核となっている
誰でも運動ができるようになる世界というビジョンが確立されてきたというふうにも伺ってますけども、
この言語化についてどういうプロセスがあったんですか?
やっぱり今僕らがやってきた解析、フォームの解析、動きの解析っていうのが
誰でも使えるほど簡単ではないし、誰でも使えるほど安くもないし、
誰でも使えるほど分かりやすくないところで、
誰でも使って運動ができるようになるってところがそこで言語化されてきたなと思ってます。
それが広がっていった世界って素晴らしいよね、僕らが目指すべきだよねって感じて
こういった核となるような単語ができてきたといった感じですね。
しっかりとしたターゲットというか、まず到達すべきものがそこで見えてきて、
そこから逆算をして事業を作っていくみたいな、そういう感じですか?
はい、そうですね。どうしても手元にある技術、シーズから始めていってしまうと、
本当に欲しいものとかってなかなか作りにくいので、
本当に逆算で広く皆さんに使ってもらえるようにどうしたらいいかっていうのを考えて
こういったところを設定してきたところがあります。
だけどなかなかそれって実際にまだ手元にあるものっていうのと
直接結びつかないこともあるだろうし、不安ない?そういう時に。
本当に不安で夜も眠れない時期が続いて、お金も全然ないし。
そうだよね。何もまだ売るものがないんだから、どんどんお金が出ていくだけでしょ?
そうですね。何も仕事とか見つけず東京に来ちゃったので、仕事がないので
1年間バイトをしながら過ごすと、是非業活動をするっていうのが。
ちなみに何のバイト?
それもウェアラブルデバイスの開発やったりとか、
あとは研究機関でいろいろ開発をするみたいなこともして。
なるほど。さすがに周りのところにはいてみたいな。
自分の今までの技術も活かしながらっていう感じではない?
そうですね。居酒屋でバイトしてるとかではないです。
ではないんだけどね。
ちょっと苦手なので。
なるほど。そういう不安との葛藤の中でもって、
その到達点にスタートしていけるような技術が少しずつ見えてくるとか、
出来上がってくるってことですか?
本当にそういったことを言ってたら、周りに仲間がどんどん集まってきて、
当時今一緒にやっているメンバーもそのタイミングで入ってきて、
こういった技術ができて、じゃあ本格的にやろうと。
決まってちょうど赤羽に引っ越してきたといったところになります。
僕はいわゆる企業家という方、宮田さんのような方が、
本当に僕の実はやってきた経営と対局にあるのはそこのところで、
もう本当に夢というか、到達点というか、それだけを見つめて、
それで何ができるんだっていうところを考えること、
手を動かすことから始めるっていうのは、本当に僕尊敬するんだよね。
ありがとうございます。もう本当に。
やっぱりこの地域なんか伝統的な企業が割と多いから、
そういう空気を吹き込んでもらうっていうのにすごく期待してるんですよ。
ぜひいよいよ次回は東京を拠点に起用された宮田さんが行った、
地域との連携した実証実験、そんなことも伺っていきたいと思いますので、
技術の応用と未来
よろしくお願いいたします。