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飛鳥山の窓から、TOKYO NORTH MOVEMENT。
東京都北区飛鳥山。暖炉のある小篠光洋さんの部屋には、未来を思うさまざまな人たちが遊びに来ます。
情熱とアイデアが交錯した素敵なおしゃべり。さあ、今夜はどんな話が飛び出すんでしょうか。
今晩は、小篠光洋です。今月のゲストは、株式会社格安グループ会長の佐藤順一さんです。今週もよろしくお願いいたします。
飲食店の多店舗出店
さて、先週の終わりに、多店舗化。1年間に30店舗ずつ出していく。3年間で100店舗まで一気にやる。
こういう中で、実は、僕らは今から見ると成功物語の一つのように思えるんですけれども、実は経営者としては間違っていた。
全くダメでしたね。
錯誤があったという話。その話、詳しくお聞かせください。
それまではお酒の安売り屋さんをやっていましたから、すぐに売上がたって黒字化するんですよ。だいたい半年で黒字化するんですね。
ところが、このお届けの利便性で選ばれるということは、お客様にとって、例えば足の悪いおばあちゃんであれば、めちゃめちゃ喜んでくれるんですよ。
ところが、ピンピンした大酒飲みは、50円安くても買いに行くっておっしゃるわけですね。
要は、黒字化するまでの時間軸が全く違ってましたね。
なるほど。
半年どころか3年目でようやく単月黒ですね。
ということは、3年間で出した店全部赤って話です。
ということは、100店舗全部赤だったという極端に言うとね。
厳密に言うと、100店舗になったときに70店舗ぐらいが赤でしたね。
宅配サービスの評価
あの当時も僕、会長とお付き合いしてましたけど、全然大全と、今と変わらず大全とされてましたね。
確かに現金商売のもので、キャッシュ自体は回っているんですよ。
なるほど。
だから今すぐ同行はないんですね。
そうか。
PL書くとえらいことになるわけですよ。
ここが一番心苦しいところですよね。
なるほど。
それでも、役員会なんかでいろいろした問題をしながらでも、
一応120店舗ぐらいで東京23区1を埋めて、赤字はたくさんあるにせよ、すぐ届きますよというモデル自体は完成できたんですよね。
そのときに、実は一般家庭にやっていくということの浸透の期間ということもあって、なかなかそこは黒点できなかったということですが、
実は飲食店向けに、今の言葉で言うとバズったというか。
すごかったですね。
飲食店さんに対するお届けというのは、業務用の市販店のビジネスモデルと言っていて、
前の晩に留守番電話にオーダーをあげてもらったものを翌日の朝まとめで積み込んでルート配送する。
入った当時は朝5時に起きてそれを整理してとおっしゃっていましたね。
ゆえに当日の午後からの注文には応えられないわけです。
なるほど。もう締め切りですね。
ところが、うちの場合はもう2時間で届けるということを、一般家庭に対してサービスを提供していたんですけれども、
営業の若い子が一人、なんで業務用のルート配送で一般家庭の宅配だけは2時間でやるんですかと。
別に飲食店も2時間でやってもいいじゃないですかと。
お届けした一般家庭のすぐそばにお寿司屋さんとか天ぷら屋さんとか、そんなにたくさんお酒を使わないけど、
でも一般家庭でいっぱい使うところがいくらでもありますよね。
それに対して夕方の注文に応えて冷やしたビールも届くというサービスは絶対受けると思うんですけどね。
すごいですね、その社員さん。
すごいですね。でも3ヶ月後に辞めちゃったんですよ。
あらあら、今どうされてるんだろう。なるほど。
それもそうだなと思ったんです。
とりあえずやってみようということで、
1店舗でいわゆる店出し業務店配送という物流センターではなくて、
お店から出す業務店の配送を始めてみたんですね。
めちゃめちゃ当たりが良くて、そんなに夕方からの注文嬉しいって言ったら、
嬉しいに決まってるじゃん。当日の天気を見て決められるんだよ。
急な宴会が入っても対応してもらえるんだよ。
あれ?我々の商売は一般家庭より飲み屋さんに効いちゃうのかなっていう。
そういう事態が起こりまして、やっぱりお酒の業界って免許業界なので、
横の繋がりが結構厳しいので、お客さんを取ったり取られたりするっていうのは、
ちょっといろいろとも見えるんですけど、
都内9万店あるお酒を扱っている飲食店さんに、夕方からでもうちは対応しますから、
万が一今の堺さんに断られてお困りになった時だけでいいから使ってください。
なるほど。
いう具合に、9万店全部に案内しました。
そうしたらまた、要するにより広がりを持っていくのが良かったんですね。
ですから今、9万店のうちの5万店ぐらい口座がありますよね。
ですからそこはやっぱり、飲食店さんによって物凄いありがたいサービスだったんですね。
そうですよね。特に地域によってはすごく1本数万円のものもありますからね。
出てきたりとかっていう。一般家庭によってまずそういうものってないですからね。
ですからそのお店からの飲食店に対する販売っていうのを始めて、
3年目で一般家庭の数字を軽く抜いたんですよ。
なるほど。
つまりは宅配の数字が倍以上になったんですね。
ここでようやく黒字化しました。
でも安売りに対して、要するに大きな面積でやってるわけでもないし、
まず安売りの相手っていうのは一般の家庭を考えて、
そこに向けてやってったものが、実は飲食店の皆さんに大歓迎された。
そうです。
これは面白いですね。
ですから私はいろんなお酒の組合の方々に、
お前は業務用のビジネスモデルを壊したって言われたんですね。
そう見えたんだろうなとは思うんですけれども、
ただやっぱりどうしても水は高いところから低いところに流れるので、
当日でもいいのをわざわざ前日に頼むかっていう話もあり、
よくルート配送をやっていると、雪降っちゃうとお店が休んじゃうっていうことがあって、
でももうオーダーが入ってるから一応届けなきゃいけないって言ってみたら休みだったみたいなことがあるんですけど、
そういったことも一切ないですから。
そうか。必然的に前の日の晩からというものは注文が減って、
スポットっていうものが増えてるからってことですね。
増えてる。そうです。
なるほど。
さて、そういうことで飲食店がある意味エンジンとなって、
会社も黒字になって活気を拡大してっていうところだったんですが、
コロナ禍の影響
これがコロナ禍に突入して逆回転を起こすというか、
飲食店全部お休みですもんね。
そうですね。
結局コロナでお酒を飲む場がちょっと悪者になってしまって、
時短とかお酒の提供禁止っていうことがずっと続いて、
2年間ですごい巨額な赤字が出たんですね。
コロナの前は主要としていた飲食店顧客ってだいたい居酒屋さんだったんですよ。
いろんな居酒屋チェーンさんと取引をさせていただいて、
なぜかというと物量がありますから。
物量がたくさんないとなかなか物量の合理化ってできないので、
まず物量を取りに行こうということでやってたんですけども、
コロナで一番痛んじゃったのが実はそこなんですよ。
もう宴会需要は未だに回復していませんし、
夜遅い時間は未だに効きませんし、
というところを考えると、やっぱりこれ大手の居酒屋をずっと中心に
それまでやってきたんですけども、
ここの路線もちょっと変えないとダメだなって。
個人店さんの場合はそこのお店さんのキャラがわかりますよね。
顔も知っていると。
そういう一対一のつながりができるんですけど、
チェーン居酒屋さんの場合は店長さんもコロコロ変わるし、
人のつながりというよりは飲み放題というシステムを買っているようなものなんですね。
ですからこれはちょっと事業の中心を大手チェーンから
そういった個人店に移していかなきゃいけないんじゃないかというのが、
最初のコロナの1年目で感じたことですね。
なるほどね。
一方、それまで赤字の中で仕組みを作り続けてきた
一般家庭向けというものが下支えになったという部分もありました。
あの頃ね、宅飲みとかね。
そうなんですよ。
だいたい格安の典型的な店舗の場合は、
ご来店のお客様が3分の1あって、
一般家庭の配達が3分の1あって、
飲食店の配達が3分の1だったんですね。
この飲食店の3分の1がなくなったじゃないですか。
サテライト出店の決断
そうするとその分一般家庭を増やそうとテレビCMもやったんですよ。
おかげさまで一般家庭の宅配が4割ぐらい伸びました。
へえ、そうですか。
ここは嬉しいことなんですけど、ここで一つ厄介なのは、
飲食店への物流能力を4割食っちゃったわけですね。
それはそうですよね。体一つですからね。
そうです。そうすると、今度これ回復してきたとき、
これできないよねっていう話になって、
大赤字を出しながら、
サテライトと呼ばれている小さな倉庫を出しに行ったんですね。
今までは大きな倉庫をしてそこへ行ってたものを、
各拠点の中でもう少し小さくして、
拠点を作ってそこから配送するということですね。
というのは、今も言いましたように、
大きな物流センターはルート配送ですから、
小さなところはすぐに行けますので、
こっちを山手線の内側だったかな、
だけで20何箇所必要になってきたので、
これをやらなきゃいけないと。
会社自体も真っ赤っ赤なわけですよ。
当然、社外取締役の方々も、
いや、今攻めますか、みたいな感じだったんですけど、
私は攻めるとか守るとかということではなくて、
これをやらないと、コロナが明けたときに
飲食店に迷惑をかける。
これだけはもう忍びないから、
苦しくてもここはやろうということで、
サテライトの出展を図鑑に命じたんですけども、
自分的には22箇所は割いていると思ったのが、
みんな分かりましたと言いながら、
財務の人間なんかは、
いや、今7つが限界だからとか言って、
社長に内緒で7で止めてたっていう。
それも分かりますよね。
ある意味、パッと旗を振るリーダーシップと、
それとそこをきちっと現実を見ながら、
会長、社長の意識も持ちながら、
そこで適正なところでという、
チームワークが発揮されたということですよね。
それはありますね。
素晴らしいな。
よくやりますよね、でもね。
実際にコロナ前に23箇所だったサテライトという店が、
今70箇所近くになっていますので、
そっちの方向性は間違っていなかったと思いますね。
さらに配送というものに力を入れる中で、
昨年の8月には、
生鮮食品の専属宅配業者さんを子会社化されたということで、
本格的に物流に力を入れていくという感じがしますけれども、
物流における変化と戦略
これはいかがでしょうか。
今もお話ししましたように、
酒の飲まれ方がコロナ前とコロナ後では完全に変わってしまったんですね。
なおかつWHOなんかは、
お酒にちゃんと発願性があると書きなさいとできているわけです。
タバコみたいにね。
そうです。
いろんな先生方にいろいろ話を聞くと、
このまま行くと酒はタバコになっちゃうよ、
というような声も聞けるくらいなんですね。
我々は酒においては強いんだけれども、
酒じゃなくて強いのは一体何なんだろう、
ということを自問自答すると、
今1時間枠で届くんですけど、
頼んだものが1時間で届くってどこもやってないよね、
という話があって、
このお届けをさらに磨いていこうというのが、
今現在目指しているところですよね。
だから25年前に、
ここまで精緻な事実を見えながらでは、
僕はなかったと思うけれども、
全体像として、
うちの会社はお酒を売る会社じゃなくて、
物流の会社になるかもしれないよっておっしゃった、
あれがぴったりここでハマってきたって感じですよね。
ですから途中まではやっぱりお酒のマーケットも成長してましたんで、
そこから戦っていけるだろうなという形で思ってたんですけど、
特にコロナはそういう意味ではものすごい、
ダメージももちろんあったんですけど、
考え方を変えさせられましたね。
なるほどね。
本当に社会が変わったとか、
また元に戻ってきているところはあるけれども、
相変わらず戻らないところとか。
戻らないですね。
本当にコロナ禍っていうのは、
いろんなものを残していったと思いますし、
またああいうことが起きないとも限らないわけですしね。
ですから本当にそういう意味では、
消費者側から取ってみても、
いろんなものが1時間後に届くっていうものは、
ものすごいありがたいインフラですよね。
ですので、ラスト1マイルを抑えている物流のプラットフォーム化ということを目指していて、
その下に格安が子会社でぶら下がっているんですね。
今度はそこに食品会社をぶら下げるかもしれないし、
いろんな日雑をぶら下げるかもしれないし、
というような形でM&Mを含めた成長戦略というのが、
お酒のプラットフォームっていうお酒の格安ってことでない状態になると、
結構幅広く展開できるのかなというふうには思っているんです。
なるほど。
また来週その辺も詳しくお話を伺いたいと思います。
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。