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2024-01-28 20:22

#145-2 職人の創造性こそが「新ラグジュアリー」の源泉(書籍紹介: 新・ラグジュアリー 安西洋之 中野香織 著2/2)

新ラグジュアリー後編です。日本、イタリアにおける職人のクラフトマンシップが新ラグジュアリーを支えていくという話が納得感があり、ワクワクしました。
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前半は、ラグジュアリーの歴史をひも解きながら、ラグジュアリーはどういうものなのか、そして、新ラグジュアリーという流れがどんな経緯で生まれてきたのかを理解しました。
社会の対極的な変化をつかむためには、歴史や人文学的なアプローチが必要なことも、この本では何度も言われています。
この話は、僕も大好きな古典ラジオでもよく言われていることです。
世の中が大きく変化するときにこそ、歴史がとても役に立つというところで、
まさに、安西さんも、この人文学的な観点からラグジュアリーというのをひも解いて、より多くの方にこの変化を知ってもらおうというふうに考えていらっしゃるわけだなと思います。
ここから、新ラグジュアリーに変わっていく中で、いろんな変化を示す事例が紹介されていくんですけれども、
今日は、その中でいくつか僕が、ああ、なるほどなぁと学びになったものを紹介していければなというふうに思います。
まず一つは、非常に大きな世界的なコンサルティング会社、ベイン&カンパニーの意見表明について書いてあったんですけれども、
このベイン&カンパニーという、ミラノに本拠地を持つコンサルティング会社なんですけれども、
このラグジュアリー業界、高級品業界と呼ばれていたものが、今大きな変化にあるというふうに言っているんですね。
まさにこの新ラグジュアリーの時代の到来を、このベイン&カンパニーも伝えているというところですね。
今まで高級品業界と言われていたものは、今、文化と創造性に引き出た商品が入り乱れる市場になっていくというふうに言っているんですね。
ここで文化と創造性ということを言ってたんですけれども、やはりこの新ラグジュアリーの時代に変わっていったときに、
その会社とか商品が持っている文化とか、それに込められた創造性、ある意味職人のクラフトマンシップみたいなものとか、
そういった創造性が引き出た商品が入り乱れるような市場になって、必ずしも高級だからとか、高いものを使っているからとかっていう業界ではなくなるんだよと。
つまりこの業界自体の領域とか意味を再定義する必要があるんだということを、ヴェイン&カンパニーが言っているということですね。
さらに他の、今コンサルティング会社の変化ですけど、若い世代の変化っていうところで、今Z世代って皆さんよく聞きますよね。
このZ世代っていうのが非常にこの新ラグジュアリーの中で大きな影響を持っているんですね。
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Z世代っていうのが1995年以降に生まれた方はですね、僕はその1個前のミレニアル世代っていうやつらしいんですけれども、
よりその次のZ世代っていうのは、より消費の考え方とかが変わってきていると。
その中の1つの特徴として、ラグジュアリーブランドを好むその若い世代のうちの80%が、社会的な責任を果たしているブランドを好むというふうに回答していて、
それが価格に反映されているのは叱るべきだというふうに考えているということですね。
この社会的な責任ですね。例えば環境問題とか人権とか動物に対する権利とかそういったものを掲げて、その責任を果たそうとしているブランドを好むし、
そういうブランドであれば多少高くてもいいよねと。パタゴニアとかもねわかりやすいですよね。
あとはですね、この若い世代の話で出てたんですけども、配達的なクローズドアがまずオープンになってきていると。
何が言いたいかというと、会社側が私たちの商品はラグジュアリーなんですというふうに定義しているんじゃなくて、
消費者も自分の価値でそれがラグジュアリーであるということを判断して、それを自己表現に用いているということを言ってたんですね。
ここで出てきましたね。自己表現ですね。まさにこの今の若い世代っていうのは、ラグジュアリーだから買う。
高級車だから自分がそれを身につけると、なんか位の高い人になった気持ちとかね。
昔はそういうのはあったかもしれないんですけども、今って高級車乗りたいとかそんなないんですけども、逆にこのブランドの商品を着ているっていうのは、
つまり自分は社会に対してこういう責任を果たしている企業を好きなんだっていうある意味自己表現をしてるんですよね。
そういった意味で、特にファッションとかっていうのは自己表現の一つだと僕はすごく思うんですけれども、
そういったところで今の若い世代はですね、こういったラグジュアリーブランドっていうものを自己表現に使う。
つまり企業側がラグジュアリーを定義するだけじゃなくて、消費者側もラグジュアリーを自分で判断して定義していくっていう、
双方向的なオープンな関係性になってきていると、これもですね非常に学びになりましたね。
最近の若者すごいですよ。
僕もやっぱり95年以降に生まれた若い世代とかと結構一緒に働くんですけども、
やっぱりブランドものを買いますよね。
で、なんでそんな若いのにブランドものを買うんだろうって思うと、全然ミヤを張りたいとかじゃなくて、
やっぱりそもそもこのブランドのことを共感してるから買ってるとかも確かに言うし、
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あとやっぱりもう一つはリセール市場ですよね。
まあ分かりやすく言うとメルカリとか、メルカリで売る前提なんですよね、若い子たちって。
なので、高いものを買った方が高く売れるっていうのは分かってるから、実際お金的にもそんなに損しないっていうのは分かって、
バンバンなんかちょっと躊躇するなーみたいなブランドの商品とかガンガン買ってくるんですよね。
キャンプ用品買うって言っても、なるべく一個安いの買いたくなっちゃう気持ちはあるんですけども、
今の若い世代は結構いきなりスノーピーク行ったりするんですよね。
これもちょっとキャンプやる人じゃないと分かんないと思うんですけども、
もっとラグジュアリーなブランドが好きな子っていうのも結構いたりとか、
そういうのもすごく時代の変化なのかなーってこれを読んで改めて思いましたね。
今、一つコンサルティング会社の表明と若い世代の変化って話したんですが、もう一つはですね、
職人の重要性が増しているっていうところですね。
今大手のラグジュアリーブランドでも、今までってサプライチェーンって何かっていうと、
自分たちの商品はどういう下請けの工場に作ってもらっているのかみたいな、
あるいはさらにその先の素材はどこが作っているのかみたいなことをあんまり言いたがらなかったんですよね。
ただ今やはり社会的な責任、先ほどの社会的な責任とか環境問題とかっていうところもあって、
サプライチェーン、自分たちがどういうところから物を調達したり、どういった工場に作ってもらっているのかっていうのを、
ラグジュアリーブランドももう公開しないといけなくなってきていて、逆にそれをアピール材料に使えるようになってきているんですよね。
なので、下請け会社とかをどんどん買収して、自分たちがこういう職人たちが手間暇かけて作っているんです。
そこに対してもちろん人権問題とかもなく、皆さん生き生きと働いているんですよ、みたいなことをストーリーを伝えていくみたいなことをどんどんするようになってきていて、
やはりこの職人の重要性みたいなのがどんどん上がっているんですよね。
さらに言うと、アーツ&クラフト運動っていう動きが昔あったらしいんですけど、これがさらに今活発になってきていると。
つまり職人の手で作ったとか、最初にちょっと言ったんですけど、創造性、ものを作り出す創造ですね。
とかオリジナリティみたいなものがキーワードにどんどんなってきている。
そこで出てくる企業の事例がブルネロ・クチネリですね。
クチネリはイタリアの最近非常に伸びているラクジュアリーブランドで、
そんなのあるんだと思ってね、知っている人はよく知っていると思うんですけども、
いくらぐらいするんだろうなと思ったら、コート100万円超えてましたね。
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そういうブランドですね。
こういったところは非常に職人の仕事ぶりとか、職人の創造性、クリエイティビティみたいなものを非常に大切にしている会社なんですよね。
この書籍ではこのクチネリの事例っていうのはたくさん出てくるので、
興味ある人はこの会社の事例とか色々調べてみるといいかなというふうに思います。
4つ目としてはロマン主義っていうところで、やはりこのラクジュアリーっていうもの、
特にこの新ラクジュアリーのフェーズにおいてはロマン主義的な考え方がすごく求められると。
一番最初に歴史の話をした時に、シャネルって女性の解放とか女性の働き方とか、
今までの女性っていうものに対する、それまでは1900年代前半ってまだすごいお腹を絞って、
コルセットみたいなのがありますよね。
すごくお腹をぎゅーっと絞ってドレスを着るみたいなのが当たり前にあった時代だと思うんですけど、
それをある意味、なんで女性がそんなに苦しい思いをしなきゃいけないんだみたいな感じで、
ある意味抵抗してジャージ素材のラクジュアリーを作っていたわけですね。
それをロマン主義っていう風に言うらしいんですよね。
そのロマン主義的な考え方のラクジュアリーブランド、ファッションブランドで、
日本でもコム・デ・ギャルソンの川久保玲さんとか、
あと幼児山本さんとか一世三宅さんとかね、
僕は一度も買ったことないですけども、名前は知ってますね。
ファッション好きの方はそういうのを結構聞いられてると思うんですけども、
こういった方々もやはり結構反骨精神とか反逆とか異議申し立てみたいな感じで出てきていて、
今の新ラクジュアリーもやはりそういった行き過ぎた資本主義的な考えとか、
行き過ぎた白人市場主義とか植民地的な考え方とかに反発するっていうのが、
この新ラクジュアリーの根本にあるんですよっていう。
やっぱりそれとファッションっていうのはすごくつながりやすいからこそ、
今非常にファッション業界が変わってきてるって話をしてるんですよね。
はい、面白いですよね。
こういう風に聞くと川久保玲さんとか、
山本幼児さんとか三宅一世さんとかって自分には縁ないと思ってたけど、
ちょっと勉強してみたくなりますよね。
どういう思ってああいう奇抜な服を作っていったのかっていうのは、
ファッションってこうやって聞くと面白くないですか。
やっぱりみんなそれぞれ思想があってね、
作ってラクジュアリーブランドになってきてるわけですよね。
そんなところですね。
この新ラクジュアリーの変化を示す事例として、
コンサルティング会社ベイエンドカンパニーの事例、
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若いZ世代の変化、そして職人の重要性の変化、
最後はロマン主義というところを紹介しました。
この本ではですね、他にもたくさん気になる事例がですね、紹介されていて、
その中で僕も気になった事例をいくつかまた最後紹介していければなと思うんですけども、
まず日本でも新ラクジュアリー、
この新しいラクジュアリー領域のスタートアップが出てきてるって言うんですよね。
一個一個細かくは説明しませんけれども、
バックとかを作っているマザーハウスという会社はご存知ですかね。
東南アジアとかの職人さんの力を使って、
革製品とかをね、今どんどん使って、
今かなりいろんなところで売り出すようになってますけれども、
ある意味非常にフェアでエシカルなものづくりっていうのを、
ある意味社会的責任を大事にしている会社ですよね。
その他にも、カポックノットっていう、
これは織物系のアパレルの会社さんとか、
SHIROっていう、これはですね、スキンケアとかを結構やっている会社さん、
あとは豆黒ごうちさんとか、
こういったところも新ラクジュアリーのスタートアップとして注目されているらしいですね。
これも一個一個調べてみたい。
さらに、新ラクジュアリーの領域にちょっと近いところで、
日本初で、世界で既に戦っている有力な会社っていうのもあるんだよっていうところで、
僕この辺全然知らなかったんですけども、
SUZUさんとか、VISBEAMっていう会社ですね、
こういったところは非常に今、世界的に注目を集めていて、
日本の職人の技をですね、世界に広めているような、
これもファッション業界の会社なんですけれども、
ここからちょっと研究してですね、
なんかちょっと自分の自己表現として買ってみようかななんて思っています。
あとは事例としてはイタリアですね。
やっぱりイタリアって、新ラクジュアリーも含めたですね、
このラクジュアリー業界の中では注目すべき事例っていうのがたくさんあるらしいんですよね。
やっぱりフランスとイタリアっていうのはすごいこの本だと対比されているんですけども、
フランスっていうのはもちろん、
ケリングとか、そういったところが非常に有名なコングロマリットになっているんですけれども、
大きな企業ですね、大企業になって有名なんですけれども、
実はフランスって先ほどの職人っていうところだと、
あんまりものづくりやってないんですよね。
企画とかブランドづくりみたいな上流をやっていて、
実際は結構イタリアの会社がそこに工房を持っていたり工場を持っていたり、
実際にものづくりをしていると。
で、この新ラクジュアリーの領域になってくると、
やっぱりそのクラフトマンシップ、職人の力っていうのが非常に重要になってくるので、
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これから注目すべきはイタリアだっていうのをおっしゃってるんですよね。
安西さんがまさにイタリアの方ですけれども、
このイタリアに多分いろんな会社が実はあると。
その中でアルタガンマ財団っていうところがコミュニティがあって、
そこの事例なんかを調べていくといろんな話が出てきそうですね。
イタリアもやはり注目というところですね。
というところでちょっといろいろ話していったんですけれども、
最後にっていうところで、やはりこの新ラクジュアリーって何なのかっていうのが、
最後に後書きみたいなところで結構いろいろと書いてあるので、いろいろ読んでいきますね。
まず一つは合理的には説明できない純粋にワクワクする喜び、
理屈では説明できない心の動き、
AIやロボットでは不可能な生身の人間でなくては持ち得ない感情や心の動きといった非合理的な要素が、
テクノロジーが発展していく近未来にますます重要になってくると。
ここに新しいラクジュアリーの出番があるというふうに言ってるんですよね。
結構このラジオで言ってることも近いと思いませんか。
まさにこのAIとかがどんどん発達して、テクノロジーも発達していくからこそ、
これから差別化されていくのは感情とか心の動き、人間の内面にあるもの、
そこから生まれるワクワクとか、それこそ自己表現というところに価値が生まれていく。
それが新ラクジュアリー、つまりそこに付加価値が上がっていく。
そういった時代になっていくんじゃないかなというふうに思いました。
あとはですね、口練りの例に代表されるように、
職人というものは幸福な創造性の源泉を持つことができる。
鍵は職人の尊厳にある。
経営者や職人それぞれが自分の仕事のプロセスを喜びとともに追求して、
創造の源泉を獲得していく。
この正当性の確かさこそラクジュアリーにとっての大前提になっていくであろうと。
ちょっと難しい話が書いてあるんですけど、つまり職人の創造性ですよね。
クリエイティビティというのがめちゃくちゃ新しいラクジュアリーにおいては大事な源泉になっていくんですよと。
この話もですね、今マチコーバーの企業さんとかといろいろと仲良くさせていただいておりますけれども、
そういったところにも職人魂みたいなものがこれからの価値を作っていくというところにつながるんじゃないかなと、
すごくワクワクするような内容だったかなというふうに思います。
ということで、新ラクジュアリー書籍紹介いかがだったでしょうか。
こういったですね、意外と知らない世の中の変化ってあるんだなっていうところと、
やっぱりこのAIが発展していくと、やっぱり何が大事になっていくのかなって、
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どんな業界も廃れちゃうんじゃないかなとかね、いろいろ心配になることもあると思うんですけれども、
こうやってこれからより注目されていく業界っていうのもあると。
今回は割とアパレルとかファッションの話が中心だったんですけれども、
ラクジュアリーの分野でいうと、自動車とか、あとは旅行、旅みたいなものもラクジュアリーだと思いますし、
あとはワインとかグルメ、そして家具、雑貨、で、アート、絵画とかね、そういった領域もラクジュアリーの分野になっていくので、
やはりそういった人間の心の感情が動いていくようなもの、そして職人の技が光るような領域っていうのは、
新ラクジュアリーの領域としてどんどんこれから注目を集めていく可能性もあるし、ここから来るZ世代ですね。
まだZ世代が若いので、そんなに購買威力を持ってないかもしれないですけど、
この人たちがよりこれから経済の中心になっていく。
そんな時にこの新ラクジュアリーの思想を持っていく企業っていうのが残っていくんじゃないかなというふうに感じました。
みなさんはこの新ラクジュアリーの流れに対してどうやって向き合っていきますか。
消費者としてそういった会社を応援していく、そういった会社のファンになっていくっていうのもすごくいいと思いますし、
そういった会社と一緒に仕事をする、そういった会社で仕事をする、そのためには何をしたらいいか、
そういったことを考えていくととてもワクワクするし、面白いんじゃないかなというふうに思いました。
はい、ということで今日は書籍紹介の回、新ラクジュアリーの解説をさせていただきました。
今回もお聞きいただきありがとうございました。
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それではまた来週お会いしましょう。さようなら。
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