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それなりの覚悟があって聞いているんだよね。
みなさん、リーチだ。
リーチ?
どうなんだい、麻木さん。
これは、脅しですか?
まあ、脅しの一つだよね、リーチは。
これは、想定内。
通ったりしますか?
想定内。
あの男もよく使っていた言葉だね。
大丈夫だよ。
通った。
陽子、ダイブドア事件って知ってるかい?
ダイブドア事件ですか?
15年くらい前の事件だから、
陽子がまだ中学生くらいの時かな。
覚えています。
当時、新々のネット企業ダイブドアが、
紛失決算で告発され、幹部数人が逮捕された事件ですよね。
カネーモンことカネー社長も刑務所行きになった。
そう、それそれ。
じゃあ、どうしてカネーモンは刑務所行きになったと思う?
それは、紛失決算を指示したからですか?
うぴん。
通しだ。油っこいところ切るね。
脅しに私は屈しませんから。
範囲は通ったけど、答えは違うってことだね。
カネーモンと同様の、いや、それ以上の紛失決算をしたオリンポスカメラや、
最近だと初柴電機、その幹部たちは皆無罪。
悪くても執行猶予なんだよ。おかしいと思わないか?
引っ掛けも怖いけど、筋でどうでしょう?
通し。
それほどの本質をついていないってことか。
でも、どうしてカネーモンだけ?
上がれずか。
こういう時にはお得意の言葉を言わんのだな、ヨコは。
現物。
奴は嵌められたんだ、国にね。
あ、あたしも現物です。
話の発端は、ライブドアがうちの関連会社、日本ラジオへ買収工作を仕掛けたことだった。
当時の日本ラジオは、お台場テレビの筆頭株主だったんだよ。
創業者一族のいざこざがあったとかでね、
ちょっといびつな株主構成だったんだよ。
オタクの関連テレビ局は。
現物。
まあ、それを修正しようと、お台場テレビが公開買付をした時に、
東京証券取引所の時間買取引を使って、
ライブドアはわずか30分の間に700億を投じ、
日本ラジオの株を買い漁った。
グループの歪みを狙って、
ラジオ局もテレビ局もいっぺんに手に入れようとしたんだよ。
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頭いいというか、抜け目ないというか、
すごいよな、カネーモン。
ま、あの時カネーモンがうまくやっていれば、
日本はIT更新国にならずに済んだかもしれませんがね。
確かに行儀のいいやり方ではなかったんでしょうけれども、
それがどうして国の激励に触れることになるんですか?
彼は神の青い光に触れてしまったからだよ。
神の青い光ですか?
そうだよ。神のみぞ扱うことが許された。
情報という名の青い光に。
意味がよくわからないんですが。
最後のツモですね、黒沢さん。
この世にはいくつかの神の青い光があるんだよ。
よし来るか。
ダメだ。聞きが弱い。
カネーモンはその一つである。
情報を扱うということを軽く考えすぎていたんだ。
テレビ、ラジオ、新聞。
つまりメディアと呼ばれるものが生み出していく。
情報の扱い方ってやつだ。
そう。そして青い光の扱いに失敗し、
その身をすべて焼き尽くされた。
国策捜査を行ったんですね、検察は。
桜をめでる甲斐の向こう側にあるものもまた、
神の青い光だよ。
桜をめでる甲斐の向こう側にあるもの?
覚悟なしに触れるならば、
たとえそれが何であろうとも焼き尽くす。
ま、まあ、黒沢さん。
今日はその辺で勘弁してやってくださいな。
陽子も十分理解したでしょうし。
で、旦那、何を貼ってたんです?
気になるかい?では。
大惨言って、これまたエグいな。
陽子の物品がかすってたじゃねえかよ。
だいたいリーチ普通書けないでしょ。
怖いわ。
検事長、陽子さんだけではなく、
宅を囲んでいる人たち全員を、いや、メディア全体を脅してましたね。
ただ、彼の言うことも一理あります。
情報を扱うには慎重に慎重を重ねなければならない。
一つ間違えば、社会に多大な影響を与えてしまうからです。
また社会だけに限らず、SNSの匿名の書き込みなどは、
人の命をも奪ってしまう。
元検事長の言葉を借りれば、ザリークスもまた、
神の青い光を手にしているのかもしれません。
しかし佐藤さん、なぜ青い光なんでしょう?
これは推測ですが、私の記憶が正しければ、
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20年以上前に起きた東海村JCO臨界事故において発せられた言葉です。
臨界事故ですか?
現場の転換試験等にいた作業員が、
スペースバケツで占用液を妖怪槽に移している時に、
青い光が出たと証言しています。
その青い光とは何だったんですか?
臨界状態に達した核物質が、
周囲の空気などによって生み出すものです。
そしてその青い光は、強烈な放射線を放ち、
二人の命を奪い、600人を超える周辺住民たちを被爆させたのです。
東日本大震災より10年以上も前に、
そんな事故があったなんて。
青い光は、人間が核というものを手にしなければ、
本来見ることもなかった光。
つまり、神しか見ることができなかった光なのでしょう。
その、神の青い光ともいえる、
核にしても、情報にしても、
我々はその扱い方を慎重にコントロールしていかなければならないのですね。
その通りだと思います。
しかし、我々ザ・リークスはそれでも恐れず、
情報の公開を続けてまいります。
たとえそれが、神の青い光を解き放つことになったとしても。
ということは、この音声ファイル、
まだ続きがあるんですね?
はい。
いよいよ、黒沢元検事長、加計麻雀辞任の真相に迫ります。
マーキさんは、まだまだ青いね。
まあ、そういう僕も、結局は青かったんだろうけど。
さあ、この続き、第5話からオーラスまでは、
音声アプリ、ヒマラヤで配信しております。
番組詳細欄のリンクから聞いてみてください。
神の青い光の真実を、僕は握ってるからね。
