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第2話 滅びへのカウントダウン 横山弁護士一家殺害事件が発覚し、連日ワイドショーでは、事件の真相や、教団についての特集などが放送された。
一方、教団本部の近隣住民は、横山弁護士が殺害されたことを知り、より一層、教団への抗議デモが激化し、警察隊が出動するまでに発展してしまった。
本部前
ますます、教団への不審感が募り出し、全国にある教団施設前で、抗議デモが激化し、日本中で大混乱が起きていた。
事態を重く見た教団も、鎮静化を図ろうと、歌やダンスなどを披露し、エンターテイナーを演出した。事件からしばらく経過し、人々の中で横山弁護士一家の事件が風化しようとしていた。ある日。
捜査会議
被害者は、首を絞められたことによる窒息死によるものです。被害者宅に落ちていたバッジの監視結果ですが、やはり本物の新世界教団のバッジであることが判明しました。ただ、指紋などは採取できませんでした。
報告ご苦労
被害者は、教団に対してメディアを使って通列に批判をしていた。教団も横山弁護士を殺害するには、動機としては十分だ。だが肝心の証拠がないんだ。そこで君たちには地道な捜査をお願いしたい。
はい!
ただし、相手は何を考えているか分からない連中だ。奴らをなるべく刺激しないように捜査するようにしてくれ。以上だ。
高嶋、ちょっといいか。
はい。
高嶋、お前が教団本部に行って事情聴取してくれないか。
了解いたしました。
お前は感情的になるところがあるから、気を付けて行ってくれ。
俺は早速後輩を連れて教団本部へと向かった。車中。
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しかし、新世界教団って何が目的なんですかね。
俺にも分からん。だが、まともな人間の考えることじゃないのは確かだ。
でも、この混乱、いつになったら落ち着くんでしょうね。
さあ。
もしかして、奴らとんでもないことをこれから起こしたりするんじゃないでしょうね。
馬鹿野郎。それを防ぐのが俺たちの仕事だ。
よし、着いたぞ。
この日は運が良く、警官隊のおかげで抗議デモが行われず本部前は静かだった。
俺は少し緊張した面持ちで正面玄関の予備輪を押した。
はい、何でしょうか。
警視庁の高島ですが、横山弁護士一家殺害事件のことでお聞きしたいのですが。
何ですか。
実は、被害者宅に教団のバッジが落ちておりまして、何か心当たりがないかと思いまして。
刑事さん、我々を疑ってるんですか。たかがバッジがあっただけで。
あくまでも事情聴取です。
証拠はあるんですか。
今のところ、これといった証拠はありません。
じゃあお引き取り願います。我々も忙しいので。
でも横山弁護士は教団の批判を繰り返していたじゃないですか。
ああ、それが何か。
動機としては十分だと思いますが。
くだらない。話になりませんね。
刑事さん、任意ですよねこれ。
はい、そうですが。
物的証拠もなく、ただの推測で物事を判断されては困ります。
場合によっては法的処置も検討いたしますが。
こう見えても僕、弁護士なもんですから。
でも。
もういい、やめろ。
大変失礼いたしました。
今日のところはこの辺で失礼いたします。
私も忙しいので失礼します。
何ですかねあの態度。絶対怪しいのに。
こうして俺たちはその場を立ち去ることにした。
車中後輩はずっと不満そうな顔で俺に愚痴をこぼしていた。
今回は逆に俺より後輩が感情的になってしまったが。
教団内部、大教祖の間。
どうでしたか。
はい。奴らただの事情聴取だと話しており、
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特に決定的な証拠を持ってきたわけではないんですが、
現場に教団バッジを落としていたみたいですね。
まったく余計なミスを犯してくれましたね。
まあいいでしょう。
大教祖様、いかがいたしましょうか。
神のお告げがおりました。
今後我々の理念を滅ぼそうとする大きな闇が現れるとおっしゃっております。
それは今日来た高島という奴でしょうか。
それだけではないです。
国家が強力な悪魔の力を使い、
我々同士を闇に引きずり込もうとしております。
ここまで来て邪魔されては困ります。
でも安心なさい。
神様は我々に闇の力と戦う力をお与えになります。
よいですか。
これから資金と有能な同士を集め、
奴らに罰を与える力を作り出すのです。
まずは我々の正義を国民の皆様に知っていただくのと、
悪の権力と対峙するために、
次期総選挙に立候補いたします。
それは素晴らしいですね。
我々も全力でサポートさせていただきます。
さらに神は我々に救いの呪文を教えて下さいました。
救いの呪文とは。
サーリン。
その後、新世界教団は衆議院選挙に新世界党を結成し、
大競争を始め多くの信者を立候補させたが、
世間からのイメージが悪く、
教団の候補者はすべて落選してしまった。
しかしこれは捜査の目を教団から話すための
カモフラージュであったのではと、
我々警察の間では噂をしていた。
一方、山梨県のとある村で、
教団が莫大な資金と全国から集めた有能な科学者を
施設に集めて研究をさせていたのだ。
その施設の責任者に、
大競争の側近倉本が最高責任者として、
陣頭式に当たった施設内部。
いいですか。
何としても大競争様のお告げ通り、
光の力を完成させるのです。
かしこまりました。
倉本科学技術長長官。
この力が完成すれば、
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我々が描いていた理想郷の創成に大きく役立ちます。
この穢れた社会が、
人間の皮を被った悪魔たちを滅ぼすことができる
最強の魔法ですね。
そうなれば、
我々が新世界の神になるのです。
横山弁護士一家の捜査に難航していた俺たちは、
決定的な証拠を見出せず、
教団に手を焼いていた。
この時の俺たちは、
この後、東京の中心で、
とんでもない悲劇が起ころうと予想しえなかった。
奴らは着実に、
世界を滅ぼそうとカウントダウンを唱え出していたのだ。
教団の集会。
大競争様、万歳!
神のお告げが来ました。
間もなく我々の時代がやってきます。
新世界、万歳!
大競争様、万歳!
さあ、ジーハードの始まりです。
第2話 滅びへのカウントダウン
声の出演 収録 MV STUDIO