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これって、ICレコーダーって言うよりは、高性能の盗聴機ですよね?
ああ、俺たち分野が使うレコーダーと違って、いわゆる盗聴機だ。高性能な分、ネモハル。
清水編集局長、こんな物騒なものを使って何をしろと?
ここでは肩書きを言うな。お前は素人か、清水さんでいい。
そしたら素敵な紳士と愛人くらいには見えるよ、陽子。
勘弁してください。
ターゲットは、黒沢だ。
黒沢って、まさか。
現東京高検検事長、そして、政府が閣議でご了承してまで次期検事総長に内定させた黒沢博士だ。他に誰がいる?
いえ、で、具体的には何を?
政界のドンと言われた小沢一郎陸三階事件。
カネーモンの大ブドア騒動。
亡き総理の娘、大渕裕子議員、政治資金規制法捜査時、ドリルによる証拠隠滅。
厚労省局長、森木厚子捜査時の証拠物件、フロッピーディスク改ざん事件。
カルロス堂、国外逃亡。
そして、今世間を騒がしている桜をめでる会問題。
そのすべてに黒沢は絡んでいると。
そうだ、その汚れた黒い手でな。
検事総長、それは最高検察署の長、いわば正義の番人のラスボスだ。
ラスボスですか。
茶化すな。そんな国家最重要ポジションの一つにあのような男を据えるなど、俺は断じて認めることはできない。
ジャーナリストとしても、人間としてもだ。
ジャーナリストとして。
その道具を使って黒沢のネタを掴んで来い。やり方は任せる。
こんな物騒なものを使って、次期検事総長の椅子が飛ぶようなネタを私に掴めと。穏やかじゃないですね。
法案の成立が迫っている。時間的余裕はない。
そして編集局長に以前の不始末を握られている私には、選択の余地もないと。
ここでは肩書きを言うな。清水さんだ。
では清水さん、承知しました。私のやり方でやらせていただきます。
相変わらずだな。お前のそのジャーナリストとしてのたぎる魂がいい。
ではこれで。
陽子、一つ頼まれてくれないか。
はい、何でしょう。
俺はな、桜をめでる界の向こう側を知りたいんだ。
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向こう側?
ああ、桜をめでる界の向こう側にある何かをだ。
では。
ザ・リークス。案内人の佐藤鈴木です。
滝クリスタルです。
ザ・リークスは、我々が様々なルートで入手した、
または番組に寄せられてきた、闇に埋もれた未公開音声ファイルに光を当て、
そこにある真実を探る番組です。
今回は、2年前に突如辞任した、東京高検検事長、黒沢博志氏にまつわる音声ファイルです。
2年の時間を経て明かされる音と声、その先にある真実への旅に参りましょう。
ザ・リークス、スタートです。
河北次長、今回はお招きいただきありがとうございました。
いやいやいや、陽子の頼みなら何でも聞いてあげるよ。
しっかし、よくこんな場所知ってたな。
会員制の麻雀サロンか。
最近の若い子は怖いね。
さあ、こちらは?
毎朝新聞社会部の小島です。よろしく。
経産新聞社会部の牧陽子です。よろしくお願いします。
すみません、こんなご時世に。
黒沢さんとの骨作りが狙いでしょ。
しかし、若い女子なのに、こんなおっさんだらけの空気悪い集まりに飛び込んでくるなんて、ガッツあるよね。
いや、そんな。
空気悪い集まりって、小島。
お、そろそろ次期検事総長のお出ましだ。
やあ、諸君。ご無沙汰。健康そうで何よりだよ。
世の中緊急事態宣言下ですからね。
不要不急の外出、3密禁止。
まあ、俺らには関係ありませんが。
911テロ、リーマンショック、東日本大震災と、我々は断る度に宅を囲んでいたような気がしますね。
あ、黒沢さん。今日はキレイどころを用意してみました。
経産新聞社会部、牧陽子と申します。
陽子ちゃんか。君は麻雀できるのかい?
こう見えましても大学時代、ジャン協会に所属しておりまして、中連ポートンの名標と呼ばれていました。
それはお楽しみだ。今日はよろしくね。
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さあさあさあ、検事総長殿はこちらの御口座へ。
許してくれ。今はまだ検事長だよ。
またまたまた、黒沢さんは…
ネタは取ってくるだけじゃない。作り出すことだってできるんですよ、黒沢検事長。