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ノオト・ブク太郎
おだしょー こんにちは。えーと、今回あなたが共有してくれた一連の音声メモ、いやーすごく興味深かったです。
ノオト・ブク子
あ、どうも。
ノオト・ブク太郎
通書館総合展での体験とか、あと岩手での地域活動、それから母校の学園祭の話まで、なんかこう日々の気づきがいろいろ記録されてて。
ノオト・ブク子
そうですね。なんか一見するとバラバラなんですけど、でも通して聞いてみると、何かこう共通のテーマみたいなのが見えてくる気がして。
うんうん。
特に現代のその知との向き合い方かな。
まあ書籍っていうメディアの可能性だったり、あとは専門技術、ここではITですけど、そういうのを持ってる人と地域社会との関わり方みたいな、その辺がなんか掘り下げられそうだなと。
ノオト・ブク太郎
まさにそこですよね。
じゃあ今回は、それらのメモを手がかりに、まず本が持つ価値をもう一度見つめ直して、それから変化の激しい技術分野でどう学んでいくか、その本質を探って、で最後に専門家が地域とどうつながっていくべきか、この辺の革新に迫っていきましょうか。
ノオト・ブク子
はい、ぜひ。
ノオト・ブク太郎
じゃあ早速最初のテーマから、図書館総合展での体験。
オフラインのイベントに参加された中で、あらまし読みっていう読書術の話が特に印象に残ったと。
本の目次とか、あと自分がおって思ったところだけ拾い読みするっていう、そういうやり方ですよね。
ノオト・ブク子
そうなんです。これ当たり前っちゃ当たり前なんですけど、でもよく考えると書籍っていうメディアのかなりユニークな点を示してるなって。
だって例えばゲームのストーリーとか体験って一部分だけつまんで楽しむのって難しいじゃないですか。
ノオト・ブク太郎
まあそうですね飛ばせないし。
ノオト・ブク子
ですよね。動画もシークバーで飛ばせますけど、そうすると音声情報が抜け落ちたり、なんか文脈がわかんなくなったり。
全体像をつかむためのインデックスみたいなのがないと、どうしても断片的な理解になっちゃうかなって。
ノオト・ブク太郎
AIがダイジェスト作る未来も、まあ来るかもだけど、まだ一般的じゃないともありましたね。
ノオト・ブク子
それに対して本は物理的にページをパラパラってめくって関心のあるとこだけ読む。この飛ばし読みが圧倒的にしやすい。
ノオト・ブク太郎
確かに。
ノオト・ブク子
それだけじゃなくてですね、読んだ内容について、いやこの部分面白かったよとか感想を言い合ったり、本の一部を具体的に指差してここ読んでみてみたいに共有したりするのが他のメディアに比べてすごくやりやすい。
ノオト・ブク太郎
ああなるほど。著作権的にも一部引用なら大丈夫なことが多いですしね。
ゲーム画面のスクショとか動画の一部をそのまま見せるのとは、ちょっと手軽さも文化的な許容度も違うかなと。
ノオト・ブク子
この広い読みのしやすさと共有のしやすさ、この2つがなんかうまく活かされているのが、次のメモにあった本の連っていうワークショップ?
ノオト・ブク太郎
そうそうそれです。マルゼン・ユースドーさんと編集工学研究所さんが共同でやっていると。
ノオト・ブク子
これ参加者全員が同じ本、それも瞬行本って呼ばれる、特定のテーマについて考えるきっかけをくれるような本を持ち寄って。
はいはい。
で、短い時間でザーッと読んで、感じたこととか気づいたことを自由に話し合うっていう形式なんですよ。
ノオト・ブク太郎
まさに書籍の特性をすごくうまく引き出してるなって。
ノオト・ブク子
その瞬行本っていうのはどういう本なんですか具体的に。
ノオト・ブク太郎
メモにはそこまで詳しく書いてなかったんですけど、一般的にはその時々の社会的なテーマとか、いろんな視点を引き出すような対話のきっかけになりやすい本が選ばれるみたいですね。
旬のテーマについてこう考えるみたいな、そんな感じでしょうか。
なるほどね。
企業の中での対話のきっかけとか、図書館でのイベントとか、いろんな場で使われてるんですね。
で、紹介のために本の連ラジオっていうポッドキャストもあって、それも聞かれたと。
ノオト・ブク子
そうなんです。
ノオト・ブク太郎
特に戦争に関する回がすごく印象的だったと。
ノオト・ブク子
いやーこれはですね、面白かったというか、その語り口が戦争っていうすごく重くてシリアスになりがちなテーマじゃないですか。
ノオト・ブク太郎
そうですね。
ノオト・ブク子
なのにそのパーソナリティの方々が、ご自身の体験とか家族から聞いた話とかをすごく自然体で、なんていうか飾らない言葉で語り合ってたんですよ。
ノオト・ブク太郎
へー。
ノオト・ブク子
それがこういうのがリアルな捉え方なんだなっていうのがすごく伝わってきて、そこがすごく良かったってメモにはありますね。
ノオト・ブク太郎
なるほど。
なんかこう新聞社のポッドキャストとかだと、もっと事実を淡々とみたいな感じになりがちかもしれないですけど、もっと個人的な等身大の視点というか、生々しい感じが伝わったと。
ノオト・ブク子
かもしれないですね。
こういう一連の体験から、本を複数人で一緒に読む裸読とか、あと本を単に知識として読むだけじゃなくて、意見交換の出し。
ノオト・ブク太郎
出し。
ノオト・ブク子
そうそう。
本が人と知識を繋ぐだけじゃなくて、人と人も繋いで対話とか共感を生むツールにもなり得ると。
いやー、これは重要な視点ですね。
ええ。
ノオト・ブク太郎
じゃあこの流れで、今度は書籍の中でも特に技術書。
これに焦点を当てた考察に移ってみましょうか。
ここにはまたちょっと違う課題と面白い可能性が示されてますよね。
ええ、そうなんです。
技術書、特にIT系のやつって、特有の課題として、その鮮度の問題がどうしてもあって。
ああ、ありますね。
その鮮度の問題がどうしてもあって。
そうなんです。
ノオト・ブク子
その間にもソフトはバージョンアップするし、言語の仕様も変わるし、トレンドも変わるし、IT分野のスピード感半端ないですからね。
ですよね。
ノオト・ブク太郎
そう。
なるほど。
ノオト・ブク子
が立ち上がって書いて編集して印刷 してってなるとどんなに早くても
ノオト・ブク太郎
まあ半年ぐらいはかかっちゃう ことが多いその間にもソフトは
バージョンアップするし言語の 仕様も変わるしトレンドも変わる
しit分野のスピード感半端ない ですからねですよねメモにもありました
けど本に載ってる画面キャプチャー が出た時にはもう古くてあれこの
ボタンどこ行ったみたいなの結構 みんな経験ありますよねあります
ノオト・ブク子
そうなると本に書いてある通り にやっても動かないとか情報が
古すぎてあんまり役に立たない みたいなことが起こり得るわけ
ですよで結果としてあれ本を読む だけじゃその技術を完全に理解して
使いこなすのって結構難しいん じゃないのっていう根本的な問い
にたながっていく
ノオト・ブク太郎
そこでメモにあった提案がすごく 刺激的だったんですよ
ノオト・ブク子
おというと
ノオト・ブク太郎
技術書っていうのはもしかしたら それ単体で完成品なんじゃなくて
著者による補足イベントとか読者 同士が集まる読書会輪読みたいな
のを通じて今の状況に合わせた 注釈とか議論が加わってそれで
初めて完成する
そういう種類の書籍なんじゃない かって
ノオト・ブク子
あーなるほどそれは面白い見方 ですね技術書の価値を捉え直す
ノオト・ブク太郎
というか
ノオト・ブク子
うん
書籍を1回出たら変わらないなんか 静的なものとして見るんじゃなくて
読者コミュニティとか著者との 継続的なやり取りを通じて価値
が更新されたり補完されたり生き 続けるものとして捉えるみたいな
ノオト・ブク太郎
まさにそういうことですよねだ とすると出版から時間が経って
情報が古くなった技術書もただ 古い本だねって終わるんじゃなくて
そういう対話とか補足情報っていう レイヤーを重ねることでまだまだ
現役で使える可能性があるんじゃない かと
ここに変化の早い時代の技術書 の一つの生き延びり方というか
新しい価値の出し方があるんじゃない かって
ノオト・ブク子
さっきの本の連の話じゃないですけど 対話を通じて理解を深めたり新しい
視点を得たりするっていうアプローチ が技術書でも有効かもしれない
ってことですよね
そうそう
著者とか他の読者と一緒に本の 内容を今の文脈に合わせて読み
ノオト・ブク太郎
解いてアップデートしていくみたいな
単に知識を伝えるツールってだけ じゃなくてコミュニティを作ったり
継続的な学びを支えるプラットフォーム としての役割技術書にそういう
ノオト・ブク太郎
可能性があるってすごくワクワク する指摘だなと思いました
確かに
さてこの知識やスキルとそれを 取り巻くコミュニティとの相互
作用みたいなテーマは次の話題 地域との関わりに自然につながって
いきますね
ノオト・ブク子
そうですね
ノオト・ブク太郎
岩手県の普代村でのIT利活用 支援の経験これ詳しくメモされて
ノオト・ブク子
ました
はい村役場の方々に例えばAIの 活用方法についてアドバイスしたり
とか新しい技術を入れるときに 気を付けるべき点とかそういう
活動をされてるんですよねここで 僕がおっと思ったのはその活動
ノオト・ブク太郎
の目標設定なんですよ
ノオト・ブク子
目標設定ですか
メモにはっきり書いてあったの が自分たちみたいな外からの支援
者がいなくなった後でも地域自身 が主体的にITを活用し続けられる
仕組みを作ることこれを目指してる っていう点
ノオト・ブク太郎
あーなるほど持続可能性
ノオト・ブク子
そうそう単に一時的に問題を解決 して終わりじゃなくて地域自身
が持続できる状態を作ることを ゴールにしてるこれって例えば
地域おこし協力隊みたいな期間 限定の関わり方とはちょっと違う
長期的な視点ですよね
ノオト・ブク太郎
確かにそうですねそのために村に 新しくできたコミュニティカフェ
Cafe AWAIで子ども向けのプログラミング ワークショップを企画したりとか
あとは地域からの情報発信を強化 するためにポッドキャスト導入
を提案したりとかなんか具体的な アイディアもいろいろ考えてる
感じでしたね
ノオト・ブク子
ただやっぱり提案するだけだと 限界があるっていう現実も感じ
てるみたいで
ノオト・ブク太郎
まあそうですよね
ノオト・ブク子
特に何か具体的なツールとかシステム を作るってなると個人の力だけ
じゃなかなか難しいじゃないですか そこで立ち上げたのがコードフォー
三陸っていうDiscordサーバー だと
ノオト・ブク太郎
ああこれですねこれは普代村だけ じゃなくてもっと広く三陸沿岸
北は久地あたりから都さらじ南の 森のほうまでそのあたりを視野
に入れてITを活用した地域課題 解決プロジェクトの情報共有とか
議論をするオンラインの拠点を 目指してると
ノオト・ブク子
その通りですこれいわゆるコード フォージャパンみたいなシビック
テックの活動につながるものですよ ね
ノオト・ブク太郎
シビックテック
ノオト・ブク子
ええ市民シビックがテクノロジー テックを使って身近な地域とか
社会の課題を解決しようっていう そういう取り込みのことですエンジニア
とかデザイナーとかプランナー とかが結構ボランティアベース
で協力して行政サービスを良く したり地域の情報を見える化したり
そういう活動は世界的に広がって ますね
ノオト・ブク太郎
なるほどCode for Sanrikuもそういう 地域の課題をITの力で解決して
いくための具体的なアクション を生む場所にしたいと
ノオト・ブク子
そういうことですねまだ準備段階 でまずは人集めからのことですけど
将来的にはCode for Japan サミットみたいな場で発表する
ことも考えているといやすごく 意欲的で
ええ
ただこういう地域への積極的な 関与を進める一方でメモにはある
ノオト・ブク子
種の懸念というかもどかしさみたいな ものも書かれてて
はい
それが母校の情報科学専門学校の 学園祭に行った時の体験から出て
きた問題意識
ノオト・ブク太郎
そうなんです学園祭で久しぶり に卒業生とか在校生あと先生
ばたと話す中でなんかある種の 断絶を感じたと
ノオト・ブク子
断絶
ノオト・ブク太郎
ええ情報系の専門学校ってカリキュラム の一環で地域の課題解決をテーマ
にしたプロジェクトを結構やる 機会が多いらしいんですよメモ
にあった例えば地域のスポーツ センター向けの予約アプリ開発
とか
ノオト・ブク子
ああいわゆる産官学連携事業ですね 産業界企業と官行政と
学校が協力してやるプロジェクト
そうそう
学生にとっては自治社会の課題 に触れて実践的なスキルを磨く
いい機会になりますよね場合によって は高校とか中学でも地元の商店街
と協力して何か作るみたいな経験 してる子もいるかもってメモには
ありましたね
ノオト・ブク太郎
にも関わらずですよそうやって 在学中に地域と接点持ったはずの
学生たちが卒業してIT企業とかに 就職するとなんかまるでSwitch
が切り替わったみたいに地域との 関わりがプッツリ途絶えちゃう
そういうケースが多いんじゃない かなって感じだと
これ例えば文系の学生さんが卒業 後もLPO活動とか地域のイベント
に参加し続けたりするのとなんか 対照的に見えるとも
ノオト・ブク子
さらに踏み込んで学校の先生方 自身についてもちょっと疑問を
投げかけてるんですよね先生方 は授業を通じてないとし形の上
では地域と関わってるはずなのに なんで卒業生たちが地域から
離れていくこととかあるいは 先生方自身が積極的に地域に関わる
ことにどこか無関心に見えちゃう なろうかと
地域を単なる学生向けのプロジェクト のネタ提供元としか見てないわけ
じゃないと思いたいけどみたいな ちょっと複雑な気持ちも書かれてて
ノオト・ブク太郎
いやこれは根深い問題提起ですね IT技術者はなぜ卒業後に地域への
関心を失いがちなのかそしてその 背景に何があるのか単に忙しい
ノオト・ブク子
からじゃ片付けられない何かが ありそう
そしてあなた自身はこの断絶は すごくもったいないし問題だっていう
認識を強く持ってるまず地域社会 の側から見たら解決するべき課題
はいっぱいあるのにそこにIT技術者 のスキルとか知識がすごく役立つ
はずなのにその力が生かされて ないっていう機械損失がある
ノオト・ブク太郎
同時にIT技術者自身の側にとっても 地域との繋がりって重要じゃない
かって指摘してますよね
ノオト・ブク子
そうなんです一つは地域における 精神的な居場所の確保例えば都会
での仕事で行き詰まった時とか キャリアチェンジ考えた時にUターン
とかIターンとかあるいは副業 みたいな形で地域と関わる選択肢
ノオト・ブク太郎
があればそれがセーフティーネット になるんじゃないかって
確かに
ノオト・ブク子
もう一つすごく重要な点として 災害時とか非日常的な状況での
連携の必要性も上げてましたね 普段から地域コミュニティと関
わってIT分野以外の人とも顔の 見える関係を作っておくことが
いざという時のスムーズな協力 に繋がるとこれは本当にそう思います
ノオト・ブク太郎
いろんな面から見てIT技術者と 地域社会がもっと積極的に繋がる
ことはお互いにとってメリットが 大きいはずだとだからこそどう
ノオト・ブク太郎
にかしてIT技術者にもっと地域 に関心を持ってもらう方法はない
だろうかっていう切実な問いが 出てくるわけですね
ノオト・ブク子
ご自身のポッドキャストsbcastで ITコミュニティの話題に加えて
意識的に地域に関する情報も発信 してるのはまさにその問題意識
からなんですね
ノオト・ブク太郎
なるほどITに関心のあるリスナー がついでにでも地域の話題に触
れて何かのきっかけになればと でもそれだけじゃまだまだ足りない
っていう実感もあると
ノオト・ブク子
うーんこれは一筋縄ではいかない 課題ですね
技術的なスキルと社会的な関心 とか貢献意欲とをどう結びつけて
いくか教育の在り方企業の文化 個人の意識なんかいろんなレベル
での問い直しが必要なのかもしれない ですね
ノオト・ブク太郎
そうですねさて今回はあなたが 共有してくれた音声メモをおと
にかなり多岐にわたるテーマを 掘り下げてきましたね
はい
書籍が持つ広い読みと共有のし やすさっていうユニークな価値
とそれを生かした本の連みたいな 対話型の読書の可能性
次に技術書が抱える鮮度の問題と それを乗り越えるために読者コミュニティー
ノオト・ブク子
との対話による感性っていう新しい 捉え方
そして最後にIT技術者と地域コミュニティー との間に存在する断絶という課題
とその架け橋を目指すCode for Sanrikuのようなシビックテックの
取り組み いや個人の具体的な体験とか考察
から出発しましたけど情報や知識 との向き合い方専門性と社会との
関わり方みたいな結構普遍的な テーマについて深く考えさせられ
ましたね 特に技術書が読者とのインタラクション
を通じて完成するっていう視点 はすごく刺激的でした
これって単に技術書に限らずあらゆる 専門知識とかスキルがそれを受け
取る人たちとの対話とか実践の中で より豊かにより意味のあるもの
へと変わっていくそういう可能性 を示しているような気がします
ノオト・ブク太郎
本当にそうですね専門知識って なんか真空パックされた完成品
じゃなくて常に社会との関わり の中で息づいて変化していくもの
なのかもしれないですね そこで最後にあなたにこんな問い
を投げかけて今回の締めくくり にしたいなと
おっなんでしょう 今回の議論を踏まえてこう考えて
みるのはどうでしょう 技術書が読者との対話によって
完成するようにもしかしたらIT 技術者をはじめとする専門家の
専門性そのものも地域コミュニティ みたいな多様な人々との対話
とか共同を通じて社会の中で初めて 本当に完成するそう言えるんじゃない
でしょうか この視点からあなた自身の専門性
とあなたが日々関わっているコミュニティ とか地域との関係性について改めて
ちょっと思いをめぐらせてみる のはいかがでしょうか