シェアの力
さあ、始まりました。タダの箱庭ラジヲ。本屋では買えず、増札もされない、読み手から読み手へとギフトされる、一番札の箱庭本についてお話ししていきたいと思います。
ということで、今回のテーマは、「常識を超える。シェア・ザ・レシピ」というエピソード。
美食クラブ会員のクランドさんの体験談を通して、シェアの力について考えていきたいと思います。
実際の皆さん、シェアすることについてどう感じるでしょうか。
料理でも技術でも知識でも、何かを人と共有するっていうのは、時に大きなパワーを生み出すものです。
ですが実際のところ、自分が持っている大切な情報やスキルをシェアするのって、少しためらいを感じることはないでしょうか。
教えてしまったら、自分の立場や価値がなくなってしまうんじゃないか、とか、これをシェアしたら損するかも、なんて考えてしまうことありますよね。
そんな私たちの常識を超える考え方に出会ったのが、今回の主人公クランドさんです。
クランドさんは美食の街、スペインのバスク地方にあるサンセバスチャンで暮らしていた時のことを振り返ります。
ここはミシュランの星つきレストランが数多く集まる、世界でも有名な美食の聖地。
料理のクオリティや味に対するこだわりがとにかく凄まじい場所なんだそうです。
ですが彼が本当に驚いたのは、シェアの文化だったそうです。
日本では伝統のレシピなんて言って、大切な技術やノウハウを隠す傾向がありますが、
サンセバスチャンの料理文化はその真逆、どんなに価値のあるレシピでもオープンに共有するんだそうです。
それもベテランのシェフたちが惜しみなく誰にでも教えるというから驚きです。
しかも彼らはシェアすることでみんなが成長するという信念を持っているようです。
サンセバスチャンの美食文化
ある時クランドさんはこんな経験をしました。
とある有名なレストランで働く料理人たちが集まって何か話し合っていたんです。
彼が近づくと、彼はその場で新しいレシピを話し合い、試作し、それを次々にシェアしているじゃありませんか。
これは最高の組み合わせだ。これをもう少し改良できるんじゃないか。
次から次へと意見が飛び交い、みんなでアイデアを練り上げていく様子にクランドさんは衝撃を受けました。
これがサンセバスチャンの美食クラブという文化なんですけれども、いわゆる会員制でみんなでキッチンを借りて、
男性たち、基本男性たちと言っていましたけど、
集まり、自分が食べて美味しかった料理だったりとか、自分の地元のラタトゥーが美味しいんだとか、
うちのママの秘伝のレシピはこうなんだみたいな感じですね。
美味しいつまみと美味しいお酒をですね、みんなで持ち寄って楽しむのが、
いわゆるこの秘密の料理クラブというか美食クラブなんだそうですね。
これは裏話というかですね、教えてもらったんですけど、
これどうやらですね、昔からここは港町だったみたいで、
港町なので基本ですね、男性は海に出て仕事をしていて、
なかなか普段は家にいないそうです。
なので家にいるのはもっぱら奥さんと子供たちなので、
寮から帰ってくるとですね、煙たくなるわけですよ。
普段みんな男たちはですね、海の男たちが海で働いているので、
帰ってきたときに居場所がないというか、もう女性たちが強くなっていて、
好きに料理食べたり飲んだりがなかなかできないというところで、
肩身の狭い男性たちがよなやな集まってはですね、
美味しいつまみと料理をシェアしていて、
生まれたのが美食クラブだったというような話も教えてもらったんですが、
それはさておき、普通ね、料理業界って競争が激しいですよね。
他人に教えたら自分の店が不利になるんじゃないかって考えるのが一般的だと思います。
でもサンセバスチャンの彼らは違ったと。
彼らの目標は自分たちだけが勝つことではなく、
美味しい料理を通じてみんなで食の文化を高めることだったのかもしれません。
だからこそレシピを隠すのではなく、むしろシェアすることで
全体のクオリティを上げていくというアプローチを取っていたかもしれません。
そしてお互いの知識や技術をシェアすることで料理そのものの可能性が広がり、
バスク地方全体の美食文化が発展していったのかもしれません。
新しい価値観の発見
この考え方はどうでしょうか。
私たちはどうしても尊徳感情にとらわれてしまうことが多いですよね。
自分が持っているものをシェアしたら自分の利益が減るんじゃないかとか、
この情報は自分だけの特権だからと思ってしまい、ひどくしてしまうもの。
ですが、クラウンドさんがセバスチャンで学んだのは、
シェアすることで得られるものは尊徳感情では測れないということなのかも。
シェアを通じて得られるのは一人では見つけられなかった新しい発見や他人とのつながりです。
食卓を囲み、ともに美味しい料理を楽しむ中で新しいアイデアや交友関係が生まれ、
互いに刺激し合うことで全員が成長する、そんなシェアの文化だったかもしれません。
さらにクラウンドさんが感銘を受けたのは、料理がもたらす平和の力です。
政治的な対立や個人的な確実を抱える人たちが、
一つの食卓で料理をシェアすることで敵意が和らぎ、笑顔が生まれる瞬間を目の当たりにしたそうです。
これもすごい話でですね、政治的な対立がこの地方では深くあったみたいで、
自分の親を殺した派閥というか、グループの人とも料理の席では、
やっぱりそういった関係性も超えて一緒にご飯を食べるという、
そういったことにですね、すごいクラウンドさんも驚いたというふうに教えてくれていました。
料理がつなぐのは単なる味だけではなく、人と人との絆とか、
対立を超えた心の平和を生むものなんだなというふうにも感じたそうです。
考えてみると、シェアすることで広がる可能性って料理に限らず、
私たちの生活全般にも当てはまるのではないでしょうか。
仕事で得た知識、誰かから教わった技術、人生で学んだこと、
これを独り占めするよりも、シェアすることで自分も相手も、
そして社会全体が豊かになることもあるかもしれません。
確かに今の時代、シェアオフィスとかですね、
車をちょっと共有するライドシェアだったりとか、
それこそシェアハウスとかね、
いろんなそういった文化が柔軟に受け入れられる時代でもありますし、
それが大きなビジネスの種にもなったり、
エアビーとかもまさにね、昔では絶対ありえなかったというか、
本来泊まるのはホテルとかね、宿だったところが、
それだとどこ行っても似たようなサービスや体験しか味わえないから、
いった先々のローカルの人の家に泊まったら面白いんじゃないかっていう、
暮らしを自分の家をシェアするっていう発想から生まれた、
とてつもなく巨大なビジネスに育った種でもありますし、
僕自身ですね、暮らしをシェアするということで、
たくさんのことを学んできました。
というのも熊本のね、山の上で、
多い時は40人の仲間たちとともに、
最果てというエコビレッジを作っていたんですが、
本当にね、大工だったりとか、デザイナーとか、
ヨガのマスターだったり、パーマカルチャーデザイナーとかね、
土で家を作るアースバックビルダーとか、
本当にいろんなスキルを持った住人たちが集まってですね、
ともに一つの村を、エコビレッジを作っていってたんですが、
やっぱりそれってね、自分ができることを本当惜しみもなく、
惜しげもなくシェアする暮らしだったと思っています。
その結果ですね、僕自身、
家を建てられる技術を身につけることもできたり、
ウェブでデザインを作るということだったりとか、
ふんどしを自分で作ってみるとか、
本当にいろんなスキルが身についたし、
できることが本当にたくさん増えました。
昔も百姓って、
職業なのか、何ていうか、あったじゃないですか、百姓ってね。
あれって100の仕事ができる人なんですって。
ってことはですね、僕も昔のね、
この暮らしというか、村社会というか、
百姓の人たち、現代版百姓って言ってもいいかもしれないんですけれども、
いろんな人たちと自分ができることをシェアする中で、
本当にいろんな仕事ができるようになったと感じています。
その結果ですね、いろんな視点や価値観で、
世界を見れることができたし、
自分の器が広がったなというふうに思います。
だからこそですね、本当なんか、
例えば会社に入ってお給料もらってっていうね、
ことだけをやっていたら、
例えば会社をクビになったらどうしようとか、
そういう不安が多いと思うんですよ。
でも僕はですね、本当にいろんなことができるようになったので、
お金がなくなったりとか、
仕事をサラリーもらって働くってことももう何年もないんですけれども、
例えば会社をクビになったとしても、
全然不安感がないんですよ。
どこでも生きていけるなっていう。
例えば日本じゃなくてもやっていけるなっていう、
無敵感というかね、
そういったものも自分の中にあって、
そうなってくるとやっぱり人生ね、
いろんな楽しみ方が自分の中であるし、
そういった人たちがシェアするっていうことでですね、
何十何百通りの自分の人生が豊かになっていく、
可能性もあるなあなんていうふうに思っていて、
このクラウンドさんがね、
何かを独占するのではなくシェアすることの大切さみたいな、
この教えてくれていましたけれども、
本当にシェアすることで得られるものっていうのはですね、
一人よがりになって誰ともシェアしない、
その感情ではかれない豊かな人間関係や新たな発見をね、
教えてくれるんではないでしょうか。
というわけで、今回は美食クラブ会員のクラウンドさんのエピソード、
常識を超えるシェアザレシピをご紹介させていただきました。
それではまた次回お会いしましょう。ありがとうございました。