2026/1/24録音
今回日本語訳して読んだ記事
Rudaw English:Traumatised by war, sectarian fears grow among Arabs, Kurds in northeast Syria
2026/1/23
https://www.rudaw.net/english/middleeast/syria/220120265
2026/1/18-1/19にかけた急速な勢力図の変化

地図の引用はこちらより
The Guardian:Kurdish forces withdraw from IS detention camp in north-east Syria (20Jan2026)
日本語で全体的な状況をまとめた記事は、こちらをお勧めします。
Yahoo News: シリアのクルド人に何が起きているのかーシリア政府軍による制圧とイスラム国戦闘員の収容所からの脱走ー
(2026/1/23, 伊藤めぐみ氏)
北東シリアでの戦闘激化、民族間の対立の激化を煽るSNS上の動き、民族連帯のデモンストレーションがドホークを含むイラクのクルド自治区でも見られること、ISIS囚人の脱走とイラクへの移送などについて、それぞれとても気になっています。あらためてできる限り続報だしていきます。
サマリー
北東シリアの状況は、米国がクルド人主導のシリア民主軍(SDF)を撤退させたため、地域の脆弱な社会構造がさらに危機に陥っています。クルド人とアラブ人の間での紛争再燃や宗派間暴力への懸念が高まっており、シリア政府の動きも影響を与えています。また、北東シリアのクルド人とアラブ人の間で民族間および宗派間の緊張が高まっています。特に、シリア政府軍による攻撃を背景に、アラブ系の戦闘員の離反が見られ、両民族の協力関係が危機に瀕しています。
シリアの現状と撤退の影響
シリアの希望- 2024年12月8日からの記録。
こんにちは、AKIKOです。
この番組は、シリアの現在の状況、特に2024年12月以降の変化とその影響について、私自身の情報収集をまとめながら感想を語っているポッドキャストです。
平和なシリアの未来への願いを込めて、シリアの希望というタイトルでお送りしています。
さて、この冒頭の挨拶を、去年2025年の夏頃からどんどんシンプルにしていったのですが、現在また少し長い前置きを置く必要を感じています。
少し追加します。
私はあくまで人道支援ワーカーとしての視点から情報収集と発信をします。
現在はヨーロッパに本部を置くNGOに所属し、シリア人の同僚たちはクルド系のスタッフが多いという立場で情報収集をするため、人道支援ワーカーの基本となる中立性を心がけますが、
どうしても自分自身の焦点またはリーチできる情報範囲が偏る可能性が高いと自覚しています。
この番組を聞いていただける場合、その点はご了承ご注意をいただければと思います。
また、この番組により、実施中の人道支援や現地の同僚に何か良くない影響が出る可能性が出た場合には、人道支援を優先して番組を中断や消去することにしたいと思います。
はい、今回録音日が2026年1月24日です。
北東シリアの状況は一言で言えば、とてもとても心配な状況が続いています。
ところが、日本や海外、西側のメディアでの報道が極端に少ないことをとても気になっています。
現地のメディア、もしくはアルジャジーラくらいでしかなかなか情報を入手する手段がないです。
そんな中でも、情報収集はとても大切なので続けているのですが、
今日はルダウというメディアの英語記事で、現場での一般市民に近い立場の視点やインタビューに基づいている記事を見つけましたので、こちらをご紹介したいと思います。
一言付け加えますと、ルダウというのは、イラクのクルド自治区の首都、エルベルに本部を置くクルド系のメディアです。
こちらの記事で、政治的な混乱や軍事的な衝突が一般の人々にどのような影響を与えているのかということが書かれていますので、日本の皆様に少しでも想像していただく助けになるようと、日本語訳の上で読みたいと思います。
また前提として、この名前が複雑でわからないと思いますが、北東シリアで実質的な自治管理をしてきたクルド系の勢力を中心とする軍事的な勢力をSDFというように呼びます。
2024年の12月以降にシリアの政権を取ったダマスカスの政府、そのダマスカス政府による軍をシリア政府軍というように訳していきます。
それでは以下、翻訳を読んでいきます。
シリア・カミシュリー発
米国が長年の同盟国であるクルド人主導のシリア民主軍SDFをシリア北東部から撤退させる決定を下したことで、長年の戦争と深刻化する貧困によって、既に疲弊している同地域の脆弱な社会構造がさらに崩壊の危機にさらされている。
宗派間の緊張と市民の不安
この動きは、クルド人とアラブ人の間で紛争再燃や宗派間暴力への懸念を高めている。
米国のシリア担当特使・トム・バラック氏は、水曜日、2026年1月21日、SDFはIS打倒において最も効果的な地上パートナーであったものの、当初の任務は期限切れになったと述べた。
さらに、バシャール・アルアサド政権崩壊後のシリアは、クルド人に、「市民権、文化的保護、そして政治参加を伴う統一シリア国家への完全な統合への道筋を提供している。」と付け加えた。
クルド人が多数を占めるシリア北東部の地域では、不確かな将来への不安が広がっている。
本校のためにインタビューした数十人のクルド人とアラブ人の間で、最も頻繁に使われた言葉は、「恐怖、フェア。」だった。
この地域は、シリア国内の他の地域に比べると比較的安定しているものの、アメリカ政府がクルド人をシリアの中央政府に強制的に統合しようとするシリア政府の動きを明らかに支持していることで、その安心感は打ち砕かれた。
「シュウハカンの戦争が怖い。」とカミシュリ東部タンヌリア村の中年クルド人女性は、水曜日、シリア政府とSDFの不安定な停戦から二日目に語った。
私たちの村はここにある唯一のクルド人村です。アラブ人の村々に囲まれているんです。
シリア北東部のクルド人居住地域には、20世紀後半にバースト政権のアサド政権のいわゆるアラブベルト政策のもと、定住したアラブ人の部族コミュニティが点在している。
この政策は、クルド人の人口密度を下げ、多くのクルド人を無国籍にし、アラブ人コミュニティをクルド人の政治的野望に対する干渉罪として位置づけることを目的としていた。
今発言するのは危険だ、とタンヌリアに隣接する村の高齢のアラブ人男性は語り、空気の明らかな変化を反映している。
2011年のシリア内戦勃発以来、シリア北東部のクルド人は、自らの行政を担い、反自治的な統治体制を確立してきた。
2015年、米国は過激派やアフマドアルシャラーの旧組織、ヌスラ戦線と戦うため、恩恵なアラブ系組織を勧誘する試みが何度か失敗した後、対アイシスの主要な対テロパートナーとして、クルド人部隊への武器供与を開始した。
現在、米国支援を受けたシリア政府の構成の中、クルド人は団結し、SDFとの連帯を示す大規模な集会を世界中で開催している。
この集会・動員は、ここ数日、カミシュリの入り口で目にすることができる。
AK-47を携えた武装した男女数十人がピックアップトラックで前線へと駆け抜け、子どもたちの集団がクルディスタン旗を振りながら路上に並んでいる。
同時に、ダマスカス・シリア政府によるクルド人勢力への攻撃を受けて、周波間の対立が色濃く残る緊張が表面化し始めている。
アラブ人男性二人に襲われたの。私の手を見て。
と、ハッサケ出身の十六歳のクルド人少女、ペラさんは、左手の傷を指差しながら語った。
彼女は母親と姉と共に、カミシュリのホテルに避難している。
事態は悪化する一方、ハッサケに戻る勇気はない。
姉のイリーナさんが口を挟んだ。
宗派間の争いは望んでいない。クルド人とアラブ人が互いに争うのは本当に嫌だ。
姉妹によると、多くのクルド人家族がハッサケで命の危険を感じており、
政府の爆撃やクルド人支配に対するアラブ人コミュニティの蜂起を求める声が高まる中、
アラブ人の一部がより攻撃的になっていると考えている。
今後の展望と解説
約50万人が暮らすハッサケは、クルド人とアラブ人がほぼ均等に居住している。
同市のゲウィラン地区では、アラブ系男性が路上に散乱するゴミの山を手で指しながら、
仕事がない、この状況を見てみろと嘆いた。
別の住民は、「多くの学校が避難民家族であふれ返っており、もはや正常に機能していない。」と付け加えた。
最初の男性は、近くに集まった男性と子どもたちの集団を指しながら、「この人たちは貧しいんだ。」と言った。
この地区には、数年前、ISIS戦闘員を収容する刑務所をISISの潜伏戦闘員が襲撃しようとし、
クルド人治安部隊と衝突した激しい戦闘の傷跡が今も残っている。
SDFは2015年に結成された。クルド人指導者が、アメリカのオバマ政権をクルド軍を超宗派、民族宗派を超えた部隊とすると説得し、
ISISとの戦いにおける米国の支援を確保する目的で結成されたという背景がある。
SDFのアラブ系の構成員の多くは、直近の動きの中でシリア政府軍側に離反したが、
一部のアラブ系戦闘員はクルド人戦闘員とともにSDFの下で最前線で戦い続けている。
二日前にここからそう遠くないところでいとこ二人が殺されました。
と、ハッサケとラッカを結ぶ道路で、新たに支給されたアメリカ製の軍用車の上に立つ22歳のアラブ系のSDF戦闘員サードは語った。
シャラー大統領が率いるシリア政府軍に捕らえられたらどうする?と質問すると、
彼はポケットからAK-47の弾丸を一発取り出した。
その時のために取っておいてあるんだと彼は言った。
捕虜にされるつもりはない。
SDFの司令官たちはSDFから離反した脱走兵に憤慨している。
我々は裏切られた。アラブ人を信頼していたがそれは間違いだった。
とシャダディ前線の司令官ヘバルバラン氏は述べ、
一部のアラブ系戦闘員は今でもSDFに残っていると指摘した。
米国の名前が出ると彼は明らかに動揺した。
米国人は我々に対して不名誉な行為をした。と彼は言った。
しかし最前線の米兵に関してはこのように付け加えた。
彼らはただ命令に従っただけだ。
アメリカ中央軍CENTCOMは水曜日(1月21日)、
ハッサケの収容施設から150人のISIS捕虜を
イラクの安全な場所に移送すると発表した。
さらに最大7000人のアイシス捕虜が
イラク管理下の施設に移送される可能性があると付け加えた。
ルダウはシリア北東部に駐留する米軍が撤退の可能性に向けて準備しており、
そのことがすでに不安定な状況をさらに複雑化させていると理解している。
ハッサケでは約150人の女性がパンを買うために何時間も列に並んだ。
6時間も待っていますとある高齢女性は言った。
近くのアフマドヤシン小学校には避難を強いられたアラブ系民間人約400人が避難していた。
多くは発言を拒否した。
米軍の戦闘機、アパッチヘリコプター、A-10サンダーボルトがハッサケ上空を巡回し、
敵対する勢力間の不安定な停戦を監視していた。
シャダディ前線の司令官、ヘバルバラン氏は、
より大規模な衝突が差し迫っており、クルド人地域とシリア全体に深刻な影響を及ぶ可能性があると警告した。
私たちに何が起こるのか分かりません。
と学校の外で数十人の幼い子供たちが遊んでいる中、25歳のイスマイルさんは言った。
彼らの将来が心配です。
RUDAWの記事の翻訳は以上です。
ここから少し私の解説というか感想などを付け加えます。
まず、北東シリアの実質的な自治政府、自治区として、
アサド政権の下でも長い間、ある意味国際的にも認識されていた地域というのが、
そこの地図が現在大きく変化しました。
そして変化しつつあります。
こちらに一つ記事のリンクを貼るんですけれども、
シリアの中の勢力図、どこが各地区を管理しているかというのを色分けをした地図の比較図がありますので、
そちらを見てください。
北東シリアの状況
クルド人勢力の自治区とされていた部分がどれだけ急激に減少しているかということが、
目で見てよく分かると思います。
そして一つ付け加えておきたいのは、
クルド人の自治区というのができたのが、もともとは対ISISの戦闘によるものだったという経緯があります。
それが今の記事の中でも触れられていましたが、
ISISに対抗するための戦い、2015年から2016年頃にかけてシリア国内では非常に活発でしたが、
その戦いを経緯でSDFというものも結成されました。
そして重要なのはSDFを結成していたのがクルド人勢力だけではないということですね。
クリスチャン系の勢力やアラブ人も入っていました。
SDFというのは連合軍でした。
しかしここ数週間のシリア政府軍による北東シリア地域への攻勢ということに合わせてアラブ系の戦闘員が離藩をしたと。
クルド系のSDFを離れてシリア政府軍の方に加担をしたと。
そういった動きがありました。
ただここで単純化して話すと、アラブ系はシリア政府側に離藩しというような記事で、普通の記事ではそういうふうにしか出てこないんですけれども、
今回のこの記事を紹介したいと思ったのは、SDFの中にも現在でもアラブ人の兵士もいて、
アラブ人の市民もこのSDFの管理地域の中にも住んでいるということです。
特にハッサケ市という、この記事の中でも何度も出てきたハッサケ市という北東シリアの中では比較的大きな町の一つですが、
ハッサケ市ではアラブ人とクルド人が大体半数ぐらいずつの割合で暮らしていました。
もともとこの北東シリア地域というのは、メソポタミア文明に起源を置く、とても古くから文明が発祥して人々が住んでいた地域です。
私の住んでいるドホークも含めて、肥沃な三日月地帯という、メソポタミア時代の肥沃な三日月地帯という地図を見ると、
その地図のちょうど真ん中ぐらいに、肥沃な三日月地帯の真ん中ぐらいに入っている地域になります。
そこは確かにクルド人が多数住んでいる場所ではあるんですけれども、昔からモザイク国家というふうに言われていたり、
モザイクのようにという言い方をよくされますが、たくさんの民族や宗教や宗派やいろいろな人たちが村ごとに分かれたり、
隣り合うようにして入り混じって暮らしてきた地域というような背景があります。
そういうように、数千年前からいろいろな人々が入り混じって暮らしてきたということに加えて、
さらにこの記事の中でも20世紀の後半にバース党政権、いわゆるアサド政権の下でアラブ・ベルト政策というものがあって、
その中でアラブ人に定住を促して、クルド人の人口の割合を少なくしようという動きがあった。
さらにクルド人を無国籍に国籍を与えないままにして、クルド人という勢力を弱めるということを政策的に実施してきていたということが、
この記事の中でも少し触れられていますね。
民族間の緊張
大変複雑な状況なので、一度に私の頭も整理できないですし、聞いていただいている方々にもなかなか情報の整理が難しいとは思います。
ただ本当に一つ言いたいのは、今政府と政府が戦闘を行っているという大きな動き、
国際ニュースの中ではそういった大きな動きしか出ていないので、その中ではやはりシンプルにするために、
クルド系の勢力がアラブ系の勢力がというように言わざるを得ないということはわかります。
しかし実際はクルド系のSDFの中にもアラブ人の兵士もいる。
そしてクルド系地域という一言で言っても、その中にはアラブ人もたくさん暮らしている。
民間の一般の市民の人たちは本当に入り混じるようにして、そして協力し合って仲良く助け合って暮らしてきたという背景があります。
またこれを言うと単純に協力し合ってというだけだったら、どうしてアラブ人が今回の動きの中で離反したのかということにもなりますので、
実際にはいろいろな背景はあると思うんですが、例えば私が働いているNGO、クルド系の地域の中にNGOのオフィスはありますが、
アラブ人のスタッフも働いています。そしてそのクルド人のスタッフ、アラブ人のスタッフは本当に協力し合って、現在の状況の中でも助け合って仕事をしてくれています。
ですので民間人同士はずっと助け合ってきていたという事実を私は実際に見ているので、
クルド人であろうとアラブ人であろうと助け合って協力し合ってきたという実績も実際にはあります。
ところが現在クルド人とアラブ人の民族的な対立というような動きを煽るような、その対立を煽るような動きも見え始めていて、
そのことを私は本当に心配しています。特にSNSなどでの相互の民族への嫌悪を煽り、怒りを煽るような記事、
その動きに対抗して民族主義的なデモンストレーションなどの動きもとても活発化しています。
そうなってくると、この記事の中でも出てきたように、クルド系の地域の中に住んでいるアラブ人の人も、
アラブ系の地域の中に住んでいるクルド人の人も、そして両者が入り乱れて半々ぐらいずつ住んでいるような、
半々ぐらいずつ住んでいるような街では、人々が本当に恐怖を感じている、そういった現実が現在進行中で起こっているということ。
これは、ドホークに暮らしている私の立場として、そしてシリア国内の状況を知ることができるという立場として、
どうしても残しておかないとならないと思いました。
以上にします。聞いていただいてどうもありがとうございました。
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