最近企業の求人の業務形態で増えてきている業務委託という働き方について、メリット・デメリット、雇用(労働者)との違いの判断基準に関して若手実務家社労士と熱く語りました。
就職活動中に出会う「業務委託契約」、それって何?
最近の求人票には「業務委託契約」の表記が増えてきています。これは「仕事の成果に対して報酬を支払う」契約形態であり、労働基準法などが適用される雇用契約とは異なる仕組みです。たとえば、「配達業務を1日●件いくらで依頼する」「いつ働くかは自由」「報酬は成果物納品後」などの特徴があり、従業員としての義務や権利(社会保険や労働時間の規制)は発生しません。一方で、実態がほとんど雇用に近い場合でも「業務委託」として契約してしまうと、労働者保護の枠外になってしまうこともあります。
カフェでの面接現場に違和感——これは雇用?委託?
番組DJ田村がカフェで出くわしたのは、ある物流企業と求職者の“面接”の現場。話を聞いていると、「業務委託契約です」と説明する企業側は、実際には「毎週木・金曜に出勤してほしい」「残業になるかもしれない」と具体的な時間拘束や勤務の指示を行っていました。しかも使用するのはどうやら企業の社用車。これでは、形だけ“業務委託”と言いながら、実態は“雇用”ではないのか?という疑念が浮かびます。
業務委託と雇用契約の違い——あなたは理解していますか?
「雇用契約」は、会社側の指揮命令下で働くことが前提。勤務時間や業務内容が決められ、従う義務があるため、社会保険や労働法上の保護を受ける対象となります。一方「業務委託契約」は、働き方も成果の出し方も基本的に自由。働く時間や方法の指示を受けず、外注の「業者」として扱われるため、保険の加入義務や最低賃金の適用もありません。しかし実際の現場では「名前だけ業務委託」にしてコストを削減しようとする企業も増えており、働く側がその違いを正しく理解する必要があります。
グレーゾーンをどう見極める?「労働者性」の判断ポイント
業務委託か雇用かの線引きは、最高裁でも争われる難しい問題です。ポイントとなるのは「指揮命令の有無」「勤務時間・場所の拘束」「業務内容の自由度」「報酬の性質(時間なのか成果なのか)」「自前の道具・車両を使っているか」など。たとえば、会社のルールに従い、社用車で働いている場合は、形式上“業務委託”でも実態は“雇用”と判断されることもあります。
違和感を見逃さないために——求職者に必要な「最低限の知識」
求職者側が「業務委託=自由な働き方」と思い込み、その実態を知らないまま契約してしまうケースもあります。「業務委託だから保険はありません」「源泉徴収はしません」といった説明に対して、本来の契約内容とのズレを見抜けなければ、不利益を被るのは本人です。「それって本当に業務委託ですか?」と問い返せる知識を、特に若年層や新卒の方にもぜひ持ってほしい——それがこの対談の出発点でした。
社労士として、私たちができること
こうした契約の“名ばかり自由”を見逃さないために、社労士としても「実態に基づいた労務管理」の啓発が必要です。企業側にとっても、リスク回避の観点から、正確な契約形態の見直しが求められます。違法な偽装請負や脱法的業務委託は、後にトラブルの火種になりかねません。「雇用か、委託か」の問いは、単なる言葉の違いではなく、“働く人をどう扱うか”という企業の姿勢そのもの。今一度、見直してみるべき時期に来ているのかもしれません。
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サニーデーフライデーは、社会保険労務士として活動する田村が普段のサムライ業という固いイメージから外れ、様々な分野で活躍する方やその道の専門家・スペシャリストと語るトーク番組です。
人生に前向きでポジティブな方をゲストとしてお呼びし、経営者や従業員として働くリスナーの皆様が明日から明るく過ごせて、心や気持ちがパッと晴れるそんな『働き方を考える』ラジオをお送りします。
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パーソナリティー:田村陽太
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。日本企業で働く海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応が専門。ラジオDJ、ナレーター、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界、イベント業界でも幅広く活動。
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