2020-08-16 20:11

第108回 【対談】巷で話題のフードデリバリーサービスの働き方について語る

前回の話の続きで、業務委託の仕事の代表として知られている某フードデリバリーサービスの業務形態は、雇用なのか業務委託なのか、様々な視点から社労士×社労士で語りました。


業務委託=自由? その前に知っておくべき「請負契約」の落とし穴


業務委託という働き方が一般化している昨今、建設業や配達業などの現場では「請負契約」という形式で仕事が回されています。本来、受け負いとは“成果物”に対して報酬が支払われるものであり、いつ働くか・どのように作業するかは請け負った側の自由のはず。しかし実際は、「○時に現場集合」「土日は出てください」など、雇用に近い働き方をしているケースも多く、実態と契約内容にズレが生じています。社会保険の加入義務や労基法の適用がされない働き方で、実際には従業員と変わらない働き方をさせられているとすれば、それは“偽装請負”と判断される恐れがあります。


「消費税の処理」からバレる“偽装”


労務の観点に加えて、税務上も「業務委託契約」は厳しい目で見られます。特に重要なのが“消費税”。本来、業者に仕事を発注した際には報酬+消費税が発生し、受け取った業者はそれを国に納める必要があります。しかし、偽装請負的な契約が増えると、この消費税処理が不自然になり、税務署のチェック対象になることもあります。たとえば、時間単位で給与的に支払っているのに「請負工事一式」として計上していると、あとから「それは実質的に給与だ」と指摘され、追徴課税を受けるケースも。社会保険とあわせて、“税務の視点”からも偽装のリスクは無視できません。


「一人親方」や下請け社長も“労働者”になる可能性がある?


元請け企業から業務を受ける下請けの社長やフリーランスも、働き方によっては「実質的な従業員」とみなされる可能性があります。たとえば、「毎日この時間に来て」「会社の車で動いて」「社内ルールに従って」といった指示を受けている場合、形式がどうであれ内容が“雇用”に近いと判断されることがあります。このようなケースでは、たとえ代表者であっても労災や社保の適用対象とされる可能性があり、元請け企業にとってもリスクとなります。契約書の形式に安心せず、実態と契約が一致しているかを常にチェックすることが大切です。


学校で教わらない“働き方のルール”を知らないと損をする


業務委託や請負といった働き方は、学校では教わる機会がありません。そのため、新卒や転職希望者の中には「業務委託って自由に働けるんですよね」といった漠然としたイメージで契約してしまう人もいます。しかし実際には、「自由」には自己責任がつきまとううえ、保険や保障が弱くなることも多く、リスクを伴う働き方です。「入社後3ヶ月は業務委託で様子見」など、会社側が曖昧な制度設計で濁しているケースもあります。本来“入社”と“業務委託”は両立しない概念であり、言葉遣いに騙されない知識が求められます。


配達員やライダーも“働き方改革”の焦点に? 法の抜け穴と命のリスク


近年増加している“黒いバッグを背負った配達ライダー”たち——通称E社やU社の配達員たちも、多くが業務委託契約。働き方の自由度はある一方、事故に遭っても労災保険の対象外であるため、現場では自己責任が重くのしかかります。さらに、業務委託であれば適用されるべき「貨物自動車運送事業法」なども、原付バイクや自転車の場合は適用対象外で、アルコールチェックや運行管理がなされない状態。結果として、安全面でも法の網の目をすり抜けた“グレーな働き方”が生まれている実情があります。


「自由な働き方」を選ぶなら、リスクも自覚しよう


業務委託は決して悪ではありません。むしろ、組織に属さず自由に働きたい人にとっては理想的な形とも言えます。ただし、それは“きちんと自分の責任で選ぶことができた場合”に限ります。契約内容が正しく理解されず、雇用との違いを知らないまま契約を結んでしまえば、不利益を被るのは働く本人です。自由と責任はセットです。これからの時代、自分の働き方を選ぶ力と、契約を見抜く知識こそが最も重要な「自己防衛術」なのかもしれません。


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サニーデーフライデーは、社会保険労務士として活動する田村が普段のサムライ業という固いイメージから外れ、様々な分野で活躍する方やその道の専門家・スペシャリストと語るトーク番組です。


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パーソナリティー:田村陽太

産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナー等のPRブランディング事業も手掛ける。


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社会保険労務士のお仕事をしていて、この業務委託っていうのは、受け負いっていう意味でもあるじゃないですか。
受け負いの仕事で代表的なのは、建設業とかもあるじゃないですか。建設業もいろいろ、
お客さんから建設、これを工事してくださいっていう元受けさんがいて、
その元受けさんがいろんな下請け業者に振っていくじゃないですか。一時下請け、二次下請けに振っていくと思うんですけども、
実際に受け負いっていう風な体で業務を振ってるんであるから、その仕事の振り方の本来あるべき姿っていうのは、
あなたは2週間後までにこの足場の組み立てを何とかして終わらせてください。
何時にここ来いとか、そういうのは土日出勤しろとか言わないから、とりあえず終わらせてくださいっていうのが手だと思うんだけども、
その一時下請け、二次下請けの方がそういう形で働けてるのかって言ったら、そこは難しいのかなって思ったりするんですよ。
そうだね。
建設のお仕事というのは派遣っていう形でお仕事することができないから、
どっかの派遣先っていうか、元受けさんというかお客さんに対して命令を受けて仕事することができないから、
受け負いという形でしか仕事ができないんだけども、
実際のお金の請求であったりとかお客さんに対して受け負い工事一式っていう形でお金を請求できるのかって言ったら、
僕は結構難しい業態なのかなっていうのは思ったりするんですよ。
そうだね。業態的に結構受け負い契約が多いからね。
グレーなところを、なかなか受け負い工事一式で時間じゃなく成果に対してお金を支払いますっていうのは計算が難しくて、
03:07
実際どうやって受け負い料金を支払ってるかっていうと、
実際その従業員さんが何時間それかかったのかとか、深夜出勤したのかどうかっていうところで計算されているような会社さんもあるんじゃないかなと思うんですよ。
そうね。
って考えると、業務委託とか受け負いでやってる方達っていうのは、本来は個人事業主とか業者扱いされてるけれども、
実際は従業員さんというか、お客さんの一従業員さんとして働かれてるっていう体になってしまうと、
この人たちは従業員という風に扱われて、
例えば従業員さんだったら扱わなきゃいけない健康保険、厚生年金とか、
労働基準法の1日8時間超えたときには、いわり小増しの残業で払ってくださいとか、
そういうところも、本来はもしかしたら続かれる可能性があるんじゃないかなとは僕は思うんですよ。
そうだね。
もう一個さ、社会保険以外に税金でも結構大きいポイントがあるよね。
あー、はいはいはい。
消費税。
あー。
例えばさ、水道直し税っていう話を、まだ水道工事者の話をしたけどさ、水道直してくださいって言ってさ、
工事費5万円だったらさ、10%消費税乗って5万5千円払うじゃん。
はいはいはい。
で、これって結構当たり前かなと、まあ違和感なく受け入れられるかなと思うんだけれども、
はいはい。
法務委託で、例えばお仕事をやってもらって30万払いましたっていうときに、
そこに10%の消費税がかかってくるわけで、33万払うわけじゃん。
はい。
で、委託した、委託元側もやっぱり会社なわけで、
はい。
会社としても消費税を、商品じゃないか、会社としてもさ、売上のうちの10%の消費税を国に納める義務があるわけじゃん。
はいはい、そうだよね。
ちょっとわかりづらいかな。
一般個人と水道業者だと、一般個人って消費税ってお店とか業者に払うだけで自分が納めることってないけれども、
はいはい。
会社対業者のやりとりになると、業者さんに対して消費税分の10%上乗せで払うこともあるし、
逆に自分の会社の商品を消費者に買ってもらったりしたときに、その10%分を今度は自分が国に納めないといけないじゃん、消費税って。
あーはいはい。
で、そのプロセスにおいてだよ、そのプロセスにおいて、
06:06
あのー、業者に対して払った10%分っていうのは、
相殺できるじゃん。
あーそうだね。
相殺できるから、
受け負い流せば流すほど消費税が相殺されていくわけよ。払っていくわけだから。
そうだね。
だから、消費税が安くなっていくっていう受け負いにするとね。
あー、お客さんからもらって売り上げ料金に対して、それを経費として下請けに出すことによって、その消費税の払う分を相殺できるっていうか。
そうそうそうそう。
はいはいはいはい。
っていうことがあるから、結構受け負いって何でもない。メリットでメリットという考えですけど、メリットが結構あるんだよね。
あー、はいはいはい。
でもメリットがあるっていうことは、逆に言うと、
税務署が見てきやすいポイントかな。
最も厳しく見られる項目の一つなのかなと思うので、
多分この辺りって会社が結構見られる、行政から怒られるポイントあるあるなんじゃないかなっていう。
偽装受け負いっていうのはね。
これは労働者だよねっていうふうに見られて、追加課税みたいなことは結構あるのかなというふうに思うので、消費税も一つポイントだよね。
そうだね、ありがとうございます。
業務委託なのか、今回下請け会社とかだったら、そこの社長さんとかはもしかしたら元請けの会社さんにとって、下請けの社長さんが従業員として扱われるっていう可能性もなきにしもあらずだと思うんだけども、
そこの下請けの会社だから従業員さんを雇用してるわけで、一経営者っていうところもあるから、もしかしたらその社長さんは元請けさんの会社の従業員としては扱われにくいのかなっていうところもあるのかなっていうのはあるから、一概には言えないんだけども、
受け負いの形で仕事を振るっていう時には厳しいいろんな制約があるっていうのはこの際知っておくべきだなっていうのはありますよね。
そうだね。
なかなかそういうのって、僕も大学卒業して新卒で入って、会社の仕事で働いていたわけなんですけども、こういう業務委託とかそういう働き方って全然習ってきてなかったわけで、
09:00
実際こういう社同士のお仕事をし始めてから、そういう仕事の振り方もあるんだとか、そういう世界に生きてる人がいるんだなっていうのを僕はすごいそこで知って、これは勉強できないなって思ったので。
そうだよね。こんなの学校で習わないからね。
そうそうそう。習わないからさ。
もしかしたら本人さん、これから仕事を探す人にとっては、別に雇用じゃなくて業務委託として働いた方が気持ち的に楽っていう方も多分いると思うんですよ。
そうだね。
そういう機関にいたくないとか、いろいろいると思うから、メリット、デメリットもそうですし、いろいろこういうのを発信するって僕はすごい大事なのかなと思うんですよ。
なかなかこういう話をする機会って社同士の中にあんまりいないんじゃないかなと思ってて、すごい難しい話なのかなと思うんですよ。
そうだね。
見習い機関は業務委託みたいなことやってる会社もね、正直あるよね。
そうだね。
正社員の1個下のランクが業務委託みたいな。
だけど普通に就業規則の適用があって、もろ従業員じゃんみたいな。
そうそう。
入社してから3ヶ月経ったら正社員みたいなね。
入社してから3ヶ月経ったら正社員ってもはやもう日本語がおかしいんだけど。
そうね。入社っていう概念がまずおかしいもんね。
業務委託は業者ですから。
そうだね。
自由なわけですね。会社に属さないことが業務委託なわけで。
そうね。
でも結構そういうのがね、正直まだまだ多いのかなっていうのが現実かなと思います。
そうだよね。
あとさ、
どうぞどうぞ。
ごめんね。
大丈夫ですよ。
食べ物運んでくるさ、
なんすか?
よくチャリでさ、食べ物運んでくるさ、
ユーから始まるさ、黒いバッグにさ、緑の字でユーから始まるさ、
あの人たちの話してもいい?
ピーイーツですか?
そう、イーツイーツ。
最近ね、チャリとか原付けで乗ってる黒いバッグっていうとこ多いですね。
四角いバッグ乗ってさ、クロスバイク乗ってる人たち。
いますね、最近。
いますよね。
あれ結構、今コロナの時代を象徴する業務委託かなっていう。
今すごい量が増えてるらしいじゃん。
そうだね。
めっちゃ儲かるみたいな話もあって、やる人も多いらしいんだよ。
12:04
そうなんだ。
結構ね、40万50万儲ける、1ヶ月で40万50万とか儲かる人もいるんだって。
マジで?すげえじゃん。
社長かよみたいな。
社長だよね。
すげえな。
すごいよね。
あれって業務委託なんだよね。雇用契約じゃなくて、業務委託だから。
労災が適応されないんだよね、事故にあっても。
ちょっともうだいぶ時間経っちゃったけど、今年の3月ぐらいだったかな。
20代のE2ライダーが自動車事故で亡くなってしまったっていう悲しい事故も起きたりして。
でもこれ業務委託だからね。
業務委託中の仕事で死んだら、完全に自己責任になるかどうかわからないけど、基本的には自己責任って形になるかなと。
水道工事屋さんが家に着く前に途中でぶつかって死んじゃったのと変わんないっていう話になっちゃうからね。
その辺りが可哀想だなと。
E2のドライバーたちもプロだけど、世の中一般的な運送業の人たちって法律でいろいろやらなきゃいけないことが守らないといけないものが多いわけよ。
アルコールチェックとかそういうやつか。
そうそうそうそう。
最近ね、車老子試験には出てこない法律なんですが、貨物自動車運送事業法っていうものを実は勉強してるんですよ。
運行管理者とか聞いたことある?
聞いたことある。どんなものはわからないけど。
そうそうそう。あれが貨物自動車運送事業法っていって、トラックとかを使って物を運んで人からお金をもらうっていう事業をするときに、守ってねっていう。
転校しろとか、運行管理票を保存しろとか、いろいろルールがあるわけですよ。
これだって想像がつくと思うんですけど、安全運転するためにあるわけなんですね。
そうですね。
化石災はしないでねとかね、積み込むときはこういうことに注意しろとか、ああだこうだ、いろんなルールがあるわけ。
15:08
これ全部安全運転のためにある法律が結構強いなかなと思うんですよ。
ウーバーって言っちゃったけどね、イースのライダーさんたち、これ適用されないの?
あのライダーたちは運行管理票とかで厳密な管理がされたりとか、アルコールチェックとかされないの?ってちょっと不思議に思ったわけよ。
はいはいはい。
で、調べてみたらね、この法律の対象となっている自動車の区分に入ってないのね。
この貨物自動車運送事業法で定められている乗り物っていうのが、3輪以上の車、または125cc以上の自動車というふうに定められているんですよ。
小型自動2輪以下か。
小型自動2輪以下になるのかな?
小型自動2輪…あ、違うか。小型自動2輪以下だね。126cc…そうだね。
で、3輪以上って、3輪であんまないけども、要するに4輪のトラックとか普通自動車とかは一発で法律の対象になるし、
125cc以下の2輪車っていうのが要するにこの法律の対象側になるわけですよ。
はいはいはい。
で、あの唯一のライダーたちが乗ってるのって、よく見てみると全部125cc以下のやつなんだよ。
ほほほほほほ。
または車輪だね。
あー。
え、あれってさ、車で運んじゃダメなの?UberEatsで。
そう。よく確かに車で運んでるの見たことないじゃん。
確かにない。
確かにないね。
ないでしょ?
え、まあこの前なんかね、普通に中面っていうか中型バイクみたいなUberEatsみたいなのいたけどね。
いた?
うん。400ccぐらいみたいな。
400ccのやついた?
うん。
逆にそれ、125cc以上のバイクで物を運んでお仕事をすると、この法律、貨物自動車運送事業法に入ってくるので。
18:00
あー。
だからこの、店舗をするとか、運行管理表に書くとか、いろんな法律の制約が出てくるわけなんですよ。
ほうほうほう。
それが結果的には安全運転に繋がるわけなのかなと思うんですけど。
はいはい。
だいたいのあのライダーたちはたぶん125cc以下に乗っちゃってるから。
あー。
この浪費法とかね、関係意外にこの貨物自動車運送事業法にもちょっとの抜け穴にも、抜け道にもちょっとなっちゃってるっていう。
なるほどね。
うん。
あとその同様交通法とかも含まれるとね。
うん。
あー、それ面白いね。
ウーバー行ったらそこまでやっぱ規定してるんだろうね。やっぱそういう仕事をする時の規則っていうか。
うん。
まあわかりませんけどね。
125cc以上のバイク使いたいですって言ったら、それはちょっとうちは認めないなっていうのかどうかはわかりませんけどね。
えー面白い。
そういう風な視点で考えると確かにウーバーイーツの人たちって原付とかチャリとかで行ってる人多いなってすごい思いますよね。
そう。
いかがでしたでしょうか。
次回もこのお話の続編をお送りいたします。
魅力的なお話たっぷりです。楽しみに。
シャローシラジオサニーレイフライデー、DJの田村洋太でした。
それでは次回もリスナーの皆様のお耳にかかれることを楽しみにしております。
いってらっしゃい。
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