固定残業手当を導入している企業や導入したい企業、またそのような企業で働いている従業員のリスナーの皆様に向けて、日頃から注意すべき点や理解しておくべき事項を若手実務家社労士と語りました。
【ハイライト】
・固定残業代とは?
・固定残業代を導入するメリット
・固定残業時間を越えた際の割増賃金について
・固定残業代導入時の必須条件
・就業規則の重要性
本エピソードの後編のリンクはこちらです。
https://podcasts.apple.com/jp/podcast/id1507714225?i=1000516301881
ステイホーム期間中の近況とナレーションの話から
収録は緊急事態宣言下。まずはパーソナリティ田村とゲストオオタワ社労士が、家での過ごし方についてゆるく語る。キャッチボールや料理、そして田村のナレーション仕事など日常の一コマが紹介され、和やかな雰囲気から今回のメイントピック「固定残業代」へと自然に移っていく。
固定残業代とは?基本の“き”を押さえる
固定残業代とは、実際に残業したかどうかにかかわらず、一定時間分の残業代をあらかじめ給与に含めて支給する制度。たとえば「30時間分の固定残業代を含む月給25万円」といった形式がある。田村は自身の新卒時代の例を挙げ、「定時で帰っても30時間分の残業代がつくので定時貴社を狙っていた」とリアルなエピソードを紹介。これに対してオオタワ氏は、「固定残業代の真の狙いは長時間労働の抑制にあるのではないか」と解説する。
なぜ会社は固定残業代を導入するのか?
多くの会社では、残業代の計算簡素化や人件費の予測しやすさから制度を導入しているが、本来の意義は「残業時間を自制してもらう仕組み」にあるとオオタワ氏は強調する。つまり、30時間分は支給されるため、それ以内に業務を終えれば社員側が得をする構造になっており、それが労働時間の効率化に繋がるという見解だ。
固定残業代の設計で気をつけるべきポイント
固定残業代を導入するには、以下の要件を明記する必要がある:
基本給と固定残業代を明確に区別すること
固定残業代が何時間分に相当するか明記すること
時給単価算出のため、所定労働時間を明示すること
これらが曖昧だと、労働基準監督署や裁判で「不適切な運用」と判断されるリスクがある。従業員が自分の給与構造を把握できるよう、ルール整備の必要性を説く。
割増単価の計算方法と「勘違いポイント」
実務でよくある誤解として、「固定残業代も含めた金額を基準に、追加の残業代を計算すべきでは?」という質問が企業からあるという。これに対してオオタワさんは「固定残業代はあくまで割増賃金として支払っているものであり、重複して再計算する必要はない」と明言。ただし、その根拠が曖昧だと「基本給に含まれているのでは?」と判断されかねないため、やはり明確な設計が重要だと補足する。
所定労働時間を使った計算の重要性
割増単価を正しく計算するには、所定労働時間の設定がカギとなる。1年の総労働時間(約2085時間)を12で割った173.75時間を基準とする方法が紹介され、それを元に「月給÷所定労働時間」で時給単価を算出する流れが解説された。
この所定労働時間を設定せずに「30時間5万円」などの設定をしてしまうと、「根拠のない曖昧な手当」とみなされるおそれがあり、法的リスクがあると注意が促される。
固定残業代を巡る従業員の誤解と注意点
従業員側にも誤解は多い。たとえば「残業9時間したのに割増賃金が少ない」とクレームが入るケースでは、「8時間超え」か「所定労働時間超え」かの認識の違いが要因であることが多い。また、「所定労働時間を超えていても割増がついていない」ように見える場合、就業規則での定義や割増率を確認する必要があるとアドバイスされた。
制度は運用と明示がすべて
固定残業代は、制度自体が悪いわけではない。むしろ、働き方改革の一環として、残業削減や予見可能性の向上につながる制度である。ただし、設計が曖昧だったり、従業員への説明が不十分だったりすれば、トラブルの温床になる可能性も高い。今回の対談では、固定残業代をめぐる制度設計・運用・従業員対応に必要な視点が広く語られた。
~お知らせ~
サニーデーフライデーは、社会保険労務士として活動する田村が普段のサムライ業という固いイメージから外れ、様々な分野で活躍する方やその道の専門家・スペシャリストと語るトーク番組です。
人生に前向きでポジティブな方をゲストとしてお呼びし、経営者や従業員として働くリスナーの皆様が明日から明るく過ごせて、心や気持ちがパッと晴れるそんな『働き方を考える』ラジオをお送りします。
話すテーマは社労士業、働き方改革、キャリア、海外駐在、外国人雇用、海外放浪等です。
パーソナリティー:田村陽太
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナー等のPRブランディング事業も手掛ける。
カバーアート制作:小野寺玲奈
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