紀元前7世紀から前6世紀にかけて、現在のトルコに存在した古代の国家、リュディアは、
エレクトラムというコインを世界で初めて流通させました。
音楽に詳しい方でしたら、リディアンスケールというね、スケールに名を残す地域とお伝えするとイメージが湧きやすいかもしれません。
アジア大陸の西の端、アナトリア半島にあり、古代ギリシャを代表するイオニアとは隣同士となる国家です。
こちらも音楽に詳しい方でしたら、ポップミュージックで支配的なイオニアンスケールに名を残す地域です。
さて、リュディアで発行されたエレクトラムコインなのですが、これは金と銀の合金でできていました。
といっても、純金と純銀を混ぜたのではなく、自然に散出する金銀合金、つまり自然金に純銀を少し混ぜて使ったようなんです。
自然金に純銀を混ぜると耐久性が増すからです。
おそらく他に純金の密度を少し下げて通貨の発行量を増やすという狙いもあったんじゃないでしょうか。
エレクトラムコインは色が琥珀色なのですね。
琥珀。当時の言葉で琥珀はエレクトラムという風に呼びました。
エレクトラムと似ていたので、このコインもそのままエレクトラムと呼ばれるようになりました。
なお、琥珀を布でこすると静電気が発生するために、電気を意味する英語エレクトリックもまたエレクトラムから名付けられました。
エレクトラムコインは当時の金融システムや貿易の発展において重要な役割を果たしました。
コインとしての質の高さはもちろんなのですが、現代でもコレクターがいるほどの美しさ、そして色にもその理由が求められるかもしれません。
このsteam.fmの今回のエピソードのアートワークには、そんなエレクトラムの写真を使っていますので、アートワークを確認できる方は見てみてください。
時間が経つにつれて、金と銀を分離して、それぞれの金属でコインを鋳造する技術が発達し、エレクトラムのコインは徐々に使用されなくなりました。
金貨とか銀貨とかに置き換わっていったわけですね。
しかし、その歴史的な重要性とそして美しさのために、
今日でもエレクトラムはコレクターや歴史愛好家によって高く評価されています。
エレクトラムは人類史において最も重要なコインと言えるんじゃないでしょうか。
歴史上初めて中国大陸を統一した真は、紀元前336年、統一通過を発行します。
これが半量銭、半分の量の銭と書いて半量銭で、
穴の開いた形態は日本の五円玉のルーツにもなっています。
それよりも画期的だったのは、このコインが鉄でできていたことなんですね。
鉄というのは溶ける温度、つまり有点が高いため、
溶かして型に流し込むには強力な火力が必要です。
このように金属を型にはめて造形することを鋳造と呼ぶのですが、
ヨーロッパが鉄の鋳造をできるようになるのは、なんと18世紀からなんですね。
日本もヨーロッパから伝えられて初めて鉄の鋳造ができるようになりました。
これら日本で初めて鉄の鋳造を行った溶鉱炉はですね、
明治日本の産業革命遺産として世界遺産に登録されています。
鉄は金に比べて大量に手に入り、また銀や銅に比べて錆に強いため、
中国大陸では銀か銅かを抑えて大量に用いられました。
その結果中国大陸で余った銅をこちらをですね、銅のままではなくて銅のコインを作って輸出したんですね。
これ蒼銭と言います。蒼のお金で蒼銭と言います。
蒼銭が日本を含む東アジアに大量に輸出されました。
日本でもね、蒼銭という銅で作ったコインが使われていました。
歴史的なコインといえば金銀合金のエレクトラム、そして金か銀か銅かを思い浮かべがちだと思うのですが、
アジアでは鉄か、鉄のコインが最初の統一コインだったんです。
しかも紀元前ですよ、真ですよ、キングダムですよ。
これすごいことですよね。
鉄の鋳造は軍事技術なので、残念ながら日本にはもたらされませんでしたが、
ヨーロッパより2000年も早くアジアでこの技術が生まれたというのは驚きですね。
そして2000年間その秘密を守り通したというのも、もう一つの驚きなんじゃないでしょうか。
で、ニッケルをコインに用いる理由として、それが事実上の国家備蓄になるという点があるんです。
コインにしておけば、市蔵することなく、つまり有効活用できて、それでいて外国へ流出する心配がほとんどないというわけですね。
コインを密輸するってまあまあないじゃないですか。コインは国内で流通します。つまりこれは備蓄になるんですね。
そして、いざという時は政府が、例えば500円玉2枚を1000円札と交換しますよって言うと、事実上無料でニッケルを回収できるということなんですね。
これ考えた人頭いいですよね。コインというのは経済だけではなく、美術そして工学にまたがる重要な技術なんだというお話でした。
今週のエピソードでは、お金、とりわけコインと金属のお話についてお届けをさせていただいたのですが、
お金、特に貨幣ですね。紙幣であったり、硬貨であったりというものは技術であり、そしてアートでありということで、とても面白いテーマになりました。
紙幣についても改めてsteam.fm、そしてメールでお送りしているニュースレターsteamnewsで取り上げていきたいと思っています。
このエピソードでお金について取り上げたのは、2023年12月の科学系ポッドキャストの日イベントの共通テーマとしてお金ということになったからですね。
12月の科学系ポッドキャストの日イベントのホストは、同じくポッドキャスター、科学系ポッドキャスターのkotetenaitoさんです。
こちらもね、すごくためになるトークを楽しくされているので、よかったら聞いてみてください。
このポッドキャストはメールでお送りしているニュースレターsteamnewsの音声版なわけなんですけれども、今回のエピソードに対応するのがsteamnews第157号になります。
こちらではですね、今週の書籍、今週のテッドトーク、そしてQ&Aなんかも一緒にお送りをしているのですが、
今週の書籍として紹介させていただいた本が面白かったので、こちらsteam.fmでも少しご紹介をしてみたいと思います。
紹介した本は大村大次郎、お金の流れでわかる世界の歴史、富、経済、権力はこう動いた。
帯にはですね、ローマ帝国は脱税で滅んだ。
ナポレオンは金融破綻で敗れた、なんてことが紹介されています。
もちろんね、本文を読むと詳しく書かれています。
いや、これめちゃくちゃ面白かったです。
ただまぁ、若干大雑把な部分もあるのかなという感想を持ちました。
ただまぁ、僕も詳しいことは全然素人でわからないので、じゃあどこが大雑把なんだって言われると、大雑把にしかわからないんですが、
とはいえ、大枠は正しいのかなと思って読ませていただきましたし、それにね、すごくリズムも良くて面白かったです。
一例を挙げるとですね、古代エジプトが3000年の王国を維持できた理由ですね。
これは朝勢システムが非常にうまくいったからというふうなことが書かれています。
いや、3000年の国家を維持するというのは並大抵のことではないですよね。
朝勢というのは、もちろん計算もできなければいけないし、それを記録するという文章を作る能力も必要になりますし、
その意味では官僚機構というのが非常にしっかりしていたということですね。
僕も古代エジプトの調査をしているのですが、こういったものの見方、経済からものを見るということは今までできてなかったなと思って、
反省するとともに非常に面白く参考にさせていただいた書籍になります。
お金の話ついでで、リスナーの皆様には大変恐縮なのですが、
このsteam.fm、無料で提供する体制を維持するために、概要欄からコーヒーの差し入れというリンクを用意しておりますので、
よかったらクリックしてみてください。
今週も最後まで聞いてくださってありがとうございました。
イチでした。
ありがとうございました。
ご視聴ありがとうございました。
ご視聴ありがとうございました。