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  2. コインと金属の話【第157号音..

1️⃣エレクトラム:世界初のコインは金と銀の合金でした 2️⃣鉄:アジアで最初に流通したコインは驚異の技術で作られていました 3️⃣ニッケル:現在流通しているコインの組成には軍事的理由があります

※この番組は「科学系ポッドキャストの日」2023年12月企画に連動してお送りしています.今月のホストは「コペテンナイト」の春名まことさんです.

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サマリー

紀元前7世紀から前6世紀にかけて、古代の国家であるリュディアはトルコに存在し、世界で初めて金と銀の合金であるエレクトラムのコインを流通させました。また、アジアでは鉄のコインも最初の統一コインとして作られました。さらに、ニッケルは軍事的に重要な戦略物質として扱われています。本記事では、日本の硬貨には銅とニッケルの合金が使われており、またニッケルアレルギー対策のためにニッケルが避けられるようになったコインについて解説します。

目次

リュディアとエレクトラム
いちです。おはようございます。今回のエピソードは、コインと金属の話についてお届けします。
このポッドキャストは、僕が毎週お送りしているニュースレター、Steamニュースの音声版です。
Steamニュースでは、科学、技術、工学、アート、数学に関する話題をお届けしています。
Steamニュースは、Steamボートの取り組みのご協力でお届けしています。
改めまして、いちです。このエピソードは、2023年12月1日に収録しています。
このエピソードでは、Steamニュース第157号から、コインと金属の話についてお届けします。
実はですね、最近ブラックライトを購入したんですよ。
紫外線LED懐中電灯なんですけれども、面倒なのでブラックライトと呼びますね。
このブラックライトが、家の掃除にとっても役に立っているんです。
例えば、キッチン。夜中に明かりを消して、真っ暗にしておいて、ブラックライトでキッチンを照らします。
そうすると、ガスコンロや壁に飛び散った目に見えない油分がよく見えるんですよね。
これは結構ホラーです。
他にですね、輸入品のトニックウォーターでキニーネを含んだもの。
こちらはですね、ブラックライトを当てると白く光るというので有名なのですが、
僕はキッチンを照らして回って、新しい発見もしました。
ペッパーミルに入っている黒胡椒。ペッパーミルですから胡椒を中で砕いているわけですね。
その黒胡椒の断面も白く光ります。
というわけで、先ほどスパゲティを茹でまして、無駄に黒胡椒をペッパーミルでいっぱいふりかけてみました。
そしてブラックライトを当てて、キラキラ光って綺麗だなと思いながら食べてみました。
味は変わらなかったんですけれどもね、無意味な食べ方をしてしまいました。
こういった蛍光を持つ物質はブラックライトで色を浮かび上がせるのによく使われます。
イギリスポンド紙幣やスウェーデンクローナ紙幣にはブラックライトにだけ反応する特殊なインクが使われています。
さて、今週は紙幣ではなくコインのお話。
今週もどうぞ25分間お付き合いください。
鉄のコインと日本の鋳造技術
紀元前7世紀から前6世紀にかけて、現在のトルコに存在した古代の国家、リュディアは、
エレクトラムというコインを世界で初めて流通させました。
音楽に詳しい方でしたら、リディアンスケールというね、スケールに名を残す地域とお伝えするとイメージが湧きやすいかもしれません。
アジア大陸の西の端、アナトリア半島にあり、古代ギリシャを代表するイオニアとは隣同士となる国家です。
こちらも音楽に詳しい方でしたら、ポップミュージックで支配的なイオニアンスケールに名を残す地域です。
さて、リュディアで発行されたエレクトラムコインなのですが、これは金と銀の合金でできていました。
といっても、純金と純銀を混ぜたのではなく、自然に散出する金銀合金、つまり自然金に純銀を少し混ぜて使ったようなんです。
自然金に純銀を混ぜると耐久性が増すからです。
おそらく他に純金の密度を少し下げて通貨の発行量を増やすという狙いもあったんじゃないでしょうか。
エレクトラムコインは色が琥珀色なのですね。
琥珀。当時の言葉で琥珀はエレクトラムという風に呼びました。
エレクトラムと似ていたので、このコインもそのままエレクトラムと呼ばれるようになりました。
なお、琥珀を布でこすると静電気が発生するために、電気を意味する英語エレクトリックもまたエレクトラムから名付けられました。
エレクトラムコインは当時の金融システムや貿易の発展において重要な役割を果たしました。
コインとしての質の高さはもちろんなのですが、現代でもコレクターがいるほどの美しさ、そして色にもその理由が求められるかもしれません。
このsteam.fmの今回のエピソードのアートワークには、そんなエレクトラムの写真を使っていますので、アートワークを確認できる方は見てみてください。
時間が経つにつれて、金と銀を分離して、それぞれの金属でコインを鋳造する技術が発達し、エレクトラムのコインは徐々に使用されなくなりました。
金貨とか銀貨とかに置き換わっていったわけですね。
しかし、その歴史的な重要性とそして美しさのために、
今日でもエレクトラムはコレクターや歴史愛好家によって高く評価されています。
エレクトラムは人類史において最も重要なコインと言えるんじゃないでしょうか。
歴史上初めて中国大陸を統一した真は、紀元前336年、統一通過を発行します。
これが半量銭、半分の量の銭と書いて半量銭で、
穴の開いた形態は日本の五円玉のルーツにもなっています。
それよりも画期的だったのは、このコインが鉄でできていたことなんですね。
鉄というのは溶ける温度、つまり有点が高いため、
溶かして型に流し込むには強力な火力が必要です。
このように金属を型にはめて造形することを鋳造と呼ぶのですが、
ヨーロッパが鉄の鋳造をできるようになるのは、なんと18世紀からなんですね。
日本もヨーロッパから伝えられて初めて鉄の鋳造ができるようになりました。
これら日本で初めて鉄の鋳造を行った溶鉱炉はですね、
明治日本の産業革命遺産として世界遺産に登録されています。
鉄は金に比べて大量に手に入り、また銀や銅に比べて錆に強いため、
中国大陸では銀か銅かを抑えて大量に用いられました。
その結果中国大陸で余った銅をこちらをですね、銅のままではなくて銅のコインを作って輸出したんですね。
これ蒼銭と言います。蒼のお金で蒼銭と言います。
蒼銭が日本を含む東アジアに大量に輸出されました。
日本でもね、蒼銭という銅で作ったコインが使われていました。
歴史的なコインといえば金銀合金のエレクトラム、そして金か銀か銅かを思い浮かべがちだと思うのですが、
アジアでは鉄か、鉄のコインが最初の統一コインだったんです。
しかも紀元前ですよ、真ですよ、キングダムですよ。
これすごいことですよね。
鉄の鋳造は軍事技術なので、残念ながら日本にはもたらされませんでしたが、
ヨーロッパより2000年も早くアジアでこの技術が生まれたというのは驚きですね。
そして2000年間その秘密を守り通したというのも、もう一つの驚きなんじゃないでしょうか。
ニッケルと戦略物質
なお日本人は鉄の鋳造技術こそ発明できなかったものの、加熱して柔らかくした鉄を折りたたんで何度も叩くという、
これも世界的に見るとかなり独特な、むしろ脅威の鑑造技術を発明しています。
ここらへんはお国柄というふうに言えるかもしれません。
現代のコインに欠かせない金属がニッケルです。
銅鉱石とニッケル鉱石は大変似ているのですが、ニッケル鉱石からは銅が取れないため、
ドイツ人たちがこのニッケル鉱石を悪魔の銅、ドイツ語でコプファーニッケルと呼んだのがニッケルの語源です。
英語でもね、ニックっていうと悪魔、小悪魔みたいなね意味があるんですが、そのニッケルというのは悪魔の意味なんですね。
このように意味嫌われていたニッケルなのですが、鉄と混ぜることによってできる鉄ニッケル合金というのが錆に強くて大変丈夫だということで、
18世紀の軍艦ですね、鋼鉄艦という鉄で覆った船が発明されると、ニッケルというのは軍事的に非常に重要な戦略物質とみなされるようになっていきます。
軍艦マーチで歌われた黒金の船というのは、この鉄ニッケル合金で覆われた船ということですね。
少し誤解されがちなのですが、江戸時代末期に日本にやってきた黒船、こちらはですね、鋼鉄船ではありません。
ではなぜ黒船と呼ばれたかというと、表面をピッチ、これは重油由来の油ですね、オイルで固められていたので黒かった。
なので黒船と呼ばれたのですが、これは木造船になります。
そもそもですね、ペリーが乗っていたサスケ花号というのは外輪船なので、船の横っ腹に水車が回っていたので、これはもう防御の上では非常に不利な構造をしていたんですね。
もちろん当時の江戸時代の日本の大砲というのは正動性で射程距離が全然短いので、ペリーが持ってきた鋼鉄製の大砲、これにはもう刃が立たなかったわけなので防御としては完璧だったのですが、
この日本の黒船大砲の黒船襲来か、この黒船というのは鋼鉄船ではありません。
まあとはいえですね、すぐにこの鋼鉄船というものが発明されて、ニッケルというものが、ニッケルという金属が戦略物質になっていくわけですね。
これは現在でも変わりません。銃であるとか弾丸にもニッケル合金が使われるんですね。
金属でできたコイン
と、同時にニッケルはコインにも使われるようになります。これには理由があるんです。後ほどお話をします。
日本の50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨は銅とニッケルの合金です。
これは白銅、白い銅と書いて白銅と呼ぶのですが、白銅でできています。銅ニッケル合金でできています。
ヨーロッパでは1ユーロコイン、2ユーロコインにも使われていますし、イギリス、アメリカのコインもニッケル合金が使われています。
また、1981年まで発行されていたカナダのゴセントコイン、日本の昭和30年発行50円コイン、昭和34年発行50円コインは純ニッケルでした。100%ニッケルだったんですね。
現在のコインで純ニッケルが避けられているのは、どうやらニッケルアレルギー対策のようです。
例えば、腕時計の金属ベルトなんかでも、国産のものだとニッケルフリーを歌っているものが多くなっていると思うんですが、これはニッケルアレルギーを起こしにくくするための工夫になります。
で、ニッケルをコインに用いる理由として、それが事実上の国家備蓄になるという点があるんです。
コインにしておけば、市蔵することなく、つまり有効活用できて、それでいて外国へ流出する心配がほとんどないというわけですね。
コインを密輸するってまあまあないじゃないですか。コインは国内で流通します。つまりこれは備蓄になるんですね。
そして、いざという時は政府が、例えば500円玉2枚を1000円札と交換しますよって言うと、事実上無料でニッケルを回収できるということなんですね。
これ考えた人頭いいですよね。コインというのは経済だけではなく、美術そして工学にまたがる重要な技術なんだというお話でした。
今週のエピソードでは、お金、とりわけコインと金属のお話についてお届けをさせていただいたのですが、
お金、特に貨幣ですね。紙幣であったり、硬貨であったりというものは技術であり、そしてアートでありということで、とても面白いテーマになりました。
紙幣についても改めてsteam.fm、そしてメールでお送りしているニュースレターsteamnewsで取り上げていきたいと思っています。
このエピソードでお金について取り上げたのは、2023年12月の科学系ポッドキャストの日イベントの共通テーマとしてお金ということになったからですね。
12月の科学系ポッドキャストの日イベントのホストは、同じくポッドキャスター、科学系ポッドキャスターのkotetenaitoさんです。
こちらもね、すごくためになるトークを楽しくされているので、よかったら聞いてみてください。
このポッドキャストはメールでお送りしているニュースレターsteamnewsの音声版なわけなんですけれども、今回のエピソードに対応するのがsteamnews第157号になります。
こちらではですね、今週の書籍、今週のテッドトーク、そしてQ&Aなんかも一緒にお送りをしているのですが、
今週の書籍として紹介させていただいた本が面白かったので、こちらsteam.fmでも少しご紹介をしてみたいと思います。
紹介した本は大村大次郎、お金の流れでわかる世界の歴史、富、経済、権力はこう動いた。
帯にはですね、ローマ帝国は脱税で滅んだ。
ナポレオンは金融破綻で敗れた、なんてことが紹介されています。
もちろんね、本文を読むと詳しく書かれています。
いや、これめちゃくちゃ面白かったです。
ただまぁ、若干大雑把な部分もあるのかなという感想を持ちました。
ただまぁ、僕も詳しいことは全然素人でわからないので、じゃあどこが大雑把なんだって言われると、大雑把にしかわからないんですが、
とはいえ、大枠は正しいのかなと思って読ませていただきましたし、それにね、すごくリズムも良くて面白かったです。
一例を挙げるとですね、古代エジプトが3000年の王国を維持できた理由ですね。
これは朝勢システムが非常にうまくいったからというふうなことが書かれています。
いや、3000年の国家を維持するというのは並大抵のことではないですよね。
朝勢というのは、もちろん計算もできなければいけないし、それを記録するという文章を作る能力も必要になりますし、
その意味では官僚機構というのが非常にしっかりしていたということですね。
僕も古代エジプトの調査をしているのですが、こういったものの見方、経済からものを見るということは今までできてなかったなと思って、
反省するとともに非常に面白く参考にさせていただいた書籍になります。
お金の話ついでで、リスナーの皆様には大変恐縮なのですが、
このsteam.fm、無料で提供する体制を維持するために、概要欄からコーヒーの差し入れというリンクを用意しておりますので、
よかったらクリックしてみてください。
今週も最後まで聞いてくださってありがとうございました。
イチでした。
ありがとうございました。
ご視聴ありがとうございました。
ご視聴ありがとうございました。
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