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4月1日は「エイプリルフール」ですね.このエピソードでは科学史に残るエイプリルフールである「ネッシー」事件を取り上げます.実は古生物学の研究には,他にも冗談や冗談では済まされない事件があったんです.中には騙そうとしたところ,本当に新種の古生物を見つけてしまったこともあったようです.

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Cover Photo by Simonetta Sambiase on Unsplash

00:00
[音楽]
市ですおはようございます
このポッドキャストは僕が毎週お送りしているニュースレター
スティームニュースの音声版です
スティームニュースでは科学、技術、工学、アート、数学に関する話題をお届けしています
スティームニュースはスティームボートの取組員のご協力でお送りしています
[音楽]
改めまして市です
このエピソードは2022年3月31日に収録しています
このエピソードではエイプリルフールの恐竜たちをお届けしていきます
今回も25分間お付き合いください
[音楽]
毎年4月1日はエイプリルフールの日ですね
2008年4月1日、英国の公共放送BBCはニュース番組の中で
南極で空飛ぶペンギンの群れを発見し
世界で初めて撮影に成功したと映像を紹介しました
YouTubeでBBCエイプリルフールという風に検索していただくと
空飛ぶペンギンの映像を見ることができます
可愛らしいですよ
企業文化なのか国民性なのか
BBCのエイプリルフールは伝統芸になっています
例えば1957年の放送では
今年はスパゲッティの木が豊作ですとやったことが有名です
こちらもYouTubeでBBCスパゲッティの木で検索していただくと
当時の白黒の動画が見つかると思います
また1976年、こちらはBBCラジオの方なんですが
天文学者パトリック・ムーアが
今朝の9時47分ぴったりにジャンプしたら
無重力状態を感じられるでしょう
惑星が直列して地球の重力を落ち消しますからね
とやったんですね
もちろん冗談だったのですが
03:00
中には天井に頭をぶつけてしまったじゃないかという風に
BBCに苦情を伝える人もいたそうです
さてこのエピソードでは
エイプリルフールにちなんで
科学史における本気にされた冗談
そして冗談では済まされなかった話を
お届けしていこうと思います
ネッシーは正式名称を
ロッホ・ネス・モンスター
あるいはネスコの怪獣と呼びます
ネッシーとはもちろん
英国スコットランドのネスコで目撃されたとされる
未確認動物ですね
ネッシーの目撃団は意外にも相当古く
西暦690年頃の書物に
565年に未確認動物が目撃されたとの記録が残されています
565年ですからもちろん今の英国も
かつての大英帝国もまだなく
庶民族が軍有滑挙していた時代です
日本でいえば仏教伝来の頃ですね
ネッシーが一躍有名になったのは
1934年4月にデイリーメール誌に掲載された
下界の写真からです
この下界の写真どんな写真だったかというと
ニュースレター、メールでお送りしているニュースレターの方には
写真を貼り付けているんですが
他にネットでネッシー下界の写真という風に検索していただくと
白黒写真がね出てきます
あの有名なネッシーのシルエットを捉えた写真ですね
この写真はロンドンの産婦人会
ロバートケネス・ウィルソンが
偶然湖面に現れたネッシーを撮影したと主張したものです
このロバートケネス・ウィルソンなんですが
実際には産婦人会で下界ではなかったんですが
どういうわけか下界の写真としてこの写真が知られるようになりました
この下界の写真なんですがその後60年にわたって
ネッシーが存在する根拠とされたんですね
しかし1994年真相が明らかになります
英国の俳優、プロデューサー、映画監督であった
06:02
マーマ・デューク・ウェザラルの義理の息子
クリスチャン・スパーリングが死の間際に
義理の父がネッシーの足跡を発見したのだが
科学者に拒否されたので
おもちゃの潜水艦を使ってトリック写真を撮った
友人のウィルソン医師に偽証を依頼した
エイプリル・フールの冗談のつもりだったと言い残したんですね
彼のこの遺言が英国のサンデーテレグラフ誌に掲載されたんです
実はこの60年というものネッシーは実在するのかしないのかという論争があったんですが
この94年の遺言が紙面に掲載されたことで
一通りの決着を見ました
英国の蝶類学者・自然保護活動家・画家・オリンピックドーベナリストの
ピーター・マークハム・スコット卿
肩書き見るだけでもなんかちょっとチートのような人物ですが
このスコット卿は1975年にネッシーにとある学名を提唱しています
その学名何かというと
ネッシテラス・ロンボプテリックス
なんか発音しにくいですね
ネッシテラス・ロンボプテリックスという学名を提唱したんです
なおかつネッシーな自然保護活動家であったスコット卿は
ネッシーを絶滅危惧種として登録することも提案をしました
この学名なんですが古代ギリシャ語で
ダイヤ型のヒレを持つネスコの怪獣という意味なんだそうです
ただし
これもちろん英語でねアルファベットで書かれているんですが
このアルファベットを並べ替えると
モンスターホークス・バイ・サーピータース
ピーター・スコット卿の嘘つき怪獣という意味になる
つまりアナグラム言葉遊びだったことが見破られています
いやーなんか英国風の冗談って僕なんか好きなんですよね
リスナーの皆さんいかがでしょうか
僕には英語圏のことしかわからないんですが
20世紀の英国や帝国東海岸の絵本とか映画とか見ると
09:07
見え見えの冗談に対してはかなり寛容な気がします
英国の考古学者チャールズ・ドーソンは1912年
アメリカのサセックス州のピルトダウンで
とある化石人骨を発見したと主張しました
19世紀末から20世紀初頭にかけては
ネアンデルタール人の化石やジャワゲン人の化石が発見されており
一種のブームだったのかもしれません
ネアンデルタール人は旧人類のホモ・ネアンデルターレンシス
あるいは原生人類近縁のホモ・サピエンス・ネアンデルターレンシスに分類されており
ジャワゲン人の方は原人のホモ・エレクトスに分類されています
ピルトダウン人も当初は原人の一種と考えられ
アトラントロプス・ドーソンに日本語ではドーソン原人あるいは
ドーソンというのが日の出の意味もあることから
アケボノ人とも呼ばれていました
ドーソンの発見当初から怪異的な声はあったようなのですが
ネアンデルタール人がドイツから発見され
ジャワゲン人がオランダ領インドネシアから発見されたこともあって
おそらくは心理的バイアスもかかったのか
英国人科学者の間で
ドーソンの発見を本物と見る向きがかなりあったんですね
ところが1953年英国の自然人類学者ケネス・オークリー
動物学者ウィルフリッド・グロス・クラーク
生物学者ジョセフ・ウィーナーラによって精密な調査が行われ
ドーソン原人はオランウータンの顎と
おそらくはクロマニョン人の頭蓋骨頭頂骨を
うまい具合にくっつけたものだということが明らかにされました
この時すでにドーソンは亡くなっていたのですが
世間の犯人探しは盛り上がりを見せ
なんとシャーロック・ホームズの作者である
コナンドイル・クロマク説まで囁かれました
しかし2003年英国の考古学者マイルス・ラッセルは
12:05
ドーソンの発見のうち少なくとも38点が熱像であることを結論付け
ドーソン自身がドーソン原人の熱像をしたのだろうとしました
ドーソンは次々と考古学的発見をすることから
サーセックスの魔法使いとも呼ばれていたのですが
その発は日本のゴッドハンドと似たようなものになってしまったようです
まあ好意的に解釈してもドーソン人はブリティッシュジョークではなく
欺瞞あるいは詐欺と言ってもよかったのかもしれません
1999年11月、ナショナル・ジオグラフィック誌は
中国遼寧省で新しいウモウ恐竜の化石が発見されたと報道しました
この化石は恐竜の一種である獣脚類と蝶類とを結びつける種であると報道されました
獣脚類にはティラノサウルスのような有名な恐竜も含まれています
日本でも獣脚類の化石見つかっています
蝶類は2億年前から1億5000万年前頃のジュラキーの間に
獣脚類から進化したのではないかと言われています
約6600万年前の大量絶滅で恐竜は絶滅していますが
蝶類は生き延びたとされています
1860年に発見された子祖鳥、学名アーケオプテリクスは蝶類の祖先あるいはその近縁主とみられていますが
蝶類の始まりは謎に包まれています
中国で発見されたこの新しい化石アルケオラプトルは
獣脚類と蝶類を結びつける鍵となるはずでした
しかしこのアルケオラプトルと名付けられた化石は捏造だったのです
この偽化石もやはりいくつかの化石を混ぜて作られたものでした
2000年2月に報道を見た中国の古生物学者である
ジョセイが体と尻尾が一致しないことを指摘し
15:03
ナショナルジオグラフィック氏が調査に乗り出したんですね
古生物学者のシュ・チュアが科学士ネイチャーに寄稿した記事
アルケオラプトルのベターハーフによると
化石の頭部と本体上部はヤノルニスマルティニという白亜紀の蝶類のものでした
しかもX線トモグラフィーからヤノルニスマルティニは
魚を食べていたことがわかったんですね
エイプリルフールの起源ともされる16世紀フランスのポワソンダブリル
これ直訳すると4月の魚という意味なんです
ヨーロッパでは中世まで3月が新年だったため
お正月が1月1日に変更になってしまったのを嘆いたフランス人が
4月1日をバカ騒ぎの日に決めたという説があるんですね
なぜ魚なのかよくわかりませんが
なぜこの話をしているかというと
ヤノルニスマルティニがお魚を食べていたということが
このX線トモグラフィーからわかったと
ネイチャー誌の編集者なのか
執筆したシュ・チュアなのかわからないんですけれども
この記事のタイトルがアルケオラプトルのベタハーフなんですね
もちろんこのアルケオラプトルというのが化石をミックスして作ったもので
その違法の半分ベタハーフについて
よくわかったよとヤノルニスマルティニという鳥類だったよと
お魚食べてたよということがわかったという意味だとは思うんですが
英語でベタハーフというと配偶者という意味もあるんですよね
僕の知る限りではよく男性が女性配偶者のことをベタハーフということが多かったと思うんですけれども
なぜタイトルにこのベタハーフという言葉を使ったのか
ひょっとしたらさすがにポアソン・ダブリルだからということはないと思うんですけれども
一種の洒落ではあったと思うんですね
何かジョークに引っ掛けるであるとか何かちょっとした洒落だったような気がするんです
でこのアルケオラプトルの残りの部分下半分尻尾の部分なんですが
これがどこから来たのかというのは当初は不明でした
そしてなんとこれがミクロラプトルという新種の恐竜だったことがわかったんです
18:01
つまりアルケオラプトルという化石を捏造するために周りにあった化石を集めたんでしょうね
その化石半分の化石が新種だったということですね
これはそのまま発表していれば科学史に名前を残したのにということになりますね
なおアルケオラプトルの足の部分についてはまだ何の化石なのかわかっていないんです
化石を捏造したつもりが新種の化石だった
これもまた科学史に残る冗談というか一種のオチになるかもしれません
恐竜はおよそ2億5千万年前の三畳紀に登場し
2億年前から1億5千万年前のジュラ紀に反映し
6600万年前まで続いた白亜紀の最後に絶滅しています
熱心に似た恐竜もまた白亜紀の最後約6600万年前の大量絶滅
これを通り抜けることはできませんでした
最後に一人の哀れな教授をご紹介したいと思います
18世紀ドイツのピュルツブルク大学のヨハン・ベリンガー教授医学部長です
彼は学内で尊大に振る舞ったために同僚たちにいっぱい食わされてしまいました
ベリンガーが化石採集にしばしば訪れていた山中に
同僚たちが石灰岩で作った偽化石を埋めておいたんですね
18世紀といえばまだ進化論が受け入れられていない時代で
化石もノアの箱舟伝説における洪水によってできたものという認識すらあった時代なので
仕方ないといえば仕方ないのですが
ベリンガーはこの偽化石をすっかり本物と信じ本まで出版してしまいました
ベリンガーがあまりに信じ込んでしまったため
同僚たちはついにいたずらを白状します
結局同僚たちはショックを負われてしまうのですが
ベリンガーの方も現在に至るまでいっぱい食わされた教授として名を残しています
ベリンガー教授は出版してしまった本を回収しようとするんですが
これも思うように回収できず現在でも残っています
まあエイプリルフールそれに加えて冗談というのもほどほどにということを歴史は我々に教えてくれているのかもしれません
21:11
とはいえですね僕は冗談が大好きです
エイプリルフールも大好きです
4月1日になるとエイプリルフールを掲載しているウェブサイトなんかをあちこち探し回ってみたりもします
メールで送りしているニュースレターのこのエピソードに対応する号を第72号になるんですが
これ配信日が偶然2022年のエイプリルフールに重なったんですね
というわけでニュースレターの冒頭でものすごくわかりやすい嘘を仕込んでいます
よかったらニュースレターの方もメールでお読みいただけるニュースレターの方も無料登録していただければと思っています
ニュースレターの方ではおすすめ書籍おすすめテッドトークそれからQ&Aも掲載をしています
第72号のおすすめ書籍ではなぜあの人のジョークは面白いのか進化論で読み解くユーモアの科学という本を紹介させていただいています
おすすめテッドトークの方も第72号で紹介しているトークは面白いですよ
テッド後援者を襲った最大の悪夢というタイトルのトークなんですが
実はこれ僕がテデックス京都というイベントで紹介させていただいたビデオでもあって
少し仕掛けを施したんですねそんなエピソードもニュースレターの中には書かせていただいています
いやーエイプリルフールって結構センスいるんですよね
なんかこう面白くなきゃいけないし分かりやすくなきゃいけないし
人を傷つけないようにもしなきゃいけないし
そして何より面白くなきゃいけないわけじゃないですか
いやこれ本当ね頭使うなぁと思いますよ
そういう意味でBBCのネタを考えている人って偉いなぁって個人的には思います
日本だとね僕は虚構新聞とか大好きなんですけどね皆さんいかがでしょうか
今回も最後まで聞いてくださってありがとうございました
素敵なエイプリルフールをお過ごしください
いちでした
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