伝書鳩のテクノロジー
いちです。おはようございます。
STEAM.fmの今回のエピソードでは、
伝書鳩が伝えるメッセージについてお話をしていきます。
伝書鳩、どのようなテクノロジーでメッセージを伝えていくのでしょうか。
改めまして、いちです。このエピソードは、2023年8月17日に収録しています。
このポッドキャストは、僕が毎週メールでお送りしているニュースレター、
STEAMニュースの音声版です。
STEAMニュースでは、科学、技術、工学、アート、数学に関する話題をお届けしています。
このエピソードは、STEAMニュース第142号から、
伝書鳩が伝えるメッセージについてお届けします。
伝書鳩というと、もうすっかりロストテクノロジーなイメージがあるかもしれません。
実際には、日本でも1960年代までは使われていたこのテクノロジー。
まだ役に立つ分野があるんですね。
今の時代、見かけることはまずありませんが、
1960年代までは、日本でも伝書鳩が通信手段として使われていました。
伝書鳩は鳩の寄贈能力、巣に帰る能力ですね。
これは別名ホーミング能力とも言いますが、
この寄贈能力を利用して、鳩にお手紙を運ばせるものです。
鷹に比べるとおっとりしている印象の鳩ですが、
その寄贈能力は他の動物に比べても飛び抜けていて、
中には1000km以上離れた巣へ帰ることができる個体もいます。
古代エジプト人たちも鳩の寄贈能力に気づいていたようで、
紀元前3000年頃には鳩を使った通信を行っていました。
ということは、だいたい5000年の間、
人類の通信を支えてきたということになりますね。
寄贈能力を持つ動物は多く、
アメリカでは飼い猫が320kmを歩いて家に帰ってきたことがニュースになっていました。
そういえば古代エジプト人も猫が大好きだったんですね。
でも猫にお手紙を運ばせた証拠はありません。
まあ、そりゃそうかなとも思います。
ただし、こういった寄贈能力はあくまでも巣に帰る寄贈のためのものなので、
目的地を指示してお手紙を運ばせることはできないんです。
例えばですよ、新聞社が電書鳩を使う場合、
鳩を一旦取材現場まで人間が連れて行って、
取材現場でお手紙を持たせた後、
本社に鳩だけ送り返すというような使われ方がされてきました。
双方交通信が必要な場合は、お互いに電書鳩を運び合って、そこから送り合ったわけですね。
つまり郵便や電話のように、
お手紙送りますよ、届きましたよというふうに双方向の通信が必要な場合は、
伝書鳩の能力
それぞれの地域で育てた鳩をお互い交換する必要があったわけです。
ロイター通信は1851年ロンドン創業ですが、
前年の1850年にドイツアーヘンで試験創業をしています。
この時には電書鳩を通信に使っていました。
後にすぐにですね、電信に変わるんですけれどもね。
同時代のシャーロック・ホームズ小説で、
ホームズが蒸気船を使って犯人を追い詰めていくシーンがあるんですが、
この当時の印象ですよ。
当時の印象として、
なんというスピード感なんだというふうに言われた時代なのですから、
この当時の電書鳩は1990年代の電子メールのような存在だったんでしょうね。
レース用の電書鳩は1000kmを移動できたそうなのですが、
通常の電書鳩は200km以内の通信に用いられました。
現代の日本でもわずかながら電書鳩が使われているそうで、
万が一迷った電書鳩を発見した場合は、
Uパックで持ち主に送り返すことが推奨されています。
鳩をUパックで送るのって思いますが、
これちゃんと公式ホームページで説明されています。
Uパックに鳩を詰めることはOKなんです。
迷った電書鳩を見つけたら、
これ足にですねIDが付いているので、
そのIDで送り先を調べた上でUパックで送り返すことが良いそうです。
これ着払いでいいんですかね。
なお現代のエジプトでも鳩小屋、よく見かけます。
これね、塔の形をしているんですが、
塔のてっぺんに穴がいっぱい開いていて、そこに鳩が帰ってくるんですね。
で、この電話もネットもある時代になぜ鳩小屋があるのかというと、
実は美味しくいただくためなんですね。
ご想像の通り僕も食べたことがあります。
というか、むしろ好きです。美味しいです。
私、鳩はね、お祝いの日に食べるような高級食材なので、
そうしょっちゅう食べられるものではないのですが、美味しくいただきました。
さて、電書鳩がなぜ遠く離れた場所から巣へ戻ることができるのかは、
鳩の歴史が長いだけにいろいろ調べられています。
鳩は体内に知識センサー、つまりは包囲自身を持っており、
包囲を知覚できます。
どちらが北か、どちらが南かを知ることができるというわけですね。
体内時計と太陽の位置の関係から方角を認知できるとされています。
こちらはバックアップでしょうかね。
知識センサーによって、どちらが北かどちらが南かを知ることができることに加えて、
体内の時計と太陽の位置の位置関係から方角を知ることができるそうなんですね。
これは正午12時に太陽が真南に来るということ、
そして太陽は1時間に15度ずつ傾いていくということを知っていれば、
人間であれば数学を駆使して包囲を知ることができるのですが、
鳩の脳みそのことですから、おそらく脳の中に焼き付けられているんでしょうね。
さらには、地形を読む能力もあるそうなんです。
包囲地震と太陽の位置を利用する方法
地上の目標物を記憶しておいて、この方向に進むと巣に帰られるということを記憶、そして想像できるそうなんです。
オリエンテイリングをプレイされたことのある方なら、ご存知の通り、包囲を知覚できるだけでも、
地形を読む能力があるだけでも目的地に戻ることはできません。
鳩はその両方の能力を備えているということなんですね。
包囲を知る方法は、鳩であろうと人間であろうと、次の2つの方法が主な方法になります。
1つ目、地磁気を利用する方法。
これは、包囲地震、つまりはコンパスを使う方法です。
地球は北極がS極で、南極がN極という磁石になっていますから、
人間の場合は、包囲地震、あるいはスマホに内蔵された磁気センサーを使って南北を見つけることができるんです。
鳩をはじめ、多くの動物は体内に包囲地震を内蔵していて、包囲を知覚できます。
スマホ普及前は、本当にコンパス、包囲地震を使ってどちらが北かということを指し示して、
これは考古学の調査の現場なんかでは、その包囲地震と一緒に写真を撮ったりとかしていたんですが、
現在では、スマホの包囲地震、スマホの磁気コンパスを使うことが多くなってきています。
これは地表面ではあまり関係ないのですが、
井戸によっては、北極というのが地面の下に位置するので、
この磁気コンパスではなくて、包囲地震の方ですね。
コンパスの方、こちらですね。地面の中を指してしまうんですね。
そのために、井戸によって重りが入っているのですが、
我々、世界の遺跡を巡る場合は、そんなにたくさんの種類のコンパスを持ち歩けないので、
スマホの磁気コンパスを使っています。
話がそれちゃいました。
2つ目。太陽の位置と時刻を利用する方法。
太陽は正午に真南に来ます。
ということは、お昼12時の太陽の位置を基準にして、
1時間ずれることに360÷24時間で15度ずつずれていくことを計算すれば、
包囲がわかることになります。
例えば、今午前11時だとすると、
太陽は真南から東へ15度ずれた位置にいるはずです。
ということは、太陽に向かって右へ15度いったところが真南ということになります。
鳩はこんなことまで脳内で計算しているんですね。
鳥頭なんて言ってバカにしちゃいけないですよね。
人間の場合、地磁気センサーは内蔵されていませんし、
時刻と太陽の位置から方角を割り出すのも、かなりの訓練が必要です。
アナログ式の時計、針式の腕時計でなおかつ、
簡易方位針という東西南北の目印が入っていて、
それがくるくる回せるものが入っていると便利なので、
もし低電であるとか、そういった融資に備える場合にはおすすめです。
僕もエジプトで使っていました。
太陽のない夜は北極星を使っていました。
電子バトルの実験
さて話し変わって、1990年のエイプリルフールの話題を最後にご紹介したいと思います。
電子バトルを使ったインターネットが提案されたことがあります。
これは正確には、蝶類キャリアによるIPデータグラムの伝送企画と題された短い企画書で、
気真面目に書かれています。
大真面目なんです。
そして2001年には、ノルウェーのベルゲンで実証実験まで行われています。
結果は予想通り使い物にならないでした。
ただし、このインターネット通信、正確に言うとインターネットプロトコルにこだわらなければ、
電子バトルにはまだ可能性が残されています。
2009年、オーストラリアのテレビ番組がこんな実験をしたんですね。
700MBの電子ファイルを132km、82マイル先に送るのに、
1番、電子バトルでマイクロSDカードを送る。
2番、自動車でUSBメモリーを送る。
3番、ADSLで通信で送る。
この1番から3番のどれが一番早いかを競ったんです。
ADSLというとですね、今は皆さんお使いかどうかはわからないのですが、
日本ではYahoo!グロードバンド、Yahoo!BBで有名になった通信企画ですね。
光通信が普及する前に非常に多く使われた通信企画です。
結果はですね、1時間5分で電子バトルが優勝。
2時間10分で自動車が2位。
そしてADSL通信はなんと時間内に送信が終わらず失格でした。
おそらくですね、理論上は9時間あれば送信ができたそうなんです。
とはいえですね、電子バトルが1時間5分、自動車が2時間10分ですから、
このADSLによる通信というのは勝ち目がなかったわけですね。
これたまたま700MBだったのでこの差で済んだとも言えるかもしれません。
今だとね、2GBとか4GBとか送ることがあることを考えると、
ぶっちぎりで電子バトルなのかもしれません。
日本でも一番早いデータ通信方法は新幹線とも言うんですね。
これ、USBメモリーであるとか、USBのハードディスク、SSDなんかを新幹線で運んでしまうのが一番早いんじゃないかというふうに言われています。
物理メディアもまだまだ捨てたものではないということですね。
僕たちがエジプトで調査したデータを日本に持ち帰るのも、
未だにですね、インターネットを使った送信というのはやっていなくて、
物理メディアを飛行機で持ち帰るということをしています。
もちろんね、飛行機が落ちてしまうとメディアの中のデータも失われてしまうので、
バックアップをエジプトに残しつつ、そのコピーを飛行機で持ち帰るということにしています。
1回のデータが数テラバイトになるので、もうおそらくこれが一番早い移動方法ということになるんでしょうね。
エジプト国内はさすがにUSBメモリーを車で運んだりとかしているんですが、
電車バトというのもありかもしれませんね。鳩いっぱいいるし。
でもあれですかね、食べられちゃうかもしれないですね。
というわけで、今回は電車バトに関するエピソードをお届けしました。
戦争と平和について考える
なぜね、電車バトというか、鳩をトピックに選ばせていただいたかというと、
鳩のイメージを思い浮かべてみてください。
鳩ってね、鳩派なんて言い方もしますが、平和のイメージがありますよね。
実はここ2週間ずっとね、戦争と平和について、どちらかというと戦争について考えていたんです。
なぜ戦争についてここ2週間考えていたかというと、
もちろんね、8月9日が長崎にとって原爆投下の日であるということもありますし、
また8月13日にヘッドXデジマEDというイベントを開催させていただいて、
戦争と平和について考えるというね、主に高校生向けのイベントをさせていただいたこともあります。
このイベントでは、アメリカからアリ・ビーザーさんというストリーテラー、ジャーナリストで核兵器の脅威について語っている人物と、
そして、ウクライナのキーワ・インディペンデントというね、自信文社から戦場カメラマンであり、女性なのでカメラウーマンですね。
戦場カメラウーマンであり、ライダーであり、ジャーナリストの浅見寺島さんを招きして、
そして、現役の長崎の前川拓郎先生という先生を招きして、3人のトークをさせていただいたんですね。
アリ・ビーザーさんは、この78年前の原爆投下について時間を超えて語ってくれる。
浅見寺島さんは、空間を超えてウクライナの、本当に街が一瞬でなくなっていくところというのを、我々日本人に伝えてくれる。
そしてね、前川拓郎先生は、人から人へつないでいく教師という仕事について話をしてくれました。
また、このトークに先立って、僕はConversation Pieceというふうに呼んでいる、小さな公開パネルディスカッションさせていただいたんですが、そこで原田小鈴さん、調べひとみさんという、
被爆体験の語り部の方たちをね、お招きして、素朴な疑問をぶつけさせてもいただきました。
そんなこんなでね、少し平和にまつわる動物について語りたいなと思ったわけでした。
今週も最後まで聞いてくださってありがとうございました。
ではまた次回のエピソードでSteam.fmのイチでした。
ご視聴ありがとうございました。