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2022-07-29 24:58

風の谷のナウシカの元ネタと毒の話【第89号音声版】 #89

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毒の中で育った「風の谷のナウシカ」の元ネタ「ラパチーニの娘」のさらに元ネタはアレクサンダー大王に送られた美女だった.ロシアが作り出した世界最強の毒物の名前は,ポーランドのロシアからの独立を願ってポロニウムと名付けられた...などなど,毒にまつわるお話をお届けします.

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市ですおはようございます
このポッドキャストは僕が毎週メールでお送りしているニュースレター
スティームニュースの音声版です
スティームニュースでは科学技術工学アート数学に関する話題をお届けしています
スティームニュースはスティームボート乗組員のご協力でお送りしています
改めまして市ですこのエピソードは2022年7月28日に収録しています
今回はスティームニュース第89号から
風の谷のナウシカとラパチーニの娘ホテマにお送りします
狂言の曲目にブスというものがあります
主人がブスという猛毒が入っている桶には近づくな
都市容認である太郎家者と二郎家者に言いおいて外出するのですが
実際には猛毒ではなく砂糖だったことがバレてしまうというストーリーです
僕はこのストーリーの面白さよりも
ブスとはどんな毒だったのだろうということに興味がありました
調べてみるとブスは鳥カブトという植物の根っこだったんですね
ブスは少量を薬剤として使うこともありこの場合はブシと読みます
ブシは黒っぽい塊なので太郎家者と二郎家者が頬張ったのは黒砂糖だったかもしれません
鳥カブトはとりわけ北東アジアでは古くから知られた毒で
日本では狂言の他に推理小説のような文学作品にもよく登場しています
一方鳥カブト自体は北半球全体に分布するものの
西洋の文学作品にはまあそれほどは出てこないんですね
日本の場合この狂言のブスがそのストーリーの面白さから有名になったため
他の作品でも使われるようになったのかもしれません
鳥カブトのように毒性のある植物を有毒植物と呼びます
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西洋で有名な有毒植物といえば哲学者ソクラテスを死に追いやった毒ニンジン
これは西洋では通称ヘムロックと言いますがこちらが有名でしょうね
そしてローマ皇帝クラウディウス 彼が紀元54年に
毒キノコによって殺されていると言われていますので毒キノコもやはり有名です
猛毒毒ツルタケというキノコ これ大変美しいキノコなんですが破壊の天使
ディストロイングエンジェルという異名も与えられています
毒キノコまあまあメジャーな有毒植物ということになりますね
紀元前135年生まれのポントスのミトリダテス6世という王様
こちらの王様は毒殺に怯え死刑囚を使って下毒の実験を行ったほか
自分自身も少量の毒を服用し続けて体制をつけようとしたとされています
それどころかミトリダティウムという万能下毒薬まで調合していたようなんですね
残念なことにその調合は失われてしまっているのですが後の世の推測が
古代ローマの博物学者アウルス・コルネリウス・ケルススによって
書籍医学論の中に残されています 本書は遅くとも紀元47年には出版されていたようですから
時の皇帝クラウディウスも下毒薬のことは知っていたかもしれません ということは
ミトリダティウムは効かなかったのかもしれないですね っていうかまあ効かなかったんでしょうね
エジプトの女王クレオパトラ7世は紀元前30年に猛毒を持つコブラに自身を噛ませて自殺したとされていますが
その前に有毒植物であるベラドンナあるいはヒオスを試したという説もあります
ところで鳥カブトは割とどこにでもある植物なので間違って食べてしまわないようにぜひ お気をつけください
僕は鳥カブトよりもずっと毒性の弱い 羊羶山ごぼう通称インクベリーという植物なんですがこちらをですね食べちゃったことがあるんです
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詳しくは僕のブログですね羊羶山ごぼうを食べちゃった話で検索してもらうと出てくるんですが これ1週間ほど苦しい思いをしました
まああのダイエットにも成功したんですがあまりおすすめできる方法ではありません 本当ね有毒植物って割と身近にいるのでぜひお気をつけください
そしてですねおそらくは植物の毒よりも多く暗殺に使われてきたのが 鉱物による毒なんですね
ツタンカーメンオウのお墓の壁画にも使われた黄色顔料 オオユーこれオスの黄色と書いてオオユーと読むのですがこちらは秘荘を含む
毒物です プトレマイオス町エジプトになるとおつまりクレオパトラがいた
包丁ですね 錬金術師アガトダイモンが鉱物から毒を作る方法を書き残しています
おそらくはこのオオユーを何かと反応させてより強い毒物を作ったものと思われ ます
シンシャという赤い鉱物もあります こちらはですねスペイン、近東、中国、日本、そして南北アメリカで古くから産出しました
こちらも顔料として使われていたようで古代ローマでもよく使われています スペインが古代ローマに組み込まれる前は
エジプト産、これギザで採れたようなんですねこのエジプトのギザから採れるシンシャが使われたかもしれません
このシンシャは水銀化合物で加熱すると水銀蒸気を発するため 水銀中毒を引き起こします
ちなみにですね、陶芸に使われるシンシャ、こちらもあの赤い釉薬なんですがこちらは水銀の代わりに銅を含んでいるので
こちらは水銀中毒の心配はありません
でこのシンシャなんですが古代ローマではやはり 毒としても用いたようです
やはり毒としても使えるものは 毒として使われるということなんでしょうね
1144年にチェスターのロバートというふうに呼ばれていたイギリス人が
アラビア語で書かれたイスラム世界の錬金術書をラテン語に訳してから ヨーロッパでは錬金術ブームが起こります
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そしてヨーロッパの錬金術師たちは 賢者の石
フィロソファーズストーンという鉱石を探し始めました 賢者の石は触れた金属を金に変え
人間を不老不死にする液体エリクサーを生成すると 言い伝えられました
14世紀フランスのニコラフラメルあるいはニコラスフラメルは 賢者の石の製造に成功したという伝説もあるのですが
現在に至るまで触れた金属を金に変えるそしてエリクサーを生成する物体は見つかっていないため
ニコラフラメルの研究は鉱石の作り話ということになるんでしょう もっともハリーポッターと賢者の石という小説そして映画の中ではダンブルドア校長のお友達
だったんですけれどもね
そしてですねこれただのお話とも言えない 部分があるんです中世の錬金術師たち先ほどご紹介した赤の顔料新車が
どうもこれは賢者の石ではないかと疑っていたんです というのもですね新車を加熱すると液体の水銀が出てくるんですね
この水銀と金が近づくと金が吸い寄せられるように水銀の中に溶けていくんです そして出来上がったものこれ金アマルガムという
液体なんです少し年生のあるとろっとした液体なんですね この液体を金アマルガムを銅に塗って
そこでもう1回加熱をしてあげます 加熱すると水銀が蒸発して
銅が金ピカになるんです これ日本でも古来から行われていた金メッキの方法で奈良の大仏にも使われています
新車から水銀を回収してこれに金を溶かし込んで作った金アマルガムは 塗るだけで銅を金に変える不思議な液体なわけですから
新車が賢者の石と呼ばれたこともわからなくはないですよね この金アマルガムを使った金メッキは大量の水銀中毒者を出しましたから
不老不死の霊薬エリクサーとは真逆のような気もするのですが とにもかくにも新車は賢者の石という扱いになりました
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これは中国でも事情が似ていまして 不老不死になれる霊薬センタン、これ仙人になる薬ですねセンタンを新車から作ろうとしていました
全く人間というのは人を殺そうとして毒を求めたり 永遠に生きようとして毒を飲んだり
せわしない生き物ということですよね 人を殺すための毒というものは古来から色々と研究がされてきているわけです
その中でもあらゆる意味で最強の毒というものをご紹介しておきます あらゆる意味で最強の毒
これはポロニウムという金属ではないかと僕自身は思うわけですね その理由をお話しします
ロシアの大統領ウラジミールプーチンを指して オソロシアということがあります
というのもこのプーチン大統領このポロニウムを使った暗殺を実行したあるいは承認したことがあるのではないかと疑われているからなんですね
2006年11月に元ロシア連邦保安庁情報部員 アレクサンドル・リトビネンコがイギリスで不審死を遂げました
リトビネンコの尿からポロニウム210という物質が検出されたんです それゆえ死因はポロニウム210と疑われています
ポロニウムは銀白色の金属で1898年7月 ピエール・キュリーとマリ・キュリーがウラン鉱石の中から発見しました
名前は当時ロシア帝国に支配されていたマリ・キュリーの祖国ポーランドから取られました
ポーランドの名前を取ってポロニウムという風に名前をつけたんですね ポロニウム210は何種類かあるポロニウムの一つで
強い放射線を出すものの容器に入れておけば安全な物質なんです
そのためロシア政府がリトビネンコを暗殺するために 彼の緑茶にポロニウム210を仕込んだのではないかと疑われています
このポロニウムなんですが体内で放射線を出し続けて 飲んでしまった人を被爆させます
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これ恐ろしやじゃないですか
さて再び歴史の話に戻ります 17世紀イングランドの作家トーマス・ブラウン卿は著書『明神論』の中で
あるインドの王様が鳥株との毒、つまりはブスで育てた美女をアレクサンダー大王 またの名はアレクサンドロス3世ですね
このアレクサンダー大王に送り彼を暗殺しようとしたと書いたんです なぜこの毒で育った美女が
大王に送られると大王が暗殺されるのかというと 毒で育ったから彼女自身が毒でアレクサンダー大王が美女と何か良いことをすると
毒が移っちゃうんじゃないかということをこのトーマス・ブラウン卿は考えたんでしょうね これ残念ながら確証はないんですがブラウン卿おそらく
冒頭に申し上げたミトリダテス6世の故事を念頭に置いたんだと思いますね このミトリダテス6世が少しずつ毒を飲むことで自分自身毒の体制をつけようとした
ブラウン卿の発想としてはこの美女毒で育てることで美女自身が毒を持つんじゃないかというふうに考えたわけですね
そしてこの迷信論を読んだのが19世紀アメリカの作家ナザニエル・ホーソンという方なんですね
彼は1844年に名作短編小説ラパチーニの娘を書きます このラパチーニの娘はかなり短い短編小説なのですぐにね
お読みいただけるんですがこれラパチーニ博士というちょっと言っちゃった博士が出てきてですね 有毒植物の庭園を持っているんですね
でその博士が娘ベアトリーチェというのをこの庭園の中で育てるのですが このベアトリーチェはこの毒の中で育っているので有毒植物に触れても彼女は何ともない
というねお話なんですね やがてこの美しい娘ベアトリーチェラパチーニが恋に落ちて
てんてんてんというねお話なんですがこのラパチーニの娘を読んでアニメを制作したのが宮崎駿というわけですね
タイトルはもちろん風の谷のナウシカでした ナウシカの原型はベアトリーチェでその根本は
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アレクサンダー大王に贈られたという架空の美女でさらにその発想の元は ポントスのミトリダテス6世だったんですよ
きっと
現実のアレクサンダー大王はですねインドを途中まで制圧したものの引き返しています その帰り道高熱に倒れ32歳という若さで亡くなっています
これも謎なんですよね理由が 落語の丹明という演目を聞いていただくと
男は美女がいればそれだけで毒がなくても丹明に終わると言いますから 意外とアレクサンダー大王も
美女のせいで命を落としたのかも知れないです いやこれを本当適当に今言ってます
本当はね鉢に刺された説が有力なんですがまぁ実際のところは 謎に包まれています
今回の話 歴史を行ったり来たり治療を行ったり来たりしてみたんですが一つ一つね
地図上でこの年代のこの場所というふうにプロットしていくと意外なつながりが見え たりしてもう一度ねニュースレターで読んでいただくとお楽しみいただけるんじゃないかなと思っています
ぜひニュースレターでも読んでみていただければなと思います 今回のエピソードの中でご紹介したラパチーニの娘
なんですがニュースレターの方でねこのラパチーニの娘を収録した アンソロジーレイモンドボンド編独役ミステリー傑作戦という本をご紹介していますので
こちらはねまだ電子化されていないんですが紙の本が手に入りますので ニュースレターの方でリンクをたどっていただければなと思います
ニュースレターでは毎回 q & a もご紹介させていただいて 今回ですね第89号ではこんなご質問への回答をご紹介しています質問はですね
明日死ぬとして最後に食べたいものは何ですかというね ご質問で答えなんですが
僕がですよ僕がした死ぬとして最後に食べたいものは何ですかと聞かれたら もちろん
毒キノコの盛り合わせです 毒キノコ特にね破壊の天使ディストロインエンジェルという毒ツルタケとか
それから日本の新潟ではイチコロっていう風に呼ばれている白玉子天狗だけ それからまあディズニー映画に必ず出てくる紅天狗だけ
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あの赤いお帽子に白い点々がついてるやつですね ここらへんを盛り合わせて食べてみたいなと思っています
このキノコたちねイボテン酸という大変な旨味成分を持っているそうなんです あというかあの持ってるんですイボテン酸がねすごくうまいらしいんですただし
猛毒なんです 一生に一度は食べてみたいなぁと思うんですが年に止めがなさそうなので
なんかこうネットで検索するとね街資料未満を食べてみたよーって報告はちらほらあるんです が皆さんすごい苦しい思いをして
食べていらっしゃるのでまぁそこまでして何度も食べたいものではないだろうけどまぁ 本当にうまいのかなぁとかね色々興味は
尽きないです いやだいたいキノコって食べられるキノコと毒キノコってだいたい紛らわしい種類が必ず
あるんですよねでなんでそんな紛らわしいんだろうと思ってまぁこれはとあるキノコに 詳しい方に聞いたら
いやそもそも毒キノコと紛らわしくない美味しいキノコはもうおそらく人類の歴史の 初期に食べ尽くされてしまっていて
毒と紛らわしいキノコだけか 現在まで残ったんじゃないかっていう説をね
伺ってあーなるほどって納得したんですよ なってこう
毒かどうかわからないから取らないでおいたっていうキノコが残ってるわけじゃない ですか
でまぁ毒の方もね美味しいっていうのもなんか不思議な進化なんですよね人間そっちに 進化してよかったのかなとかね
いろんなことを考えますがまぁそんなことをこの毒を語りながら 思ってみました
スティームニュース第89号ではですねまぁいつもよりちょっと長めに話の枕を書かせて いただいていて
というのは枕でねもう一冊本をご紹介してるんですねその本のタイトルがインテリ悪口本 っていう本なんですけれどもこれめちゃくちゃ面白かったので
ついついね話の枕で紹介をさせていただきました いやなんだかんだ言って毒ってこう魅力的なトピックですよね
いつかまた毒についてこう話をねしていけたらなぁと思っています というわけで今回も最後まで聞いてくださってありがとうございました
steam.fmではですね過去のエピソードこれ再生回数と一緒に表示していますのでまた 過去のエピソードもね
聞いてみていただければなぁと思っていますではまた次回のエピソードでお会いしましょう 1でしたー
24:03
時に良いものが出て何故か分からない
時にそうなる ご存知の間に
この気持ち さすがに永遠に
何ができたらいいか分からない
今 見てみて
今 持っている 気持ち
何も持っていない
君と僕 良いものが出て
今 見つめた夢を生きて
今 見てみて
今 見てみて
~♪
神様。
24:58

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