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いちですおはようございます
このポッドキャストは僕が毎週お送りしているニュースレター
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改めましていちですこのエピソードは2022年の3月10日に収録しています
このエピソードは「琥珀の科学と記憶」というタイトルでお送りしていきます
今回も25分お付き合いください
琥珀といえば宝石の一種ですが古代中国では虎が四五玉宝石になったものと考えられていました
そんな琥珀は古代エジプトのファラオも古代ギリシャの哲学者をも魅惑してきたんです
スティーブン・スピルバーグ監督の映画ジュラシックパークでは琥珀に閉じ込められた蚊が恐竜から吸った血液から恐竜のDNAを取り出し恐竜を再生する手法が描かれています
琥珀は天然樹脂の化石です
映画ジュラシックパークでは恐竜の時代であるジュラ紀と続く白亜紀の化石をモデルにしたんですね
琥珀は木から染み出る天然樹脂からできているので小生物や植物の葉っぱそれに気泡などが混入していることもあります
実際アメリカの昆虫学者ジョージ・ポイナー博士は琥珀に閉じ込められた昆虫からDNAを抽出する研究を行っています
ただしジュラ紀白亜紀の琥珀から生物のDNAを抽出できる見込みはまずないそうです
残念ですね
琥珀は色が黄金に近いこと光を通すと太陽のように輝くことから宝石として古代から陳重されてきました
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エジプトの少年王ツタン・カーメンの宝飾品にも琥珀が使われていたとデンマークの研究者が指摘しています
そんな琥珀のことを古代ギリシャ人たちはエレクトロンと呼びました
エレクトロンは輝く太陽という意味です
光を通すと太陽のように輝くからエレクトロンと呼んだわけですね
ギリシャ神話によると太陽神ヘリオスの息子パエトンが亡くなった時ヘリオスの娘でパエトンの姉ヘリアデスは嘆き悲しんでポプラの木に姿を変え
琥珀の涙を流したと言われています
ひょっとしたら琥珀が樹液の化石であることに古代ギリシャ人たちは気づいていたのかもしれません
なお琥珀が樹液の化石であると歴史上最初に唱えたのは古代ローマの博物学者プリニウスでした
ただし証明してみせたのはロシアの科学者ミハイル・ワリシェビチ・ロマノーソフでプリニウスが唱えてからおよそ1800年後のことになります
話はそれるのですがロマノーソフは科学者兼アーティストで金星の大気を発見したり
望遠鏡の設計をしたり古代のモザイク画の技法を再現してピョートル大帝のモザイク画を作ったりしています
なんとまあ日本の平賀元内をさらにスケールアップしたような人といったところでしょうか
ロマノーソフと平賀元内は実は同時代の人なんですねもちろん二人の間に接点はなかったんですけれども
なんか偶然にも多彩な人が日本とロシアで生まれた時代ということになりますね
さて古代ギリシャ人たちは琥珀の持つもう一つの性質にも気づいていました
琥珀を布でこすると物を引きつける不思議な力を持つんですね
古代ギリシャの哲学者タレスは弟子たちにこの琥珀の不思議な性質を語っています
この不思議な力は現代の言葉で言う聖伝記ですね
16世紀にイギリスの医師ウィリアムギルバートが聖伝記の研究を行った時
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彼は自分の研究対象にコハクノを意味するエレクトリクスと名付けました
これが後のエレクトリシティすなわち電気という意味になりました
古代エジプトの王は琥珀の美しさに惹かれ古代ギリシャの哲学者は琥珀の力に惹かれたのかもしれません
琥珀は世界中から散出するもののギリシャやエジプトのある地中海沿岸では多くは散出しないんですね
ギリシャやエジプトでは琥珀を北方から輸入していたと考えられており
それゆえ琥珀のことを北方のゴールド金とも呼んでいたようなんです
どうも古代においては主な入手ルートが海岸に打ち付けられる琥珀を拾うことだったようなんですね
そしてどういうわけか北方のバルト海沿岸により多く琥珀が打ち上げられていたようなんです
紀元前670年頃に現在のトルコのアナトリア半島にあった
ルディアという国では世界初の鉱花が発明されています
音楽をされる方にはリディアンスケールで有名なリディアといった方がなじみがあるかもしれません
この鉱花は当時の王の名前をとってクロイソスの金花と呼ばれています
このルディアの鉱花は天然のゴールドつまり自然金を熱で溶かした後固めて刻印をしたものでした
自然金は性質の似た銀がいくらか混じっているため純金ではありません
この金と銀の合金金銀合金は色が琥珀に似ているので琥珀金あるいはエレクトラムと言います
琥珀つまりエレクトロンに似ているからエレクトラムなんですね
なお人工的に作ったエレクトラムのことはグリーンゴールドと呼びます
グリーンゴールドについてはこのポッドキャストのバックナンバーエピソード57
スタンカーメンが手にした天と力の贈り物の中でもご紹介していますので
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ご興味のある方はぜひねバックナンバーを遡って聴いていただければと思います
琥珀をドイツ人たちは燃える石と呼びました ドイツ語でベルンシュタインです
えっ宝石を燃やしちゃうなんてと思ってしまいますがなかなか良い香りがするそうなんですね
これ燃やした方の話を聞くとパインウッドの香りがするそうなんです
中国には琥珀をゆっくり加熱して硝酸と混ぜ合わせると蛇行の香りがするという記録があるそうなので
まあ琥珀のポテンシャルは高いのかもしれません 本当のところは見た目が海からの漂着物
流然光これは竜のよだれの香りと書くんですが 流然光に似ているため代わりに燃やしてみたのかもしれないのです
流然光は甘い香りがするそうなのですが 僕は匂いを嗅いだ記憶がないんですよねどんな香りなんでしょう
ひょっとしたらすでに香りを嗅いだことはあるのかもしれないんですが 香りと名前が一致していません
また後でお話しするようにこの流然光そして琥珀 英語での名前はとてもよく似ています
ところで琥珀を瓶に閉じ込めて加熱すると 気発性のガスと残留物に分かれます
この残留物の中から琥珀酸という物質が見つかっています 琥珀酸はホタテガイの旨味成分としても知られています
琥珀酸は現在ではマレーン酸を原料に工業生産されているのですが もともとは琥珀から作っていました
琥珀酸ってなんか名前だけでも美味しそうですよね
ところで琥珀よりもさらに貴重な石 流然光は英語名をアンバーグリスと言います
その語源は古フランス語で灰色の琥珀 アンブルグリってアラビア人たちが琥珀をアンブルと呼んだことが語源になっています
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琥珀と流然光を区別する必要がある場合は 琥珀の方を黄色い琥珀アンブルジョンと呼んだそうなのですが
だんだんアンブルだけになっていったようです これが現在の英語のアンバーの語源となりました
ロシアにはエカテリーナ宮殿という宮殿があります 皇帝ロシアの時代の宮殿で当時の首都サンクトペテルブルクに建てられました
この宮殿はピョートル大帝の妃で第二大ロシア皇帝のエカチェリーナ一世が建てさせました
エカチェリーナはロシア語読みで英語ではエカテリーナという風になるので宮殿の方はエカテリーナ宮殿の方が通り名としては通っています
このエカテリーナ宮殿には琥珀の間と呼ばれる部屋があります 世界でただ一つ部屋全体が琥珀で覆われた部屋なんですね
この部屋を完成させたのはピョートル大帝とエカチェリーナ一世の娘である 第6大皇帝エリザベーターです
第二次世界大戦中ナチスドイツによって琥珀の間の琥珀は全て持ち去られてしまいます
琥珀はナチスドイツ支配下の町ケーニースベルクで保管されていましたが 戦火にあい全て焼かれてしまいました
ケーニースベルクは第二次世界大戦終結後のポツダム協定によってソ連に組み込まれました
町にはカリーニングラードという新しい名前が付けられました バルト海に面したカリーニングラードは資料にもよりますが
世界の琥珀生産の90%を占めるとも言われています サンクトペテルブルクから
エストニア、ラトビア、リトアニアとバルト3国を通り 現ロシア領のカリーニングラードからポーランドのバルト海沿岸までが琥珀の主要な産地で
ここからイタリア、ギリシャ、国海、エジプトへと南下する道は 琥珀の道
アンバーロードと呼ばれています
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ポーランドを南北に貫く高速道路A1号線は公式名称をアンバーハイウェイ
ポーランド語でアウトストラダブルストノーヴァと言います こんなところにも
琥珀、アンバーの名前が残っているんですね
ロシアによるウクライナ侵攻で再び火の粉が降りかかっているアンバーロードの国々に
早く平和が訪れることを祈っています
今回のエピソードは琥珀、エレクトロンについてお届けしました 実は古代ギリシャのダレスが不思議に思った琥珀の力
物を引きつける力、静電気、これは電子エレクトロンの仕業なんです ここから少しマニアックな話をさせていただきますね
物質によっては表面についているエレクトロンを失いやすいものと失いにくいものがあります
琥珀はエレクトロン、これは電子の方のエレクトロンですね この電子を比較的失いにくい物質なんですね
なので琥珀を布であるとか動物の毛皮であるとか あるいは人間の髪の毛なんかで擦ってやると
エレクトロンを奪い取るんですね それによって静電気を帯びるということになります
これはおそらく偶然なのですが 琥珀、エレクトロンが電子エレクトロンを手放さないために
琥珀は負の静電気を耐電することになります
一方ですねガラスであるとか ウンモ、ウンモはマイカと呼んだりキララと呼んだりする石ですが
このガラスやウンモをビニールで擦ってやると このガラスやウンモの方がプラスに耐電します
こちらはですね エレクトロン電子を失いやすい物質だからなんですね
ここらへんのメカニズムはですね 20世紀に入って原子の構造というのがわかるようになるまでは謎に包まれていたわけです
それでもですね紀元前7世紀のギリシャの哲学者タレスは なんとか
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普遍的な法則があるんじゃないかと思って探究したんだと思います
タレスは記録に残る限りではギリシャ最古の哲学者というふうに呼ばれているのですが
実はですね土軸エピソードも残されています
彼はある夜夜空を見上げて天文の観察をしながら道を歩いていたそうなんですね
その観察に夢中になるあまり溝にはまってしまった落ちてしまったと言われています
そばにいた若い女性に学者というものは遠い星のことはわかっても自分の足元のことはわからないんですねというふうに笑われたそうなんですね
いや自慢じゃないですけれどもですね僕も夜空の星を見上げながら道を歩いていて
よく道に迷います
まだ溝に落ちたことはないのですが自分がどこにいるのかわからなくなることは
時々あります 星を見ているのでね方角はわかっているつもりなんですよ
北極星であったりそれからまあ季節の星座の位置から自分がどっち向きに歩いているかということは まあだいたい把握してるんですけれども
それが地図上のどこに自分がいるのかというとですね まあ星に夢中になっている間に見失うわけですね
それでも一度夜空を見上げながら歩いていて大火球という大きな流れ星を見ることができたこともありました
そうなんです遠い星のことを考えると 足元のことなんて大したことじゃないというふうにね
タレス先生も思ってらっしゃったんじゃないかなと僕なんかも想像します
メールでお送りしているニュースレターのこのエピソードに対応する号 まあ今回ですと第69号になるのですが
このニュースレターのおすすめ書籍のコーナーでは 琥珀にまつわる書籍をご紹介しているんですが
琥珀は琥珀でも 琥珀色の液体にまつわる書籍をご紹介しています
琥珀色の液体 そうなんですウィスキーのねお話をご紹介させていただきましたそれも日課ウィスキーのお話です
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というのもですね最近改めてやっぱり日課って美味しいなぁと思いまして それも夜市これ本当美味しいなぁと思いまして
あの僕海辺に住んでるんですよ 海辺に住んでるとやっぱり潮風浴びるじゃないですか
だからこの潮風に負けない力強さというかまあ潮風を当てに飲めるような フレーバーがあって
まあそれでいてまぁ僕日本育ちだからちょっと和のテイストも欲しくて でなるとやっぱりジャパニーズの
夜市かなーって思いました もちろんねサントリーも素晴らしいウィスキーを作ってらっしゃいますし僕と名前が同じ
イチローズモルトというねもう日本が誇る 素晴らしいウィスキーもありますからあのお酒飲める方ウィスキーを好きな方はね
飲みながら飲まれた時に 琥珀のことも思い出してもらえると琥珀それからエレクトロンで電子のことも思い出して
いただけるとなんかこのポッドキャストをやってて伝わったなぁ良かったなぁとね 僕は思います
ニュースレターのおすすめテッドトークのコーナーではこの映画ジュラシックパークの アイディアを提供した
ヘンドリックポイナー博士自身のテッドトークをご紹介しています 残念ながら琥珀に閉じ込められた dna ではないんですが
冷凍保存されたというべきなんでしょうかね この氷河に閉じ込められた
マンモスの dna を復元して絶滅した生物を再現できないかということをね研究されている 内容のトークでした
いやどうなるんでしょうね絶滅した生物の dna から もう1回その生物を再現するっていうことは
どういう影響が あるんでしょうねジュラシックパークみたいにならないんですかね
ただ実際にねあの遺伝子改変したかを放つというね実験を行われていますから その結果というのがそろそろ
我々にもわかる時期かもしれませんまたね そういったこともこの steam.fm でご紹介していこうと思います
今回も最後まで聞いてくださってありがとうございましたまた次のエピソードでお会いしましょう 1でした
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時々、良いことが来ると、どう知っても分からない
時々、これはすべてが一つにもなることを知っていると、それは正しい
このような気分はいつでもずっと続く
私は何をするか、それを離さない
今、私たちを見てください
私たちの瞬間、私たちはそれを持っていることは、私たちの間に何も持っていません
あなたと私、私たちは良いことができることができる
私たちが見つけたこの夢を生きています
今、私たちを見てください
今、私たちを見てください
ねえ
昇馬
ここまで見てくれてありがとう