よろしくお願いします。
宇宙ベンチャーって一言で言っても、最近上場したところとかもありますけど、本当にいろんなビジネスモデルの宇宙の会社ってあるのかなと思っていて、
最初は宇宙事業の基本的な理解から入っていけたらいいかなと思ってるんですけど、
全体像、どんな事業モデルがあって、その中でアストラXさんがやられている宇宙のビジネスって何なのかっていうところ、もし可能であれば教えていただけますでしょうか。
はい、ありがとうございます。
ポッドキャストは音声で伝えるというところなので、できるだけ分かりやすいように伝えたいなと思うんですが、
まずですね、すごい前提として宇宙産業が非常に今伸びております。
宇宙産業って何をしてどこでお金が生まれてっていうのは皆さん分からないかなと思うんですけども、
宇宙産業が伸びている中で基本的にはですね、人工衛星をみんな宇宙にあげます。
で、その人工衛星を使って通信をしたり、地上のデータを取得したりします。
で、そのデータを活用して実際に地球上で暮らす人々がより良い暮らしになるようなサービスを展開している、そういう構図です。
例えばですけど、あのすごい分かりやすいところだとGPSとか、あの一番皆さんなじみがあるかなと思っていて、
あれも宇宙の衛星から位置情報を取得して、地上での位置を分かるようにしていたり。
あと最近だとスペースXがやっているスターリンクですね、衛星通信と言われるもの。
あれは地上局がほとんど必要ない通信というところで、宇宙に衛星を飛ばしてそれを使って通信している、そういうようなものになります。
そういった形で宇宙産業全体としてはあります。
で、スタートアップ含めどういう構造になってるのかっていうとですね、大きく分けて4つぐらいに分けれるかなと思ってます。
まず一番土台となるところが、いわゆる地上設備であったり、発射場というところが一つ目ですね。
これは地上でロケットを打つ環境を整備したり、そういうスペースポートを作ったりとか、そういうところ。
で、そのレイヤーとしてその上にですね、我々のようなロケット会社、輸送事業者と言われるものがあります。
これは実際に僕らのようにロケットを作って、ロケットを宇宙に飛ばすというようなところです。
で、その上にですね、衛星という人工衛星というレイヤーがあります。
で、基本的には僕らが作ったロケット、スペースXだったり、そういうロケットに人工衛星を乗せて、まず人工衛星を宇宙に持って行って、衛星軌道という軌道に乗せます。
で、その先に衛星のデータを使って、実際にサービスを2Cだったり2Bで展開する事業者があるという、そういう構造になってます。
すごく分かりやすい説明だなと思ったんですけど。
よかったです。
この中で、スタートアップとかベンチャーが挑戦できるしやすい事業領域っていうのはどこになるんですか?
しやすさでいうと非常に難しいんですが、やっぱり僕らロケットであったりとか、地上スペースポート側っていうのは非常にお金がかかります。
そういう意味では挑戦のハードルっていうのは少し高いのかなと思います。
で、その上の衛星のところもですね、まだやっぱり衛星開発もすごいお金がかかるっていうのはあるんで、そういう意味ではハードルはあるかなと思いますね。
これから多分すごい伸びてきたり、面白いなと思うのは、その先の衛星データを実際に使って、じゃあそれを何のために活用するのか、どういうサービスを提供するのかっていうのはこれからどんどん増えてくるかなと思っています。
ありがとうございます。そんなお金がかかって難しいであろう輸送領域で勝負されようって思ったのは、これはどんなところに魅力とか挑戦しようと思ったモチベーションっていうのがあったのかってところを教えてください。
はい、前編でも少しお話しさせていただいたんですが、やっぱり産業のインフラを抑えるっていうのがすごい、どのビジネスでも強いというふうに思っています。
ITで言うとクラウドであったりとかOSであったり、そういうインフラプラットフォームをやっぱりガーファムが抑えたなっていうふうに思っています。
宇宙で言うインフラはロケットになるんですね。これは宇宙に物を持っていく唯一の方法が、現時点の人類の技術ではロケットが唯一になるので、ロケットが宇宙産業のインフラになります。
なので僕らとしても、今ロケットを開発してるんですが、まずはこのロケット、輸送のインフラを抑えることで、その先の衛星であったり、衛星データサービスっていうのも垂直統合にいけるっていうのが強みかなと思っているので、これはロケットに挑戦しています。
すべての産業の基礎となるツルハシ的な部分なので、とても重要だよねっていうところで選ばれたのかなと思いました。またちょっと導入的な質問になっちゃうんですけど、そうすると今度は輸送事業の中でどんなアプローチがあって、その中でアストレックスさんがアプローチされているのっていうのはどういうやり方なのかなっていうところを教えてください。
一般的にはロケットですね、皆さんがイメージする地上から打ち上がるロケットというのが一般的です。そのロケットの中にも大きく分けて燃料の種類みたいなのが3つありまして、液体燃料ロケットと言われるもの、固体燃料ロケットと言われるもの、ハイブリッドロケットと言われるものがあります。
今まで宇宙開発っていうのは基本的に国プロで行われていたんですね。日本だとJAXAであったりアメリカだとNASAというところなんですが、今これがどんどん民間移行しているというところです。
産業の背景というかムーブメントとしまして、今人工衛星持っていくものですね、人工衛星が技術の進歩とともに年々小型化しているというのがあります。
それに伴って昔は大型のロケットしか需要がなかったんですが、持っていくものが小型になっていたり、あとはピンポイントで入れたい軌道というニーズが出てきたりというのがあって、小型ロケットの需要というのが増えているというのが今の流れになります。
そこに対して僕たちは小型ロケットをいかに高頻度にかつ安く打てるかというところに絞ってサービス展開を進めています。
それを実現するために一般的に地上から上がるロケットではなくて、ロックンという少し変わった方式を取って開発を進めているそういう会社になります。
ありがとうございます。地上がメインなアプローチの中、そうじゃなくて空中で飛ばすというのは、手法を比較してみたときにメリット・デメリットあってそっちを挑戦されているのかなと思うんですけど、この地上との比較で言うとどんな感じになるんでしょうか。
一般的な地上打ち上げと比べると大きく2つ利点があります。
1つ目がエネルギーコスト、エネルギー効率というところになりまして、一般的にロケット、地上からドワーッと打ち上がると高度10キロ、15キロぐらいまでの空気がある層を脱出するのに一番エネルギーを使うんですね。
その部分が一番の事故の確率も高いんですけども、その部分を気球で丸っとカットして空気がほとんどない清掃圏から打つことでエネルギー効率よく打てるというのが1点目の利点です。
もう1点の利点が車上に依存しないというところでして、一般的にロケットスタイルにいわゆるスペースポートであったり発射場と言われるところが必要になります。
それを作るにもすごい莫大なコストがかかって維持管理にもすごい大きなコストがかかります。
かつ日本だとそのコストの問題だけではなくてですね、なかなかやっぱり土地が狭いので作れる場所が限られていたり、かつスペースポートを作ってもですね、日本は海沿いに航機だったり船が非常に多く通っているので、なかなかロケットを打つタイミングの確保というのも課題になっています。
僕らのこの方式だともちろん地上からも上げれるんですけども、例えば船で洋上に出てしまって、飛行機の航路の外に出てしまって、洋上で気球展開して放球して空中から打つなどもできまして、場所に依存せずにいろんな場所から打てるというのが強みになります。
それゆえにこう引っ張ってるというところですね。で、その組み合わせ等でかなりコストを下げる、そういったところになります。
今何が正解なのかわからないから、いろんな人がいろんなアプローチで挑戦してみてると思うんですけど、例えば20年後とかにもう宇宙にロケットを飛ばすっていうのがもっと当たり前な世界になってきたとき、正解はこれだったねって感じになるのか、
いやいやまあその用途に合わせていろんな打ち方、いろんなやり方っていうのが共存していく未来、もしくは使い分けていく未来になるのか、このあたりってどう思われますか。
はい、ありがとうございます。すごい良い質問でして、僕としてはどちらかというと後者かなというふうに思ってます。やっぱり持っていくものであったり、どこに持っていくか、いつ持っていくかによってかなり条件いろいろ変わってきます。
そういうのを考慮すると、いろんな場所からいろんな方式の打ち上げ、それぞれに適したものがあって、うまいこと分担し合って輸送するっていうのがおそらくなる未来じゃないかなというふうに思ってます。
ありがとうございます。海外のロケットじゃなくて国産のロケットを作るんだっていうのがすごく重要だっていうのは国策としても理解しているつもりなんですけど、
その中で国内の輸送のスタートアップっていうと、例えばインターステラテクノロジーズさんとかベースウォーカーさんとか、スタートアップの中でも結構名の知れるところってあると思うんですけど、
その中でこういう国内のプレイヤーの他の動向っていうのはどう見られてますか。
これは会社としてというより僕個人の意見になるんですけど、基本的にはめちゃめちゃ応援していて、どこの会社もすごい好きです。
やっぱりまずはですね、今、まだ産業自体が日本で、宇宙産業自体がスケールしてないので、僕含め宇宙産業全体がですね、まずはちょっと手を取り合って産業をしっかり作ろう。
その後を用意どんで戦おうねっていう空気感はやっぱりあるんですね。
そういったのもあって、一般的な考えで言うと、例えばインターステラさんとか含めそういう他のロケット会社って凶豪だと思うんですけど、
すごい他のロケット会社何社さんかあるんですけど、どことも非常に仲は良くてですね、そこは結構宇宙業界独特の空気感で面白いなっていうのはあります。
素敵ですね、とても。ありがとうございます。
今、開発されている中でどこまでを目指す中でできていて、今後はどんな重要なマイルストーンがあって、そしていつ頃になったらこれ商用化できるんですかっていうところも良ければ教えてください。
はい、まず僕ら商用化というところで、2028年度重要目標にオービタルロケットの成功というのを目標にしてスケジュール立てて進めています。
なのでここからだいたい4年5年後ぐらいですね、のうちに衛星軌道投入を成功させようとしています。
その衛星軌道投入が成功したらそこから量産化商用化ってそういうようなステップになります。
意外と早いですね。
そうですね、あのもう急ピッチで開発を日々進めています。
もっかい一番大事な次のマイルストーンっていうのはちなみに何でいつになるんですか。
はい、直近で言うとですね、まず2028年度中のオービタルロケットの前に2025年度中にサブオービタルロケットというのを成功させようとしています。
これは衛星軌道投入ではなくて宇宙空間に行って帰ってくる、宇宙に到達するロケットというものになります。
これの開発をもっかいガンガン進めてまして、直近で言うとですね10月末に、まだちょっと日程確定してないんですが10月末予定で今進めているのか、
そのロケットを地上から打つ試験というのを計画しています。
ありがとうございます。ちょっと補足するとサブオービタルとオービタルの違いっていうところなんですけど、サブオービタルっていうのはとりあえず一旦行って戻ってきますっていうところ。
それができたら今度は行ってぐるっと地球の周りを一周してできるかどうかっていうところを試すってそんなイメージであってますでしょうか。
はい、大枠そのイメージ。
サブオービタルがですね、宇宙と呼ばれるのが結構定義が広くてですね、高度100キロぐらいからがまず宇宙と呼ばれます。
サブオービタルで言うとだいたいそのぐらい高度100キロの宇宙にまずは行って、いろいろ微粒子を回収したり宇宙で実験したりして帰ってくるそういうロケットでして、
その次オービタルに関してはもっと高度が実は高くてですね、高度500キロぐらいまで行って、そこに行って衛星を第一宇宙速度というところ速度にして置くっていうのがミッションのロケットです。
ありがとうございます。
次にちょっと仮にこれロケットうまく開発しましたってなったとして、ビジネス的にじゃああなたのところにこの飛ばすこの衛星託しますって顧客がどの輸送会社に選ぶのかっていうときに何が一番重要な指標となって選んでくるのかってところも良ければ教えてください。
はい、めちゃめちゃすごいビジネスの話にどんどん行きますね。
あのすごいそこは面白くて実は衛星会社がですねロケットを選ぶときに基準っていうのがいくつかあります。
で大きくですねやっぱりあの3つかなというふうなところで1つ目がコストですね。
やっぱり安くあげれる方がいいのでそういう価格というところで選定をします。
でもう1つが信頼度というところですね。
これはある種ニワトリ卵にはなるんですけどもどれぐらい今まで打ち上げ実績があったりどれぐらいの確率で成功しているのかそういう信頼度というので選定します。
これは信頼度によってですね実は宇宙のロケット側衛星側保険料というのが結構変わってくるのでそういった要素もあって1つ目のコストにも実際に効いてくるというのがあります。
で3つ目がどういうミッションかというところですね。
例えばあの衛星によってはですね本当にピンポイントでこの軌道にこのタイミングで入れないとワークしないみたいなのがあるんですね。
そういった場合だと大型ロケット相乗りだと適さないのでそういう場合はオンデマンドのロケットを選ぶとかそういうのがあるのでどのタイミングで打ちたいかどういう軌道に入れたいかその結局3つですかね。
ありがとうございます。1つ目のコストを安くするために重要なことっていうのはちなみに何になってくるんですか。
コストを安くするために重要なことはもうそもそもそれぞれのロケットのポテンシャルというかどういうロケットにしているかというところですね。
どのアプローチだと安くなるんですか。
やっぱりあの小型ロケットというところにフォーカスすると我々がやってるロックン方式ですねっていうのがあえて一番安くできるというふうに考えてます。
それはやっぱりエネルギー効率が良くてそのそもそも消費するエネルギーが少ないから安くなるっていうところになるんですか。
そうですね。その要素が大きいです。でもう1つはハイブリッドロケットというのを採用しているので、
ハイブリッドロケットというのが一般的な今まで作られてた液体燃料ロケットと比べるとかなり構造が簡易なんですね。
そういったところで製造費であったり研究開発費が抑えられて結果的に提供コストも下げるそういう仕組みになったんです。
ありがとうございます。ちょっと次に重要な宇宙開発ってすごいお金かかると思うので資金の獲得のところっていうのもお伺いしていきたいなと思うんですけれども、
宇宙産業って本当日本はネタ違いの補助金が充実しているなっていうふうに思っていまして、
逆に言うとこの補助金どれだけ獲得できるかって一つスタートアップにとっては大きな運命の分かり道なのかなっていうような気もしております。
輸送分野において規模の大きい補助金って言うとSBIRと宇宙戦略基金の2つがあるかなと思うんですけど、このあたりアストレックスさんとしてはどう考えられてますか。
ありがとうございます。そうですね、まだやっぱりアメリカと比べると日本のそういう金額っていうのはまだどちらかというと少ない方なんですけど、
やっぱりここ数年で宇宙にしっかり予算を削こうというムーブメントができてきて、宇宙全体で言うとかなり予算が増えたなという印象があります。
我々もいろんな補助金とか助成金を活用しながら進めていて、直近で福島県の補助金等でかなり大きな額を補助いただいてそういうのを使ってます。
今言っていただいたSBIRであったり宇宙開発戦略基金、いわゆる弱先基金と呼ばれるものというのもどんどん出てきてます。
SBIRの方に関しては、僕らはちょっと要件的な部分を含めて応募を申請していないので、どちらかというと他のロケット会社がどういう動向でどういう活動を進めているのか、いろいろ情報を聞きながら見ているというところですね。
弱先基金の方に関しては、僕らもそういったのも視野に入れながら積極的に活用していこうかなとは思っています。
ありがとうございます。正直あとどれぐらいお金があれば開発できるんですか?
そうですね。今僕らのIPOまでというところで言うと、だいたいエクイティー含め100億ぐらいの調達開発費用というので見て進めています。
ありがとうございます。
今非常にロジカルかつ情熱的な偉大なチャレンジをされているなという印象を非常にありましたけれども、これを支えていらっしゃる組織だったりメンバーというところもぜひ聞きたいところではございまして、採用のページなんかも拝見したんですけれども、
基本的にはエンジニアが中心で、しかも領域としてもかなり多くの分野で出るかなと思っています。
これは例えば電子回路設計だとか制御系、機械系とかいろんな分野がついているんですけど、これはその技術さえあれば必ずしも宇宙分野でやってた実績というのはなくてもという形なんでしょうか?
そうですね。おっしゃる通りです。よく宇宙業界というと宇宙やってないとだらけないよねとか関係ないって思う方が多いんですけど、全然そんなことなくてですね。
弊社でも例えばもともと自動車でましたとか、ドローンの設計でやってましたとか、そういった形で非宇宙産業から全然入れるというのはありますね。
やっぱりロケットというと結構特殊なふうに思われるんですけども、エクストリームな環境ではあるんですけど、言っても製造業の集大成みたいなところなので、本当にいろんな技術が必要になってくるというところで、非宇宙産業もガンガン働けるというのはあります。
わりえかなりディープな領域なのですが、宇宙に関する専門知識はこれは入社後に結構みっちり学びながらやっていくような形なんですか?
そうですね。まさにそういったところでして、弊社の8月に打った小狐というロケットを南相馬でこの間打ったんですけども、
そういった形であれは結構僕ら側で言うと社内研修みたいな位置づけの要素もあるので、そういったところでまずは初めて入った人はロケットを作って打ち上げてみるみたいなのもやりながら日々進めてます。
あとは気になるのは物理的なものを作っているわけなんです。そういう意味では基本的には全員福島勤務ということになってくるんでしょうか?
そこも色々とあります。拠点が福島、千葉が研究開発拠点で、東京というのが3拠点ありまして、業務の内容によってそれぞれ分担されているという形になります。
そこは職種によってというところにはなってくるんですね。
そうです。