2024-04-28 06:00

#67 歌と言語の起源5

人間の言語の起源はどこにあるのか。また、歌の起源は何なのかを先史から紐解く話です。

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ストーリーとしての思想哲学
思想染色がお送りします。
前回からの続きで、いよいよ革新に近づいてきた感じがします。
同時代に生きていた人類であるにもかかわらず、ネアンデルタール人は言語を獲得できず、ホモサピエンスは獲得することができました。
その原因となる特徴として、ネアンデルタール人は比較的小さな群れで活動する性質を持ち、
ホモサピエンスは大きな群れで活動するという性質を持っていました。
ここが分岐点となります。
前回までにミミシスや原型言語の話をしてきました。
特にミミシスは身振り手振りなどを伴うため、
小人数で近い距離でコミュニケーションをするならいいんだけど、
大人数でのコミュニケーション手段には向かないんです。
またグルーミングってありますよね。
動物がお互いに毛づくろいをするあれです。
ニホンザルの毛づくろいなんかがイメージしやすいかと思いますが、
あれは毛に付着した虫を取っているのではなくて、
コミュニケーションとして行われています。
グルーミングの一番の目的は、相手への信頼や信愛を表現するコミュニケーションで、
サルも相手から信頼や信愛の情っていうのを表現されると気持ちよくなるんですよ。
でもグルーミングもやはり1対1でしかできないから、
ミメシスと同じく大人数でのコミュニケーション手段には向きません。
小さな群れであれば1対1用のコミュニケーションでもなんとかなるんだけど、
ホモサピエンスのような大きな群れだとそうはいきません。
どうしても大人数用のコミュニケーション手段っていうのが必要になります。
そこで発明されたのが言語であるっていうのが、
人類学者のレスリーシー・アイエロっていう人とロビン・ダンバーっていう人が提唱したことです。
より正確に引用すると、3個体以上の相手とも同時に共有できる相互利益と
献身の表現とである音声によるグルーミングの形で言語が進化したっていう風に彼らは言っています。
ホモサピエンスが大きな群れを維持するために、
長い時間をかけて発明した言語には強烈な利点があってですね、
一度に多くの相手に音声によるグルーミングをすることができる、
しかも他の活動をしながらでも可能でした。
ここが大事なのでもうちょいわかりやすく言いますね。
グルーミングっていうのは、相手への信頼や信頼の情を表現するコミュニケーションであり、
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グルーミングとして真っ先に連想する猿の毛づくろいっていうのは、
まあ、要はマッサージなんですよね。
猿はお互いにマッサージすることで、互いの信頼の情を表現して、
自分らが仲間であるっていうことを認識しています。
でもマッサージって1対1でしかできないじゃないですか。
だから群れに100とか200体という個体がいると、
全部の個体に対してマッサージして待ってたら、
朝から晩までずっとやっていても時間が足りません。
だから人類は言語という音声によるグルーミングを発明しました。
これもわかりやすくシンプルに言うと、
要は焚火をして肉を焼きながらみんなで歌うんです。
音声によるグルーミングっていう言い方が、
もしかしたらちょっとイメージしづらいかと思うんで、
これめっちゃわかりやすく簡略化すると、
焚火をしながらみんなで肉を焼きながらみんなで歌を歌うみたいなことをすると、
僕たちは今でも気持ちよくなれますよね。
歌を聴くとあるいはみんなで歌を歌うと、
お互いが仲間であるような気がして、すごく親密な気持ちになれます。
こういったことが音声によるグルーミングです。
はい、今のは結構単純化して言いましたが、
歌でもダンスでも演劇でもいいです。
アマゾンのジャングルに住んでいる先住民族の歌やダンスを想像してみると、
原始的なコミュニケーションは、
お互いが仲間であることを確認しているんだっていうことに異論はないのではないかと思います。
動物がやるマッサージ的、より身体的なグルーミングは少人数用のコミュニケーションであり、
原始的な歌や踊りっていうのは大人数用のコミュニケーションであると。
余談としてついでに言うと、
このような原始的な歌や踊りが何千年とか何万年とかかけて
真改造されてきたのが今の僕たちがよく見るバレエやポップス、
あらゆる芸術だっていうわけですね。
今回はここまでです。
次回はまたもうちょっとアカデミックな話に戻ります。
次回もよろしくお願いします。
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