2024-04-14 05:18

#65 歌と言語の起源3

人間の言語の起源はどこにあるのか。また、歌の起源は何なのかを先史から紐解く話です。

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ストーリーとしての思想哲学
【思想染色】がお送りします。
ミメシスと原型言語の話の続きです。
ミメシスは言語ではありませんが、想像以上の情報量を伝えることができます。
また、言語がまだないということは、
なんとかして工夫して情報を伝えないといけない必要に駆られているわけだから、
時人類はめちゃくちゃ工夫してミメシスをしていたはずです。
それで考えられるのは、動物の動きを模倣する、
あるいは動物のコールや自然界の音を真似たであろうというふうに考えられます。
これは当てずっぽうではなくて、自然に密着して生活する伝統的な人々がですね、
自然音や擬音を対応するという事実があるからです。
ペルーの熱帯雨林に住むワンビサ族っていう部族なんかは、
彼らが認識している206種類の鳥の名前のうち、
3分の1は明らかに擬音、つまり鳴き声や羽ばたく音に由来しているそうです。
初期人類が身の回りにいる動物や鳥に一つ一つ名前をつけたとは考えづらいですが、
鳴き声をよく聞き取って、聞き取った音をミメシスとして、
情報伝達に転用しただろうと推測できます。
また、ミメシスで動物を表す時に表したい情報として、
その動物の大きさは是非とも表したい重要情報です。
しかし、大きい小さいという言語はまだないし、
非言語的に直感的にミメシスに落とし込むにはどうしたらよいのか。
そこで参照したいのが、
1920年代にオットー・イエスペルセンという人によって提唱された音響感。
音に共感と書いて音響感という概念です。
多分言語学的には音象徴っていう用語の方が一般的だとは思うんだけど、
ここでは参考文献にしている歌うネアンデルタールというめちゃくちゃ面白い本に敬意を表しまして、
音響感という用語で統一したいと思います。
イエスペルセンの言う音響感は、
英語でも日本語でもどの言語であるかに関わらず、
イっていう音はですね、小さいものを想起させるし、
ウとかオとかアっていう音は大きいものと結びつきやすいということを言っています。
イの音は舌をですね、前上方に押し上げて、
舌と唇の間の空間を最小にして発音します。
一方、ウ・オ・アっていう音は舌を下げて、
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口の中を広くして発音します。
言い換えると、これらの音は名付けられる物体の大きさを模倣した、
舌と唇の動作によって作られているとも言うことができるっていうことです。
ちなみにこれと似たようなことは、哲学者のソクラテスも言ってました。
はい、有名な実験があります。
エスペルセンと同じく、1920年代の言語学者であるエドワード・サピアっていう人は、
ミルとマルっていう2つのですね、無意味な言葉を作って、
被験者にこれらは両方テーブルの名前だと伝えました。
で、ミルとマルのどちらが大きい方のテーブルを指すかって聞いたところ、
ほぼ全員がマルを選びました。
これはミメシスによって大きさを伝えられるということであり、これが原型言語です。
はい、この手の研究はまだいっぱいあります。
今のミルとマルの実験からもわかるように、
僕たちは今でもミメシスを自覚せぬまま理解することができるし、
日常の中には無数のミメシスが溶け込んでいるわけです。
例えばですけど、ダンスとかってかなりミメシス的ですよね。
バレエとかああいったものも身体表現による情報伝達ですし。
ただ我々はあまりに言語表現に親しみすぎているから、
正直ミメシスを自覚する能力って退化してきているとは思うけど、
でもそういうのってまだ全然あるよねっていう話でした。
ということで引き続き、まだ次回に続きます。
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