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ストーリーとしての思想哲学【思想染色】がお送りします。
前回は、芸術の功能を静かに燃えるような気分だったり、宗教的な高い気分だったり、
そういったとある気分を呼び起こしてくれるものであるっていう風な話をしました。
これをさらに、「仕事の役に立つのか?」という話と、「結びつけられるのか?」という話をしてみたいのですが、
まず最初に、前回引用した「詩の原理」っていう本には、こういう別のフレーズもあります。
ポエトリーのことですね。
詩の指摘精神。
指摘精神の最も遠い極地において、科学の没主観な太陽が輝いている。
ここで言う指摘精神っていうのは、芸術の内部にある精神のことを指しています。
したがって、これは芸術と科学と対比しているセンテンスですね。
要するに、主観と客観との対比で捉えられるっていうことなんですよ。
芸術が主観で、科学が客観です。
科学っていうのは客観的事実を観察することで実施をしていくものですから、
だから科学が客観だっていう点については特に異論ないのではないのかなというふうに思いますけど、
では主観についてはどうか。
冒頭で挙げたような静かに燃えるような気分だったり、ある特定の気分を呼び起こしてくれるということを
ある程度コントロールして行うことができたら、これはすごいことですよね。
なかなかこれを意図的にコントロールするなんていうことは難しいということは、それはそうなんですが、
でも好意的に解釈したとして、
これって今の時代のマーケティング戦略とすごいフィットしてるんじゃないのかなというふうに思いますが、
というのも昔のマーケティングって、とにかく一般の人々大勢に届けるっていうものだったじゃないですか。
いわゆるマスマーケティング。
でも今のマーケティングって、少数の人々の心にいかに深く届くかっていうふうになってますから、
これはよく心に刺さるとかっていう言い方をしますけども、
だから最近よく言われる、ビジネスマンはアートを学んだ方がいいみたいなのは、
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こういう文脈でね、理解されたらいいんじゃないのかなというふうに個人的には思うのですが、
それで主観的な精神とか主観的な感情っていうものにリーチするために、
なんか新しく芸術マーケティングとか哲学マーケティングみたいなのが出てきて、
もっとみんなが主観的精神について議論したりするようになったらすごく素敵だなっていうふうに思いますね。
そうなったら僕が楽しいからそういうふうになってほしいという願望も入ってますが、
あとちょっと別の観点から、自分が好きな言葉があるんですけど、
買うは感性、買わないは理性って言うんですけど、
これ、この商品いいなーって言ってビビッときて思わず買ってしまうっていう、
そういう働きっていうのは主観的な感性に属するものですよね。
一方で他の商品と比較して、やっぱり買うのやめようっていうふうになるのは、
これは客観的な理性による働きであるとそうだなというふうに思うんですけど、
だからね、客観的なデータとかは集めやすいし、もちろんそれも分析するべきなんですけども、
主観的な感性とか感情、そういう感情の質感のようなもの、
こういうものにアクセスする芸術っていうのが、
なんかすごくポジティブな意味でマーケティングに使われるようになっていったらいいんじゃないのかなというふうに思います。
はい、今回はここまでです。
次回もぜひお聞きください。