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yunyantokyo
シェフ、三皿目のご紹介をお願いします。
matsui
この料理は、リゾット・プリマベーラです。
yunyantokyo
はい、それでは、すごくいい香りなんですけど、早速いただいてみようと思います。
こちらは、どのようなお料理になりますか?
matsui
この料理は、七草貝からのヒントで生まれたリゾットですね。
今回は、フキノトウとタラノメ、スカモルツァチーズが入っています。
スカモルツァチーズは、燻製したタイプの牛のチーズです。
フキノトウやタラノメの苦みと、スカモルツァの燻製香の相性がいいと思います。
イタリアだと、リゾットはフォークで食べるというマナーがありますね。
なので、平たいお皿で出しますね。
日本だと、スプーンで食べることはすごく多いんですけれども。
どうしてフォークで食べるんでしょうね?
matsui
どうしてかどうか、よくわからないですけど。
yunyantokyo
でも確かに、スプーンで食べるよりも、フォークで食べた方が食べやすいですね。
思いました、今。
ソースがしっかり米にまとまりつくというか、しっかりついてくるし、
おっしゃる通り、フォークで食べる感じがいいかなと思いました。
やはりこれも春の味というか苦みというか、
すごく春を感じさせる味になっているかなと思っています。
先ほど説明していただいたんですけれども、
スカモーチャチーズって、これはどちらの国のチーズなんですか?
これもイタリアのチーズなんですか?
matsui
今回使っているのは、カリフォルニアでイタリア人の方が作っているチーズですね。
yunyantokyo
そこを選んだ理由みたいなのってあるんですか?
matsui
そうですね。他のモッツァレラチーズとかを、
そちらのブランドのものを使ってまして、その流れなんですけど。
yunyantokyo
燻製の根っこがしっかり。
こちらはどちらの米を使われているんですか?
matsui
こちらはイタリアのカルナローリという米ですね。
日本の米よりも粒がちょっと大きめで、
やっぱり水分が日本の米よりも少ないというか、
こういうリゾットとかには水分が少ないという方が合いますね。
yunyantokyo
イタリアって米を作っているというイメージが全くなかったんですけど、
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yunyantokyo
結構作られているものなんですかね?
matsui
イタリアは多分ヨーロッパの中でも1番とか2番ぐらいじゃないですかね、
お米を作っている。
yunyantokyo
日本と同じ水耕なんですか?
matsui
そうですね。日本でも今イタリア米も作っているところはありますね。
スープに入れたりとか。
日本みたいな炊くという形よりは、
茹でたりとかすることは多いですね。
yunyantokyo
リゾットを作るときに、
なんかこう、米の硬さとか、
茹で加減とか、そういった部分結構重要かなと思うんですけど、
こちらはその辺のこだわりみたいなものがあったら、
matsui
ぜひ教えていただきたいなと思います。
アルデンテって人それぞれの形があって、
アルデンテって言うと歯応えというか、
ちょっと芯が残るみたいな意味なんですけど、
そこって曖昧で、店によって人によってアルデンテの具合って違うんですけど、
僕はあんまり硬すぎず、柔らかすぎずのところの、
日本人に合うかなぐらいのところで、
気をつけて調理をしております。
リゾットって基本その鶏の出汁とかを使うことはやっぱり多くて、
僕も鶏の出汁を入れてますね。
あとは黒胡椒を僕は好きです。
いろんなリゾットに黒胡椒を結構入れると、
やっぱりチーズとか入ってるんで、
まったりしやすいので、
そのメリハリとして黒胡椒を入れたりすることが多いですね。
鶏の出汁は鶏のガラですね。
鶏を卸したときのガラですね。
それと野菜ですね。
人参とか玉ねぎとかトマトなどのものを8時間くらい煮込んでおいて、
次の日、もう一度少し火にかけて濾しているというものを使っています。
日本の食文化っていうんですか、
yunyantokyo
七草粥みたいなものをアイディアに今回のメニューの中に取り入れているというお話、
さっき伺ったんですけれども、
何か他にそういうアイディアみたいなものを取り入れた例っていうのはあるんですか?
具体的に何っていうあれではないんですけれども、
matsui
やっぱり日本でやっている以上、
日本のいい食材を使わない手はないなと最近思ってまして、
こそイタリアから帰ってきたときは、
イタリアにある食材を使って作るのがイタリア料理だと
思ってやっていたんですけれども、
イタリアもそこの土地にあるもの、おいしい食材を使って作っているので、
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matsui
その心、そのスタンスがイタリア料理であれば、
それがベストなんじゃないかなと思ってまして、
もちろん自分の中でイタリアのこの料理っていうのはあるんですけれども、
それからのイメージだったりとかは大事にしたいんですけれども、
あれはイタリアの伝統料理と自分の考えと、
日本のいい食材を使ってっていう料理の仕方を考えています。
まさかこんな七草粥のイタリアバージョンを食べれるとは思わなかったです。
yunyantokyo
イタリアにタラの芽とかあるんだったら、
イタリアじゃきっと使うですし、
matsui
柚子とか日本っぽいよねって言われるけど、
なんかそれが日本にある食材だから、
日本でイタリアのやるって所詮あれですよね。
本当のイタリア料理っていうのは、
やっぱり美味しいとか美味しくないとかは別として、
イタリアの食材を使って作るのは本物のイタリア料理だと思っていて、
向こうのレストランだって醤油とか味噌とかもいっぱいありますし、
一概にみんな山菜使ってるからそんなのイタリアんじゃないよっていう、
そういう意味でイタリアの料理を作るのは本当のイタリア料理だと思っていて、
みんな山菜使ってるからそんなのイタリアんじゃないよって言っていたんですけど、
そうでもないなっていう。
yunyantokyo
時代とともに料理っていうのは変わっていくものですもんね。
matsui
世の中的な流行りもありますし、
あくにイタリア料理ってここ二、三十年じゃないですか。
九十年代くらいじゃないですか。
日本にブームの炒飯みたいに言われてきた時って。
yunyantokyo
キャンティーですね。
matsui
でもその辺なんですよ。
その辺とかがあって、それからイタリアに行くシェフがいっぱいいて、
現地のものを見てきて戻ってきて、
今度は郷土料理みたいなのを学んできて、
炒飯っていう一択だったんですけど、
帰ってきてピエモンって料理屋だ、シチリア料理屋だ、
ローマ料理屋だっていろんなものが出てきて、
向こうの食べ物をそのまま日本で再現しようとするシェフがいっぱい出てきて、
食材もいろいろ入ってきて、
昔だってバジルさえなかったわけですよね。
それを大葉を使ってジェノベーゼを使っていた時代があるんですよね。
それがバジルが当たり前のように日本に入ってきて、
バジルでジェノベーゼを作って、
イタリアでこうやって出してるんですよ、みたいなのがいっぱい出てきて、
今は逆に個性になってきて、
和の食材を使ったり和のお皿を使ったりとか、
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matsui
個性が出てきて、
逆に今は若い子が大葉でジェノベーゼを作るみたいな。
yunyantokyo
影響し合って料理屋も発展していくんですよね。
matsui
そうですね。
yunyantokyo
食事というのも時代とともに変わっていくのかなという感じをこの料理屋は。
matsui
僕が行った時に本当にびっくりしたのは、
二つ干しかな三つ干しだったお店で、
前菜にお寿司が出てくるんですよ。
イタリアで。
日本人の僕からすると、
こんなのイタリア料理じゃないし、
何それって思うんですけど、
イタリア人からしたら面白いわけですよね。
味噌だの醤油だのみりんだの使うのが。
他にもあったんですけど、
デザートでパチパチくんって分かります?
yunyantokyo
知ってますよ。
matsui
デザートでパチパチくんあったんですよ。
3万とか4万とかするデザートですよ。
こっちからしたらふざけんなよって思うんですけど、
でもやっぱりあの食感というか感じってなくて、
面白いんですよね向こうの人からすると。
そういう感覚とかって。
yunyantokyo
新しい人の体験を求めてね。
人って悪な気。
matsui
欲求がありますからね。