1. そろそろ美術の話を...
  2. #129 ボデゴンの起源が観れる..
2025-04-12 57:20

#129 ボデゴンの起源が観れる・どこみる展について(国立西洋美術館主任研究員 川瀬佑介)

国立西洋美術館主任研究員  川瀬佑介さんをゲストに、西洋絵画、どこから見るか?―ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 vs 国立西洋美術館ついてのお話をお聞きしました。⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠https://sorosoro-art.vercel.app/ep/12⁠9⁠  番組の感想は、⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠#そろそろ美術の話を⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠ でお願いいたします。

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Guest Profile

川瀬佑介(かわせ ゆうすけ)

  • 国立西洋美術館主任研究員


Show Notes

国立西洋美術館について

どこみる展について

サマリー

国立西洋美術館で行われる「どこ見る展」では、ルネサンスから印象派までの作品がサンディエゴ美術館から借りた作品と共に展示されます。川瀬佑介さんが展覧会の構成や趣旨について詳しく解説します。国立西洋美術館の川瀬佑介主任研究員が、ボデゴン(生物画)の歴史と重要な作品について語ります。特にサンチェス・コターンの生物画は、スペインの美術史において画期的な作品であり、展覧会の見どころとなっています。今回のエピソードでは、国立西洋美術館主任研究員の川瀬佑介氏がボデゴンの起源や「どこみる展」について詳しく解説しています。特にサンチェス・コターンとスルバランの作品を通じて、余白の美や宗教的シンボリズムについて考察されます。国立西洋美術館での展覧会では、スペイン美術の重要性と19世紀の画家ソローレについて詳しく語られています。また、ジョルジョーネの肖像画が持つ独特の存在感とその歴史的背景も紹介されています。国立西洋美術館での「どこみる展」では、サンディエゴ美術館の名品が紹介されており、展覧会の戦略や今後の開催予定についても語られています。また、展覧会に関連したオンライン講演会では、西洋美術の収集の歴史について触れられる予定です。

展覧会の概要
はい、アートテラー・とにのそろそろ美術の話を。この番組は、私アートテラー・とにがアートに関わる方をゲストにお迎えして、トークを繰り広げるポッドキャスト番組です。
本日は、国立西洋美術館主任研究員 川瀬佑介さんをゲストにトークをしていきたいと思います。
はい、ということでご出演いただきありがとうございます。よろしくお願いします。
川瀬さんとは結構付き合いが長いんですよね。知り合ってから。そうですね、いろいろご取材いただいたり、はい。そうなんですよ。
一番最後、何だったかなと思って振り返ったら、2021年の11月号の芸術伸長の時に、僕が5人の達人というメトロポリタン美術館、西洋絵画ワンダーランドという特集の時に、
5人の研究者や指揮者の方にお話を伺いに行くっていう企画で、ヌード画のプロとか、
肖像画部門でお話を伺いに行って。整備の企画ですらない。
めちゃくちゃ印象的だったのが、川瀬さんに限らずなんですけど、たぶん1日当たり4ページぐらいの短で、だからたぶん10分の話聞けば埋まるはずなのに、
たぶんあの時も1時間ぐらい。たっぷりお話でいろんな話があったけど、結局切らなきゃいけないなって記者さん達と言ってたので、今回はなんとたっぷりカットすることなくお話いただけますので。
いろんな話を伺いたいと思います。
そして国立西洋美術館に関しては、エピソード63、64に新藤敦さんがご出演していただいておりますので、
国立西洋美術館がどんな美術館というのは、その回をお聞きいただければいいかなと思っております。
展示の構成
ということで、川瀬さんにはぜひ、現在開催中の展覧会についてたっぷりお話を伺いたいと思っております。
ではまず、現在開催中の展覧会についてどんな展覧会なのか、まず概要をよろしくお願いいたします。
ちょっと変わったタイトルの展覧会で、西洋界がどこから見るか、ルネサンスから印象派まで、サンディエゴ美術館VS国立西洋美術館という、全部読むととても長い展覧会で、
共催者さんなんかはどこ見る展と、ハッシュタグを作ったりして、
通称どこ見る展と呼んでいけばいいですね。
そういう展覧会を、3月11日から6月8日まで、西洋美術館で開催しています。
これは、内容としては、ルネサンスから印象派までの、いわゆる西洋界が美術の王道ですよね。
そこをざっくりさらう、外冊的なカバーする展覧会なんですけれども、
アメリカのカリフォルニアにある、サンディエゴ美術館というところから、半分以上ぐらい作品を借りしてきて、
さらにそこに国立西洋美術館が所蔵している、ルネサンスから印象派までの作品を掛け合わせて、展示を作るというところに、
これまでとは変わった点がありまして、
ただ、並べていくだけだと、本当にルネサンスから印象派までの、
どこにでもある、いつでもやっているような展覧会になってしまいますので、
今回の展示の構成の肝としては、
90点くらいあるわけですけれども、それを30いくつの小グループに分けて展示をしまして、
つまり一グループ、ペア2点とか3点とかですね、多くて5点くらいの小グループに分けて、
それぞれのグループにテーマを持たせて、
つまり同じ作家の作った作品で、領館の所蔵品を並べてみるとか、
同じ時代の同じジャンルの作品で、領館の所蔵品を並べてみる、という風にして作っています。
ですので、こういう、画家の個展ではないですね。
ドコドコ美術館、名前をつくような展覧会というのは、
基本的にはたまたまそこの美術館を持っているものが並ぶので、
もちろん一点一点いい作品が出ていれば、それぞれの作品を鑑賞して素晴らしいなと、
それはもちろん満足して帰っていただけるけれども、
その素晴らしい作品の隣に並んでいるもう一つの素晴らしい作品、
その作品の間には何ら関係がなかったりするわけです。
展覧会を通して一つのストーリーというものが、
いわゆる名品展みたいなものにはないことが多い。
僕らはやっぱり展覧会を作る側のみからすると、
それだとあんまり面白くない。
やっぱり展覧会を見に来ていただくというのは、
もちろんいい作品を見てもらいたいというのも一つだけども、
展覧会を見て一つのストーリーを感じていただきたい。
そのためには物語がなければいけないので、
ネネサンスから印象はまるという大きな物語を紡いでいくためには、
どういう工夫が必要だろうか。
今回はそれと同じ画家の作品を並べている、同じテーマの作品を並べている。
比較してみるということは、ちょっと難しい言い方をすると、
美術史の基本なんですよね。
作品の魅力なり良さなりというものを見て、
なんとなくいいなと感性で感じて思う。
それが当然入り口で素晴らしいんですけども、
それをもう一歩踏み込んで、
なぜこの画家はこういう表現をしたんだろう。
僕らから見ると、その素晴らしさはこういうところにありますって言われたら、
そうですかと思うけど、実感としてはわからないことが多いわけですよ。
例えば300年前の美術史とか。
それを当時のコンテクストにおいて、
それがなぜ新しかったのか。
なぜっていうことは、やっぱり同じ時代の同じような作品と比べてみない。
比べてみて初めて浮かび上がって、
実感として理解していただけるんじゃないかと思うんですよ。
一点だけだとピンとこないけどってことですね。
同じ画家の作品でも、
例えば初期と晩年の作品を並べてみると、
どのように画業が変遷していったのかとかね。
同じ時代の別の画家の作品と並べてみると、
やっぱりその時代の他の画家と比べて、
この人はどれだけ個性が違ったのか。
もしくはどれだけ共通しているのかっていうことが、
比べて初めてわかってくるんですよ。
なので今回の、
どこから見るかという展覧会のタイトルは、
そういうところを指していて、
比べることによって、
どこから見るかの視点をたくさんご提供して、
いろんな視点からその作品を鑑賞していただく。
その場を作ってみよう。
展覧会の意図
そう聞くと、
これまで展覧会って、
アート好きの方向けとか、
マニアとまでは言わないかもしれないけど、
そういう人たちを喜ばせるというか、
満足させる展覧会が多い。
それはそれでいいことだと思うんですけど。
この今の発想だと、
初期というか、
これからの人にも来てください感が出てますよね。
そうですね。
そういう意図はあります。
なので、
実際に開幕して1週間ぐらいですけども、
細かくまだどういうお客さんが来ていただいているかとかね、
あまり細かく分析はしていないんだけども、
大学生が多いんですよ。
明らかに。
もちもと大きなパイではないんだけども、
そこは。
でも今回、
普段何倍も大学生さんが来てて、
そこって一つの、
この展覧会のボリュームゾーンなんですよ。
例えば授業で西洋美術士とかね、
撮ったり撮らされたりして、
もうちょっと勉強してみようかなとかね、
もしくはちょっとデートでね、
女の子連れて美術館行って、
かっこいいとこ見せようかなと思ったりして、
足を運ぶ際にね、
当然そんなに知識もないけれども、
ただ見るだけじゃなくてね、
それをもう一歩先まで行って、
より深くね、鑑賞してみたい。
なんかそういう興味や知識がなんとなくあって、
入りにくいなと思っていたりとかする、
そのあたりのお客さんというのに、
来ていただけたらいいなっていうのは、
確かにありまして、
少しなんかちょっと、
そういう実際にもね、
数字にもちょっと出てるかなという気も。
じゃあ結構思い切って、
このタイトルにしたのは良かったんですね。
そうですね。
結構攻めてません?
つまり、残念ながら、
残念ながらサンリーゴ美術館っていう名前を出しても、
多くの人に訴求する年割はやっぱりないわけです。
うんとか言いづらいけどね。
だけども当然これをやったのは、
でもその割には、
実はとても良い作品を持って、
山ほど持ってるわけじゃないんだけども、
とても良い作品をお持ちで、
この作品を見るためだけに、
地球側まで行ってもいいって作品もある。
へー。
ので、日本で見てもらう価値もある。
だけども、
じゃあやっぱりそうしたらば、
売り方を考えなければいけないので、
これはもちろん私が一人で考えたことではなくて、
共産者さんが主にお考えになって、
一緒に作っていったものですけれども、
そういうこの展覧会の出発点もね、
要は、
ルーグル美術館とかね、
そういう。
この秋にオール製美術館展覧会ね、
国立美術館しかえてますけど、
そっちはわざとは言ってないですもんね、
オール製美術館のそこから見る過程みたいな。
そうそう。
言う必要もないですね。
言う必要もない。
なので、
そこはそういう展覧会の出発点が違うので、
じゃあそれをどういうふうに、
なるべく多くのお客さんに見てもらうか、
ということを考えて、
こういうストラテジーで行こうとなったわけです。
でもそれこそ、
僕もサンディエゴ美術館はちょっと不明人だから知らなくて、
今回展覧会で知ったんですけど、
この担当が川瀬さんと聞いて、
僕はびっくりしたんです。
というのも川瀬さんは、
僕の中でというか、
川瀬さん自身も実際そうなんですけど、
スペイン美術のプロフェッショナルで、
サンディエゴ美術館、さっきチラッと言いましたけど、
アメリカの美術館じゃないですか。
なぜ?って最初思ったんですけど、
実はこれ結構サンディエゴ美術館とスペインは関係がしてくるんですね。
そうなんですよね。
そうなんです。
なので、
サンディエゴっていうのは、
アメリカのカリフォルニアの一番南の、
メキシコとの国境のところで、
もともとスペイン人が入職して作った町。
カリフォルニア全体が基本的に、
もともとスペイン人の植民地だったところですけども、
なので、
サンディエゴはカリフォルニアの中でも、
スペインや、
旧スペインの植民地であった、
中南米ととても関連が深い土地から。
なので、
そういう町の歴史的なバックグラウンドというものを反映して、
スペイン美術を収集の柱にされているんですよね。
結構珍しいことです。
他のアメリカの美術館にはそんなにない。
そんなにないそうですね。
今回はスペイン美術の名品もたくさん来ているということですよね。
サンディエゴ美術館からは、
ちなみに何点来ている?
50点ぐらい。
これは、しかも全て日本初公開。
そうなんですよ。
これまでサンディエゴ美術館の作品って、
見る機会はあったんですか?
何かの展覧会に来ていたってことは?
例えば、
シンビデマグリット展って、
5、6年前にやってました。
1編サンディエゴ美術館から来ていて、
僕の知り合いが空流で来たので、
上野の吉野家で飯を食いました。
サンディエゴ美術館に来て、
わざわざ日本に来て、
吉野家を食ったんですか?
時間がなかったです。
時間がなかった。
これまで単体というか、
何点かは来ているけど、
まとまってというのは初?
やはりマグリットも、
それが初めてだったかわからないけど、
とても珍しい例で、
あるかと思いますね。
サンディエゴ美術館自体は、
アメリカでは有名なんですか?
どれくらいの認知度?
アメリカの中でも、
どうしても地理的にも、
東海岸から遠かったりもするので、
アメリカの中でも、
持っているものの割には、
あまり注目されていないというか、
そういうところがありましたね。
コレクションとしては、
国立美術館とサンディエゴ美術館だったら、
どっちが多く持っている?
それはサンディエゴです。
サンディエゴは西洋美術館以外も、
いわゆるアメリカの美術館なので、
ヨーロッパの美術館も持っているし、
確か南アジアのコレクションなんかは、
美術館の重要性と展示
すごく充実しているらしいし、
そういう百科全書、
そういう美術館ですね。
歴史で言うと、
どっちがどっち?
美術館の歴史としては、
サンディエゴの方が古くて、
1925年に創立されて、
ちょうど100周年ぐらい?
26年かな?
来年100周年って言ってましたね。
来年100周年では、
その時には絶対貸してくれないですよね、
名品は。
イメージとしては、
取っておきたいですもんね。
これをきっかけに、
もしかしたら、
カルフォルニアの西海岸に行く人は、
サンディエゴの美術館、
来年行ってみようみたいになるかもしれないですよね。
ダルビッシのついでに、
ちなみに、
個人的にも、
プロデューサーも気になったらしいんですけど、
VSっていう言葉を使ったのには、
例えば、
仲悪いのかなってないですけど、
タッグを組んだら、
プラスとかでもいいけど、
バーサスはなんでだ?
サンディエゴの作品と、
西美の作品を並べて、
展示してみる。
もちろん優劣とか、
勝敗をつける対決ではない。
でも、
2つ並べて、
見てみよう。
それが、
バーサスの意図ですね。
さすがにだから、
仲悪いわけじゃないんですよね。
また吉野家とか食わせてるわけじゃない。
大丈夫ですよ。
もうちょっと良いもの食わせて。
その情報が向こうに行っちゃったら、
日本はこんなのしか食べてない。
美味しいですけどね。
ちなみに、
今回の展覧会で、
展覧会の立て付け自体、
サンチェス・コターンの生物画
すごく見どころというか、
面白そうだなと思いますけど、
どれももちろん名品だと思いますけど、
これを見てほしいという作品を、
具体的に色々と、
教えていただけたらと思います。
何がいいですか?
何を置いても、
見ていただきたいのは、
図録の表紙にもなってますけども、
アリス・コターンという、
スペインの17世紀の画家が描いた、
生物画なんですよ。
なかなか生物画がメインになることって、
あんまりないですよね。
生物画展ならともかく、
色々とある中で、
正直最初見た時に、
もっとビジュアル良いのがあるんじゃないかなと、
思ったんですけど、
これはスペインの生物画の歴史を変えたというか、
スペインの生物画の歴史を作った絵なんですよ。
スペインの生物画って言ったら、これなんですよ。
それがアメリカにあるんですね、しかも。
そうなんです。
ぜひゆっくりその話を聞いていきたいんですが、
そもそもすみません、
サンチェス・コターン。
サンチェス・コターン。
この人自体が初耳だったんですけど。
そうですね。
この人は、1600年の前後ぐらいに、
トレードで活躍した画家ですので、
エル・グレイコと、
ちょっと年下ですけども、
同じ時に、
同じ町で活躍していて、
エル・グレイコに金を貸していたことも知られている。
2人は知り合いだったには違いないんですけども。
そんな情報まで残ってるんですね。
残ってる。
エル・グレイコが年上?
なのに年下に金借りたってことなんですね。
エル・グレイコは浪費家だったらしいんで、
多分金使い荒かったんですよ。
ええ?
サンチェス・コターンは、
なぜ重要かというと、
現像している作品の中で、
スペインで最初に生物画を描いたのは、
この人なんです。
イメージで言うと、
それこそ、
川瀬さんと僕が一番最初に出会いました、
プラド美術館展に出てきた、
ベラスケスとかのイメージだったんですけど、
それよりも前ということで。
あの時も出てましたもんね。
生物画の元祖になるような絵だよ、みたいな。
それの前身に当たるのが、
このコターン。
そうです。
生物画っていうのは、
トリーさんはご存知だと思いますけど、
この頃ね、この16世紀の、
本当に最後、もしくは17世紀の本当に始めに、
ヨーロッパでようやく、
ジャンルとして成立するわけですよね。
スペインと、
北イタリアと、
フランドルという三つの地方で、
ほぼ同時多発的に、
生物画っていうのは成立する。
で、
スペインにおける、
最初の人がサンチェス・コーターン。
もともと彼は、
当時生物画を専門にしていた画家っていうのは、
当然いなくて、
サンチェス・コーターンも普通に、
宗教画を描いていたんだけども、
1600年の前後くらいかな。
記録にある範囲だと、
12枚、
生物画を描いたんです。
当時なんですけど、
言ったら、
自分がこれを描きたいっていうよりは、
どっちかというと注文を受けて描くわけじゃないですか。
肖像画であったりとか、
教会から頼まれて、
宗教画を描くわけですよ。
生物画を描かなきゃいけない理由って、
何だったんですか?
わかんないですね。
この人は自発的に描いていたんですか?
なんで例えば12点描いたか
わかるかというと、
これもこの画家の面白いところなんですが、
1603年に、
この人は
お坊さんになってしまうんですね。
トレードから
グラナダに移って、
グラナダの修道院に入るんですよ。
その時に世俗の財産を全て
手放さなきゃいけないので、
財産目録が作られるんです。
それが残っていて、
そこに12枚生物画の記述があるんです。
自分で描いたものを
自分で持っていたってことなんですか?
それ以外にもたくさん描いていたかもしれないんですが、
逆に言うと、
生物画を売った記録はないんです。
サンチェス・コターンがお坊さんになった後、
残った、
アトリエに残された生物画は、
そのうちのいくつかは、
作品の魅力と評価
例えばトレードの大聖堂と
関係のあった
聖職者、
神父さんであったりとか、
そういうトレードの知識人の
手に渡っているんですね。
それまでお坊さんになる前は、
一応職業画家ではあったんですか?
職業画家です。
生物画以外に普通の、いわゆる宗教画を描いたり
書道画を描いたりもしてはいたけど、
この謎の12点は手元にあって、
その12点のうちの
1点ということなんですか?
そこに要は、
何が描いてあるかで、
丸メロと、
具体的には覚えていないけど、
丸メロとキャベツとメロンのある生物で、
そんなに
ドンピシャなものがないので、
それはこれだろうと。
なるほど。
こんな貴重なものが。
逆に言うと本当に、
全くの
画家の自発的な意思で
描いたのかはよくわからないけども、
全く売れなかった、
全くその世に広めなかった
わけでもないんだろうとも思うんだけども、
ごく限られた
サークルのみで
流通していて、もしくは
流通することが意図された。
普通に売れる
マリアさんのネイトカットは、やっぱり
違う目的や意味を持って
制作されたに間違いないと
思うんですね。
その12点は、
これが後にスペインの
生物画の歴史になっていくということは、
誰かに見せる機会は、
その後、誰か他の画家にも見せつかってくるんですか?
そう、つまり
アトリエから処分された
生物画のうちのいくつか
重要な芸術
被護者であった
教会の関係者の中に
手に渡るし、
ほどなくして王室コレクションにも入るんですね。
じゃあ、評価はすごい
されてた。その辺の人が
適当に返したよってわけじゃないんですけども、
すごいものではあったんですね。
そうだと思います。
ちなみに、生物画なんですけど
たぶん一般の人がイメージする
生物画って、テーブルの上に
柄物がたくさん乗っていて
その上の
奇妙なところと言いますか、
テーブルではないような
謎の空間
簡単に言うと
ガラスもはまっていない
窓枠みたいな
設定ですよね。
背景が
真っ黒に塗り込められていて
そこに一条の
スポットライトみたいな光で
明暗の差を
置きつけながら
生物が並んでいるのが描かれる。
これ、要は
当時のスペインの
一般的な酒蔵とか
食料品の貯蔵庫
とかの
一場面を
元にして
描いているとは
考えられる。
他の12点も
基本的にこういう描き方ではあるんですか?
描かれている内容は違うかもしれないけど
基本的に同じ
形式はこういう感じなんです。
残っているものは
全てその12点と
同定できるわけではなくても
現在世の中に残っているサンチェス・コターンの
生物画は6点か7点しかないんですよ。
12点が現存しているわけではないんですか?
行方不明になっているのは
6、7点の
1点なんです。
6、7点の中で一番バランスもいいし
最高傑作と言って
差し支えないし
かつ昔から
ずっとよく
これこそスペインのボデゴン
スペインの17世紀の生物画のこと
ボデゴンの最高傑作として
ずっと長らく知られている作品なんですよ。
じゃあこれは
何も知らずに
この時期最初見た時は
地味な絵が選ばれているなと思っていましたけど
スペイン美術を研究している人からすると
これが来たのはとんでもない奇跡的なことなんですね。
そうですね。
川瀬さんも結構びっくりします。
これが来なかったらこの点なんかやってないですよ。
そんなにですか?
そう思いますね。
当然この存在は知っていたし
もちろん。
いつか日本に来てほしいなぐらいの
かなうならね。
っていうぐらいのレベルなんですか?
生物画展とかやろうとしたら
それは
どのぐらい可能かどうか別として
この作品はやっぱり
借りたい。
ドラフト1位ですか?
間違いないです。
ベラスケスとか他にも
いろんな人いるけれども
このまず1点
へえ
そう言われると
絶対見た方がいい。
丸めのキャベツ、メロンとキュウリのある生物。
タイトルはただ
何が書いてあるか
もちろんガガンつけたタイトルでも
なんでもないんですけども。
これ僕実は
実物見させてもらって
結構衝撃的だったのが
まずメロンとかキャベツが
写実的で
うまいって言い方も
普通の言い方しちゃってましたけど
当然として
一番感動したのは黒い柄が
これ気のせいかわからないですけど
ちょっと湾曲してるというか
なんかこう
奥行きを感じるような
書き方だったんです。
ピシピシっと
画像だけで見ると
本当にもうカクカクっと
してるような感じなんですけど
ちょっとたわんでるというか
目で見たような形式になってたのが
すごい
印象的だったというか
そこまで計算しつくして書いてるのかな
と思ったんですけど
やっぱり黒い画面をしてるって
わけでもないんですか?
この作品の
最大の魅力の
一つは今おっしゃったように
この何もない背景だと思います
その絵
それこそがこの絵を
極めて現代的なものに
していると思うんですよね
だからこそ
ボデゴンの魅力
やっぱりこの絵は
ちゅうちゅうなく最高傑作だと思うし
他もね
この人は基本的には
こういう風に
画面を埋め尽くすようにモチーフは
まあ
書かない
比較的厳選された数のモチーフを
もう一個くらいメロンサービスして
書いてあげてもいいのにと思うんだけども
でもやっぱりこの絵の魅力は
この絵の真ん中を
半分以上を占める
何もない暗闇で
吸い込まれるような
魅力がありますよね
だからそれこそ
海外の名品ってたくさんあって
いろいろ見ますけど
余白の美的な
話は日本美術以外で
聞いたことなかったんですよ
そこだけは日本人が
唯一誇れる余白の美だと思ってたんですけど
なんか板ちゃんと思っちゃいました
似たような
日本人だったらそう思いますよね
面白いことはよく分かります
それはやっぱり
そういう意味でも今回も
見るべき一枚ということなんですね
でも今回の展覧会の
ポイントは
これを1点で
これまでだったら多分
カワウソの名品です
これがもう1点ドンとあって
これを見るのだけど
今回はどこ見る点だから
これと何かを比べている
正直言って
これほどの大傑作と
隣に掛けられる作品って
世界中探しても
多分一握りぐらいしかない
端のものなので
ここが難しいですか?
一番難しい
目玉であればあるほど
そんな簡単に
自分のところに横に並べられる作品
なんてないんですけど
でも歴史的なコンテクストを
見せることができる作品は
実は大変幸運なことに
西洋美術館にありまして
それがゼロ・オクダットの
当面のページに並んでいて
小さな小部屋が一緒に並んでますけど
バンデ・ラーメンという
サンチェス・コターンの
すぐ後の4年ぐらい後の世代で
スペイン農生物側の第一人者
の初期の
大作を西洋美術館が
肖像していて
それを同じ空間に並べています
そっちの作品も今
図録で見させていただいているんですけど
同じような場所に書いてはあるけれども
今言った余白の美という感じというよりは
むしろたっぷり
果物だとか
鳥だとか書かれてますけど
一般的なボディゴマイブは
こっちのイメージです
たくさん食材あるよ
しかってきそうだと思います
基本的なのは
そっちが多いという感じですか
やっぱりこの
どちらのパターンもあると思うんですけど
サンチェス・コターンの
やっぱり凄さというのは
やっぱりこの絵は
ただのメロンや
ただのキャベツなのに
凄くおごそか
な感じすらするし
どちらの絵が
自分のお家のダイニングルームに
かかっていたら
良いだろうと思うと
サンチェス・コターンの絵だと
夕飯食うたびに緊張しそうな気がする
確かに
リアルではあるけど
美味しそうという感じとは
ちょっと別ですよね
生物画って良いものを見ると美味そう
果物が美味しそうだなってなるけど
コターンの絵は違いますね
そういったレベルを超越した絵ですよね
食べたらバチが当たりそう
お供え物とは言わないけど
確かにそんな感じはあります
お供え物は確かに面白い
その通りで
コターンの作品は
このメロンにキリスト教的な
シンボリズムとか
隠された象徴みたいな意味が
あるんじゃないかって思う人は
沢山いるんですよ
そんな考察されるんですね
それぐらいこのメロンが特別に見える
メロンも
ちょっと切り込みが入っているんですよね
キュウリがね
わざわざ手前に飛び出していたり
確かに
そういう考察を
確かに
ありふれた野菜や果物で
あればあるほど当時のヨーロッパの
社会に根付いていたものなので
探しはそういういろんなシンボリズム
なんてあるんですよ
だけどもそのシンボリズムが
この絵の中でこのモチーフの並びで
成立するのか
この4つのモチーフで
具体的な
この4つでないと表せない
象徴とか隠れた意味みたいなのが
あるのかというと
今のところ
説得力に満ちた
そこまで満ちた解釈は
提示されていなくて
例えばもちろんリンゴがね
アダムとイブが
食べさせた
現在の象徴とか
まあ
ガイコツとかもっとハリスですよね
それはありますよ
だけど
そこまでベーシックな
レパートリーではないものが
比較的並んでいて
でもよりありふれたモチーフが
並んでいて
やっぱり画家の意図
っていうのは
個別の
意味を伝えようとしたのではなくて
やっぱり
超絶技巧とか
もう少し
詳しく説明すると
この絵って単に目の前に
メロンとキャベツと並べて
それを
あるがままに映した絵かというと
そうじゃないんですよ
それが
この絵の
面白さで
単に
現実のあるがままを
模倣するのは
猿真似
基本的にヨーロッパの美術では
価値はあまり認められてこなかったので
生物学でも基本的にやってること
思いますよね
でもそうじゃないんだと
これも人間の
クリエイティブな人間が作り出した
創造物であるし
そういうアートなんだ
という主張なんですよね
なので
やっぱりこの絵は面白いし
すごいんですよ
でもこんだけすごい絵描いたら
サンチエスコターンが
僧侶になるわけじゃないですか
この理由とかもわかって
だってこんだけすごかったらみんな
引き止めると思うんですよもっと絵描いてくれよみたいな
絵は描かなかったんですかその後は
スルバランの神の子羊
なぜ僧侶になったのかは
わかってないのかな
僧侶になったってことは
わかってるけど
その後も絵は描いてるんですか
その後も絵は描くんです
修道院でキリストの障害とか
そういうのをずっと描き続けるんです
でもこの一世を風靡したって言い方
あれかもしれないけど
このボデゴンは描かない
宗教的な
いわゆる宗教画じゃないものは描かない
でもそれがその後
結局一大ジャンルまで
なったってのはすごい話ですよね
それがみんながこんなのあったんだ
で終わんないってことですよね
はー
この人がいなかったらボデゴンは
誕生しなかった
そう聞くとやっぱりこれは
ますます見るべきだと思うんですけど
実はこの空間にもう1点
ありましたよね
それはこの羊の
スルバランという画家の
絵を描いた神の子羊
これは
羊っていうのは
同じような場所には描いてありますよね
そうですなのでこれも
広い意味での生物画として
今回は展示していて
今話だけ
羊って聞くとみんな可愛い羊を
イメージすると思うんですけど
可哀そうなことになっている
わけじゃないですが
これはどういう羊の状態なんでしょうか
これは神の子羊というタイトル
ですけれども
台の上に4つ足を
縛られて
コテンと
寝ているのか置かれた
羊が描かれて
ただしよく見ると目は開いていて
また
さらによく見ると頭の上に
光輪がついている
羊ってのは
キリスト教のシンボリズムの
世界の中で最も分かりやすいもの
羊ってのはキリストの
犠牲のシンボル
ここでは4つ足を縛られている
祭壇のような
台の上に置かれているので
まさにこれから犠牲に供される
子羊
それ自体を独立した
画題として描く
ということはこの頃
以前に多分なかったんじゃないかと
思う
サンディエコビジネス館から来日した
羊は珍しい
これも見るべき
スルバが得意として
同じようなものを6枚7枚描いている
羊に角があったりなかったり
光輪もあるのかないのか
その中でもすごく
出来の良いもので
当時の人はこういうものを
神聖なるボデゴン
読んでいた
スルバランは実際に他に
普通のティーカップとかそういうのを描いた
生物画も描いているので
コターンの元祖
バンデルアメンの普及版
それから宗教的な
ボデゴンという
3つのスペインの
西洋美術館での展示
17世紀の生物画の
エッセンスを
この3点で見ていただける
と思います
スルバランはどんな画家ですか?
この人は17世紀の南の
スペインのセビリアという
町のあたりで活躍した画家で
修道僧の画家と呼ばれている
教会や
修道院のためにたくさんの絵を描いて
マリア様も描いたけども
修道院に
創設者がいたりします
有名な例だとフランチェスコ
修道院を創設したような
昔の僧侶や
聖人をたくさん描いたので
それで修道僧の画家
どっちかというと
そっちがメインなのですか?
彼は別に
ボデゴン画家というわけではなくて
自分自身が僧侶になったわけではなくて
どういう信仰を持っていたかは
ちょっとわからないけど
今回は他にもスルバランの絵がある
三陸美術館は
スルバランを4点
お持ちで
これはアメリカの中でも
極めてマレー
多いということですね
4点もある
今回はそれを全部貸していただいている
そんなに?
体美術館ですね
西洋美術館も数年前に
スルバランの大きな
聖人の絵を購入
したものですから
それも合わせて今回スルバラン
5点一挙に見ていただこうと
これは日本でも
なかなか5点は見れないですか?
そうですね
どの作品が一応
神の保室寺とは別で言うと
どれもお勧めだと思いますけど
あえてと言うとどれですか?
西洋美術館のドミニクス
という聖人を描いた絵は
彼の初期の
作品
代表する作品で
彼がセビアにやってきて
セビアで得た最初の大きな注文
ある修道院の旅に
まとまった数の絵を描くんだけども
その時に描いたもの
これでスルバランは
セビアでの評判を
確立させて
スターランに登っていく
そういうこと
気になるのは
西ドミニクの左下に
何かを加えた犬みたいなのが
これは何者ですか?
これが
ドミニクスであることを示す
象徴ですね
この犬がいて
犬が口に
食われているのは
松明を食われている
ちょうど松明の炎のところが
ドミニクスの
後ろ側にも
来るようになっているので
絵には炎は描いていないんだけども
なんとなく
実物見るとすぐわかりますけども
人物の背後から
光の表現が見える
それは要は
人物の背後にある松明の光の表現
そういうことなんですね
よく見ると
後ろに光があるので
ドミニクの影が落ちているような感じですね
背後に
これは結構
デカい作品ですよね
2メートルくらいある
他のサンディエコから来ているやつも
大きいですよね
今回この全身大の
聖人像
西洋美術館の
ドミニクスとサンディエコの
ヒーローニムスとフランチェスコ
こういうのは基本的に
スペイン美術の魅力
教会に飾られるために
書かれた
これも
名品ですもんね
さらにスペイン美術でいうと
スペイン美術展というと
この辺の年代が
多いと思いきや
19世紀の
スペイン美術も
見逃せないとおっしゃってましたよね
ソローレ
19世紀の末から
20世紀の初めにかけて活躍した
スペイン人の
画家がいるんですけれども
この画家も
サンディエコが2点
所蔵していて
西洋美術館も1点
その3点今回一同に
並べていますけれども
スペインで19世紀
19世紀というとピカソとか
ダリとか
ミロとかやってますけど
このソローレはスペインでも
スペインでは国民的な画家で
マドリードには
彼の住んでいたアトリエを
改装した
美術館があります
ゴヤとその間ぐらいですか
ゴヤとピカソの間の
国民的
今回来ているものだけではなく
国立西洋美術館も最近
購入された
2年ぐらい前からそうなんですね
やっぱり
西洋美術館のコレクションというのは
傾向が強いんだけども
19世紀の美術
イコールフランス美術
みたいな感じになってしまう
傾向がある
モネも含めてですね
当然それは
19世紀の重要な
美術運動も
多くはパリで
展開していたので
それはそうなんだけども
でも
それ以外の地域でも
たくさん優れた画家たちがいて
19世紀美術の
地理的な広がりというものを
もう少し
見せてもいいんじゃないか
というのは最近の
西洋美術館における
一つの考え方で
例えば北欧の美術であるとか
そういうものも
展覧会をやったり
購入したりしていますけども
それの一環として
要はものすごく
ゼネラルにざっくり言うと
確かに印象派的な
戸外において
自然風景や
その中にいる人間たちを
外交の下で描く
という絵画は
ニュージーラーから
ヒマワトの時代にかけて
様々な地域で
様々なバリエーションも
伴いながら展開するわけですけども
外交派
外の光
外交派なんて呼んだりしますけども
そうした流派の
代表作
スペインの絵画って
スルバランとかもそうですけど
ゴヤとかベラスケスも
旧定画家的な人
それから宗教や
聖道とかで
その後急に会えて
ダリとかピカソとかになって
彼らは勝手にフランスに行って活動して
このソルーラーその中間と言うと
何で活動する人なんですか?
スペインの中で活動してた人
この人はスペインでもだし
結構国際的に人気になった人で
フランスのパリや
アメリカでも
展覧会を開いて
すごく成功した人です
別に旧定画家とかでもないし
画家として活動した人ってことですか?
そうですね
肖像画家としてもものすごく高い人気
スペイン国語とか
当時のアメリカの大統領とか
貴族とか
たくさん描いてます
今回特に
欲しいのは
来たやつですか?
国立絵美術館のコレクションも素晴らしいですか?
素晴らしいと思います
サンディエゴから来てる
作品は
ランクランカのマリアといって
ソローリアの娘を
描いた肖像で
17歳、8歳
多分20歳前ぐらいだったと思います
ソローリアって
光の画家とか言われて
スペインの明るい地中海
サンサンと降り注ぐ
明るい光の美しさ
海の美しさ
もちろん彼の得意とした
ところなんだけど
確かに光の画家なんです
だけども
どれだけ
それが写実かっていうと
結構面白い問題
このマリアは
すごくプロポーションが長いんですよね
確かに確かに
南東寝だってくらい長いんですよね
画面が描いてなくて
下から見上げたような
画面の5分の4は地面
みたいなことですね
下から見上げちゃってるから
背景の地面に
木漏れ日が落ちて
そのパターンで
奥行きがある
エルフレコみたいな
確かに
歪んでるような感じもしますね
空間だけ
ドレスの白なんですよ
これが
本当に
どうやって描いたんだろうと思うくらい
全身白なので
絵として見た時には
真っ白のドレスを着ているように見えるけど
実際の絵を見ると
白一色ではないということですか?
無数のグラデーションがあるんですよ
その白の
グラデーションというか
バルーというのかな
光や
反射する光というものを含んで
白がちょっと
黄色みを帯びていたり
青みを帯びていたり
そのバルールの違いで
立体感
違和感ないですもんね
光の中で見た
白いドレスの表現
しかも木漏れ日の
とても柔らかな繊細な光の中で
木漏れ日の中を抜けてくる
鮮やかな光の部分とか
光の縞みたいなものが
実に巧妙に
描かれていて
あまりに
よくできているので
意識しないで見ちゃう
パッと見た時には白いドレスの人だなと思っちゃうけど
意識的に見ると
めちゃくちゃ複雑な白
本当にこれは
実物を見ないと
白って200色あんねん
というのはこういうことなんでしょうね
アンミカさんに
ぜひ見ていただきたいですね
これも
これも名品ですよね
今日ずっと
川瀬さんはスペイン美術専門なので
スペイン美術の話ばっかり聞いちゃいましたけど
この展覧会は別に
スペイン美術だけの展覧会じゃないですもんね
ジョルジョーネの肖像画
他のものも名品が
どうしましょう
他のルネサンスくらい
言っておきますか
ルネサンスの中で一番
欠かせないのが
ジョルジョーネの肖像ですね
これも
地味な作品ではあるんだけれども
サイズもちっちゃいですよね
男性の肖像
バストアップの
しかも
不機嫌そうな顔されてる
おじさん
イケメンというわけでもなく
誰だかも分かってます
取り尽くし間があまりないようにも思うんですけど
素通りされる候補の一人
これをやっぱり見ていただきたい
ジョルジョーネっていうのは
ヴェネツィア
ルネサンスの中でも最も重要な
中心地の一つで
色彩豊かな
絵画の流派を
確立する
真の意味での
ヴェネツィアにおけるルネサンス絵画
を作り出したのは
ジョルジョーネ
ティツエアーノとか
これは
さっきのサンチェスコタンが
肖像だったように
それもヴェネツィア派の
元祖
この人は
サンチェスコタンは
お坊さんになっちゃったけど
この人は
30半ばで死んじゃうんですよ
ってことは
作品たくさん残せないってことですか
なので作品の数が少ない
少ない上に
ティツエアーノとは
同門だったんだけども
どっちが書いたか分かんない
たくさんあったりして
なので要は確実に
ジョルジョーネの作品であるってことが
確認できる作品っていうのは
極めて少ない
世界で30点とかその裏しかない
その中で
その中の一点であり
かつ肖像画としては
文献なんかを見ると
ジョルジョーネは存命中結構
肖像画家として評判を取るんですよ
今僕らジョルジョーネってのは
神話画とか
例えばビーナスとか
僕は実は去年ベネチア行って
アカデミア美術館でやった
テンペスターの嵐
そっちのイメージがあったけども
肖像画は日本語の人は書いてる
そうなんですよ
肖像画における代表例
何がすごいかっていうと
単に
リアルなだけでもないし
単に理想化されてるだけでもない
実在した人物が
そこにいるかのような
存在感
つまり
リテールがやたら匿名な
絵画っていうのは
この時代には
北方のネーデルランドとかで
僕さらこだった
でもジョルジョーネは
北方由来のリテール
リアリズム
巧みさというものと
イタリアの例えば
レオナルド・ダ・ビンチのスフマート
ボカシですね
輪郭線がない描き方
それを融合するんです
例えばその
髪の毛を一本一本
描くわけではないんだけども
そこに髪の毛としてのボリュームみたいなものが
出るし
結局
雰囲気みたいなものを出そうとすると
線では描けない
実際にはその線はない
例えば顔の輪郭
やっぱりそうすると色を
描かない
でやっぱりジョルジョーネは
ベネツエ絵画の
豊かな色彩の伝統というものを
北方由来の
リテールと
レオナルドのスフマート
それを融合させて
真のある
絵画的な肖像を作る
正直最初パッと見た時
地味だなというか
目に止まらなかったというのは
僕らが写真を今見ている感覚に近いからこそ
何とも思わないと言ったら
必要だけど
それは当時としてはとんでもなく
すごいことだった
最初の話に戻っちゃうと
この展覧会のいいところは
この隣に
当時の一般的な
肖像画があるので
見比べると
当時は最先端だったんだな
わかりますよね
立ち止まってよく見ると
このジョルジョでの人は結構髭濃い
感じ
鳥跡が結構残っている
のとかもリアリティですよね
前それこそ一番最初に
話した
肖像画について
カースさんに教えてもらった時に
スペインの肖像画だから
いかに理想化して描くか
権威を持たせるか
これは全然
権威なんか持たせていない
男性になる
当時はそれなりの人だったと思うんですよ
ジョルジョに
肖像画描いてもらうくらい
貴族だったかも知らないし
大王家みたいな人だったかも知らない
その辺の人なわけない
だけどもそういった人も
その辺の人なわけですよ
みんな
その辺の人らしさっていうのが
滲んでるんですよね
本当だからあれですよね
普通に描いたら
肖像画だったらもっと権威がある感じだから
街のちゃんとした写真屋で
撮った写真みたいな感じですけど
免許証くらいのレベルの写真
そうなんですよね
そこがやっぱ新しい
そういうところに
それこそベラスケスでやったりとか
ルーベンスでやったりとか
それからその後のジョルジョのマネーとかね
そういう人たちが
こういう画家に注目するんですよ
国立西洋美術館での展覧会
でもこれもだから言ったら
サンディゴ美術館では
やっぱり結構名品な
サンディゴ美術館何があったの
なんでこんなに
弱みでも握ったくらい借りてますけど
サンディゴ美術館としてはやっぱり
さっきも言いましたけど
アメリカの美術館の中でも
いいもの持ってる割にちょっと知られてない
っていうところがあるので
積極的に世界中に
その所蔵品
美術館の素晴らしいものを
アピールしていきたい
ワールドワイドな戦略というのを
持ち込んで
他の分野のコレクションなんかも
世界に回したりして
これまでされているようなんですね
そういう一環として
次はヨーロッパ界だということで
日本に持ってきてください
ちなみにこの展覧会が終わったら
サンディゴ美術館に
日本の国立西洋美術館のコレクションを
持っていくってことはあるんですか?
今のところ予定はないんですけど
展覧会はこの後どうなっていく?
まず上野ではいつまで?
上野では6月8日まで
その後は?
その後ですね
縮小した形になるんですけれども
6月25日から
10月13日まで
京都市京セラ美術館で
開催されます
国立西洋美術館のコレクションも
縮小していくつかはいくってことですか?
そういうことです
マジョリティが
作品で構成されて
全体の点数は
ちょっと減りますけれども
今日話したサンディゴ美術館の名品は
関西圏で
見ている方はそっちで
見ることもできると
国立西洋美術館のコレクションは
国立西洋美術館に来ていただければいいってことです
他にもたくさん
まだまだ聞きたい話があったんですけれども
オンライン講演会の告知
なんと前半終わりの時間が来てしまった
ということで
他にカワウソの告知をしておきたいことがあれば
よろしくお願いいたします
5月17日になんかあるそうです
ありがとうございます
いいですか?どうですか?
5月17日の土曜日
2時からですけれども
オンラインの
展覧会に関連して
オンラインの講演会を
いたします
国立西洋美術館の古典絵画収支を
振り返るということで
この展覧会の
裏テーマというかですね
というのは
要は
サンディエゴと東京というのは
この展覧会で扱う
ヨーロッパ絵画の作られた場所から
見ると西の果てと東の果てに
あるわけです
なるほど
どうしてそんなところで西洋絵画を一体
集めたんだろう?どんなものが集められたのか
誰が集めたのか
どうしてそういうコレクションができているのか
どういう性格があるのか
そういうのを比べてみよう
というテーマがありまして
なので
西洋美術館にあるもの
実は西洋美術館というと
今多くの人はマツカタコレクション
ということをご存知いただいていて
今から100年くらい前に
日本人の大富豪が集めたんだ
ここで何か買ってきたんだ
ということをご存知の方が多いんですけれども
とてもありがたいものなんだけど
実は今回の展覧会に出ているような
オールドマスター
フランス革命以前の
ルネサンスとかバロクとかの
西洋美術館にあるもの
というのは
マツカタコジロンが集めたものというのは
ほとんどないんです
我々はどうやって集まったかというと
西洋美術館ができて以降に
美術館として
国民の皆さんの
税金を使わせていただいて
購入して集めたもの
より大変ですよね
集めるのかというと
もともとは
コレクションがあったんだったらいいけど
スペインなんかはそうだけど
集めていかなきゃいけない
ゼロから集めたもの
なので
それが50年くらい
60年代の終わりから
集め始めるんですけども
50年くらい経って
こういう展覧会が
できるくらいにまで
コレクションも成長して
そういう家庭で
どんなものが集まってきて
どんな人が何を集めてきたのか
みたいなことをお話ししようと
これは誰でも聞けるんですか?
オンラインなので
いつから申し込みだったか
ごめんなさい
今は覚えてないんだけども
そんなに
席数とか
そんなに限られてないんです
もしご興味がある方は
別に東京になっても
お聞きいただけるので
ぜひご興味のある方がいらっしゃれば
ご参加いただければと思います
2025年5月17日
土曜日ですので
ぜひホームページをチェックしてみてください
申し込みが必要です
では話し切れなかった
まだ名品があるということで
それはぜひ後半にもよろしくお願いいたします
お願いします
次回も川田さんをゲストにトークを続けていきたいと思います
57:20

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