【10月28日】米国産生鮮ジャガイモの輸入解禁議論。病害虫の侵入を防げるのか
2026-10-28 06:16

【10月28日】米国産生鮮ジャガイモの輸入解禁議論。病害虫の侵入を防げるのか

News Connect(ニュースコネクト)あなたと経済をつなぐ5分間

1日1つ、5分間で、国際政治や海外のビジネスシーンを中心に、世界のメガトレンドがわかる重要ニュースを解説。朝の支度や散歩、通勤、家事の時間などにお聴きいただけるとうれしいです。

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野村高文(Podcastプロデューサー/Podcast Studio Chronicle代表)

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▼参考ニュース:

U.S. Fresh Potato Imports Enter Final Stage Toward Lifting of Japan's Ban; 21 Pest Species Identified

https://finance.biggo.com/news/6f3f158c-fb37-473b-afcc-db8c1f858cd8

米国産一般流通用生鮮ばれいしょに関する説明資料

https://www.maff.go.jp/j/syouan/attach/pdf/bareisyo-2.pdf

Japan Potato Access Could Add $150 Million in U.S. Exports

https://www.rrfn.com/2026/10/22/japan-potato-access-could-add-150-million-in-u-s-exports/

ジャガイモシストセンチュウの解説

https://www.maff.go.jp/pps/j/guidance/pestinfo/attach/attach/135/135-Gr.html

ジャガイモシストセンチュウの簡易検出法

https://www.alic.go.jp/starch/japan/report/200906-01.html

No Silver Bullet for Potato Cyst Nematode: PAPAS Research Featured in AGDAILY

https://www.potatopro.com/news/2026/no-silver-bullet-potato-cyst-nematode-papas-research-featured-agdaily

SPS 協定(Agreement on the Application of Sanitary and Phytosanitary Measures:衛生植物検疫措

置の適用に関する協定)

https://www.nodai.ac.jp/application/files/7117/7027/1538/SPS_m2.pdf

SPS 協定 

https://www.maff.go.jp/j/syouan/kijun/wto-sps/attach/pdf/index-17.pdf

日本産ジャガイモを輸入禁止して米国産ジャガイモの輸入解禁を日本に迫る米国の理不尽

https://www.jacom.or.jp/articles/YMhqitntaEWaaqqxkIRi2

Predicting potential global distribution and risk regions for potato cyst nematodes 

https://www.nature.com/articles/s41598-022-26443-0

生鮮ジャガイモ輸入解禁加速要請 米側、病害虫の侵入に懸念

https://www.47news.jp/14960861.html

アメリカ産ジャガイモ輸入解禁手続き なぜ今進展?

https://news.web.nhk/newsweb/na/nd-20260924de52117



▼Podcast Studio Chronicle公式サイト

https://chronicle-inc.net/


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サマリー

日本とイギリスで、停電や断水、サイバー攻撃などに備えた食料・水の備蓄が呼びかけられている。番組では、米国産の生鮮ジャガイモ輸入解禁をめぐる日本の審査状況を解説し、病害虫21種類が特定され、侵入防止策を検討する最終段階に入ったと説明する。特にジャガイモシストセンチュウは、土中で最長30年生き延び、拡散後の根絶に何十年もかかる可能性がある。米国側には年間1億5000万ドルの輸出拡大期待がある一方、日本は科学的なリスク評価に基づき、拙速ではない判断を求められている。SPS協定の下では、日米双方が健康や農業を守るため輸入制限を行える。備蓄と検疫はいずれも、見えにくいリスクから社会を守る防波堤だとまとめる。

日英の備蓄要請と見えないリスク
おはようございます。 2026年10月28日水曜日、ニュースコネクト、あなたと経済をつなぐ5分間、パーソナリティーの野村高文です。
この番組では、1日1つ5分間で、世界のメガトレンドがかかるニュースを解説していきます。 朝の支度や散歩、通勤、家事の時間などにお聞きいただけると嬉しいです。
さて、日本とイギリスで国民に食料や水などの備蓄を呼びかける動きが相次いでいます。
日本では保総の防災担当大臣が11月2日に緊急要請を出す考えを示し、イギリス政府も3日分の備蓄を呼びかけています。
ただこれは、差し迫った情報を両国の政府が共有したからという陰謀論ではありません。
日本では防災庁が発足する11月2日に合わせての動きで、一方でイギリス政府は停電や断水、そしてサイバー攻撃などに備えるように案内しています。
日本においてはサイバー攻撃は理由に挙げられていませんが、悪質なハッキングによって物流網が麻痺して食料供給がストップするリスクがあるのは日本もイギリスも変わりありません。
これは自然災害に留まらない、現代ならではの見えない境に向けた備蓄とも考えられます。
米国産生鮮ジャガイモ輸入解禁の審査
さて今日は食料に関するテーマを取り上げます。
現在アメリカ産のジャガイモの輸入解禁をめぐって様々な議論が巻き起こっています。
日本は現在植物防疫法に基づき、病害中の侵入を防ぐために原則として生のジャガイモの輸入を禁止しています。
2006年にポテトチップスなどの加工用に限って条件付きで解禁されましたが、スーパーなどで売られている一般流通用としては依然として輸入が認められていません。
アメリカ政府は2020年からこの一般流通用の輸入解禁を求めており、農林水産省は大きく分けて3段階の審査手続きを進めてきました。
先月18日に農水省が実施したオンライン説明会では、リスク管理が必要な21種類の病害中を特定し、3段階中の第2段階が完了したことが報告されました。
今後はいかにして病害中の侵入を防ぐかを検討する最終の第3段階に入ります。
アメリカの農業界はこの動きに注目しています。
全米ジャガイモ協議会では、日本の市場が開放された場合、年間1億5000万ドルの新たな輸出が見込めるとしています。
これはアメリカのジャガイモ輸出全体をおよそ10%押し上げる数字です。
NHKの報道によりますと、9月上旬に農林水産省の幹部がアメリカを訪れ、アメリカ通商代表部や農務省の幹部と面談した際、全面解禁に向けた作業を加速するように要求されたとのことで、
背景には今年の3月、アメリカ議会の関係する議員がトランプ大統領に書簡を送り、日本の市場開放を求めたことがあるとされています。
ジャガイモシストセンチュウの侵入リスク
一方で、日本の生産者が懸念しているのは、病害虫の侵入についてです。
中でも特に警戒されているのが、ジャガイモシスト煎柱の仲間です。
科学誌サイエンティフィックレポートに掲載された研究では、これらの煎柱が世界各地で農業被害をもたらし、さらに広い地域に分布する可能性が指摘されています。
また、日本国内でも発生が認められています。
この煎柱の駆除が難しいのは、シストと呼ばれる極めて強固な殻を作る点にあります。
シストは、メスが死ぬ間際に、自らの体を硬く変化させて作る、数百個の卵を守るカプセルのようなものです。
耐久性が高く、乾燥や温度変化から、中の卵を保護します。
餌となるジャガイモがなくても、土の中で10年から最長30年もの間、休眠状態のまま生き延びることが確認されています。
そして、このシストは0.5ミリ程度と小さく、土に混ざれば肉眼で見分けるのは困難です。
雨に流されたり、長靴の裏やトラクターといった納機具のタイヤにつくと、別の場所へ拡散する恐れがあります。
アメリカの州の中でジャガイモの生産が最も多いアイダホ州でも、シスト煎柱対策が長年の課題となっています。
このシストに対しては、薬剤の効果も届きにくく、今のところ特効薬はありません。
薬剤による処理だけではなく、抵抗性の品種の活用や継続的な調査など、複数の対策を組み合わせる必要があります。
一度入り込んだシスト煎柱の根絶には、何十年もの時間がかかります。
SPS協定と科学的な判断
ここで国際的な貿易ルールについて触れておきます。
現在、日本がアメリカ産のジャガイモの輸入を制限していることに対しては、アメリカ側から早期解禁の圧力がかかっていますが、
実はアメリカ自身は、病害中を理由に、日本産の生のジャガイモの輸入を禁止しています。
アメリカは、生鮮の果物野菜について、輸入が認められる品目や原産国を細かく指定していますが、
日本産のジャガイモは輸入が認められる品目として指定されていません。
ただ、WTOは、世界貿易機関には、SPS協定、日本語で衛生植物検疫措置の適用に関する協定というルールが存在します。
この協定では、自国の動植物の生命や健康を保護するために、科学的に根拠に基づいた輸入制限、つまり検疫措置を行うことが各国の権利として認められています。
したがって、日本もアメリカも科学的なリスク評価に基づいて、輸入を制限すること自体は国際ルール違反ではありません。
今後、アメリカ産のジャガイモを日本が輸入するかどうかについては、外中の侵入を防ぐための措置を日米で具体的に検討することになります。
農林水産省は、結論ありきではなく、科学的根拠に基づいて判断すると説明していますが、一度侵入した場合、今月には多大な時間とコストを要します。
拙速に判断せず、徹底的な科学的検証をすることが日本政府に求められています。
備蓄と検疫が守る食料安全保障
さて、この食料安全保障という観点でオープニングで触れた備蓄の話題も、このジャガイモの検疫の話題も、根底にある考え方は同じです。
見えないサイバー攻撃による物流ストップを意識しての備蓄、そして見えない病害中から国内の農業基盤を守るための検疫措置、規模は違いますが、どちらもいざというときのリスクから社会を守るための防波堤です。
私たちの食卓に昇る食べ物がどのようにして届けられているのか、それを実感する二つのニュースでした。
ニュースコネクト、お相手は野村高文でした。
番組への感想は、ハッシュタグ、カタカナでニュースコネクトをつけてXに投稿ください。
もしこの番組を気に入っていただきましたら、ぜひフォローいただきますと嬉しいです。
それでは、良い一日をお過ごしください。
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