1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2023-12-02 10:10

#604 日本語の東西対立!あなたの方言は? from Radiotalk

関連エピソード
https://radiotalk.jp/talk/297977

主要参考文献
佐藤亮一(編)2019『方言の地図帳』東京: 講談社.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
00:10
始まりました、志賀十五の壺。皆さんいかがお過ごしでしょうか。南国少年、パプア君です。
日本というのは、西と東によく分けられますよね。
なんでもそうですけどね。
うどんのおつゆの色とかもそうですけど。
あとは、まあ、お笑いもそうですよね。西のお笑い、東のお笑い。
スポーツなんかでも東西線とかあったりもしますし、
何かとこう、西と東で対立することがございます。
正直地図で見たらね、北と南に分けたほうが、
なんかしっくりくるような気はするんですよね。我々はなんか、西日本、東日本って言ってるから、
なんかそういうもんだと思ってますけど、もし自分が日本人じゃなかったら、
北と南に分けるんじゃないかなという気もしないでもないです。
言語学的に言っても、西と東によく分けられます。
この対立っていうのは昔からあったようで、
日本にやってきたね、キリスト教の宣教師が残した資料、
ロドリゲスの日本大文典とかいうのがね、そういったものの代表的なものなんですが、
そういった昔の資料からも、西と東の対立があったと言われております。
現在でもありますよね。
これはいろんな側面でそうですけど、
例えば、音声的に言えば、
西日本のウっていうのと、東日本のウっていう音は違うと言われていて、
西日本の方はどっちかというと唇を丸めて、東日本の方はあんまり丸めないと言われています。
このウっていう音が、東日本の方はよく無声化するんですよね。
特にデスとかマスっていう風に、このスの母音が無声化するっていうことがあるんですよね。
西日本の方は、何とかデス、何とかマスっていう風に、
ウっていう母音がはっきり聞こえるような発音であるとか、
文法の面でもそうです。
例えば、動詞の歌うっていうのがありますけど、この歌うの過去形っていうのは、
東の方では歌ったとなるようなところですけど、
西日本だと歌ったっていう風に、
ウ音便っていうのが出てきます。
このウ音便っていうのは、形容詞のいわゆる連用形でもそうで、
03:03
早くっていうのが、西日本では早ようとなったりします。
これがおはようとかありがとうにつながっているわけですが、
いずれにせよ、音や文法、あるいは語彙の側面で、
この西と東の対立っていうのはあるんですよね。
あとはいわゆる断定の助動詞、何とかだ、
机だとか言った場合のこのだですけど、
西の方だと、机じゃーとか、机やーっていう風に、
じゃとかやっていう音になります。
ただ、西日本であっても、三陰地方、鳥取とか島根の方だと、
じゃとかやじゃなくて、だっていうのが出てくるんですよね。
この三陰地方は、むしろ東北の方と同じような、
言語学的な特徴を見せたりするんですよね。
ですので、きっちり西と東に分けられるかというと、
当然それは難しい問題はあるんですけど、
大雑把に分けることはできるかと思います。
今回メインでお話ししようと思っているのは、
いるという存在動詞です。
このいるっていうのは、特に生物名詞とか人間名詞に用いられるものですよね。
無生物の名詞なんかには、あるっていうのが用いられます。
このいるっていうのも、やはり東西の対立っていうのが見られて、
改めて言うまでもないかもしれませんが、
東日本の方がいるが優勢で、
西日本の方が居るが優勢なんですね。
で、東日本では、居るっていうのは健常語ですので、
だから自分の動作にしか使えないんですよね。
一方、西日本の方は、居るっていうのは一般的な存在動詞ですので、
例えば、先生、居られますか?っていう言い方はできるんですよね。
で、東日本だと、居るっていうのは健常語ですので、
で、それにれるられるがついて尊敬語になるっていうのはチグハグなんですよね。
ですので、居られますか?っていうのはちょっと変だということになります。
このいると居るの対立がそのまま、
なんて言うんですかね、助動詞っていうか、
アスペクトにも関わっていて、
つまり、東日本だと走ってるっていうところが、
西日本だと走っとるになると。
これも東西の対立ですよね。
さらに言うと、西日本の方だと、
走っとるに対して、走り寄るっていうような言い方もあります。
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この、とると寄るっていう2つのアスペクトの対立については、
関連エピソードがあるので、合わせて聞いていただけたらと思います。
で、このいると居るっていうのも、
バリエーションもあるっちゃあるんですよね、当然ね。
例えば、特に関西の方だと、
関西の方だと、いるっていうのは、居てるっていうような言い方をしますよね。
あるいは、東北の方だと、
現在のことであっても、居たっていう形を使います。
だから、ここにいるよっていう意味で、居た居たっていうような言い方をするんですよね。
これもなかなか面白いですよね。
で、音の面でも多少バリエーションはあって、
沖縄の方だと、おるではなくて、
うんという発音になります。
これは琉球の諸言語で、
日本語の本土っていうかね、
日本語の本土というか、いわゆる共通語のおの音が、
うに対応するからなんですね。
これはおるだけではなくて、
他のおっていう音も、うに綺麗に対応してるんですよね。
ただまぁ、全体的には、いるとおるの対立になってるんですが、
面白いのはね、和歌山県とか三重県では、
あるっていう言い方があるそうなんですね。
たとえ人間とか生物名詞であっても、
先生があるっていうような言い方になるそうです。
あるっていうのを存在一般に使うということですね。
で、こういったあるの使い方っていうのは、
昔の日本語では、むしろ普通だったようで、
その後、いるなりおるなり、
人間あるいは生物名詞専用の存在動詞っていうのが出てきたんですけど、
そう考えると、和歌山や三重では、
昔の日本語の特徴が残っているということなんですね。
四月十五の坪
というわけで今回は、日本語の東西の対立をね、
存在動詞を中心に見ていきました。
結構きれいに分かれる形式だとは思うんですよね。
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今回参考にしたのは、方言の地図帳という本で、
僕はこれ電子版で持ってるんですけど、
確かね、文庫で出てたはずですので、
ぜひ皆さんも読んでみてはいかがでしょうか。
まあ方言のね、こういった東西も含めですけどね、
そういった方言固有の言い方っていうのが、
もしかしたらね、だんだんなくなっていってるとこもあるかもしれませんけど、
逆に根強く残っているところもあるんではないかと思います。
というわけで、最後まで聞いてくださってありがとうございました。
この番組ではお便りも随時募集しておりますので、
ご質問でも番組の感想でも送っていただけたらと思います。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。
番組フォローも忘れずよろしくお願いします。
お相手はシガ15でした。
またねー。
10:10

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