1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2020-09-26 10:51

#182 太郎{は/が}花子を殴った from Radiotalk

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
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始まりました、志賀十五の壺。みなさんいかがお過ごしでしょうか。志賀十五です。
今回のトークは、日本語の「は」と「が」についてね、ちょっとお話ししていこうと思います。
実はですね、この「は」と「が」についてのトークは、たぶん過去にね、2回ぐらいやってるんだと思うんですよね。
で、それと重なる部分も多くあると思うんですけど、
一度にね、その当然、「は」と「が」の違いっていうのを説明するっていうのが難しいっていうのもあるし、
またその、過去の2回とはちょっと違ったアプローチっていうかね、違った見方でね、
この「は」と「が」っていうのをお話ししてみようかなと思います。
和とが、例えば、太郎は花子を殴ったみたいなね、この文の内容が不適切だみたいな、まあそういうのは置いておいて、
太郎は花子を殴ったっていうのと、太郎が花子を殴ったっていう、まあこういう和とがの使い分けですよね。
で、まあどちらも、やってることとしては、
まあ太郎という人物がいて、花子という人物がいて、で、その太郎という人物が花子という人物にこう打撃を与えたってことですよね。
その表している事態については大差ないんですけど、じゃあ太郎はと、太郎がといった時に何が違うのか。
ニュアンスが違います。これはね、ニュアンスが違うっていうのは何も説明していないことと同じですので、
そのニュアンスっていうのが何なのかっていうのをちょっと考えていこうと思います。 ただこれもたびたび言ってるんですが、
日本語母語話者であればですね、この和とがの使い分けなんて大したことはないので、
今回お話しするそのトークの内容が何もわからなくてもですね、日常生活バンバンバンバン和とかっていうのを巧みにこう使い分けているわけですけど、
まあ今回のトークというか、まあ他のトークもそうなんですけど、自分たちが使っている言葉について実は知らないんだっていうことをね、
知らないっていうか知ってるけど知らないみたいな感じなんですけど、まあそういうことにね気づいていただけたらと思うんですね。
じゃあまず和から見てみますか。和。太郎は花子を殴った。
まあ一般的にはですね、この和っていうのは何をしているかというと、主題を表すみたいなこと言われるんですね。
まあテーマと言ってもいいと思います。これから話すことは太郎についてっていうことですね。
でその太郎についての、まあこれもね言語学ではコメントとか言ったりするんですけど、
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その太郎についてのコメントがその後出てくると。
トピックとコメントとか、主題と代述とかそういう言い方をされることがよくあります。
で和っていうのはトピックを表すっていうのがよく言われるものなんですよね。
なので太郎は花子を殴った。
これも話のテーマというかトピックが太郎。でその太郎がやったことが、
花子を殴ったこういうことになっているってことなんですよね。
なのでこれが花子は太郎が殴っただったら、
これはトピックは花子になるっていうことですよね。
これ動詞でもいけますからね。
花子を殴ったのは太郎だっていうこういう順番を逆にした場合は、
花子を殴ったの方がテーマというかトピックで、
それに対するコメントっていうのが太郎だとこういうふうになっているんですよね。
でこのトピックつまり和でマークされる、つまり和がくっつくものですね。
この場合だと太郎ですけど、そういうものは急情報であるっていうふうによく言われるんですよね。
例えば太郎が何したのっていう質問を受けて、
そういうもう太郎がお互いの話題の共通の話題となっているような場合に、
太郎は花子を殴ったみたいに、そういう場合お互い共通の話題で急情報になっている場合、和を使うとよく言われるんですよね。
ただ他にも和っていうのは役割があって、これまたよく言われるのは対象を表すみたいな感じですね。
対を照らすって書いて対象ですけど、こういうのは太郎は花子を殴ったけど二郎は殴らなかったみたいな場合で、
Aは何々Bは何々みたいに2つ以上のものを比べるときに和っていうのが出てくると言われています。
では太郎が花子を殴った、こういった場合どうなるかというとですね、
この和っていうのは先ほど和っていうのが急情報を表すと言いましたけど、和っていうのは真情報を表す、
焦点だとか言われることもあるんですけど、真情報を表すと言われています。
これも質問文とかで考えるとわかりやすいんですよね。
誰が花子を殴ったんだっていう質問に対して、太郎が花子を殴ったっていうふうに公開すると。
この場合は誰がっていう部分が新しい情報なので、太郎がとなるんですね。
これがもし、誰が花子を殴ったんだに対して、太郎は花子を殴ったって答えるとちょっと変なんですよね。
これはさっきの和の場合と逆で、和の前が新情報ってことは、和の後は急情報っていうことになるんですよね。
なので、太郎が花子を殴ったっていうのは、この情報の真急を入れかえて、花子を殴ったのは太郎だって言いかえても一緒なんですよね。
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これ順番が違うだけで、新しい情報、古い情報っていうのが、和を使うと古い情報、新しい情報とこういうふうになるんですよね。
なので、この和がやっていることの一つの役割っていうのは、新しい情報をマークするということになります。
ただ、この和がついたからといって、その和がついている太郎が、みたいな太郎が新情報になるかというと、そうでもなくてですね。
むしろ文全体が新情報というか、どれがトピックでコメントとか、急情報で新情報か、そういうの関係なく、中立的な表現にも、和っていうのは使われます。
よくあるのは、雨が降ってきたとか、バスが来たとかいう場合は、これ文全体がある意味で、新情報なんですよね。
そういう場合にも、和っていうのは使われます。
なので、太郎が花子を殴ったっていった場合は、これ二通り一応解釈があるんですね。
一つは、太郎っていうのを目立たせて、つまり新情報として扱って、誰が花子を殴ったんだに対して、太郎が花子を殴ったっていうのと、
全体が新情報で、これも質問の答えとして、何が起こったんだっていう質問に対して、太郎が花子を殴ったっていうね。
こういうふうに、全体が新情報の時にも、がっていうのを使います。
これがね、何が起こったんだに対して、太郎は花子を殴ったって、ちょっとやっぱり言いづらいと思うんですよね。
なので、我々日本語母語話者はですね、このように無意識に、和とがっていうのを使いこなしているので、
ちょっとね、ふとした表紙にでも、このがとはの使い分けどうなっているかっていうのを、反省してみても面白いと思います。
まあ、こういう和とがの使い分けみたいなのは、言語によってはちょっと表れづらいものですよね。
例えば、英語だと、太郎ひと、花子でおしまいなので、
まあ、言語によってはね、ちょっと見づらいところはありますね。
日本語は、まあそういうのが割とはっきりしている言語ということができるかもしれません。
ただ、この和とがを今、きっちり対になっているようなペアみたいな感じでお話ししたんですけど、
必ずしもね、そういうわけでもないんですね。
実は、和とがってちょっとレベルが違うんですよね。
で、がっていうのは、これ基本的にはですけど、主語を表すものなんですよ。
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これは例外あるんですけど、まあ大まかに言って主語を表すのががって考えていいんですね。
ただ、和っていうのは、これ何でもかんでもつくんですね。
例えば、昨日は言ったみたいに、ちょっと副詞みたいなものにもつくし、
まあさっきちょっと言った、花子は太郎が殴ったみたいに、目的語の方にもつくし、
学校ではとか、場所にもつくし、
さらには、行ってはいけないみたいな場合では、これ動詞についてますからね。
これ何でもかんでもはっていうのはくっつくことができるんですけど、がっていうのは基本的にもう名詞にしかつきません。
なので、この新情報とか旧情報とか、トピックとコメントみたいに、
まあこういうの言語学で情報構造って言うんですけど、その情報構造の面から言うと、ちょっと対応なしてるね。
和とかはペアだみたいなふうに見えがちなんですけど、実はね、別の面から見ると、ちょっとね、アンバランスな対象になっているというふうになってます。
というわけで、今回のトークはこの和とがの違いって何なんだろうっていうお話になりました。
冒頭申し上げました通り、過去のトークでも似た内容のことを話しているので、リンク先貼っておこうと思います。
これね、リンク先貼ってもね、このラジオトーク内で飛べないんですよ、たぶん。
一回ブラウザ経由してしか飛べないので、ちょっとね、ご不便おかけしますけど、
一応その方がわかりやすいと思うので、リンク先も貼っておこうと思います。
というわけで、最後までお聞きいただいてありがとうございました。
ではまた次回お会いしましょう。ごきげんよう。
10:51

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