1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #461 ユーラシア大陸と日本語..
2022-07-19 09:47

#461 ユーラシア大陸と日本語(ウラル・アルタイ語仮説) from Radiotalk

関連エピソード
https://radiotalk.jp/talk/669661
https://radiotalk.jp/talk/415589

主要参考文献
『世界言語のなかの日本語:日本語系統論の新たな地平』 (松本克己、三省堂)

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
00:05
始まりました、志賀十五の壺。みなさんいかがお過ごしでしょうか。
ショーン・コネリーです。
日本語の歴史っていうのは結構謎に包まれています。
確かに他の言語と比べると、割と文字資料っていうのは豊富にあって、
竹取物語とか万葉集とかね、
そういったものから、昔の日本語の姿っていうのは伺い知ることができるんですけど、
それ以前の日本語、もっと言うと日本語の起源ですね、
この辺りはまだ決着がついていません。
当然、人類が歩んできた歴史というか、
人類の拡散のルートっていうのを考えると、
大陸から日本列島に日本語、あるいは日本語の元となった言語が来たわけなんですけど、
分かってないんですね、この辺りの話は。
こういった日本語の起源に関する仮説として、
ウラルアルタイ語仮説というものがあります。
ウラルアルタイ語仮説。
現在ではこれは否定されてるんですけど、
かなり壮大な仮説で、地理的に言うと、
ユーラシア大陸を横断するような言語の数々の言語が、
一つのグループにまとめ上げられる、
つまり共通の祖先の言語から派生しているという、
そういった仮説なんですね。
具体的に言うと、バルト海辺りのフィンランド語、
エストニア語、ハンガリー語、
こういった言語はウラル語族といって、
系統関係が証明されています。
あるいは中央アジアら辺のトルコ語やカザフ語とか、
ウズベク語とかウイグル語を含むチュルク語族、
モンゴル語をはじめとするモンゴル語族、
それとツングス語族、
これはあんまり馴染みがないかもしれませんね。
ツングス語族っていうのは、
エヴェンキー語とかナーナイ語とか、
マンシュ語とか、こういった言語が含まれるんですけど、
こういった言語のグループ、
ロシアの東の方で話されている少数言語です。
それと韓国朝鮮語、日本語、琉球語、
03:01
これらすべての言語が系統関係にある、
親戚同士の言語だというのが、
ウラルアルタイ語仮説と言われるものです。
言語が親戚関係にある、
系統関係にあるっていうのを証明するためには、
規則的な音対応っていうのを見つけ出さないといけないんですね。
このあたりの話は関連エピソードがあるので、
そっちを聞いていただきたいんですけど、
この規則的な音対応っていうのを見つけられてないので、
ウラルアルタイ語っていう一つの言語にまとめ上げることはできません。
それぞれのウラル語族、チュルク語族みたいに、
それぞれの語族、言語の家族は、
系統関係が証明されてるんですけど、
それらをひっくるめて、日本語も含めて、
ウラルアルタイ語族みたいなものは想定できないんですね。
できないんですけど、
これらの言語が親戚同士であると言いたくなるような
共通した特徴っていうのも確かにあるにはあるんですね。
例えば音の面で言うと、
ウラルアルタイ語と言われる言語、
言われていた言語は母音調和と言われる現象があります。
これ日本語にはないんですけど、かつてあったと言われてるんですね。
これはどういうものかというと、
一つの単語の中にはあるグループの母音しか出てこれない。
例えば母音がAグループとBグループに分かれて、
一つの単語の中にはAグループの母音しか、
あるいはBグループの母音しか出てこれないっていうような
母音調和という規則があります。
日本語で考えると主語を表すがっていうのがありますよね。
これが頭という単語につくときは頭がとなるんですけど、
石っていう単語につくときは石木っていう風に
似たような母音がくっつくとそういう規則があるんですね。
あるいは流音が単語の頭に出てこないという、
そういった制約もあります。
流音っていうのはRとかLの音で、
日本語には一種類しかないんですよね。
いわゆるウラルアルタイ語と言われる言語では、
この流音、RやLの音が単語の頭に出てきません。
日本語もこれは当てはまります。
特に大和言葉では和語ですね。
06:04
流音は頭に出ることができなくて、
助動詞のルーラルーとか、こういう語末とかにはね、
流音は出てくるんですけど、
単語の頭に出てくることはありませんでした。
流音、つまりラ行の音が単語の頭に出てこれるようになったのは、
漢語の影響です。
漢語が入ってから、
日本語でもラ行で始まる単語ができたんですね。
だからしりとりで、
特にルーとかで責められると、
すごい厳しいわけですよね。
皆さん経験あると思うんですけど、
ルビーとかこの辺でかわすわけですよね。
で、こういうルビーみたいに外来語でしのぐとか、
あるいは累積とか、
肩苦しいですけど、漢語でしのぐしかありません。
で、こういう風にルーとかラ行で責められると辛いのは、
日本語に本来的に流音、ラ行で始まる単語がないからということです。
これはウラル、アルタイ的な特徴であると言われています。
文法的な共通した特徴として、
漢詩がないとか、
文法の性、男性名詞、女性名詞みたいなものがないっていうのがあるんですけど、
これはヨーロッパの言語と比べると、
確かに異質に感じるかもしれないですけど、
必ずしも、いわゆるウラル、アルタイ系の言語に限った特徴ではないんですね。
他にもウラル、アルタイ的な特徴と言われるものがあるんですけど、
それらの多くは、
SOV語順、もっと言うと、
OV、目的語動詞という語順だからということで説明できるんですね。
系統的に同じだから似てるんじゃなくて、
目的語動詞という語順だから、
そういった特徴が現れるという説明ができるようなものです。
例えば、ウラル、アルタイ系の言語は前知詞じゃなくて後知詞を使うんだ。
だから系統的に同じなんだって主張がかつてはあったんですけど、
これはOV型言語、目的語動詞型言語だからということに起因するっていうか、
これは裏を返せば、OV型言語だと普通後知詞を使うんですよね。
なので前知詞じゃなくて後知詞を使う、
だから親戚動詞の言語だっていうのは非常に弱いんですよね。
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こういうふうにウラル、アルタイ語というものを主張する根拠として、
いろんな特徴が挙げられてるんですけど、
現時点ではそれが親戚関係だっていうね、
日本語の系統関係を決定づけるものには至っていないと、
そういった結論でございます。
というわけで最後まで聞いてくださってありがとうございました。
ぜひ関連トークも聞いていただけたらと思います。
お相手はシガ15でした。
またねー。
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