1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #425 ロシア語とウクライナ語 ..
2022-03-15 09:12

#425 ロシア語とウクライナ語 from Radiotalk

関連エピソード
ロマンス諸語のエピソード
https://radiotalk.jp/talk/594996
インド・ヨーロッパ語族のエピソード
https://radiotalk.jp/talk/284505

主要参考文献
『世界の言語ガイドブック:ヨーロッパ・アメリカ地域』 (東京外国語大学語学研究所、三省堂)

Twitter▶︎https://twitter.com/sigajugo
Instagram▶︎https://www.instagram.com/sigajugo/
LINEオープンチャット▶︎https://bit.ly/3rzB6eJ
オリジナルグッズ▶︎https://suzuri.jp/sigajugo
おたより▶︎https://bit.ly/33brsWk
BGM・効果音: MusMus▶︎http://musmus.main.jp/

#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
00:04
始まりました、志賀十五の壺。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。
兵庫第三共栄丸です。
言語っていうのは、国家とか民族とか、こういったものと切り離して考えなきゃいけないことがあります。
多くの日本語母語話者にとって、この辺の関係は結構ごちゃっとしてるんじゃないかなと思います。
日本語っていうのは、日本という国家において、日本人という民族が話している言葉だとか、逆に日本人という民族は日本語を話す人々だとか、
まあそういうふうに考えられてるんじゃないかなと思うんですが、
世界を見回してみると、この言語と国家と民族の関係っていうのは、かなり複雑です。
複雑な場合の方が多いと思います。
例えば、多民族国家っていうのがありますよね。
つまり、一つの国家という単位の中に複数の民族が暮らしているということですよね。
あるいは長い人類の歴史の中で、ある民族の言語が他の民族の言語にとって変わられるということも度々起こっています。
いろいろ政治的な理由やなんかでね。
で、今回取り上げようと思うのは、ロシア語とウクライナ語です。
あくまで言語としてのロシア語とウクライナ語ということで、
その国家とか民族っていうのはひとまず脇に置いておいて、
言語としてロシア語、ウクライナ語の特徴をお話ししていこうと思います。
この2つの言語は非常によく似ています。
地理的に近いんだから当然似ているだろうと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
この似ているっていうのは地理的に近いからというよりは、系統が同じだからといった方が正確なんですね。
ロシア語とウクライナ語っていうのはもともと一つの言語で、
それが方言となり、今では別々の言語として認められています。
ある言語の差を方言とするか言語とするかっていうのは、
これも政治的な要因が絡んでくるので難しいんですけど、ひとまずそういうことになっています。
ロシア語もウクライナ語ももともとはスラブソ語、祖先の言語と書いてソ語ですけど、
03:02
このスラブソ語っていうものに遡れると考えられています。
このスラブソ語から派生した言語は、ロシア語やウクライナ語に近いもので言えばベラルーシ語があったり、
もう少し西のポーランドやチェコ語があったり、
さらに南の方のクロアチア語とかブルガリア語とかマケドニア語とか、
バルカン半島の言語ですね。
こういった言語をまとめてスラブ語派、言語の派閥と書いてスラブ語派と言います。
このスラブ語派の中でもロシア語とウクライナ語っていうのは東スラブ語っていう海グループに属するものなので非常によく似てるんですね。
まあざっくり言えばスラブ語派の言語は東ヨーロッパの言語ということなんですけど、
東ヨーロッパの言語でもルーマニア語やハンガリー語はスラブ語派の言語ではないので、
ちょっとね注意が必要ということになっています。
今言ったようにスラブ語派の言語はもともとスラブ祖語という一つの共通の祖先の言語にね遡れるわけなんですけど、
このスラブ祖語っていうのはさらにインドヨーロッパ祖語というものに遡れるんですね。
でこのインドヨーロッパ祖語から派生した言語はかなり数が多くて、
ヨーロッパで話されている言語のほとんどがこのインドヨーロッパ祖語に遡れます。
スラブ語派の他には西の方だとイタリック語派とかロマンス諸語と言われるスペインポルトガルフランスイタリア、
あとはさっき言ったルーマニア語なんかがあります。
このロマンス諸語については関連エピソードがあるのでそちら聞いていただけたらと思います。
あるいは英語とかドイツ語とかオランダ語とか、あとは北欧のデンマーク、スウェーデン、ノルウェー、
この辺の言語はゲルマン語派と言われる言語のグループに属すものです。
で、このインドヨーロッパっていう名前からわかるようにもっとインドの方の言語も含まれていて、
ヒンディ語とかウルドゥ語とかペルシャ語っていうのも歴史を遡ればインドヨーロッパ祖語まで遡ることができるんですね。
で、ロシア語やウクライナ語が含まれるスラブ語派っていうのは、
この祖先の言語のインドヨーロッパ祖語の古い特徴を結構保持していると言われています。
06:07
このことは英語と見比べてみるとよくわかるんですね。
例えば、主語の形、目的語の形、間接目的語の形っていう風に名詞の形がいちいち変わります。
これは英語にはない特徴ですよね。
せいぜいI、My、Meみたいに代名詞に見られるくらいで、普通名詞にはそういった特徴はありません。
なので名詞の変化系っていうのがスラブ語派は結構豊富なんですよね。
で、動詞の方の変化も豊富で、主語の認証と合わせて動詞が変化します。
つまり1認証か2認証か3認証か、あとは単数か複数かによって動詞がいちいち形を変えます。
やっぱり英語はこういう特徴はなくて、一応3認証単数現在のSっていうのがありますけど、
あとはB動詞か、英語では認証によって動詞が変化するということはほとんどありません。
こういう風に名詞にしろ動詞にしろいっぱい変化系を持っているっていうのは、
ロシア語やウクライナ語を含むスラブ語派の特徴で、インドヨーロッパ祖語の特徴であったと言われてるんですね。
こういう風に何が主語で目的語かっていうのが名詞の形でわかるし、動詞は動詞で主語によって形を変えるので、
そうなると語順は割と自由なんですよね。
でこれも英語とかなり対照的で、英語っていうのは何が主語で目的語かっていうのは語順によって固定されているので、
そこもねスラブ語派と英語の大きな違いということができます。
あとロシア語とウクライナ語に共通する特徴といえば、キリル文字を用いることじゃないかなと思います。
スラブ語派の言語は結構キリル文字を使うんですけど、
このキリル文字っていうのは最初は面食うかもしれないんですけど、そんなに複雑なものではないので、
一回身につけてしまえば、意味はわからなくても読んだり書いたりはできるようになります。
というわけで今回はロシア語とウクライナ語についてお話ししました。
どちらもスラブ語派という言語のグループに属して、古いインドヨーロッパ祖語の特徴を結構保持している言語ということでした。
関連エピソードも概要欄貼っておくので、そちらもぜひ聞いていただけたらと思います。
それではまた次回のトークでお会いいたしましょう。
09:03
お相手はシガ15でした。
またねー。
09:12

コメント

スクロール