1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2023-03-28 10:10

#533 日本軍対策の暗号:ナバホ語 from Radiotalk

放出音のエピソード
https://radiotalk.jp/talk/644837
有生性のエピソード
https://radiotalk.jp/talk/780039

参考記事
https://amview.japan.usembassy.gov/unbreakable-remembering-the-navajo-code-talkers/

主要参考文献
An Introduction to Linguistic Typology (Viveka Velupillai, John Benjamins Publishing Company)
『暗号解読(下)』 (サイモン・シン、新潮文庫)

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
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始まりました。志賀十五の壺。瀬戸の海はお母さん、狭抜きの山はお父さん。名物、かまどです。
みなさんはナバホ語という言語をご存知でしょうか? まあ、ご存知でない方が大半だと思いますが、
実は日本史というかね、歴史上、日本とちょっとね、縁があるっていうかね、関わっている言語で、今回のエピソードタイトルがある意味ネタバレなんですけど、
太平洋戦争の時にアメリカ軍が、その対日本の
ための暗号として、 用いたのがこのナバホ語という言語です。
これについての映画があるみたいで、
ニコラス・ケージが出てくる映画のようなんですけど、 まあそのナバホ語を用いた暗号を
日本軍はね、結局解読することができなかったんですね。 それだけナバホ語っていう言語が
まあ難しかったと言っていいんじゃないかと思います。 難しいっていうのは
日本語と全然構造が違うっていうことですね。 というわけで今回はそのナバホ語という言語について
お話ししていこうと思います。 アメリカ軍が使用したということで、
アメリカのネイティブアメリカの いわゆる先住民の言語ということなんですね。
実際にそのナバホ語の和射を暗号通信兵として雇っていたんですね。
このナバホ語という言語は現在でも和射が15万人ぐらいいると言われているんですが、 母語としてナバホ語を学ぶ人の数は年々減っていっているようです。
系統で言うとこれはナデネ語族という 語族に属すもので
その中でもアサバスカ諸語っていう言語なんですね。 でどこで話されているかっていうとアメリカの南の方のアリゾナ州とか
ニューメキシコ州とかねこの辺で話されているそうです。 このナバホ語と親戚の言語が
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なんとアラスカとか カナダの方にずいぶん離れたところにあるといった感じです。
でそっちの方は北部アサバスカ諸語といって ナバホ語は南部アサバスカ諸語と言われています。
このナバホ語が日本語と全然違う点としてまず音の面から言うと
放出音という音を持っています。 これは肺の空気を使わずに
発音するような音で 例えばTにあたるような音は
普通はたーっていう風にね日本語でも英語でも肺の空気を使うんですけどそうでは なくってたーっていうような発音になります。
これが放出音です。 あるいはクーっていう音ですね。Kで書くようなシーンも
っていうような音があります。 まず音の特徴からしてね全然違うということなんですね。
この放出音っていうのがねどういったものかっていうのはぜひ関連エピソードを聞いて いただけたらと思います。
僕は発音できるんでねこれがね。 でこの
ナバホ語っていうのが文法的にねどういうふうに日本語と違うかというと
優生性っていうのが非常に大きく関わっています。 優生性っていうのはある
生きる性別のせいで優生性です。 英語だとアニマシーとか言ったりするんですけど
日本語にもこの優生性っていうのが関わっているところはあります。 というのが
生き物の時しかいるっていうのは使えなくって 人がいるとか犬がいるとか
で無生物の時は机がある冷蔵庫があるっていうふうにあるっていうのを使うん ですよね
ただナバホ語の優生性っていうのはもうちょっと段階があって 日本語みたいに生きてるかどうかっていうよりは
まず人間っていうのが一番ランクが高いです。 その次に
動物名詞がきます。
ただこの動物名詞も大きいものの方が小さいものよりもランクが上
でさらに小さい動物の方が昆虫とかさらに小さいものよりもランクが上というような 階層を成しているんですね
だからまあ人間なんだろうな
牛猫 カマキリみたいにこう階層が並んでいくと
でこの優生性の階層っていうのがどういうふうにナバホ語に関わっているかというと 語順なんですね
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語順というと日本語っていうのはsov語順とよく言われます 主語目的語動詞
ナバホ語の語順もこのsovに一瞬見えるんですが そうではなくって
動詞が最後っていうのは共通してるんですけどその前に出てくるのは主語目的語 というよりは優生性が高い順に並ぶんですね
例えば牛が猫を蹴ったといった場合は 牛猫蹴ったみたいな語順になります
これはこれで ok なんですけど逆に猫が牛を引っかいたって言った時も 牛猫引っかいたっていう言い方をするんですね
つまり主語だからといって一番最初の位置にやってくるわけではないんですね ただ主語とか目的語関係なしに優生性の高い順に名詞を並べちゃうと
どっちが何をしたのかっていうのがね まあわからないということになりますなりますがこの辺のことは
動詞の形を変えることで表すんですね どういうことかというと
動詞にいっていう 接頭字がついて例えばイケッタみたいな言い方をすれば
最初に出てくる名詞が主語ですっていう解釈になるんですね だからさっきのだと
牛猫イケッタ まあこれで最初の名詞が主語ということがわかります
一方牛猫引っかいたと言った時 猫の方が主語って言いたい時は動詞に
b っていう接頭字をつけるんですね なので
牛猫 b 引っかいたみたいな言い方をすると 2番目の方の名詞が主語と解釈されます
これはなかなか面白いですよね 語順っていうのが主語や目的語で決まるんじゃなくて優先性の階層によって
高い順に並べると でその代わり主語や目的語っていう
こういうの統合関係とか文法関係って言っていいと思うんですけどそういったものは 語順じゃなくって動詞の形の方で表すっていうことなんですね
もちろんまたさっきの例ですけど牛猫 いけっただと牛が猫を蹴ったですけど
牛猫びけったで b っていうのを使うと まあ猫が蹴飛ばしたということになるんですね
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今見た放出音とか優先性の
まあ語順の音話とかまあそういった 特徴以外にもナバホ語っていうのは全然日本語と違う
文法をあるいは語彙を持っているものです で当時の日本にはナバホ語を理解できる人がいなかったので
まあアメリカではねそれを暗号として採用したということなんですね そういうふうに
戦争に巻き込まれた少数言語もあるっていうことも まあぜひ今回のエピソードで知っていただけたらと思います
というわけで今回は 戦時中に暗号として用いられたナバホ語のお話でした
最後まで聞いてくださってありがとうございましたまた次回のエピソードでお会いいたしましょう 番組フォローもよろしくお願いします
お相手はシガジュウゴでした
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