1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #466 第二言語習得:外国語は..
2022-08-06 10:11

#466 第二言語習得:外国語はどう学ばれるか from Radiotalk

関連エピソード
https://radiotalk.jp/talk/844976

主要参考文献
『日本語教育に生かす第二言語習得研究』 (迫田久美子、アルク)

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
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始まりました、志賀十五の壺。みなさんいかがお過ごしでしょうか。ポムポムプリンです。
お便りです。こちら、ゆうげんさんから頂きましたギフトと一緒に頂きました。ありがとうございます。
こないだね、映画アバターに出てくるナビ語っていうね、人工言語についてお話しした回についてです。
アバター大好きなのでこの回は嬉しいです。
映画の中で原住民が英語を覚えたり、地球人がナビ語を話したりする場面があります。
その際のナマリなども演技で考慮されているのでしょうか。
されてんじゃないんですかね。ちょっと見直さないと何とも言えないですけど、その辺も凝ってるんじゃないでしょうか。
英語でも日本語ナマリやヒンディ語ナマリなど別の言語を話す際に自分の言語の影響を大きく受けると思います。
さらに英語圏のネイティブの方でもそれらのナマリを聞き取るのに慣れている人と慣れていない人がいます。
このような問題を言語学として体系的に扱うことはあるのでしょうか。
最近英語ネイティブと話す機会が多く、このことについて考える機会が多かったので質問しました。
それと正門閉鎖音。これもナビ語にある音なんですけど。
正門閉鎖音の話ですけど、床屋で読んだゴルゴ13に出てきました。
英語に正門閉鎖音が頻繁に聞かれるから、相手がデンマーク人だと見抜く場面がありました。完全に漫画知識です。
ということで、ゆうげんさんお便りどうもありがとうございます。
ゴルゴ13はさすがですね。いろんなことを題材にしてますから、そういったものもあったということで。
それはそれとしてですね、英語に限らずですね、
その習得した、学習した言語に母語の影響が確かに見られることがあります。
そういったものを言語学は扱うかというと扱っています。
そういうものを第二言語習得という分野で扱っています。
そのまんまですね、第二言語の習得のプロセスを観察・研究する分野ということになっております。
これは第二言語の習得であって、母語の習得ではないんですね。
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だからその点バイリンガリズムとかマルチリンガリズムとは異なって、こういったものは母語が複数あるっていうことで、
今回お話しする第二言語習得というのは、まず母語があって、でその上で新しい別の言語を学ぶというようなことになっております。
この第二言語習得では、中間言語というものを想定することがあります。
これはラリー・セリンカーという先生が提唱したもので、中間言語というだけあって、
母語とその学習言語の中間にあるような、中間段階にあるような、そういった言語を中間言語と言います。
この中間言語っていうのは、学習がどんどん進めば進むほど、だんだんなくなっていくっていうかね、そういったものなんですが、
この中間言語っていうのは一つの体系を持っていると考えられています。母語ともその学習言語とも違う一つの体系があるっていうふうに考えられるんですね。
例えば、日本語学習者の中には、こういった語用、誤った持ち方っていうのが見られることがあって、どういったものかというと、
日本語って何々じゃないっていう言い方で否定を表すことがよくありますよね。
名詞文の否定ですけど、私は学生じゃない、これはパンじゃない、このルールを動詞文にまで適用するという語用が日本語学習者で見られることがあります。
明日学校行くじゃないとか、私はお酒飲むじゃないみたいに、当然これは正しい日本語とは言えません。
言えませんが、ある意味それはそれで一つの否定文の作り方になっていて、語尾にじゃないっていうのをつければ否定文になるという文法があるんですよね。
で、こういったものを中間言語という言い方をします。で、さっき言ったようにこれは学習が進めば、行かないとか、飲まないっていうふうに正しい否定文が作れるようになるんですが、
間違った言語、間違ってはいるけど、それ自体で独自の体系を成している言語、それが中間言語です。
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で、この中間言語の原因として、やっぱり母語の影響っていうのが一つ考えられるんですよね。
で、この学習言語に対する母語の影響っていうのは、いいものもあります。
例えば日本語の動詞っていうのは過去形があります。
行くに対して行った、飲むに対して飲んだ。
こういうふうに母語に過去形というね、動詞の形を持っている日本語母語話者にとって、英語の過去形っていうのは結構学びやすいものです。
どういうことかというと、言語によっては動詞に過去形というものがない場合があるんですね。
そういった母語話者は、英語を話す時に過去形にし忘れて、全部現在形というかね、原形で言ってしまうかもしれません。
そしてそれが中間言語となることもあり得ると思います。
まあこういうふうに母語の影響っていうのは必ずしも悪いというわけではないんですね。
こういう学習言語に対する母語の影響のことを専門的には言語転移というふうに言います。
先ほど申し上げました通り、それはプラスに働くこともあればマイナスに働くこともあります。
ただ、中間言語、間違った言語の体系っていうのが出来上がってしまうのは、この言語転移という母語の影響だけではありません。
他にも専門的には過剰一般化と言われる要因が関わっていることもあります。
過剰一般化、まあこれもそのままで一般化しすぎちゃうっていうことですね。
これはどちらかというと母語は関係なくって、
例えば日本語のいくっていう動詞は実は不規則なんですね。
このくっていう音で終わる動詞は書くが書いた、咲くが咲いたっていうふうに異音便になるはずなので、
いくっていうのは言いたとなるっていうふうにね、学習者はそういうふうに一般化してしまうと。
で、昨日本屋さんに言いたっていうふうに言ったとしたら、それは過剰一般化による間違いということになるんですね。
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で、当然いくの過去形は言ったと日本語ではなっているわけで、
まあこれは不規則なので、それは一般化が当てはまらずに個別に覚える必要があるということです。
まあこういうふうに第二言語習得には母語の影響だけではなくて、
一般化してしまうっていうようなね、それも過剰に。
そういう人間としての根本的なね特徴っていうのが働くこともあります。
で、今日は文法の話ばっかりでしたけど、当然母語の影響っていうのはね、音声面など他の面でも見られるものだと思います。
というわけで今回はここまでということで、最後まで聞いてくださってありがとうございました。
また次回のトークでお会いいたしましょう。
番組フォローも忘れずよろしくお願いします。
お相手はシガ15でした。
またねー。
10:11

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