1. 【10分言語学】志賀十五の壺
  2. #811 言語は自然界の音を模倣..
2025-11-25 11:48

#811 言語は自然界の音を模倣している? from Radiotalk

関連エピソード
https://youtu.be/WDFiVfpyp8c?si=-kfPoYaBHkJtxUgp

主要参考文献
チャンギージー, M 中山宥訳 (2020)『〈脳と文明〉の暗号: 言語と音楽、驚異の起源』東京: 早川書房.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育

サマリー

言語は自然界の音を模倣することで進化してきたという視点から、言語と自然音の関係を探求しています。特に、破裂音、摩擦音、共鳴音の3種類の音が言語にどのように反映されているのかを詳細に説明しています。

言語と自然界の音の関係
我々人類は言語を難なく使いこなせています。 ただし母語に限ると言った方がいいかもしれませんが、少なくとも母語に関して言えば簡単に扱えていますよね。
言語を扱う能力が本能として備わっていて、そのおかげで何の苦労もなく言葉を話すことができる。
普通はそのように考えられると思います。 ただ、これだけ言語を簡単に扱えるのは
実は言語が自然界の音を真似している、模倣しているからだという見方もあります。 言語が自然界の音を真似しているというとオノマトペとか
擬音語とかそういったものが思い浮かぶと思います。 風がピューピュー吹いている、犬がワンワン吠えている、
雨がザーザー、こういったものが自然界の音を真似しているわけですが、 もっと深いレベルで
オノマトペ、擬音語に限らず 言語は自然界の音を真似しているんだという説があるんですね。
人間ももともと動物ですから、言葉を持つ以前から 自然界に存在する音には敏感でした。
その自然界の音を聞き取る能力には長けていたわけですね。 言語、言葉もそういった自然界の音と同じような音だったとしたら
そのままずっと使ってきている 聴覚というか聞き取る能力を応用することができます。
要は使い回すことができるんですね。 言語が自然界の音を真似て進化していった結果、
元から人間に備わっている聴覚を利用して難なく言語を聞き取れるようになった。 このあたりの話を詳しく掘り下げていこうと思います。
BGMです。 始まりました4月15日のツボ。ちょっと振り向いてみただけの違法人です。
今回参考にしている書籍はマーク・チャンギージという先生の 「能と文明の暗号」という本です。
こちら早川文庫で出てますので、 興味のある方ぜひ読んでみていただけたらと思います。
この書籍の中では言語、話し言葉だけではなくて 音楽も自然界を模倣しているんだっていうような話も出てくるんですね。
言葉にしろ音楽にしろ人間に本質的なものを切っても切り離せないようなものな気がしますが、
それでいて自然界を真似ているところがあるというような話なんですね。 今回は音楽の話は置いといて、言語、特に話し言葉に焦点を絞ってお話ししていきます。
先ほど申し上げました通り、 言語の音は自然界の音に似ていた方が都合がいいんですね。
というのが自然界の音を聞き取る能力、聞き分ける能力は動物としての人間にそもそも備わっているもので、
それをそのまま応用してしまうのが効率的というか経済的なんですよね。 もし言語の音についてまた別個の聞き取る能力を進化させるとなると手間がかかります。
それよりはあるものを使った方がいいじゃんということですね。 似たような話は人間の読む能力についても言われています。
文字を読むという能力はあたかも本能と思われるぐらいスムーズに行われるものですけど、
ただ冷静になって考えてみるとこれは本能とは言えませんよね。 読むということを学んでからじゃないと読むことはできません。
その証拠にというか、教育が十分でなかったら読むという能力は身につきません。 読むという能力は人間に先天的ではないんですよね。
ただ人間の持っているもともとの能力をリサイクルすることで、読むという行為が本能に近い形でスムーズに行うことができます。
これについては関連エピソードがございますので、ぜひ概要欄から飛んで聞いてみてください。
自然界の音の種類とその模倣
さて、言語が自然界の音を真似ていると言いますが、具体的にどのような音を真似ているのかということがね、問題となります。
現代社会であれば車の音とか空調の音とかスマホの通知音とかありとあらゆる音が溢れているわけですが、
当然こういった音は元来自然界に存在しないものですよね。 そういった文明的なものを取っ払って自然界の音というのを考えてみると、
ぶつかる音、滑る音、鳴る音、 この3つが主な自然界の音であると言えます。
それぞれ個体同士、固形物同士の接触が関わる音ですね。 人間は陸上の生物、動物なのであんまり液体が関わるような音は言語に関わってきていません。
このぶつかる音、滑る音、そして鳴る音というのが言語音に反映されている、 模倣されて反映されているわけですが、
それぞれぶつかる音は破裂音、滑る音は摩擦音、 そして鳴る音は共鳴音として実現されていると考えられます。
破裂音というのは、パーとかバーとかターとかダーとかカーとかガーとか こういった音が破裂音です。
音声学的に言えば、口のどっかしらで閉鎖を作って、それを開放させることで音を出す、 シーンですね。
パーであれば、Pで書かれるような音ですが、これは両唇で閉鎖を作り、それを開放することでパーという破裂音を出しています。
これは厳密に言うと、ぶつかる音とは言えないんですよね。 ぶつかるというよりは破裂しているわけですけど、
ただ音響的に言えば、 自然界のぶつかる音と破裂音っていうのは非常に
似ているんですね。その音の波形とかがかなり似ています。 日本語のオノマトペとかで考えてみてもガッとかドンとか
こういったものがぶつかる音ですよね。 次の滑る音は摩擦音として反映されます。
摩擦音はまさに摩擦が起こるような音で、スーとかフーとかハーとかこういったものが摩擦音です。
SとかFとかHで書かれるような音ですね。 自然界では個体同士が
接触して擦り合わさる、滑るような音っていうのが存在するので、 それが言語では摩擦音として実現するということです。
最後の鳴るというのは ぶつかったり滑ったりした後、振動が続くような場合ですね。
木と木がぶつかって、でその後太鼓みたいに ゴーンと音が継続して鳴ることがあります。
でこの鳴るという音、でこの鳴るという自然界の音が言語では共鳴音として実現、反映されるんですね。
共鳴音というのはわかりやすいのは母音ですね。 あーいーうーえーおー、日本語だったらこういった母音とか、あるいは鼻音MとかNとか、
あるいは流音LとかRとか、こういった音が共鳴音です。 ある程度継続性を持って
続くような音のことを言うんですね。 自然界に存在する個体同士の接触によって起こる3つの音、
言語における音の構造
ぶつかる、すべる、鳴るというのを言語は真根っこして、 破裂音、摩擦音、そして共鳴音として実現しています。
でこの破裂音、摩擦音、共鳴音というのがあらゆる言語で見られる 主要な言語音のメンバーなんですね。
自然界で起こる現象のことを考えると
ぶつかってからすべるっていうパターンの方がありそうですよね。 例えば芝生の上でボールを蹴って、蹴ることによってぶつかって、でその後芝生の上をボールが滑って
こういった現象はよくありそうです。 もちろん逆のパターンも考えられます。つまり滑っていたものがぶつかることによって
それで動作が停止する。 ただいきなり滑り始めるっていうのは自然界ではあんまり考えられません。
それよりは個体が何かにぶつかって、その後滑り始める。 あるいは鳴るという動作もやはりぶつかるに誘発されることが多そうですよね。
太鼓のようなものをイメージして、太鼓をドンとぶつかった後にその要因として音が鳴り続ける。
鳴るはぶつかるの後に起こることが多そうです。 つまりぶつかるというのが自然界の音の始まりであることが多いということですね。
これは言語の面でもそのまんま反映されていて、自然界のぶつかるに対応する破裂音が単語の頭に出てきがちなんですね。
で、その後共鳴音である母音が続くような構造っていうのがあらゆる言語で観察されます。
日本語がまさにそうですね。 カーとかターとか破裂音の後に共鳴音の母音が出ている。
これはぶつかった後に鳴っているという自然界の模倣なんですね。 これはあくまで一例ですが、この他にも自然界の音を言語が模倣しているという
証拠がいくつか書籍の中では紹介されていますので、 能と文明の暗号、興味のある方はぜひ読んでみてください。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。 番組フォローまだの方はよろしくお願い致します。
お相手はシンガ15でした。 またねー
11:48

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