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2025-07-01 11:08

#769 音象徴:言語音と視覚的イメージ from Radiotalk

子音ではなく母音です!

主要参考文献
Bloomfield, L. 1933. Language. New York: Holt, Rinehart and Winston.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育

サマリー

このエピソードでは、音象徴について深く掘り下げ、言語の音と視覚的イメージの結びつきを探ります。具体的には、森象徴やブーバキキ効果などの事例を通じて、言語学における音の意味の無さと形の関連性について議論します。

音象徴の紹介
先日、リスナーさんと森象徴:の話になりまして、森象徴:っていうのはね、若い方はご存じないかもしれませんけど、
愛知球博っていうのが2005年にあって、もう20年前ですけどね、その時の公式キャラクターでございます。
今回のね、脈々に似たような位置づけだと思うんですけど、森象徴:。
ご存じじゃない方とかね、記憶が薄れている方は是非、画像検索などしていただけたらと思います。
そのリスナーさんとのやり取りで、森象徴:がブーバキキみたいだ、みたいなねことをおっしゃってたんですよね。
ブーバキキ効果っていうのは、これ言語学というよりは、どっちかというと心理学よりかもしれませんが、
2つの画像を見せて、どっちがブーバっぽくてどっちがキキっぽいかっていうのを尋ねるんですよね。
その傾向というのがおおむね一致するみたいな、そういった実験があります。
もうちょっと具体的に言うと、ブーバっていうのは丸っこいというか曲線が多いようなうねうねっとした形で、
キキっていうのはギザギザのちょっととんがったような、そんな2つの図形でございます。
すなわちブーバキキ効果っていうのは、曲線の多いふわふわした方がブーバで、ギザギザでとんがっている方をキキと感じる人が多いというか、感じる傾向があるという、そういった心理学の実験でございます。
その言語の音と見た目というか、その感覚っていうのがリンクしてるんじゃないかということです。
森蔵とキッコロもそんな感じなんじゃないかということですね。
キッコロっていうのはいかにもキッコロっぽいし、森蔵というのはいかにも森蔵っぽい。
音とその図形というか見た目のイメージ、ビジュアルのイメージがしっくりくるということでございますが、
今日はそんな音象徴と言われる現象についてお話ししていきます。
言語の音の意味
BGM、行けい。
始まりました4月15日のツボ。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。
OK牧場、ボリビア視点です。
言語学では原則として音想それ自体には意味がないというふうに考えます。
この話は過去に何度かしたことがあるのではないかと思います。
言語の音には意味がないんですね。
その無意味な意味を持たない音を組み合わせることによって、意味のある単語というものができあがるということです。
例えば、猫という単語は音で言うと、ローマ字風に言えば Neko という4つの音、専門的には音想からできあがっています。
NEKO、シーン2つ、母音2つという感じです。
この猫という単語を構成している音想、4つの音想自体には意味がありません。
猫という概念的なものを含んでいません。
例えば最初の N のシーンに猫という意味は全くありません。
もし N というシーンに猫という意味が結びつけられているとしたら、
その N の音というのは猫関係以外のものには使えなくなってしまうんです。
例えば夏という単語の冒頭の N のシーンは猫と同じシーンであるわけですが、
そこに共通した意味というものはないです。
もし特定の音想に何らかの意味が紐付けられていたとしたら、
N というシーンに猫というのが紐付けられているとしたら、
シーンにしろ母音にしろ言語の音というのはいくらあっても足りないことになってしまいます。
この世に存在するあるいは存在しないものも含めて、真羅万象、全ての現象に
一個ずつ音を当てはめていたら、もう音のバリエーションがいくらあっても追いつきません。
その代わり人間の言語というのは、意味のない意味を持たない音想を組み合わせることによって、
意味のある要素、単語や形態層というものを作るんですね。
これが言語学では原則として考えられているものです。
音とイメージの関連
が、今回お話ししている音象調というのは、ある意味それの逆を言っていて、
つまり特定の音が特定の意味、意味と言っては言い過ぎかもしれませんので、
まあ平たく言えばイメージと結びついているのではないかということですね。
わかりやすいのはオノマトペだと思います。
風船がパンと割れたといった時のこのPの音は、まさに破裂音というわけですけど、
破裂を表すというか、破裂のイメージと結びついていますよね。
これは実際に発音の仕方として、唇を閉じて、それを開放させることによって音を出していますので、
破裂のイメージと結びつきやすいというか、本当に破裂の音を破裂の音で表しているという感じですよね。
あるいはサーッと流れていったといった時のこのサーッというSのシーンも専門的には摩擦音と言って、
舌先と歯茎で摩擦を起こして音を出しています。
この摩擦音がササッと、サーッとという風に摩擦を表すのも、さっきの破裂音と同様に摩擦音で表しているということです。
なので実際の発音の仕方が、その現実の音とリンクしているという非常にわかりやすいものもあります。
先ほどのモリ像とキッコロの話に戻りますと、そのリスナーさんのおっしゃることには、モリ像の方が大きくてキッコロの方が小さいイメージがあると。
実際モリ像が大きくてキッコロが小さいわけですが、より具体的に言うとモリ像のオの母音が大きいイメージがあって、キッコロのイの子音が小さいイメージがあるということだったんですね。
これも音象庁でよく話題になるんですね。オの母とペとは少し違いますが、オやアといった母音が大きくてイという母音が小さいというのは指摘されています。
日本語でも大きいというのと小さいというのはオという母音とイという母音をそれぞれ含んでいて、まさにモリ像とキッコロと同じようにオが大きくてイが小さいですよね。
これもやっぱり人間の発音の仕方、調音方法に着目してみると、オとかあるいはアという母音は広母音と言われる母音で、口の中の空間が大きいんですね実際。
一方でイという母音あるいはウという母音もですけど、これらは狭母音と言われて口の中の空間が狭い母音です。
ですので、母音を発するときの口の中の大きさ、大きい小さいというのがそのまま大きい小さいというのに対応しているということですね。
ですのでモリ像とキッコロというのが、モリ像が大きくてキッコロが小さいというのもそれなりにうなずけることかもしれません。
もしね、モリ像とキッコロを何も知らない人にどっちがモリ像でキッコロでしょうと聞いたら、どうでしょうか。どれくらいの割合でモリ像とキッコロを正解することができるでしょうか。
ただ、今お話しした狭母音は小さくて広母音は大きいみたいなのは当然例外もあって、
例えば英語のビッグっていうのは、いという狭母音を含んでますが大きいという意味だし、逆にスモールっていうのは広い母音を持ってますが小さいという意味なので、
まあここはね一筋縄に行かないところでございます。
こういった音象調と言われるものが言語普遍的なものなのか、あるいはその一つの言語の中だけで、日本語なら日本語の中だけで通用する個別的な現象なのかっていうのは、
まあ議論は分かれるところだと思います。 さっき日本語の話しましたので英語の話をしてみますと、
例えば英語でつづりで gl みたいな音が入っているのは、
なんて言うんですかね、その光と関係あるようなものが多いんですよね。 glow とか gloss とか gloom とか glitter とか、
あるいは glass とかもそうかもしれませんけど、まあちょっといちいち意味は言わないですけど、こういったものは光と関係しているような単語です。
あるいはつづりの上で sn で始まるのは、 鼻とか口に関係するような単語が多いんですね。
例えば sneeze とか sniff とか snort とか、
まあ興味のある方はちょっとね調べていただきたいんですが、この鼻や口に関係するものが sn で始まる単語は多いんですね。
ですので、おそらく少なくとも英語母語話者の頭の中には gl っていうのが光と結びついていて sn みたいなのが
鼻や口に結びついていると言えるじゃないかなと思うんですが、 ただそれが
どんな言語の母語話者でも通用するかというと、それは微妙なところかもしれません。
というわけで今回は音症状についてのお話でございました。
最後まで聞いてくださってありがとうございました。また次回のエピソードでお会いいたしましょう。
番組フォローまだの方はよろしくお願い致します。お会いしては4月15日でした。
またねー
11:08

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